持続可能な森林経営の実現のための政策手段に関する勉強部屋
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ニュースレター 015
2000年12月11日
このレターは、表記HPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。情報提供していただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちらで勝手に考えている方に配信しています。表記HPも併せてご覧下さい。御意見をいただければ幸いです。 藤原
目次
フロントページ:木材はグリーンか、グリーン購入法をめぐって」
国際熱帯木材機関の2000年目標
UNASYLVAバックナンバー解説
循環社会と森林木材の将来(スライドショウ)改訂版
次号以降予告
国や地方自治体が環境への負荷の低減に資する物品等を調達するのを促進するという立派な目的を持ったニックネーム「グリーン購入法」(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)という法律が今年(2000年)の5月に成立し、来年の4月からの全面施行に向けて準備が行われています。現在、「環境への負荷の低減に資する物品」とは何かを決める議論が事務局である環境庁と各省の間で行われ、原案が公表され12月15日までにパブリックコメントが求められているところです。
小HPでも展開してきましたが、「基本的に木材は省エネ省資源物品だ(うす緑)。ただし持続可能な森林経営の木材をを区別すればさらによい(濃い緑)」ということだと思います。先般この問題をめぐって環境庁と接触している木材業界の方と話す機会がありましたが、環境庁は意見は「木材は全部グリーンだという国民的なコンセンサスはない。間伐材やリサイクル材にかぎるべきだ」というもののようです。その結果公表された原案は「木質の場合にあっては間伐材など木材が使用されているもの」と訳の分からない表現になっていますし、肝心の「建築物」という項目がありません。とりあえず木材はグリーンだと関係者が率直なコメントを寄せるべきだと思います。小生もコメントを提出することとしました(藤原のコメントはこちら)。今まで、木材の環境インパクトについては、九州大学の大熊先生の木材工業誌の論文が引用されていましたが、日本建築学会が昨年出版した建物のLCA指針(案)という書籍に掲載されている、木造建築と非木造建築を建築する際の単位当たり、消費エネルギー、co2,so2,nox排出量は、どれも前者が後者の約半分というデータを引用しています。
関係資料
パブリックコメントに関する情報
環境庁企画調整局環境保全活動推進室あて
○郵送の場合 : 〒100−8975 東京都千代田区霞ヶ関1−2−2
○FAXの場合 : 03−3580−9568
○電子メールの場合 : gpl@eanet.go.jp
パブリックコメントの対象となる文書
環境物品等の調達の推進に関する基本方針の概要
グリーン購入法基本方針の特定調達品目及びその判断の基準等(案) [PDFファイル]
その他関連資料
国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律 本文[PDFファイル(15KB)]
○グリーン購入法の仕組み [PDFファイル(42KB)]
藤原のパブリックコメント
日本建築学会の公表資料
なお、今回の議論とは少し離れて、環境庁の主張する「木材が全てグリーンというコンセンサスはない」という話は、それとして重要な論点を含んでいます。海外の違法伐採問題、なかなか、持続可能な森林経営のシグナルが出せない熱帯林、伐採跡地が放置されているケースが増えている国内材など、木材利用推進のネックとなりかねないということではないでしょうか。そういう意味で、「濃い緑」の選別すなわち、森林認証が焦眉の課題になっているといえると思います
今後、都道府県レベルでの計画の策定(法律上の努力義務)などが始まります。森林の地域認証と県市町村でのグリーン購入計画での認証木材の購入といった小さな認証制度が生まれながらネットワークを広げてゆくという展望が開けてきたのではないでしょうか。
「西暦2000年までに持続可能な経営が行われる森林から生産された木材のみを貿易の対象とする」といういわゆる「熱帯木材機関(=ITTO)の2000年目標」は今から十年ほど前にITTOの名前を世界中に知れ渡らせましたが、2000年の今年11月に開催されたITTOの第29回理事会でそれが達成できないことを認めることとなりました。
前回の理事会の報告されたコンサルタント報告書は、制度的な面では持続可能な森林経営に向けて大きな改善があったこと、その背景には消費者の持続可能な森林経営を認めるインパクトがあったこと、しかしながら制度が実施に至るための至るための人材と財源に制約があり現場レベルで大きな転換を起こすには至っていないこと等を報告しています。今理事会ではその内容を認め、2000年目標が達成しなかったことに留意し、新に期限を区切らず目標の速やかな達成に取り組むことを決議しました。
このような状況で2000年を終わることは残念なことです。持続可能な森林経営を達成しない木材が国際取り引きされて、輸入国の林業に悪影響を与えているという状況は一刻も早く解消する必要があるでしょう。ただし、熱帯林だけでなくロシア材の違法伐採問題など温帯林も含めた、管理水準の厳しい監視をしてゆくシステムを作る必要があります。
理事会での決議の内容 英文 和文仮訳
コンサルタントレポート概要
資料:地球環境森林問題UNASYLVA(FAO林業部季刊誌)バックナンバー記事
FAOの林業部の季刊誌UNASYLVAは1947年8月の創刊号以来FAOのウェブサイトから全て本文をダウンロー出来るので、戦後の国際林業動向をフォローするのにかかせない資料です。地球サミット以降は国際森林問題に関する国際対話は国連の持続可能開発委員会を中心に行われ、その記録はすべてCSDのウェブサイトで詳しく見ることができますが、それ以前の資料をウェブ上で探すのは困難です。82年にFAOが熱帯調査報告書を発表し熱帯林問題が大きな問題に発展し、この対処のための国際的共同行動がやはりFAOを中心とした熱帯林行動計画でした。そういう意味で地球ミット以前の国際的な森林問題はFAOを中心に動いていたといっても過言でありません。その活動の状況をフォローしているUNASYLVAのバックナンバーはプレ地球サミットの時期のこの課題についてウェブ上で入手可能な唯一の情報源といえるでしょう。20年前の熱帯林問題の火付け役となった熱帯林調査報告書に関する記事などこの20年間の主要な記事の)簡単な解説を付しました。
主要記事の一覧表(エクセルの形式でダウンロードされます。80年代から20年間の記事のうち80年90年の熱帯林資源調査の舞台裏、熱帯林行動計画などの記事簡単な解説つき)
FAO、UNASYLVA検索ページへのリンク
通算バックナンバー一覧表へのリンク
スライドショウ 来るべき循環社会と日本の森林林業の将来(ver3)
21世紀のキーワードである循環社会と森林林業の将来についてについて話をしたり聞いたりしてくる中で作成したスライドショウをこのウェブサイト全体のイントロとして掲載してきました。最近、愛知県犬山市の市民講座、富山県の自然環境保全講演会、名古屋分局緑の入門講座と3回にわたって、さらに表記題目で話をする機会に恵まれ、今までの資料に手を加えバージョン3を作成しました。パワーポイントというソフトのアニメーションを使っており、結構インパクトのあるものに仕上がっていると思います。いろいろご批判下さい。
パワーポイントをインストールされている方は、こちらから、ソフトをダウンロード(1.3MB)してください。直接スライドショウが立ち上がります。
パワーポイントをインストールされていない方、こちらから、パワーポイントビューワーと一緒にダウンロード(1.8MB)してください。
林産物の自由化のリスクと期待(世界資源研究所レポート)
森林条約資料集
檮原森林組合認証資料
中部森林管理局名古屋分局 藤原敬
郵便番号(個別) 456-8620
電話 052-683-9200 FAX 052-687-1125
email takashi.fujiwara@nifty.com
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ニュースレター 014
2000年11月13日
このレターは、表記HPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。情報提供していただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちらで勝手に考えている方に配信しています。表記HPも併せてご覧下さい。御意見をいただければ幸いです。 藤原
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フロントページ:「近くの山の木で家をつくる運動」
FSC団体認証第一号:檮原森林組合
持続可能社会における循環の意味
次号以降予告
11月5日付の朝日新聞に「近くの山の木で家をつくる運動宣言」という書籍の広告が載りました。正月元旦に賛同する○千人の連名による意見広告を出そうという運動を進めているようです。木材の遠距離輸送のエネルギー消費の定量的な分析などをやってきた小生にとっては大変そそられる看板です。また、呼びかけ人の一人が尊敬する元森林総研の熊崎先生で、その他に、永六輔、立松和平、筑紫哲也、橋本大二郎などマスコミをつうじて影響力のある方々をそろえていることも、大変興味を深いところです。小生も1万円を支払って一口乗ることにしました。
近くの山の木=「地域材」でしょう。各県が地域材振興政策に取り組んでいますがそれが、今のところ残念ながら林業の厳しさを転換するまでの力を持っていいません。身近な資源を使った生活スタイルというのは究極の循環社会のあるべき姿でしょうが、市場経済がグローバル化する中でそれに抵抗するような運動がどのようなプロセスをとって実現するのか難しい課題です。先般発表され林業基本法の30数年ぶり改訂をにらんだ林政審の「新たな林政の展開方向」でも、住宅や公共部門への地域材の利用推進が重要な柱となっています。
事業展開をどのような仕組みでやって行くが十分に解明されているとはいえないようにも思いますが、いずれこの方向に行くしかないということだけははっきりしていると思います。この運動が新たな刺激を与えてくれることを期待します。まだ、正式なウェッブサイトは構築されていないようですが、推進団体である「緑の列島ネットワーク」の事務局長である高橋純さんが運営しているホームページに運動の紹介がされています。
連絡先は以下の通りです
■主たる事務所の住所
〒108−0014
東京都港区芝5−26−20 建築会館4階
電話:03−5419−3621
ファクス:03−5419−3623
■その他の事務所の住所
大阪府大阪市中央区淡路町2丁目6番5号(木構造住宅研究所内)
秋田県山本郡二ツ井町字太田面12番地3(モクネット事業協同組合内)
FSC全国の第一号団地認証を申請していた檮原森林組合の認証決定が10月30日発表されました。おめでとうございます。
町内の希望者97名の所有山林2200haが団体認証されたということですが、平均的な森林所有者が認証をクリアしたということで、第一号の速水林業に負けず大きなインパクトを加えることと思います。今後の事業展開、その他の地域への波及など注目すべきものがあります。
認証にあたったのはFSC認定のコンサルタント「スマートウッド」ですが、同社のホームページからに17ページにわたる認証概要をダウンロードできます(残念ながら英文ですが)。(伐採時などの環境評価方法書を1年以内に作成すること、など11の条件が付いていることが分かります。)
この認証がわが国の認証の普及に貢献するため、今後、概要書の邦訳や認証過程で策定された環境方針などが出来るだけ早く公表されるよう期待します。
高知県森林局が作成した広報用資料を掲載します。→ここ
去る10月15日三重大学で「21世紀循環型社会における森林の可能性」と題する公開講演会が日本林学会中部支部により開催されまいした(平成12年度文部省科学研究費補助金研究成果公開促進費による助成)。魅惑的なテーマに誘われて出席してきましたが、期待に違わず充実した講演会でした。
内容は
持続可能社会における循環の意味(内藤正明 京都大学大学院工学研究科教授)
水循環における森林の役割(太田猛彦 東京大学大学院農学生命科学研究科教授)
材料循環における森林の役割(舩岡正光 三重大学生物資源学部教授)
エネルギー循環における森林の役割(小池浩一郎)
の五氏の講演の後
森林生態から見る循環型社会(武田明正 三重大学生物資源学部 教授)
林業経営から見る循環型社会(川端康樹 三重県速水林業山林管理部)
の二氏からのコメントという形で進めれました。
この中で循環社会論の概論となるべき内藤正明教授の講演資料をご本人と主催者の了解を得て掲載します。
持続可能社会における循環の意味
林産物の自由化のリスクと期待(世界資源研究所レポート)
UNASYLVA解題
森林条約資料集
ITTO理事会と2000年目標
中部森林管理局名古屋分局 藤原敬
郵便番号(個別) 456-8620
電話 052-683-9200 FAX 052-687-1125
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ニュースレター 013
2000年10月18日
このレターは、表記HPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。情報提供していただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちらで勝手に考えている方に配信しています。表記HPも併せてご覧下さい。御意見をいただければ幸いです。 藤原
