ニュースレター No.194 2015年10月25日発行 (発行部数:1390部) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。 情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原 |
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フロントページ:国連サミットで合意された「持続可能な成長のための2030年アジェンダ」の中の森林(2015/10/24)
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2015年9月25日-27日、ニューヨーク国連本部において開催された国連持続可能な開発サミットで、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030年アジェンダ」SDGs(以下「2030年アジェンダ」という)が採択されました。 17の目標と169のターゲットからなる今後の15年間の世界で共通した開発・成長の指針です。 国連関連ページSustainable Development - the United Nations (我が国と「2030年アジェンダ」) 今回採択された2030アジェンダの最大の特徴は、持続可能な環境や社会を実現するために先進国を含む全ての国が取り組むという「ユニバーサリティ」にある(日本政府の評価、持続可能な開発のための2030アジェンダ)、とされるように日本の国内開発(成長)のあり方も含む計画です。 ただ、この計画は、途上国の開発の指針として重要な役割を果たした「ミレニアム開発目標」MDGsの成果の上に立つもの(前文)とされるため、その次の枠積みづくりづくりとして途上国援助の枠組みとの理解が一部にありました。 日本の外務省のウェブ上でも、このテーマは長い間ODAの一部に掲載されてきました。トップページ > 外交政策 > ODAと地球規模の課題 > ODA(政府開発援助) > ODAとは? > 開発に関する国際的取組 > ミレニアム開発目標(MDGs),ポスト2015年開発アジェンダ 「持続可能な開発に先進国はない日本も途上国」(慶応大学蟹江教授)というように、今回のSDGsはすべての国がその進捗状況を閣僚級会合で検証するシステムが盛り込まれています(フォローアップとレビュー(パラ71-91))。 (勉強部屋と「2030年アジェンダ」) 持続可能な開発の三側面(経済・社会・環境)の調和をめざす(前文)この目標の実現にむけて森林分野の果たす役割がどのようなものになるのか、リオプラス20、世界林業大会に参加するなどこのサイトでも注意深く見守ってきました。 持続可能な森林目標と森林の将来(3)ーSDGs国連事務局長の統合報告書 (2015/1/25) (総論部分の中の森林) 「2030年アジェンダ」前文、宣言の導入部等からなる総論(53パラグラフ)と、具体的な持続可能な開発目標(SDGs)とターゲットの記述部分(37パラグラフ)からなっています。 総論の中で森林という用語が現れるのは、目標の解説部分のパラ33の一か所です。
また、全体の枠組みを示すパラグラフ3は以下の通り。
6つのアジェンダが指摘され、森林は全般にわたって関係生まれるが特に最後の二つ、天然資源の永続的な保護、包摂的で持続的な経済成長の関係が深いことが理解されるでしょう。 (目標SDGsの中の森林) 17の目標は全体は以下の通りです。
目標の中で森林が記載されているのは、目標15陸域生態系と森林の管理、その下のターゲットに森林が記載されているのが、目標6水と衛星の管理です(緑の部分)。 今後我が国の政府や自治他の政策を積み上げる過程で、2020年までに「持続可能な経営の実施の促進」、「再造林の大幅な増加」、といったターゲットがどのように実現してくるのか、その過程で森林政策が開発と成長の大きな枠組みからチェックされることとなるでしょう。 (マーケットを通じた目標) 黄色をつけた目標は、森林という言葉は入っていないけれど、森林にまつわるターゲットがある目標です。 特に先進国のマーケットの中で、持続可能な森林からの産物がどのように取り扱われるかは、人類が、包摂的で持続的な経済成長を目指すうえで大変重要な課題です。 作成過程で森林側からこの点についての指摘がされましたが(持続可能な開発目標と森林の将来、FAO森林委員会での議論目標9 森林のグリーン経済への貢献の改善など)、残念ながら関連する目標である、7、11、12などにターゲットのレベルでも木材、木質バイオマスという言葉は入りませんでした。 再生可能な資源、天然資源の持続可能な利用というキーワードで、持続可能な森林から提供される木質バイオマス由来の商品がマーケットの中で重要な位置を占めていくのか、特に日本のような工業発展国の大きな市場を持つ国にとって大切な目標になっていく必要があるでしょう。 今後に残された課題といえます。 chikyu1-33<SDGsummit> |
