持続可能な森林目標と森林の将来(3)ーSDGs国連事務局長の統合報告書(2015/1/25)

リオ+20を契機として作成されることとなった国際的な開発政策の優先順位を明らかにする、持続可能な開発目標について、その中に森林の管理と保全がどのように位置づけられるのか、森林条約を持たない状況で、グローバルな森林管理に一歩でも近づくとっかかりとして重要なプロセスであると考え、このサイトでも追いかけてきました。

リオ+20から一年(2013/8/24)
持続可能な開発に関する公開作業グループ会合ー森林の行方(2014/5/31)
持続可能な開発目標と森林の将来、FAO森林委員会での議論 (2014/7/21)
持続可能な開発目標と森林の将来(2)、OWGの議論の結果、素案の中の森林(2014/9/21)

左の図が作成手続きの概要ですが、昨年7月のオープンワーキンググループによるSDGs報告書に引き続き、国連事務総長による、統合報告書が12月に公表されました

The road to dignity by 2030: ending poverty,transforming all lives and protecting the planet
Synthesis report of the Secretary-General on the post-2015 sustainable development agenda

2030年、尊厳への道:貧困を終わらせ、全ての人々の生活を変革し、地球を守る、国連事務総長によるポスト2015年開発アジェンダに関する統合報告書(IGESによる日本語仮訳)

国連事務総長によるポスト2015年開発アジェンダに関する統合報告書
目次

1. 2015年以降の世界を変革するための行動に対する普遍的呼びかけ
2. 総論(統合文書/Synthesis)

2.1. 過去20年間の開発の経験から学んだこと
2.2. ポスト2015プロセスから学んだこと
2.3. 共通の将来に向けた共通の展望
3. 新たなアジェンダの構想
3.1. 今後に向けて(setting the stage)
3.2. 変革的なアプローチ
3.3. SDGsの遂行に向けた6つの本質的要素
3.4. 6つの本質的要素の統合
4. 私たちのアジェンダ実施のための手段の動員
4.1. 私たちの将来のための資金
4.2. 持続可能な将来のための技術、科学、革新
4.3. 持続可能な能力への投資
5. 私たちのアジェンダの実現に向けて:責任の共有
5.1. 新たなダイナミクスの測定
5.2. 未来への指針:新たなアジェンダにおけるデータの役割
5.3. 進捗を図る:モニタリング、評価、報告
5.4. 持続可能な将来に向けた国連の適格化
6. 結論:普遍的な約束の共有

報告書は上記の6つのセクションにわたっており、ワーキンググループが示した17の目標169のターゲットを、6つのカテゴリー(本質的要素)に分けて再編成する、というのが、第3章の「新たなアジェンダの構想」です。

6つの本質的要素とは
尊厳:
貧困根絶と格差是正
人々:健康な生活と知識、及び、女性と子どもの包括
繁栄:強力、包括的、かつ、変革的な経済の成長
地球:すべての社会と子孫たちのための生態系の保全
公正:安全で平和な社会と強力な組織・制度の促進
パートナーシップ:持続可能な開発のためのグローバルな団結の促進です 。

そのうち、森林と密接な関係がある地球の記述は以下の通りです。

地球:すべての社会と子孫たちのための生態系の保全

75. 地球の限界に配慮するため、衡平に気候変動に取り組み、生物多様性の喪失を阻止し、砂漠化および持続不可能な土地利用に対処する必要がある。野生生物を保護し、森林と山地を守り、災害リスクを低減し、回復力を構築しなければならない。海洋、海域、河川および大気をグローバルな遺産として守り、気候正義を実現しなければならない。さらに、持続可能な農業・漁業・食料システムの促進、水資源および廃棄物・化学物質の持続可能な管理の強化、再生可能エネルギーの拡充およびエネルギーの効率化、環境劣化を伴わない経済成長の実現、持続可能な産業化および回復力のあるインフラの推進、持続可能な生産・消費の確保、海洋および陸域の生態系ならびに土地利用の持続可能な管理を行わなければならない。

76. 持続可能な開発は危機に瀕している。というのも、気候システムの温暖化は今や否定できず、その主な原因は人間活動であることが判明しているからである。気候変動の最悪な影響を回避するには、地球全体の気温上昇を2度未満に抑えなければならない。二酸化炭素は、人間が引き起こす気候変動の最大の原因となっている。化石燃料の使用と森林伐採が二大排出源である。温暖化の進行により、過酷で、広範囲にわたる、不可逆的な影響が生じる可能性が高くなる。持続可能な生産・消費に向けた行動をとるまでの時間が長引けば長引くほど、問題解決の費用が膨らみ、技術的な課題も大きくなる。適応により、気候変動のリスクと影響をいくらか緩和できる。最も喫緊の課題は、2015年末までに有意義かつ普遍的な気候変動合意を採択しなければならないことである。

森林問題は、この地球とい要素だけでなく、全ての要素にかかわってくるので、それぞれの中で具体的なターゲットが記載されるのかが、ポイントになると思います。

これらの文書の中の森林に関する記述は、SDGsの議論の中で、全体として森林は生態系の保全という枠組みの中で議論されてきた経緯を引きずっていますが、今後、再生可能な資材を提供する林業木材産業の持続可能な展開という要素が、「持続可能な生産と消費」というコンセプトの中でどのように位置づけられるのか、注目されます。

chikyu1-28(sdgsunsg)