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フロントページ:「日本の杉・桧を守る会」に期待するもの
速水林業の挑戦
環境経済・政策学会2000年大会
次号以降予告
前号でお知らせしたように9月30日大分県日田市民会館で、「日本の杉桧を守る会」の設立総会は開かれました。会長の武内達男さんから、早速総会に配布された資料を送付していただきました。関連資料がついていますが、「日本の外材輸入は他国に比べて圧倒的に首位である!」から始まり、「緑の消費パワーが森の列島を再びみずみずしく蘇らせます」までの資料はなかなか読み応えがあります。特に結びの「今回の取り組みを根底で支えるのは、『自覚した消費者』です。森の列島を、再びみずみずしく蘇らせるのは、何といっても、この緑の消費者パワーが決め手です。」というところが、今までの行政頼みの運動との違いを際だたせています。
今後どのように緑の消費者との結びつきをつけていくのかが課題となります。まだこの点で明確な展望は描けていないようですが、地方自治体や消費者団体・環境NGOなどと連携した地域的な認証の導入といった可能性も探ってゆくべきだと思います。
ますますの発展をお祈りします。
いまのところインターネットのデジタル情報にはなっていないようなので、しばらくの間、小HPで出来る限りフォローしたいと思っています。守る会ホームページの早期の立ち上げをお待ちします。
業界紙による報道はここ
総会資料要旨はここ
会の趣意書、活動呼びかけのビラ
連絡先 日田木材協同組合内 tel fax 0973-24-2495
電子メールアドレス武内会長 ttatuo@lime.ocn.ne.jp 長副会長 tcho@bronze.ocn.ne.jp
中部森林管理局名古屋分局の21世紀の森林委員会の委員をしていただいている、速水林業社長速水亨さんが来局された機会に、「速水林業森林認証取得秘話」と題して職員への講演をしていただきました。
速水さんは、認証の過程で、計画の必然性・裏付けとなるデータを常に要求されること、勘と経験だけの経営は通用しないという話を強調されます。国有林に振り返ってみると、それなりに体系的な森林計画制度をもってますが、それをいつも原点に返って説明するということが出来ているだろうか、不安があります。情報公開の動きの中で行政の説明責任が問われ、公益機能にシフトした経営を十分に説明することが必要となっている中で、グローバルスタンダードを念頭に置いた国有林の経営が求められていると思いました。速水林業の認証過程については、認証に関わったスミエイト株式会社の関連ウェブサイトであるグリーンウェブ(日本環境リサーチ)に「速水林業の挑戦」と題する記事が載っています。ご本人の全面的な取材協力によるもののようです。是非ご一読下さい。
また、小生なんかは多寡をくくっていたところがあるのですが、市場の反応特に最終消費者に近いところからのコンタクトが増え、今までのどんな需要拡大の運動とも違うものだという話を伺いました。面白いところで、小学館の「小学二年生」がキャンペーンをしている、「ドラエモン21世紀地球パトロール対隊員バッジ(FSC木材を使った速水林業製)」という企画のウェブサイトを紹介します。隊員による速水林業パトロール結果等というのものっています。
9月30日と10月1日の両日つくば市で行われた、環境経済・政策学会の2000年大会に去年に引き続き顔を出してきました。このページの出発点が「近年の環境政策の経済的な手法についての学術的政策的な成果を踏まえる」と大上段に振りかぶっているため、アカデミズムの接点として林学会とともに同学会は貴重な場であり小ニュースレターの読者も林学会員より環境経済政策学会のメンバーの方が多いのではないかと思います。同時に10ほどの分科会が進行し合わせて30の分科会による報告が行われるわけですが、小生は自分の問題意識に基づき、国際市場と環境政策、環境政策の長期的展望、物質循環と環境リスクという分科会をのぞいてみました。
報告は最近の政策学の最先端をフォローすることとなるので、モデルの中身など全てを理解することは難しいのですが、モデルが解釈しようとしている実態は現実的な事象ですから、特に森林林業にかかるテーマでは(150に近い報告の内直接森林や木材をテーマとして取り上げているのは5つ。本ホームページと関係あるテーマはもっと多い)現実をモデルでどう解釈するか、ということについて、小生としても積極的に議論に参加する機会があるものです。また、小生の問題意識やHPを通じたネットワークをつくる重要な場でもあり、結構充実した2日間でした。
大会の報告集から関連報告書のリストを掲載します。
国内第一号グループ認証の動き続報
高知県檮原町森林組合が中心となって作業が進められているグループ認証は現地調査が終了して,この夏には結果がでることになっているようです。結果がオープンになり次第掲載してゆきます。
林産物の自由化のリスクと期待(世界資源研究所レポート)
UNASYLVA解題
森林条約資料集
中部森林管理局名古屋分局 藤原敬
郵便番号(個別) 456-8620
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ニュースレター 012
2000年9月18日
このレターは、表記HPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。情報提供していただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちらで勝手に考えている方に配信しています。表記HPも併せてご覧下さい。御意見をいただければ幸いです。 藤原
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フロントページ:勉強部屋ホームページ開設一年
日本の杉・桧を守る会
地球環境森林問題基本年表
次号以降予告
フロントページ:勉強部屋ホームページ開設一年
1999年9月に開設したこのホームページがまる一年になりました。一ヶ月一度の更新に合わせて配信してきたニュースレターも丁度12号を迎えることができました。ご愛読ありがとうございます。
このホームページ開設の動機は、「輸入材に圧倒されて日本の林業が壊滅的な状況になっている中で、国際的には、ラディカルに貿易制度に関する異議申し立てが行われ、持続可能な森林経営の認証制度に基づく市場での選別が行われるなど、木材をめぐる市場を通じた手段が現実を動かす力となってきている。そのことが、肝心の日本の林業関係者(国有林の管理経営に携わる小生も含めて)に自分のものとして十分咀嚼されていないのでないか」という、問題意識です。
力不足もあり、十分に問題意識に基づく解明ができているとは思いませんが、この一年、日本で最初の国際的な森林認証が実現し、G8では違法伐採問題を含む森林アクションプランが議論され、また国内で環境税の議論が進展するなど、いろんな意味で当初の問題意識の重要性を改めて感じているところです。
おかげさまで、ニュースレターも配布希望者が少しづつ増えて、今回の号は約150人の方に配布させてもらっています(配布しているのは希望者だけではなく押し掛け配布(?)もありますが)。小生がはじめて出席したこの春の日本林学会大会の分科会の報告でも何人の方に小ホームページを引用していただきました。この手のコミュニケーションの重要性を再認識するとともに、大変心強く思った次第です。
小生としても、このページで、現実の動きに合わせてタイムリーに情報提供をして少しでも実際の動きに関わりたいと思っていますが、同時に、まとまった形で考え方を整理して、(何時の日か)皆様方に問いたいという野心(臆面もなく「研究構想」としてトップの方に掲載してきましたが、すこし遠慮して今号からサイトマップの後ろの方にに持ってきています)は捨てたわけではありません。今後ともよろしくご指導ご鞭撻をお願いいたします。
大分県で始まった「日本の杉と桧を守る会」に注目しています。
「自らの力で森林木材産業を復活させよう!」「日本の森林木材産業の復活と外材輸入量の適正化」「杉・桧の家本来のすばらしさのPR」を目指して、「日本の杉・桧を守る会」が九州大分から活動を開始しました。日刊木材新聞のコラムで拝見し、国産材業界が苦手な「自らの力で」というところに感銘して激励の手紙を差し上げました。
外材輸入の適正化の問題というのは、いざ国の政策にしようとするととてつもなく難しい面がありますが、利害関係者がしっかりした理論武装して、どんどん主張することが大切だと思います。今後の活躍に期待します。
会の趣意書、活動呼びかけのビラを掲載します。
9月30日に日田で総決起集会が計画されているようです。総決起集会を呼びかけるビラを掲載します。
連絡先は
武内会長 ttatuo@lime.ocn.ne.jp
長副会長 tcho@bronze.ocn.ne.jp です。
森林が地球環境問題となった80年代から、地球サミットを挟む、20年間の森林問題をめぐる国内外の出来事を年表にまとめてみました。
80年代の初頭に熱帯林の減少状況を劇的に明らかにしたFAOとUNEPの熱帯林評価報告書を出発点として、世界中で取り組んだ熱帯林行動計画の行き詰まり、地球サミットで森林条約をめぐる途上国と先進国の相克、NGOの台頭、そして、持続可能な森林経営をめぐる基準と指標の議論・森林認証へと続くこの20年は、国際的には@熱帯林問題から全ての森林の問題への課題の広がり、A持続可能な森林経営に対する認識の深まり、という流れであり、また、日本にとって、B熱帯林国への援助の問題から、日本国内の深刻な林業問題の地球規模の文脈での認識への発展ということになろうかと思います。
各事項に関する情報がネット上で入手できるものについてはリンクをさせています。ネット上にあふれるような90年代の情報に比べ、80年代のものは入手が困難ですが、FAOの林業局が出版している機関誌UNASILVAの過去の版の記事全てがウェブ上で入手可能になっており、有力な情報源です。
年表はこちらから入手してください
国内第一号グループ認証の動き続報
高知県檮原町森林組合が中心となって作業が進められているグループ認証は現地調査が終了して,この夏には結果がでることになっているようです。結果がオープンになり次第掲載してゆきます。
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2000年8月15日
このレターは、表記HPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。情報提供していただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちらで勝手に考えている方に配信しています。表記HPも併せてご覧下さい。御意見をいただければ幸いです。
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フロントページ:世界のトヨタの森林林業への思い「『杜の会』からの提言書」についての提言
サミット後の違法伐採問題
主要国サミット経済宣言における森林問題(増補版)
次号以降予告
フロントページ:世界のトヨタの森林林業への思い「『杜の会』からの提言書」についての提言
7月の上旬愛知県豊田市にある「トヨタの森」を訪問しました。
トヨタ自動車が、自動車社会に深く関わりある地球環境保全へのメセナ活動として、社有地に「トヨタの森」というのを作り、広葉樹林の造成や貴重種の保全などの仕事に取り組んでいます。モデル林は面積は約15ヘクタールで、その中に、整備ゾーン、保全ゾーン、活用ゾーンがあり、それぞれがけっこう盛りだくさんのメニューを持っていて、すこしせせこましいのですが、2時間ほどたっぷり見学させていただきました。簡単な紹介がトヨタのホームページにあります。お近くの方はお寄りになったらどうでしょう。遺伝子解析され優先順位をつけたシデコブシの保全地域などというのもあります。
その際、ご案内いただいた池上さんから一冊の報告書を見せていただきました。題名は、「自然の森と街の森から、地球温暖化防止を考える」となっています。トヨタ自動車が「トヨタの森」と並行して進めている「杜の会」という調査プロジェクトの報告書です。この勉強部屋のサイトに関心のある方は、是非一読を推奨します。第一に循環社会の中での木材と化石資源の代替という最も重要なポイントに焦点を当てていること、第二にその視点から国産材の使用拡大にしっかりした視点をもっていること、第三に木材循環経済法など具体的な提言をしていること、など大変興味深い報告書です。概要を掲載します。本報告書は担当の池上さんへ連絡すると送っていただけます。
ただ残念なのは、大きな問題提起をした報告書のフォローアップの方向が明確になっていない点です。杜の会のホームページも現在休止中のようです。お話しいただいた池上さんも検討中とのこと。せっかくのヴィジョンをもう一歩進める第三次「杜の会」活動を期待します。小生の提案は、大都市と森林を結ぶ仕組み、など提言書の内容について、@提言の具体化のための実施計画の公募と支援、A具体的な活動の顕彰、B東南アジアやロシアの森林認証への支援、C関連する研究の助成、D杜の会ホームページの再開などが思いつきます。みなさん、積極的なご提案の寄せられたらどうでしょう。
英国では、環境大臣が議会で違法伐採問題について発言し、
1 FSCなどの独立した三者機関の認証に基づく持続可能な合法的な木材の購入に関する現在の任意のガイドラインを、中央政府の強制的なものにする。
2 各省庁からどのように持続可能性と合法性を担保したかの報告をさせる
3 省庁間の専門グループを作り,各省庁の調達へのガイダンス、目標作成を支援する。