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世界の森林資源調査2015の内容(2015/10/24)
FAOが5年に一度包括的な世界の森林資源の現状を報告するGlobal Forest Resources Assessmentsの最新版が世界林業会議の場で公表されました。 The 2015 Global Forest Resources Assessment (FRA2015) このサイトでも過去の調査結果をフォローしてきました。 今回の報告の概要をみておきましょう。 (森林面積の動態) 1990年、世界の陸地面積の31.6パーセント、41億2, 800万haが森林だったが、2015年にはこれが30.6パーセント、39億9, 900万haに減少しました。 一方で、森林面積の年間純消失率は、1990年代初めに0.18パーセントだったのが2010~2015年期には0.08パーセントに減速しました。 FAOの森林資源調査のシリーズを地球環境モニタリングの重要な要素としてきた、世界の、特に熱帯林の減少問題は、ある程度方向性が出てきたといえるかもしれませんね。 (持続可能な森林の管理度) 最近の資源調査報告書で充実が図られてきているのは、持続可能な森林の管理水準に関する、データです。 TABEL5は森林管理下の森林の割合を示したものです。本文では、森林計画がどんな水準のものかの、分析もなされています。 FIGRE16は森林認証がなされた森林の面積を示したものです。FSCとPEFCの制度を合わせて、430百万haの面積で、全体の森林の11%ほどとなります。 (今後の課題) 今後、木質バイオマスの生産圧力は高まっていくでしょうから、しっかりとした面積の管理と管理システムのモニタリングは重要になってくるでしょう。 chikyu4-18<FRA2015> |
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環太平洋パートナーシップ協定TPPと森林の国際枠組み(2015/10/26) 10 月 5 日、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加 12 か国はTPP交渉閣僚会合において、閣僚レベルの交渉を終え、協定 の大筋合意に至ったとされました。 この協定に対する一般的な関心は市場アクセス(関税の撤廃)分野に関してですが、このサイトでは森林管理や木材の流通に関する分野として、その他に、環境分野の協議について関心をもって、フォローしてきました。 7.貿易自由化の環境影響評価 現時点(10月25日時点)で合意内容のすべてが公表されているわけではありませんが、政府から公表されているのは以下の通りです
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以上の中で森林や林産物にかかる合意事項を見てみましょう。 (林産物の関税問題) 林産物関税は丸太・製材品等で無税となっている一方、製材品の一部、合板、集成材等の関税率は3.9~10%となっています(こちらに概要、林野庁)。 今回の合意では、林産物を含む鉱工業製品の関税撤廃率は100パーセントとしています(TPPにおける関税交渉の結果)が、合板や製材の関税撤廃までのプロセスに特別の配慮がなされています。 林産物の品目別の交渉結果概要(担当:林野庁)(PDF:204KB) 合板は6パーセントから10パーセントの関税がかかっていますが、10年かけて順次減らしていって11年目に撤廃するとされています。 さらに、マレーシアなど輸入量が多い国からの輸入品は発効時に半分にして撤廃時期を16年目にすることとし、その間に輸入が急送すればセーフガード(緊急措置)で関税を戻す措置をとるとしています。 同様に、針葉樹製材のうち関税がかかっているSPF(マツ・モミ・トウヒ属)製材については10年かけて順次削減11年後に撤廃。 同様に輸入量の多いカナダについては、発行時に半分にして撤廃時期を16年目に、阻止で同様なセーフガード措置がとられるそうです。 (林産物の丸太輸出管理) カナダのBC州で丸太の輸出が原則として禁止され、国内での原料価格が国際市場よりやすくなっていた問題で、二国間で取り決めがあり、手続きにそった「輸出申請には応じる」こととされました。 (環境条項) 環太平洋パートナーシップ協定の概要(暫定版)には協定の全30章の「概要」が記載されていますが、そのうち20章環境の全文は以下の通りです。 地域の貿易の自由化が地域の自然資源の乱開発などの環境破壊につながらないように、自由貿易協定に環境条項がセットされるのは重要な点ですが、森林の管理についての協働した管理がどこまで達成できるか、重要なポイントです。
「違法伐採問題(など)に協働して取り組むことにより、環境を保護し、及び保全する強固な約束を共有する」、「締約国は、持続可能な森林経営を促進することに同意する」今後この条項がどのように生かされていくのか注目されます。 boueki7-10<TPPgoui> |
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