との方針を明らかにした、と報道されています。
プレスリリース原文、抄訳
先月号で、主要国サミットでの森林問題の取り上げ方をフォローし、「地球サミットを控えた90年のヒューストン会合の経済宣言でで初めて本格的に森林問題についての取り上げられ」と記述しましたが、その前の年のフランス・アルシュサミットで初めて地球環境問題が本格的に取り上げられ、森林問題についても、詳しく展開されています。(失礼しました) 初めて、「熱帯林」というフレーズが経済宣言に表れたのは1987年のベネチアサミットですが、その後の経済宣言における森林に関する全てのテキストを収録しました。熱帯林から全ての森林へ、先進国の首脳の認識の広がりがよく解ります。
国内第一号グループ認証の動き続報
高知県檮原町森林組合が中心となって作業が進められているグループ認証は現地調査が終了して,この夏には結果がでることになっているようです。結果がオープンになり次第掲載してゆきます。
木材認証・ラベリング調査分析報告書関連資料
林野庁が進めている関連調査の報告書が日本木材総合情報センターなどから最近公表されました。関連資料を随時掲載してゆきます。国際森林問題史年表
熱帯林の減少問題が具体的に明らかにされた1980年代前半から、20年間の森林条約をめぐる攻防史年表作成してます
林産物の自由化のリスクと期待(世界資源研究所レポート)
中部森林管理局名古屋分局 藤原敬
郵便番号(個別) 456-8620
電話 052-683-9200 FAX 052-687-1125
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HP http://www.dd.iij4u.or.jp/~fujiwara
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ニュースレター 010
2000年7月27日
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フロントページ:ロシア材「違法伐採問題」考
国内林業者の立場からの解明を
「ロシア材違法伐採問題」と貿易環境問題
森林の管理を保管する国際取り決めの可能性
ダンピングを回避する輸入規制
モントリオールプロセスにとっての試金石
ロシア材違法伐採問題資料
先進国サミットと森林行動プログラム
モントリオールプロセス・アップデート
次号以降予告
国内のマスコミは無視した形になっていますが、グリーンピースがロシア材の違法伐採についての調査報告書を公表しました。プレスリリース資料によると「少なくともロシアでは20%の木材が違法か現行の森林関連法に著しく違反して伐採されている」としています。公表されている報告書要約和訳(英文)を見る限り、その根拠は明確でありませんが、どうやら極東地域のある樹種群の輸出許可量が伐採量を数倍上回っているということのようです。その他に具体的事例もあげています。ロシア側の公式なコメントは今のところ公にはなっていないようですが、九州沖縄サミットの森林行動プログラムロシア個別報告書によると、「違法な伐採を防ぐため認証制度の導入」を検討しているそうで、ロシア政府としても「解決すべき問題を抱えている」という認識はあるようです。
国内林業者の立場からの解明を
さて、ロシアの違法伐採があるかどうか、またグリーンピースが指摘しているような規模に上っているかどうかは、@ロシア国民にとっての国内の資源の管理問題、A亜寒帯林が二酸化炭素の放出を促すという地球環境問題、B我が国に隣接する森林がダンピング的な輸出をされることによる我が国林業の存立を危うくするという国内林業問題、という三つの側面をもっています。@が基本でこの問題はロシア国民が真剣に考えるべき問題であり、関係者によって事態の解明・説明がなされることを期待します。またAはグリーンピースの基本的視点、それに対してBは日本の林業者のが責任を持って取り組むべき課題です。Bの視点でしっかりしたフォローアップができているかちょっと心許ない気がします。輸入材の産地情報が日本に提供されるのは、輸入業者を通じてのチャンネルがほとんどといってよいでしょう。輸入業者が不法なことに手を貸しているとは思いませんが、グリーンピースの情報は彼らにとってあまり好ましい情報ではないですから、輸入の過程で入手した数々の情報のうち反証の立場の情報が輸入業者の筋からぼちぼちと流れています。もちろん輸入業者の情報は大変貴重な一次情報ですが、そのチャンネルにたよっているばかりでは実態に迫ることは難しいと思います。国内林業者の立場からバランスのとれた実体解明の動きが是非必要だと思います。
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「ロシア材違法伐採問題」と貿易環境問題
この問題は、今回の問題が伐採許可に対して輸出量が多すぎるというところが根拠となっているように、貿易と環境を巡る問題に格好の材料を提供してくれます。一つは、「森林の管理をするため、国際取引に関する規制が必要になる可能性」、二つ目は「ダンピング的な輸出が仮にあったとして、それを国内林業の立場からやめさせることができないか」という問題です。
森林の管理を保管する国際取り決めの可能性
ロシア極東地域の広大な森林を適切に管理するという課題は、我が国のような人口密度の多い国の国有林さえその管理が重要な課題となっていることから考えても、様々な困難を伴うものと想像できます。本来、森林の管理は国内の管理機関により森林の現場で実施されるべきものですが、どうしても生産地点で全てコントロールすることは困難な場合、最も効率よくそれを管理しようとすると国境でものが通過する時点に対応せざるをえないという場合も考えられます。絶滅のおそれのある野生生物の管理するためにワシントン条約のように「国際取引に関する条約」を作らなければならないのも同じ事情からと考えられます。つまり、違法捕獲を全て国内手段で取り締まることができないという行政効率の視点と考えられます。その点でロシアの極東の森林管理を適正に行うために貿易管理をする必要があるかもしれません。その場合、当然ロシア当局によりその必要性が認識された上で、条約上の根拠が必要となってくるでしょう。来るべき森林条約では、認証とセットになった貿易管理の条項について検討が必要となってくるのではないでしょうか。
ダンピングを回避する輸入規制
もう一つダンピングといった視点で輸入規制できないかという点です。森林条約交渉を待っていては、国内林業が壊滅してしますから、WTO条約上の「補助金相殺措置」「セーフガード」か「ダンピング規制」をかけるべきだという議論です。それらの発動のためには、セーフガードの場合は「国内産業に重大な損害を与える数量の増加」(セーフガード協定第二条)、ダンピング規制の場合は「輸出国内の取引価格に比較した廉価輸出」(アンチダンピング協定第二条)の証明が条件になっていて、そう一筋縄にはゆきません。しかし、アメリカの業界がカナダの製材輸出の相殺関税にかけた執念をもってすれば、なんとか二国間条約ぐらいにはもっていけるのではないかと思うのですがどうでしょう。いずれにせよ、利害関係者が自分の責任で権利を主張し、その主張に必要な情報を自分の手で入手するということから始めなければなりません。トップへ
モントリオールプロセスにとっての試金石
ロシアも関与しているモントリオールプロセスでこの手の問題がどう取り扱われるか興味深い点です。
北方林温帯林の持続可能な森林経営の基準と指標を作成し、それに基づくモニタリングを行って、各国の森林経営が持続可能な森林経営の達成を目指そうというのが、モントリオールプロセスのねらいです。ロシア材問題はモントリオールプロセスの典型的なリトマス試験紙になるのでないでしょうか。今後、各国はモントリオールプロセスの基準指標に基づくモニタリングを行い公表することになります。モントリオールプロセスが適切に機能することが証明される二つのシナリオがあると思います。第一は、基準指標の報告プロセスの中で、「違法伐採など行われているはずがない」ということが十分な信頼性をもって説得できることになる場合です。これはグリーンピースにとっては困ったことになるかもしれませんが、その他の人にとっては大変ハッピーな結果です。第二のシナリオは、報告の過程で、ある指標により、極東地域においては、違法伐採の可能性があることが明らかになるケースです。この指標をモニタリングすることによって、違法伐採問題が改善されることが明らかになる。これもモントリオールプロセスのねらいです。この二つのケースがモントリオールプロセスがうまく機能した場合といえます。今後の2003年のレポートが注目されます。
ということで、国内林業関係者がいろんな意味でこの問題のフォローアップをしてゆく必要があります。小HPも微力ですが貢献してゆきたいと思います。
今回は、ロシア材問題の資料、主要国サミットにおける森林問題、モントリオールプロセスのアップデートをします。
「ロシア材違法伐採問題」への問題意識
ロシア材の違法伐採が、グリーンピースが指摘しているような規模に上っているかどうかは、現時点で確認する手段をもっていません。ただし、我が国のような人口が多い社会の中でも、国有林の違法な伐採が管理上の課題になっている実状からすると、ロシアの極東部のように広大な森林を管理する仕事がいかに大変な仕事か理解することはできます。第一義的にはロシアの森林管理当局の責任で適切な管理がなされるとともに、十分な説明がなされることを期待するものです。
ただし、前述のように、単なるロシアの国内問題ではありません。「地球環境」や「日本の林業の将来」に関心のある方が、この問題に積極的に目を向けていただけるように、関連資料を掲載します。
九州沖縄サミットは7月23日に3日間の日程を終わりましたが、その中で地球上の森林問題につて議論されているのはあまり知られていません。主要国サミットではでは80年代に森林問題が地球環境問題と認識されるようになり、地球サミットを控えた90年のヒューストン会合の経済宣言でで初めて本格的に森林問題についての取り上げられ、森林条約締結に向けての意志が表明されました。その時点で「先進国サミット」の関心は「熱帯林問題」についてに限られていましたが、97年米国のデンバーサミットで、初めて自国の森林問題も含めた森林についての本格的議論がされ、98年のバーミンガムサミットにおいて森林行動プログラムが合意されました。沖縄サミットではその実施状況の中間報告をするという位置づけです。サミットの宣言に表れた森林に関する記述を資料として掲載します。
モントリオールプロセスの技術諮問委員会が6月下旬に東京で開催されました。内容は公表されていませんが、2003年の報告書作成についての様式などが詰められているようです。モントリオールプロセスのフォローアップは毎年一回の作業会合によって行われていますが、昨年の第11回チャールトン会合で基準指標の第二版が作成されました。わかりやすいように番号を振りなおしただけのようですが、まだ、公式サイトに英語版が掲載されていません。それに先立ち、日本語版の基準指標をhtml版で掲載します。
「トヨタの森」訪問記
国内第一号グループ認証の動き続報
高知県檮原町森林組合が中心となって作業が進められているグループ認証は現地調査が終了して,この夏には結果がでることになっているようです。結果がオープンになり次第掲載してゆきます。
木材認証・ラベリング調査分析報告書関連資料
林野庁が進めている関連調査の報告書が日本木材総合情報センターなどから最近公表されました。関連資料を随時掲載してゆきます。
中部森林管理局名古屋分局 藤原敬
郵便番号(個別) 456-8620
電話 052-683-9200 FAX 052-687-1125
email fujiwara@dd.iij4u.or.jp
HP http://www.dd.iij4u.or.jp/~fujiwara
持続可能な森林経営の実現のための政策手段に関する勉強部屋
http://www.dd.iij4u.or.jp/~fujiwara
ニュースレター 009
2000年6月26日
このレターは、表記HPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。情報提供していただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちらで勝手に考えている方に配信しています。表記HPも併せてご覧下さい。御意見をいただければ幸いです。
目次
フロントページ:森林認証にこだわるわけ
森林認証概論
日本初のグループ認証の進展
木材認証・ラベリング調査分析事業報告書
「木質バイオマス発電への期待」
次号以降予告
フロントページ:森林認証にこだわるわけ
最近入手した,木材認証ラベリングに関する(財)日本木材情報センターの報告書の一節に、大変興味深い記述がありました。「環境志向型市場である西ヨーロッパの市場に対するアフリカの木材輸出が減少し、アフリカ諸国の木材輸出が、アジア、特に日本に傾いている現状は、アフリカ諸国の輸出戦略が認証制度を避ける方向で展開していることの表れとの解釈・分析も見られる。」 海外における認証制度の進展を他人事のように見ていると、エアポケットのような我が国の市場にダンピング的な輸出を招来する可能性があるということでしょうか。このサイトで森林認証にこだわる理由の一つです。
世界的には消費者主導できた認証制度ですが、ひょっとしたら輸入国の我が国では川上主導で、「持続可能でない木材は使わない、国産材はみんな持続可能だ」、という風潮(もちろん実態をふまえた)を早く作り上げないとならないのではないでしょうか。認証制度と政府機関の関係がいろいろ取りざたされていますが、地方の行政機関も巻き込んで進められなければならないとおもいます。
また、輸出地域における認証基準については、おかしくないかどんどん文句を言ってゆく必要もあるとおもいます。
今月号は、森林認証概論、日本初のグループ認証、JAWICの報告書と認証関係が並びました。
森林認証制度が日本に上陸し、行政機関、学会関係者など関心が広がりつつあります。欧米で生まれた制度ですが、林野庁の調査などにより森林認証についての報告書がいくつか作成され、日本語で森林認証についての情報が幅広く得られる環境が整ってきました。しかし、まだ発展途上の仕組みであり、半年前の情報が古い情報となってくるような面があります。そんなことから様々な制度が発信するインターネット上の情報をリンクしたデジタル版の森林認証概論を作成し掲載しました。ISOなど認証制度の発祥の地であるヨーロッパでEUの財政的支援を受けて森林認証制度についての包括的な情報をフォローしているCISのウェブサイトと連携して作成しています。随時改訂してゆくつもりです。また、日本国内の情報もCISと連携して発信してゆく計画です。よろしくお願いします。
内容は、第一部森林認証の歴史と形成、第二部森林認証の各種制度の国際的動向、第三部国別の動向の三部構成となっています。
第一部 森林認証の歴史と形成は 森林認証の背景 と森林認証の仕組みを概説します。
第二部 森林認証の各種制度の国際的動向は、 森林管理協議会 (FSC) と国際標準化機関 (ISO) の他最近注目されている全ヨーロッパ認証機関、北米の東南アジアなどの地方における認証制度を、ウェブサイトとリンクしながら解説します。
第三部 国ごとの制度は25カ国の国ごとの認証制度の進展状況を解説します。
日本初のグループ認証の進展ー檮原森林組合FSC認証の動き
我が国のFSCグループ認証の第一号として高知県檮原森林組合が申請した案件は、去る5月中旬に認定認証機関である米国のコンサルタント「スマートウッド」による現地審査が実施されました。その概要を説明した高知県当局のプレスレク用の資料と、県の担当部局が作成した審査の内容・審査を受ける際の留意事項を掲載します。順調にゆけば8月には認証されることになるようです。第一号としての速水林業の意義は語り尽くせないものがありますが、「普通の森林での認証」という意味で、このグループ認証は日本の今後の認証の進展に様々なインパクトを与える思います。特に「審査を受ける際の留意点」というのは臨場感があって参考になります。
フロントページで引用したように財団法人日本木材情報センター(JAWIC)が最近上記表題の報告書を作成しました。林野庁の総合的な調査の一部で一年ほど前の情報ですが、現地調査と現地コンサルタントの一次情報も含めたなかなかのものです。
目次は
1 調査事業の目的と実施方法
2 木材流通・加工業に関わる認証制度と実施状況
3 日本における認証の実績と取り組みの状況
4 日本における認証システムの導入に関して
5 北米における森林の認証と木材流通
6 ヨーロッパにおける森林認証システムと認証木材の流通
元々、木材関係の海外情報は輸入元である環太平洋地域が中心でしたが、認証問題を通じてヨーロッパの情報がいろんなインパクトを我が国にも与えつつあるように思います。この報告書にもある「アフリカ材が環境シフトの欧州市場を回避して我が国を含むアジア地域にシフトしつつある」という指摘、「オーストリアやドイツなどの国産材マークの普及」など大変興味深い指摘が含まれています。
本HP重要テーマであるで来るべき循環社会の見通しなどに関する資料(スライドショウ 「来るべき循環社会と日本の森林林業の将来」など)の中の将来のエネルギー供給とバイオマスエネルギーの見通しなど、重要な部分は、筑波大学名誉教授熊崎実先生が作成された資料によっています。先生は自然エネルギー促進議員連盟の勉強会の講師をされるなど、我が国のバイオエネルギー問題の第一人者で、活発に論陣を張っていらっしゃいます。引用されている資料の原典や最近の資料などについてご教示いただくべく連絡を取っている中で、最近出版された書籍を紹介いただきました。
「木質バイオマス発電への期待」熊崎実著(全国林業改良普及協会)です。
目次は
序章 バイオエネルギー紆余曲折
第一章 持続可能な社会に向けて
第二章 化石燃料と生物燃料
第三章 進歩するエネルギー変換技術
第四章 多様な木質バイオマス
第五章 林業再建とバイオマスエネルギー利用
第六章 温暖化防止とバイオマスエネルギー
終章 短いエピローグ
となっています。
新書版で手頃なボリュームであり大変読みやすい本です。もちろん「循環社会のなかでのバイオマスエネルギーの位置づけ」といった骨になる部分についての指摘(1,2章)を改めてかみしめたところですが、小生としては3ー5章の、石炭と比較した木質燃料の類似性と優位な点の指摘、技術的特色を生かした実現可能な発電プラントの規模と立地、など、具体的な実現プロセスにふれた部分が大変勉強になりました。また、一般向けの入門書にもかかわらず、引用された文献の詳しいリストがついているので研究者の方にも参考になると思います。自然エネルギーやバイオエネルギーに関心のある方に是非一読をおすすめします。
一般の書店にはおいてありません。直接発行元に注文するのがよいようです。
社団法人 全国林業改良普及協会
107-0052 東京都港区赤坂1-9-13三会堂ビル7F
電話 03-3583-8461 FAX 03-3583-8465
モントリオールプロセスアップデート
6月下旬にモントリオールプロセスの参加国による技術諮問委員会が東京で開催されるようです。その辺の情報を中心にモントリオールプロセスの最新情報を掲載してゆく予定です。
国内第一号グループ認証の動き続報
高知県檮原町森林組合が中心となって作業が進められているグループ認証は現地調査が終了して実質審査が山を迎えているようです。この夏には結果がでることになっているようです。結果がオープンになり次第掲載してゆきます。
木材認証・ラベリング調査分析報告書関連資料
林野庁が進めている関連調査の報告書が日本木材総合情報センターなどから最近公表されました。関連資料を随時掲載してゆきます。
中部森林管理局名古屋分局 藤原敬
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持続可能な森林経営の実現のための政策手段に関する勉強部屋
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ニュースレター 008
2000年6月1日
目次
来るべき循環社会と日本の森林林業の将来
循環社会と輸入木材の輸送過程消費エネルギーーー地域材利用促進の一側面ーーー
次号以降予告
この春以来、21世紀のキーワードである循環社会について話をしたり聞いたりしてくる中で作成したスライドショウをこのウェブサイト全体のイントロとして掲載してきました。最近、中国新聞社主催の中日造林賞授賞式、名古屋林業土木協会青年部会と2回にわたって、さらに表記題目で話をする機会に恵まれ、今までの資料に手を加えることにしました。そこで作成した資料を掲載します。話を聞いていた職場の同僚が、使用したOHP資料などに注文を付けいろいろ改良を施したものです。自分で言うのも何ですが結構インパクトのあるものに仕上がっていると思います。いろいろご批判下さい。
森林林業をテーマとして話をする場合前段で循環社会の取り上げるのははやりのようになっていますが、わかりやすいように表やグラフを工夫しながら話の構成を考えていると、現時点で循環社会について考察することの問題の広がりと深さを改めて認識させられます。
循環社会という言葉で提起されている問題は次のように整理できるのではないでしょうか。
「現在生活している日本人の大半が人生経験を積み重ねてきた20世紀の特に後半の社会は、長い人類史上で大変特殊な社会であり、その前になかっただけでなく、この後にも繰り返されないだろう。その中で形成されてきた私たちの価値観、常識、規範はこの時代に規定された特殊なものである、ということをよく理解しないと、21世紀への備えが出来ないのでないか。」
過去のエネルギー消費の推定だとか、バイオマスエネルギーの具体的な展開だとか、まだまだこのテーマを直接関わるものだけでも課題があります。また、後段の森林林業の将来については、舌足らずの点があるかもしれません。今後充実を図ってゆく予定です。
循環社会と輸入木材の輸送過程消費エネルギーーー地域材利用促進の一側面ーーー
社団法人日本木材加工技術協会発行の月刊誌木材工業6月号に表記の小論が掲載されました。小論の概要を掲載します。
2月6日のエコマテリアルとしての木材、国産材ライフサイクルアセスメントと木材への導入で述べたように、木材の製造過程の消費エネルギーに比べて輸入材の輸送過程で消費されるエネルギー量が随分大きいのでないかという問題意識を深めてゆくこととしていました。大手の商社木材関係者のご協力も得て、資料を整理し、具体的な試算をし小論にまとめてみたものです。この間、九州大学大熊先生、國學院大學古沢先生、泉先生にはコメントをいただき、元ニチメン木材部長小林さんには実態に基づく輸入の経路などにつき詳しい情報を提供していただきました。結果はもちろん産地によって違いますが、例えば、今、市場を席巻している欧州材のホワイトウッドは、製造過程の数倍のエネルギーと費やして輸入されていることが明らかになりました。
小論結語の部分でふれましたが、他方で、現実に我々の前で展開されているのは、1m3当たり200リットルの原油を消費し地球を半周して輸入される製品が、さらに国内でエネルギーを消費して集成材に加工された上で市場に出荷され、安い価格と安定した品質を武器に市場を席巻しつつあるという実態です。再生不可能なことが誰の目にも明白な化石燃料の、国際的な市場の中での価格水準が、大きな問題をはらんでいることを示していると思います。再生可能な資材と再生不可能な資材の価格を、どのように設定し消費者を誘導するかは、循環社会を実現する上で国際社会が解決すべき中心課題です。炭素税はそのホンの入り口にすぎません。今後、議論を深めてゆくことが重要だと思います。
森林認証概論
FSCとISOはじめ様々な認証の動きを、EUの公式サイトであるCertification Information Servic(CIS)をベースにして幅広く解説したページを作成中です。(CIS側とは折衝済み)
国内第一号グループ認証の動き
高知県檮原町森林組合が中心となって作業が進められているグループ認証は現地調査が終了して実質審査が山を迎えているようです。プレスリリースなどで概要がながれていますが結果がオープンになり次第掲載してゆきます。
木材認証・ラベリング調査分析報告書
林野庁が進めている関連調査の報告書が日本木材総合情報センターなどから最近公表されました。一般には有料で公開という方針のようですが、概要を掲載してゆきます。
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中部森林管理局名古屋分局 藤原敬
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持続可能な森林経営の実現のための政策手段に関する勉強部屋
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ニュースレター 007
2000年4月26日
目次
持続可能な森林経営の基準と指標づくりについての国際動向
速水林業認証審査の作成書類など
森林認証関連ウェブサイト集の更新
持続可能な森林経営の基準と指標づくりについての国際動向
UNCED以降、持続可能な森林経営の達成に向けて、各国、関係国際機関、NGO(Non-Governmental
Organization)などによる取組が活発化しましたが、それらの中でも最も顕著なものは、森林経営の持続可能性を評価するための基準・指標(Criteria
and Indicators)の作成です。UNCEDでは、熱帯林保有国を中心とする開発途上国から、熱帯林問題のみを森林問題として取り上げることに強い反発もあり、熱帯林以外における基準・指標づくりのが活発に行われたのが特徴です。現在進行形ですがその経緯を関係資料とともに掲載しました。
速水林業認証審査の作成書類など
ご案内のように速水林業が日本で最初にFSCにより認証されました。速水林業の認証審査は主として現地調査とヒアリングによって行われましたが、速水林業が審査に当たって作成提出した「経営の基本方針」、「環境の方針」などの書類を、速水さんの了解を得て掲載します。審査の重要なポイントであるマネジメントシステムの中核となる「文書による経営方針の明示」という課題が、今後の我が国の認証を受ける側のハードルとなると予想されます。今回の文書は大変参考になるものと思います。
森林認証関連ウェブサイト集の更新
ISO14000、環境ラベリング、環境マネジメントシステム、ライフサイクル分析などに関するニュース・データを提供するグローブネットや、最も熱心に森林分野のiso適用を追求してきたカナダの規格協会14000のページなどISO関係を充実。また米国のフォレスター協会による森林認証制度の包括的分析のページをリンクします。さらに初めて我が国のサイトとして、我が国の森林分野のサイトの草分け的森林塾、国内の唯一のFSCメンバーであるWWF日本委員会のFSCに関する紹介サイト、京都大学の芝先生を中心にした森林認証制度研究会の開催するサイトなど日本のサイトも取り入れました。
ISO関係
http://iso14000.net/images/homeheader.jpg グローブネットはISO14000、環境ラベリング、環境マネジメントシステム、ライフサイクル分析などに関するニュースデータの提供するサイト。産業別のページもある林産物はhttp://iso14000.net/images/industry/forestpro.jpg
http://www.scc.ca/iso14000/最も熱心に森林分野のiso適用を追求してきたカナダの規格協会14000のページ
米国の林業技術協会?
米国のフォレスター協会による森林認証制度の包括的分析http://www.safnet.org/policy/fmcp1999.html
http://wwfjapan.aaapc.co.jp/Katudo/Forest/KForTOP.htm
日本国内
http://www2.justnet.ne.jp/~f.ozawa/日本の森林サイトの元締め的サイト。持続可能な森林経営について幅広くフォローしている森林塾
http://wwfjapan.aaapc.co.jp/Katudo/Forest/KForTOP.htm国内の唯一のFSCメンバーであるWWF日本委員会のFSCに関する紹介サイト
http://www.fc.kais.kyoto-u.ac.jp/~fcnet/home-menu/home.html京都大学の芝先生を中心にした森林認証制度研究会の主催するサイトメーリングリストは活発です
持続可能な森林経営の実現のための政策手段に関する勉強部屋
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ニュースレター 006
2000年4月6日
目次
第111回日本林学会大会の森林認証についての報告
速水林業認証の概要書と認証の基準書
スウェーデンのバイオマスエネルギーの秘密
第111回日本林学会総会が3月30日(木)から4月2日(日)にかけて神奈川県藤沢市日本大学生物資源学部湘南キャンパスで開催されました。森林認証についても話題の一つであり、31日にはテーマ別セッションの一つとして「日本における林業国際環境認証をめぐる動向」開催されました。また、2日には森林計画学会が主催して「森林認証と持続可能な森林経営」というシンポジウムが開催された。小生も、テーマ別セッションで「国際林業認証の動向と我が国の森林林業政策」と題した報告をしました。概要を報告します。
テーマ別セッション
森林計画研究会シンポジウム
テーマ別セッション 日本における林業国際認証をめぐる動向報告
小生が報告をすることになっている表記のテーマ別セッションは、9人の発表者の報告を中心に信州大学魚住先生をコーティネーターにひらかれました。国際動向ではFSCと他のスキームの関係、我が国の関係では普及の展望、行政の関与の仕方、天然林の評価に関する技術的側面、経済的なフィージビリティの評価などが共通の関心となっていたと思います。このHPについて、最後の魚住先生のまとめの発言を含めて数人の方から言及いただきました。ありがとうございました。今後ともご協力をお願いいたします。
当日のプログラム
「国際林業認証の動向と我が国の森林林業政策」
このセッションで小生は「国際林業環境認証と森林林業政策」というテーマで発表しました。
環境問題について政府の役割というのは、環境経済学分野などの研究によって極めて明快に規定されています。認証についてはボランタリーベースというのが本流で、FSCなどは認証過程の政府の役割を明示的に拒否しています。政策の中での認証制度の特殊性を明確にしながら、政府と認証制度の関係を検討して行きます。ボランタリーベースの認証基準は、政策として固まることが時期尚早な環境基準などをを打ち出して行く手段として位置づけられるし、それが政策として位置づけられる中で安定した環境が達成する、という図式でしょうか。
レジメと、報告用OHPを掲載します
森林計画学会シンポジウム
4月2日森林計画学会主催のシンポジウム「森林認証と持続可能な森林経営」が開催されました。テーマ別セッションに比べて比較的時間があり、認証の実務的な問題や、行政と認証との関係などについて深まった議論ができたと思います。実務的な内容については別途掘り下げることし、概要を掲載します。
速水林業認証の概要書と認証の基準書
速水林業の日本で最初にFSCにより認証されましたが、FSC認証を担当したアメリカの認証機関であるSCS(SCIENTIFIC CERTIFICATION SYSTEMS INC.)により公表されている、認証の概要書、認証に際して使用された認証基準をSCSのの許可を得て本サイトに掲載します。認証の基準は速水林業の我が国の認定に当たって認証機関が策定した認証機関の内部文書ですが、これに基づく認証が我が国の第一号として認められたという経過からすると、重要な文書になると思います
3 循環社会とバイオマスエネルギー
エコマテリアルとしての木材の需要形態で、日本と欧米の違いの一つは、燃料としての消費量差です。一次エネルギー消費い占めるバイオエネルギー(現在のところこのほとんどが木材)の比率は日本の場合統計に現れないほど微少ですが、例えばスウェーデンの場合、19%がバイオマスエネルギーといわれています。我が国の循環社会へのカギであるバイオマスエネルギーについての資料を掲載します。今回は スウェーデンのバイオエネルギーの秘密と題して一次エネルギーの19%をバイオマスでまかなっているスウェーデンの、バイオエネルギー協会会長で、ケント・二ストロームさんのインタビュー記事を生活クラブ生協「生活と自治」誌から編集部の許可を得て転載します。炭素税の導入を含め70年代以来の同国の政策的努力の結果は、循環社会をめざす我が国にとって大変参考になると思います。
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ニュースレター 005
2000年3月6日
目次
循環社会の展望と政策手段
地球サミットの森林問題をフォローアップする動き
速水林業のFSC認証
サイトの構成を若干変更し、循環社会の展望と政策手段というコーナーを作りました。このサイト全体のバックボーンとなる、循環社会の理念概念と、その達成手段についての理論的な部分をカバーすることとします。「持続可能な森林経営の実現のための政策手段について」を主題とする、このサイトの一番最初のセクションで循環社会を位置づけるのは、木材がライフサイクル全体にわたって省エネ、化石燃料代替型のエコマテリアルという事実によります。木材のライフサイクル分析など具体的な事項はセクション4の場で行いますが、循環社会の基本議論は本セクションでカバーしたいと思います。
1 スライドショウ 「循環社会」の展望と新たな林業政策
このスライドは、2月8日に名古屋分局で行った、「我が国の林業の将来と森林認証制度」という部内職員の勉強会用に作成した資料をベースにすこし内容を補強して作成したモノです。全体は、第一部「循環社会と達成手段」、第二部「我が国の林業と森林認証制度」の二部構成となっています。第一部は、21世紀の人口エネルギーの見通し、その中で必要となる循環社会と木材の役割、達成手段の概略についてふれています。第二部は、森林が地球環境問題となった過程と認証問題に位置づけ、認証問題の仕組み、我が国にとってなぜ認証問題が重要なのか、ということが内容となっています。このサイト全体のガイド・導入という意味で掲載します。どうぞゆっくりとご覧下さい。ご意見をいただければ幸いです。
2 循環社会のバックグラウンドデータ集
資料 21世紀の世界の人口国連の人口基金は、世界の人口は昨年の10月12日に60億人を越えたと発表しました。1960年には30億人だった人口が40年の間に倍増したことになります。20世紀後半のこの異常な事態が、21世紀になにをもたらすか、そして何の変更をもとめているか、これが循環社会論の原点です。関係資料集を掲載します。世界の今日の人口は?
6,048,258,866人(グリニッジ標準時3月3日午後6時14分1秒)だそうです。
刻々とふえる、世界の人口をリアルタイムで表示するサイトを紹介します。
地球サミットの森林問題をフォローアップする動き
1月31日から2月11日にかけてニューヨークの国連本部で、森林に関する政府間フォーラム第四回会合が開催されました。地球サミットの森林原則やアジェンダ21の森林部分のフォローアップのため、森林条約策定など国際間の調整をするための会合です。森林条約策定に関してはカナダをはじめとする条約推進派と、米国ブラジルなど反対派が鋭く対立しましたが、最終的には持続可能な森林経営への取り組みの実施促進のため国連の下に新たに「国連森林フォーラム(UNFF)を設置する事が決まっそうです。UNFFでは5年以内にその活動をレビューするということで、長い道のりがまだ続きます。
地球サミットから、そのフォローアップのための国連の持続可能開発委員会(CSD)、森林に関する政府間パネル(IPF)、森林に関する政府間フォーラム(IFF)と続いたこう連を中心とした持続可能な森林経営を巡る動きについての、資料集を作成しました。大きな流れは、林野庁海外林業協力室が作成した「森林林業分野の国際的取り組みのあらまし」によっています。これに、森林原則宣言の本文とその和訳、10年近く開催されてきた会合の主要な文書を網羅してリンクさせています。
速水林業のFSC認証が決まりました(WWFJAPANによるプレスリリースはここ)。おめでとうございます。小生も2月の上旬に速水林業の現地を見学させていただいて、速水社長に現地を案内させていただきました。時間を割いていただいてありがとうございました。『グローバルに考えて地域的に行動する(Think
globally, act locally)』を林業分野で実践する速水社長の見識、現場の隅々まで神経の行き届いた環境に配慮した林業経営の実践をささえるスタッフのモチベーションなど、第一号認証にふさわしい経営だと納得しました。
おわび
認証問題を一つの重要な検討課題として追いかけている本サイトとしては、認証と同時に公表されることになっている「認証審査概要レポート・認証審査に使われた基準」を掲載し、これをいろんな角度から検討するというのがポイントと考えていました。しかしながら公表された文書は現在(3月6日)SCS側はハードコピーによる配布しか行っておらず、このサイトに掲載することはできません。入手次第掲載と予告していた手前大変申し訳なく思います。
文書の性格は認証機関の内部文書ですが、これに基づく認証が我が国の第一号として認められたという経過からすると、重要な文書になると思います。今後日本の基準を作成するため、多くの関係者が検討すべき文書です。また、自分の関係する森林の経営がこの基準に照らしてどうなっているかなど、検討の面白い素材になります。
デジタル版での公開是非お願いしたいものです。なお、SCSの窓口のスミエイト伊藤さんはデジタル版公開の要望が強くなれば検討する、との見解です。
ニュースレターを今後とも配布をご希望の方はここにへメールをください
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持続可能な森林経営の実現のための政策手段に関する勉強部屋
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ニュースレター 004
1999年2月6日
はじめに
毎月月末に定期発行を心がけてきましたが、少し送れてしまいました。申し訳ありません。2000年になってから、年頭に色々の方とお話ししていて、「21世紀は循環型社会」ということが重要なキーワードだと再認識しました。本ホームページもいささかなりとも貢献できればと思います。
地球環境と熊野地域の林業 Think globally , Act locally
2月1日に南牟婁郡紀和町コミュニティセンターで、和歌山県・三重県・奈良県三県の熊野川流域の関係者が集まり、森林関係の隆起管理に関する集会がありました。その席に基調講演をするよう依頼され、準備したOHP資料を掲載します。200人近い参加者を前に話をさせていただきました。予定した40分を20分もオーバーしてしまい主催者には大変申し訳ないことをしました。内容も少し難しすぎと言うご批判もあるようです。与えられた論題は大変魅力的な問で、果敢に挑戦したつもりですが、力量に余ると言うことかもしれません。しかし、Think
goobally,act locally という課題に少しは迫れたかなと思います。
エコマテリアルとしての木材、国産材
準備の過程で、色々資料をあさっていて、エコマテリアルとしての木材、そして輸入材の輸送エネルギーについて考えさせられました。ご案内のように、木材の製造過程で消費されるエネルギーは鉄やアルミニュームなど製造過程で高熱処理しなければならない殆どの競合材に比べて圧倒的に少ないとが知られています。具体的データとしては、九州大学の大熊幹章教授の作成された 鉄266000メガジュール/M3、アルミニューム1100000MJ/M3、コンクリート4800MJ/M3、に比べ人工乾燥木材は1390MJ/M3、天然乾燥木材750MJ/M3が公表され、木材利用促進の資料などに引用されているところです。ところで、最近同じ献立を輸入食材で作った場合と国産食材で作った場合の輸送エネルギーの比較表というのを目にしました。日科技連出版社で最近出版された「地球の限界」という本です。森林分野は熊崎先生がお書きになっているのですが、「地球はどれだけの人間を養えるか」というタイトルの食糧分野の章は國學院大學の古沢教授他が執筆されています。その中に、
食材産地と輸送エネルギー(kcal)
メニュー | 海外産 | 国内産 |
ごはん(52g) | 米国 | 東北 |
焼き鳥(120g) | タイ | 東北 |
野菜付け合わせ(33g) | 韓国、メキシコ、米国 | 関東 |
くだもの(80g) | 米国 | 東北 |
輸送エネルギー合計 | 691.0 | 86.5 |
と言うのがあります。
古沢先生に連絡をとってデータの出所などを教えていただきましたが、輸送距離は理科年表による東京都各国の首都の距離、輸送エネルギーの計算は日本エネルギー経済研究所の推計による輸送エネルギー消費原単位(エネルギー経済統計要覧に掲載)だそうです。
それでは、輸入木材の場合はどの程度になるのか、大熊先生にもご相談して試算して見ましたが、ざっと5000MJ程度となるようです。製造エネルギーが1300MJ程度に対してその3−4倍のエネルギーを輸送過程で消費すると言う結果です。もう少しデータの整備をして、また、ライフサイクルアセスメントという大きな概念の中での位置付けをしっかり行って、この問題を少しフォローしてゆきたいと思います。すこし、手が広がりすぎかもしれませんが、第四の部屋の中で「ライフサイクルアセスメントと木材」といったセクションを作ってゆきたいと思います。そんな分野の研究結果や参考書があれば教えていただけますか。
なお、ライフサイクルアセスメントについては、化学工業日報社ライフサイクルアセスメントの実践、社団法人資源協会「家庭生活のライフサイクルエネルギー」というおもしろそうな本がでていますので、紹介します。
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END
ニュースレターを今後とも配布をご希望の方はここにへメールをください
中部森林管理局名古屋分局 藤原敬
郵便番号(個別) 456-8620
電話 052-683-9200 FAX 052-687-1125
email fujiwara@dd.iij4u.or.jp
HP http://www.dd.iij4u.or.jp/~fujiwara
持続可能な森林経営の実現のための政策手段に関する勉強部屋
http://www.dd.iij4u.or.jp/~fujiwara
ニュースレター 003
1999年12月26日
目次
http://www.dd.iij4u.or.jp/~fujiwara/kadai2/kadai2.htm#林野庁の実施した調査の中間報告書New
日本国の持続可能な森林経営の認証基準作成についての作業小部屋に掲載
林野庁が平成10年から2年がかりで「木材認証・ラベリング森林経営調査
」を行っています。この初年度分の報告書が公表されているので、はじめにの部分と、目次を掲載します。本文は残部僅少だそうですが、デジタル版があるのでご希望の方は小生までお知らせ下さい。本年度の末には2年分の集大成した報告書が出る予定だそうです。
森林認証に関する新しいウェブサイト
米国のフォレストサービス勤務するElizabeth
Ellis が個人的に集めて森林認証と認証木材の市場に関する情報集のウェッブサイトがオープンしました。http://www.scattercreek.com/~lizell/menu.htm
なかなかの力作です。持続可能な森林経営に関するwebsite集に追加しました。
「米加針葉樹製材貿易紛争が提起しているもの(要旨)」
http://www.dd.iij4u.or.jp/~fujiwara/kadai3/US-Can_softwoood.htm
林業経済誌に投稿していた、表記小論が近日号に掲載される運びになりました。米国の業界が20年間にわたって執念を燃やして主張した、「補助金によって廉価に輸出されているカナダからの木材に相殺関税を課すべきだ」との議論に対する、国際的な論争を材料に、来るべき森林条約における国際貿易ルールと持続可能な森林経営の関係を考察しようとするものです。要約と資料集を掲載します。
WTOシアトル閣僚会議の今後
12月○日に行われた、WTOの閣僚会議は結局コンセンサスのないママ閉会となり、マスコミでも大きく報道されたところですが、先月開設したWTOの新たなラウンドと環境と貿易問題についての部屋では、波紋を投げた林産物の日本提案、林産物関係の報道などを掲載します。ラウンドが先延ばしになり少し時間ができたので、今後少しじっくりフォローすることとします。
林野庁の実施した調査の中間報告書New
林野庁が平成10年から2年がかりで「木材認証・ラベリング森林経営調査
」を行っています。この初年度分の報告書が公表されているので、はじめにの部分と、目次を掲載します。本文は残部僅少だそうですが、デジタル版があるのでご希望の方は小生までお知らせ下さい。本年度の末には2年分の集大成した報告書が出る予定だそうです。
はじめに
地球環境問題への国際的取組が、アジェンダ21以降様々に展開され、森林部門においても持続可能な森林経営に関する政府間プロセスとして現在8種類の活動が展開されているところである。一方、民間レベルでの自主規制としての環境管理システムの規格が、ISO(国際標準化機構)によってISO14001として制定され、我が国でも1000を越える企業が認証取得している。ISO14001規格の林業における適用のあり方は、技術マニュアルとしてISO14061にまとめられた。
また、先進国の環境NGOを中心とした環境保護に向けて展開された各種のキャンペーンは、環境に優しい商品等の環境志向型市場の形成へと進展し、環境ラベルの普及・氾濫となり、それらの環境ラベル表示が必ずしも適切なものではない状況も見られ始めた。このような状況から、WWF(世界自然保護基金)を中心にFSC(森林管理協議会)が設立され、民間レベルでの森林認証・木材ラベリングの世界標準としての認証システムの開発が進められることになる。
木材輸入国としての我が国における今後の木材ラベリング・森林認証システム導入の動向は、市場の環境志向への変化、木材輸出国の認証取得の状況、先進国の認証動向等と相互に関連しているといえよう。本報告書では、このような環境志向型市場の今後の動向も踏まえ、国際的認証制度であるISO14001、FSCのそれぞれのシステム構築と運用に関して、文献、事例等による解釈・分析を中心に行うこととした。生物資源の育成・管理の形態は、その国の自然条件、社会的・文化的・経済的状況等によって様々に異なり、こういった認証制度・システムがどのように我が国の森林・林業に適応しうるかをまず検討する必要があると考えたためである。
平成11年3月
財団法人 林政総合調査研究所
理事長 小澤 普照
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目 次
序 調査の趣旨と方法 1
1.調査の趣旨及び内容 1
(1)調査の趣旨 1
(2)調査の内容 1
2.調査の方法 2
(1)調査アプローチ 2
(2)調査の方法 3
T 木材認証・ラベリング制度の概要 5
1.木材認証・ラベリング制度発足の背景 5
2.諸外国の取組 6
(1)SFMへの取組と認証制度 6
(2)フィンランド 13
(3)オランダ 13
(4)インドネシア 14
(5)マレーシア 16
(6)米国 17
3.ISO14000シリーズの概要 20
(1)ISO14001、ISO14061制定の背景と経緯 20
(2)我が国での審査登録制度と認証の現状 22
(3)ISO14001規格の概要 23
4.FSC森林認証制度の概要 27
(1)FSC発足の経緯 27
(2)FSC森林認証の特徴 27
(3)FSCの認証森林の一覧 27
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U ISO14001一般要求事項の解釈と運用 30
1.林業経営組織の形態 30
2.一般要求事項の解釈 31
(1) 4.1 一般要求事項 31
(2) 4.2 環境方針 33
(3) 4.3 計画 35
(4) 4.4 実施及び運用 47
(5) 4.5 点検及び是正処置 55
(6) 4.6 経営層による見直し 59
3.ISO14001の森林・林業分野への適用の検討 60
(1)適用単位と範囲 60
(3)標準工程と環境側面 60
(4)EMS構築のためのシステムチェックリスト 61
V FSCの原則・基準と認証評価 64
1.FSCの原則と基準(P&C)とその考え方 64
2.FSCの認証機関が行う森林認証のための評価基準の概要 75
(1)SCSの認証評価の事例 75
(2)SGSの認証評価の事例 77
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W 我が国の森林経営における制度導入の課題 91
1.課題の整理 91
2.木材認証・ラベリング制度の導入効果 91
(1)住宅・建設産業のISO14001取得の進展 91
(2)林業(地域)とグリーンコンシューマ 92
(3)林業(地域)戦略としての認証取得 92
3.小規模林業経営への木材認証・ラベリング制度 93
4.木材認証・ラベリング制度の森林経営への適用体制の整備 94
X 検討委員会委員の参考論文 96
1.持続可能な森林経営からみた木材認証・ラベリング 96
加藤 隆
2.林業経営におけるラベリングへの対応 102
速水 亨
3.木材認証ラベリングと小規模森林所有 107
志賀 和人
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1 はじめに
2 米加針葉樹製材貿易紛争の経緯
3 カナダ産針葉樹製材相殺関税の主要論点
4 今後に残された議論
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1 はじめに
米国とカナダは、お互いに世界で一番木材貿易が多い関係にあるが、その中でも最も貿易額が多いカナダから米国に向けての針葉樹製材品は、関税割当制度という貿易制限の下にある。1980年代のはじめから続けられてきた米国とカナダ間の針葉樹製材貿易紛争の経緯を踏まえて、96年の春に締結された二国間協定によるものである。
この間、両国間で、あるいは業界と政府間で議論されてきた、「輸出国の立木価格の設定方法や丸太の輸出規制に由来する廉価な木材の輸出が、輸入国の林産業に損害を与える場合,国際法に基づき規制をすることが可能かどうか」というテーマは、わが国の今後の林産物貿易政策や森林条約などの国際的な議論にも重要な示唆を与えるものである。小論では20年近くにおよぶ議論の概要を紹介し,今後の我が国での議論の発展に資したい。
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2 米加針葉樹製材貿易紛争の経緯
米国業界が主張した規制の根拠は、ガット6条に基づく補助金相殺関税、すなわち、輸出国の与える補助金が輸入国の産業に損害を与える場合の関税措置である。米国の相殺関税手続きは、通常、業界による提訴に始まり、商務省の国際貿易局(ITA)と、独立機関である米国国際貿易委員会(ITC)が調査を担当し、両方がクロとなった場合発動されることとなっている。米国とカナダが89年に自由貿易協定を締結してからは、この上に同条約による2国間パネルが紛争処理に当たることとなった。15年間の紛争は、主として上記の3つの機関における論争として繰り広げられ、別表の通りその結果各種の報告書が作成されている。
この紛争は、82年に米国業界が提訴し米国政府がシロ(相殺関税には当たらない)と判断した第一次紛争、86年に業界の提訴を受けクロの最終決定目前に二国間協定が結ばれた第二次紛争、91年から92年まで米加自由貿易協定の紛争処理パネルまで場所を移し、最終的に二国間合意に至る第三次紛争、の三期に分けてみることができる。(別表)
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3 カナダ産針葉樹製材相殺関税の主要論点
議論は、カナダ州政府が業界に販売する立木価格と丸太輸出規制の措置が、米国の国内法の補助金の要件を満たすかどうかをめぐって繰り広げられた。この要件は、@特定の企業・産業、企業・産業グループに支払われるという特定性の基準(Specificity Test)、A特恵的料金での商品または役務の提供などの、便宜供与が与えられているという特恵性基準(Preferentiality Test)の二点である。
A 立木価格問題
政府が販売する林産物価格が特恵的料金か否かの議論は、何を基準価格とするか、米国内にガイドラインを巡る議論となった。
第一次・第二次紛争を通し、米国業界は、国境を挟んで同種の森林について立木価格の比較し、カナダの立木価格が米国のものより安いという結果を提出し(資料3,8)(米国の価格を基準価格に設定)、カナダ側の廉価販売を主張してきた。わかりやすい議論であるが、一般的に、他国(この場合は米国)の価格を基準価格とすることについては、他の条件の同一性を証明することが困難であることから、否定的な見解が強い。相殺関税を肯定した、第二次紛争の国際貿易局(ITA)の決定は、「政府の調達価格」を基準とし、州政府が経済林を育成するコストより立木販売価格が安いことをもって補助金と認定している(資料12)。
第三次紛争では、米国の国際貿易局(ITA)は、少量の競争入札による販売事例(小規模林産業振興計画=SBFEP)を基準として、この価格より通常の販売価格が安いことをもって補助金とみなし相殺関税を肯定している(資料17)。
三次紛争の二国間紛争処理パネルでは、カナダ側は仮に廉価で販売されたとしても、林産物の場合生産量はほとんど変化せず市場を歪曲することが無いため、補助金としての役割を果たさないという議論を展開した(新たにMarket distortion testを導入)。パネルの多数もそれに同調し、補助金認定の米国側決定を差し戻す決定がなされた(資料12)。
B 丸太輸出規制
丸太輸出規制が政府による特恵的な料金での商品の提供に当たるという主張は、第三次紛争になって米国業界が初めて持ち込んできた主張であった。ITAは、申し立てられていた4州のうちBC州の丸太輸出規制のみ相殺可能な補助金の効果を認めて、カナダ国内の流通丸太価格と、輸出統計に現れる丸太価格(例外的に認められた輸出丸太の価格)の差が、輸出規制の結果による丸太価格の廉価販売の額であると決定した(資料17)。二国間紛争処理パネルも基本的な支持を表明した(資料24)。
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4 今後に残された議論
(1)原料の輸出規制の補助金認定
カナダを含めて世界の各国が、木材の原材料輸出規制をしており、当の米国も西部の連邦有林に限るという限定つきながら輸出規制をしている。これらの行為が、GATTの「数量制限の一般的禁止」(1947年のガット11条)という原則に照らして問題であるという主張が一般になされている。しかし、「原材料の輸入規制が人為的に産地国の加工業者に対する原材料価格を低位に維持する仕組みになっており、相殺可能な補助金である。」と、米国業界側が第三次紛争で提起した論点は、同じ、ガットという協定に根拠を持つ議論ではあるが、政治的な意味合いが大きく異なっている。すなわち、世界中で輸入国が少数で輸出国が多数であるような林産物の場合、輸入国の権利として一方的に(輸出国の合意なしに)行使できる相殺関税条項の適用は、格段に輸入国にとって有利な立場をもたらす。第三次紛争での判断当事者であるITA、自由貿易協定紛争処理パネル双方とも、法的に(de jure)はともかく事実上の(de facto)補助金認定の方向で一致した。木材以外の天然資源の原材料の輸出規制が相殺可能な補助金と認定された先例などが、重視されたのである。結局、最終的に二国間の政治的な妥協に至ったため、輸出規制問題の法的な決着は着けられなかったが、輸出規制が引き起こす補助金効果についてはこれを契機にその他の場でも国際的な議論が展開されるようになった。我が国としても、原料輸出を規制している多くの輸出国の原料価格の実態を精査し、検討を深める必要がある。
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(2)廉価販売の基準
国有林・州有林の加工業界に対する木材の販売価格が廉価販売と認められる場合、相殺可能な補助金に認定されるとして、その基準価格(Benchmark Price)をどのように設定すべきかという課題が、小論で主としてフォローしてきた事項である。本事案では、米国の国内手続きの先例による5つの基準に照らした論争が繰り広げられた。すなわち、@政府が同一の商品や便益を国内の他の者に販売した価格、A政府が類似の商品や便益を販売した価格、B他の販売者が同一の商品や便益を販売した価格、C商品や便益を提供する政府のコスト、D当該商品や便益を他国で調達する価格である。このうち、Cを除く項目は、市場に流通している価格を適正価格とし、その比較が最もしやすい形態を順に提起していると考えることができる。現在のガットが規定する法体系の中で、現実的な規定である。このような点から、我が国としても、我が国に輸入される林産物について、輸出国の原材料価格の評価を行う必要があるだろう。
また将来の議論として、「現在、国際的に流通している価格体系自体が歪曲されている」という前提に立つ場合(例えば、「林産物価格に森林の再生費用を加えた『環境価格』」を適正価格とする、という概念を導入しようという場合)、市場価格は適正価格というこれらの立場では不十分となる。すなわち、Cの「商品や便益を提供する政府のコスト」という概念がきわめて重要な役割を担う可能性がある。既にOECDや地球サミットでコンセンサスとなっている「環境コストの生産者負担」という考え方を踏まえ、@持続可能な森林経営を行う前提で政府の立木の調達コストをどう積算するか、A同種の産品を差別しないという建前の現行WTO協定との整合性をどうはかるか、など(先進国と途上国双方に適用できる基準が可能かなども含め)、今後の検討課題である。
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WTOシアトル閣僚会議の今後(1999/12/26)New
http://www.dd.iij4u.or.jp/~fujiwara/kadai3/kadai3.htm#WTOの新たなラウンドと環境と貿易問題についての部屋
11月30日から12月3日に行われた、WTOのシアトル閣僚会議は結局コンセンサスのないママ閉会となり、マスコミでも大きく報道されたところです。各紙の報道も、農業問題などの先進国間での対立、ダンピングや労働問題などにおける先進国と途上国の矛盾、など、国と国との間の問題とともに、NGOが問題提起した環境問題も今後の一つの要素になっています。
小生も過去の二回のラウンドの林産物交渉に関わってきましたが、今までの日本の立場は、林産物は農業交渉の枠内でやるべきで一般工業製品の枠内でやるべきではないという主張をし、結局最終的には一般工業品の関税引き下げ方式を受け入れるということで終わっています。今回のラウンドに向けて、日本政府は過去の数次のラウンドで初めて、林産物問題で我が国の提案という積極的な攻勢をかけました。これが、林産物と水産物の日本提案です。(英文と和文の提案をここに掲載)。この流れの中で、先月掲載したwto論文、米国政府報告書があります。
環境と貿易についてはしきり直しとなりました。まだまだ論点が深まっていなくて課題は多いですが、小生は、WTO論文の最後の言葉、「より統合された経済の中で環境政策をどう立案するかという問題である。今後の歩むべき道は国際的な環境協力のメカニズムと制度を強化してゆくかである。ちょうど50年前に貿易に関する協力が利益になると決定したように。」が印象的でした。交渉が後送りとなり時間ができたので、今後少しじっくりフォローすることとします。
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ニュースレターを今後とも配布をご希望の方はここにへメールをください
中部森林管理局名古屋分局 藤原敬
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持続可能な森林経営の実現のための
政策手段に関する勉強部屋
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ニュースレター 002
1999年11月23日
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日本国の持続可能な森林経営の認証基準作成についての作業小部屋 を新設しました。内容は@SCSの日本の人工林管理に対する認証基準草案 Aその他の国の経営管理基準に国内林業サイドから発言を B英国の基準を仮訳を試みなどです。
来年の林学会大会のセッションで「森林環境認証と森林林業政策」という発表をする申込をしました。その構想などについての小部屋を新たに設けました。
WTOの新たなラウンドと環境と貿易問題についての部屋を新設しました。 米国通商代表部と大統領府環境委員会が11月上旬に Accellerated Tariff Liberaltion in the Forest Products Secter:A Study of the Economic and Environmental effects と題する報告書を発表しました。関連資料とともに「WTOの特別報告の視点から米国の報告を評価してみると」というメモを掲載しています。
日本国の持続可能な森林経営の認証基準作成についての作業小部屋 http://www.dd.iij4u.or.jp/~fujiwara/
SCSの日本の人工林管理に対する認証基準草案
速水林業がFSCの認定作業の最終的な手続きなっているようです。
作業はアメリカの認証機関であるSCS(SCIENTIFIC
CERTIFICATION SYSTEMS INC.)と日本で契約している専門家チームが進めていて、具体的な認定作業に先立ち、社内的な、日本の人工林管理に対する認証基準が策定されているようで、この草案がセミナーや公聴会などで公開されているます。現在のところ改訂作業中の中間段階のもののようですが、社内的な基準とはいえFSCの認可機関の作成した日本の森林に関する基準がどのような水準のものになるか、大変興味深いところです。
英文の JAPANESE CERTIFICATION STANDARDS FOR PLANTATION
FOREST MANAGEMENT や、和文の「日本の人工林管理に対する認証基準草案」を掲載しています。
あくまで、作業途中のものですので注意して下さい。最終版はオープンになるようですので入手次第掲載します。
その他の国の経営管理基準に国内林業サイドから発言を
また、日本の基準の作成は来年に予定されているようです。時間をかけて十分な議論を踏まえて作成されるように期待します。そこですでにすでに国別基準ができているものについて少し検討を進めていく必要があると思います。FSCの基準が世界基準になるかどうかはわかりませんが、いずれ将来森林条約ができる場合の技術基準の参考資料にはなるでしょう。
現在のFSCの基準作成のプロセスで問題なのは、環境問題がローカルな問題ととらえられてるところです。つまり、各国の基準は各国のコンセンサスでというのですが、貿易関係がある場合、輸出国の基準は輸入国の森林経営に影響がある(当然逆も言える)という観点が抜け落ちている。つまり、日本の林業者は、輸出地域の基準作りに積極的にものをいわなければならないし、そのようなプロセスになっていないことに異議申し立てをすべきだと思います。ちょっと話が横道にそれました。
現在のところ国ごとに本部でエンドースされた基準を持っているのは英国とスウェーデンの二カ国で、米国はいくつかの地域基準を持っています。我が国の場合、北海道とその他で二とおりの基準ができるのでしょうか。
参考のため英国の基準を掲載しています。輸入国の先進国という限りで似ているので参考になると思います。
具体的には、人工林の皆伐伐区の上限20ha 天然林は2ha、などの数値指標が示されています。
また、生物多様性の項目では、野生生物の生息環境を維持するため、平均ヘクタール当たり3本の枯損木及び倒木を保全
というのもあります。ちょっと驚きですね。
英国の基準を仮訳を試みています。ご希望の方はメールでご連絡下さい。
の他、
スウェーデンの認証基準はここ、http://www.fsc-sweden.org/gron/stand.htm
米国の地域的な基準はここにhttp://www.fscus.org/define_responsible/regional_standard/us_standards.html
Mississippi Alluvial Valley Draft Standards
、Southeastern Draft Standards、Southwestern
U.S. Standards の三つが本部によりエンドースされた基準として掲載されています。
小生は今のところ、ちょっと手が回らないのですが、我が国に対する輸出国の基準を我が国の林業との関係という観点から研究してゆく必要があると思います。
ボランタリーベースの認証基準は、政策として固まることが時期尚早な環境基準などをを打ち出して行く手段として位置づけられるし、それが政策として位置づけられる中で安定した環境が達成する、という図式でしょうか。国内・国際の両面で検討すべきだと思います。また、我が国の計画制度などが、現在運用されている認証基準の水準と比べてどんな程度のパフォーマンスになっているかという切り口もあると思います。
タイムリミットは1月下旬ですのであと2ヶ月間、少し気を入れて取り組んでゆきます。
WTOの新たなラウンドと環境と貿易問題についての部屋http://www.dd.iij4u.or.jp/~fujiwara
10月にWTOが貿易と環境に関する特別報告を発表したのに引き続き、米国政府が「林産物の関税撤廃と経済・環境に与える影響」"Accellerated
Tariff Liberaltion in the Forest Products
Secter:A Study of the Economic and Environmental
effects"というレポートを米国通商代表部と大統領府環境委員会の共同調査結果という形で11月上旬に発表しました(本文はhttp://www.ustr.gov/releases/1999/11/でダウンロードできます)。次期ラウンドの開始を目前にしてラウンドの第一プレーヤーである米国政府の林産物貿易分野に対する力の入れ方が解ると同時に、この問題に関し、環境問題の議論がさけて通れなくなってるということが解ります。
この問題が、このような形で、政治問題化をしてくるとは予想をしてきませんでしたが、このページも最も重要な問題意識である、林産物貿易と環境問題に関する、学際的な探求という点から、この問題を看過することはできないので、米国のペーパーを検討してゆくこととしたいと思います。
当然、当面の貿易交渉の対応という面はもちろんあり、この点については林野庁の貿易対策室のサイドが本格的な対応にはいるのでしょうが、小ページとしては当面の問題というより、あくまで学究的に、米国の分析に学ぶべきものをしっかり受けとめ、森林条約などのより高い次元での国際的なコンセンサスをめざすという、格調高いポジションで検討を進めたいと思います。
とりあえずの切り口としてWTOの特別報告の視点から米国の報告を評価してみると
1 趣旨
USTRと環境委員会が発表した表記報告書について、WTOが10月に発表した「貿易と環境に関する特別報告書」(別紙抄訳)の立場(=国際貿易交渉の常識的立場)に立って問題点を指摘。
2 米国の報告書の概要
手法 :@二つのマクロ経済モデルを使って、関税撤廃とそうでない場合の林産物の製品別生産量・貿易量と収穫量を地域ごとにシナリオ分析。A環境への影響については収穫量を代理変数と想定。
分析結果:@環境については、米国については環境の影響皆無。世界的にも影響微少。A経済については、貿易の高次加工製品へのシフト、途上国の経済成長を促し環境に好ましい影響。B我が国に関しては、収穫量が関税撤廃によって5.8%ダウン。
3 基本的な手法についての問題点
収穫量が多くなると自動的に環境へのインパクトがあるとの仮定に無理がある。
WTO報告書が指摘するように
「汚染者負担の原則により環境コストが内部化され、税や規制により汚染源において直接市場の失敗が是正された上、政策の失敗が回避された場合(前提1)、貿易自由化は明白に便益を向上させる。しかし、貿易の自由化は不適切な環境政策の結果を助長する働きがある。例えば森林の管理が不適切な場合、国際マーケットの需要が持続可能でない木材生産を助長する」
これを、今回の文脈で言えば、前提1を「持続可能な森林経営が実現している場合」、と読めば「持続可能な森林経営が実現している場合、自由化はメリットがあるが、そうでない場合、持続可能でない木材生産を促し、環境を破壊する(ローカルな問題だけでなく、安い木材が国際市場に流出し地球環境の問題となる)。」 あくまで、木材生産は持続可能なものかどうかが問題であり、木材生産一般を環境破壊の指標とするのは誤り。
4 途上国の経済成長と環境
途上国の経済成長に従って環境投資が増大し環境が良くなる、いわゆる環境クズネック曲線の仮説については、WTO報告書で指摘するように、ローカルな環境問題については、仮説を支持するケースは多いが、地球環境問題には仮説を棄却する例が多い。森林問題は地球環境問題。
5 我が国の環境インパクト
我が国の収穫量が減少することは、(我が国の森林が持続可能な状況にあるかどうかという判断にもよるが)、3の前提から言うと、マイナスの効果。(WTO報告書では充分な展開がされていない部分ではあるが)
6 結論
ATLには問題が多い。WTO報告も指摘するように、「地球環境問題を解決するには、国際的な枠組みが必要。また、貿易的手段は国際的な枠組みへのインセンティブとなりうる。」こういう枠組み交渉を優先させるべきである。持続可能な森林経営への国際的な枠組みが十分見えない現段階の中で、環境破壊を「助長する(WTO)」自由化をすすめるのは問題。
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ニュースレター 001
1999年10月23日
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はじめに
勉強部屋を開設してから、1ヶ月が経ちました。環境経済・政策学会(seeps)のメーリングリストなどを通じて、少しの読者ができ、ニュースレターへのリクエストもいただきました。Forest-MLでの紹介や熱帯林行動ネットワークJATANのホームページへのリンクの申し出など、環境NGO関係の方々からの反響がありました。また、seepsのメーリングリストで紹介した、WTOの環境と貿易に関する特別報告書(10月8日付)については、小生で要旨の和訳を試みてみましたが、大変反響があり20件近い資料の提供要請がありました。今回のサイトの更新により、関係資料の掲載をすることにしました。
これからも、これらのコミュニケーションを大切にしながら、少しずつ資料の収集と情報の発信を続けてゆきたいと思います。このニュースレターは、今後一ヶ月に一回程度、基本的には勉強部屋のアップデート事項や、できれば関係者の反響などを掲載し、コミュニケーションの一助としてゆきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
1999年10月23日付けの更新内容
WTO環境と貿易に関する報告書についての関係資料掲載
11月30日からシアトルで開かれる、WTO閣僚会議を前に、WTO事務局は10月8日付で表記の報告書を発表しました。100ページに及ぶ膨大なものです。50年前から貿易問題でガットーWTOが果たしてきたような強力な国際的枠組みを環境問題でも作るべきであるというのが、主張になっています。
現物は、http://www.wto.org/wto/new/press140.htm から、ダウンロードすることが出来ます。
資料室に、目次、要旨、NGOの反響など、関連資料集を掲載いたします。
林業経済誌のバックナンバーから関係する論文リストを掲載
林業経済学会誌である林業経済研究バックナンバー1995.3 No.127 から、1999年3月 Vol.145 No.1 までの、10号にわたって、関連する論文リストを作成しました。
貿易と環境に関する文献リスト不具合修正
同文献リストはファイルの転送がうまくゆかずエラーとなっていましたが、今回調整をして、ごらんいただけるようになっています。ウェッブ上で英文32点、和文18点の文献リストとなっています。ウェッブ上で閲覧できるものはアドレスを付してあります。
以上
文献リストなど、漏れているものもたくさんあると思います。その他いろいろ時がついたことについて、またご感想など、ここにご一報いただければ幸いです。今後、アップデートしてゆきたいと思います。
ニュースレターを今後とも配布をご希望の方はここにへメールをください
中部森林管理局名古屋分局 藤原敬
郵便番号(個別) 456-8620
電話 052-683-9200 FAX 052-687-1125
email fujiwara@dd.iij4u.or.jp
HP http://www.dd.iij4u.or.jp/~fujiwara
持続可能な森林経営の実現のための政策手段に関する勉強部屋ニュースレター
1999年9月26日 NO 0
しばらく準備期間を経て、正式に公開ということにします。考えることがあり、タイトルを「研究室」でなく「勉強部屋」といたしました。
昨日、京都で開催された環境経済・政策学会1999年大会、一日目に出席しました。なにしろ、このページの動機が、「近年の環境政策の経済的な手法についての学術的政策的な成果を踏まえ、再生産コストが転嫁できる林産物価格の形成を視野に入れた、環境税、環境ダンピング規制などの政策手段について、その実効性と可能性いついて検討する。」ということですから、同学会との接点はこのページにとっても要となります。第6セッション国際環境協力A 第9セッション自由論題A 第19セッション自由論題Bを覗かせていただきました。
学会というものに初めて参加したわけで、大変刺激を受けると共に、しばらく継続的にこのサイトのような形式の情報発信を続けてゆこう、ゆける、ゆくべきだ、という気にさせていただきました。
今回の学会大会の報告集から関連報告書のリストを掲載しました。
また、森林認証制度に関するwebsite集、貿易の環境に関する文献リストを資料室に掲載してあります。
今後、宜しくおつきあい下さい。
林野庁中部森林管理局名古屋分局 藤原敬
fujiwara@dd.iij4u.or.jp