持続可能な森林経営の国際政策の展開のページ


目次

「持続可能な森林経営」の国際的展開

資料:地球環境森林問題基本年表
資料:地球環境森林問題UNASYLVA(FAO季刊誌)バックナンバー記事
資料:地球サミット森林部分のフォローアップの国際動向
資料:主要国サミットと森林行動プログラム

持続可能な森林経営の基準と指標

資料:持続可能な森林経営の基準と指標づくりについての国際動向

地球上の森林の状況

資料:FAOによる2000年時点の世界森林資源調査調査結果
アマゾンの森林から考える
もう一つの森林問題(北方林をめぐって)new

「持続可能な森林経営」の国際的展開  

持続可能な森林経営のコンセンサスに至る過程とその後の国際的な議論を整理し、森林林業関係のフォーラムの中での、森林整備のあるべき姿と費用負担に関する概念の確立過程を明らかにする。


資料:地球環境森林問題基本年表
森林が地球環境問題となった80年代から、地球サミットを挟む、20年間の森林問題をめぐる国内外の出来事を年表にまとめてみました
80年代の初頭に熱帯林の減少状況を劇的に明らかにしたFAOとUNEPの熱帯林評価報告書を出発点として、世界中で取り組んだ熱帯林行動計画の行き詰まり、地球サミットで森林条約をめぐる途上国と先進国の相克、NGOの台頭、そして、持続可能な森林経営をめぐる基準と指標の議論・森林認証へと続くこの20年は、国際的には@熱帯林問題から全ての森林の問題への課題の広がり、A持続可能な森林経営に対する認識の深まり、という流れであり、また、日本にとって、B熱帯林国への援助の問題から、日本国内の深刻な林業問題の地球規模の文脈での認識への発展ということになろうかと思います。
各事項に関する情報がネット上で入手できるものについてはリンクをさせています。ネット上にあふれるような90年代の情報に比べ、80年代のものは入手が困難ですが、FAOの林業局が出版している機関誌UNASYLVAの過去の版の記事全てがウェブ上で入手可能になっており、有力な情報源です。

年表はこちらから入手してください



資料:地球環境森林問題UNASYLVA(FAO林業部季刊誌)バックナンバー記事
FAOの林業部の季刊誌UNASYLVAは1947年8月の創刊号以来FAOのウェブサイトから全て本文をダウンロー出来るので、戦後の国際林業動向をフォローするのにかかせない資料です。地球サミット以降は国際森林問題に関する国際対話は国連の持続可能開発委員会を中心に行われ、その記録はすべてCSDのウェブサイトで詳しく見ることができますが、それ以前の資料をウェブ上で探すのは困難です。82年にFAOが熱帯調査報告書を発表し熱帯林問題が大きな問題に発展し、この対処のための国際的共同行動がやはりFAOを中心とした熱帯林行動計画でした。そういう意味で地球ミット以前の国際的な森林問題はFAOを中心に動いていたといっても過言でありません。その活動の状況をフォローしているUNASYLVAのバックナンバーはプレ地球サミットの時期のこの課題についてウェブ上で入手可能な唯一の情報源といえるでしょう。20年前の熱帯林問題の火付け役となった熱帯林調査報告書に関する記事などこの20年間の主要な記事の)簡単な解説を付しました。
主要記事の一覧表(エクセルの形式でダウンロードされます。80年代から20年間の記事のうち80年90年の熱帯林資源調査の舞台裏、熱帯林行動計画などの記事簡単な解説つき)
FAO、UNASYLVA検索ページへのリンク
通算バックナンバー一覧表へのリンク

資料:地球サミット森林部分のフォローアップの国際動向
以下の内容の骨子は、林野庁海外林業協力室が作成した「森林林業分野の国際的取組のあらまし」によっています。骨子からの資料へのリンクなどの編纂は藤原の責任で行っています。
1 国連を中心とした国際対話
 UNCEDを契機として、森林の保全持続可能な開発に関して国連の経済社会理事会持続可能開発委員会(CSD)を中心として国際的な対話(IPFからIFF)が進められました。その経緯を関係資料とともに掲載します。
なお国連の社会経済理事会の公式サイトhttp://www.un.org/esa/sustdev/aboutiff.htmで上記の概説が(当然英文ですが)掲載されています。
2 主要国サミットと森林行動プログラム
カナダ/カナナスキスG8主要国サミットでの森林問題の議論ー森林行動プログラム「最終報告」2002/7/21
同時多発テロ以降初めて開催される今年の主要国サミットは、カナダの観光地ウィスラー(外相会議)とカナナスキス(首脳会議)で6月中旬に開かれましたが、これらの会議で森林問題が議論されましたことはあまり報道されませんでした。4年前のバーミンガムサミットで開始された森林行動プログラムの最終報告が外相会議の議題になりました。この計画は、国連での国際的な枠組みづくりが今ひとつ進展しない中で違法伐採問題など5つの課題を取り上げて国際共同活動の弾みを維持しようと始められました(というのは小生の理解です)ものですが、このプロジェクトが公式の活動の幕を閉じました。外相会議における「最終報告」と詳しい「背景説明文書」が日英二カ国語で公開されています。我が国の森林林業基本法の国際的な位置づけや、日本の援助プロジェクトが各国のプロジェクトとともに8Gという枠組みで評価されているのは興味のあるところです。
この計画が違法伐採問題や認証問題などの議論を進展させた役割は大きかったといえます。ただし、国際政治の中ではもっとも強力なフレームワークである主要国サミットの場でも国際的な森林条約などといった枠組みに具体的な展望をつけることができなかったともいえます。具体的なターゲットを明確にしない行動プログラムが目に見える成果を生み出さない、というのは10年前の熱帯林行動計画と似ているところです。
とはいえ、以下に引用する、最終報告の結論の部分は、世界の主要国の森林問題に対する今後のコミットを表明しているもので、森林関係者としてはいろいろ使い道のあるフレーズだと思います。

G8各国は以下の事項について約束する。

  • 森林関連問題を、国内的にも国際的にもハイレベルの重要課題として維持する。
  • 森林に関する政府間パネル及びフォーラム(IPF/IFF)行動提案を実施させるための国連森林フォーラム(UNFF)行動計画や、生物多様性条約における森林の生物多様性に関する拡大作業計画などの、国際的なコミットメントを果たす。
  • あらゆる資金源を活用し、持続可能な森林経営に向けられる資金レベルを高める。
  • 違法伐採や、違法に伐採された木材及び関連製品の使用に対処する。その観点から、
    (イ) 違法伐採の排除に取り組むための人材育成及び技術移転を増大させる。
    (ロ) 違法に伐採された木材及び関連製品の輸出入を排除するために様々な行動をとる。
    (ハ) 森林法規の実行及び行政に関し、現在行われている取組を支援する。
  • 持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)において森林の重要性を強調する。依然として森林経営に深刻な課題を抱える世界の各地域での取組みのために、新規で革新的なパートナーシップが必要であることを示す

G8森林行動プログラム関係資料

2002年(ウィスラー・カナナスキス会合関係)
  • G8森林行動プログラム−最終報告書 
    (英文)(和文仮訳) (以上外務省ホームページより)
  • G8森林行動プログラム−背景文書
    (英文)(外務省ホームページより)
    (和文仮訳)[HTML] [PDF] 表紙[PDF](以上林野庁ホームページより)
2000年(九州沖縄会合関係)
森林行動プログラム実施状況報告書 英文和文pdf
1998年(バーミンガム会合関係)
森林行動プログラム 英文(ウェブ版PDF版) 和訳

九州沖縄サミットと森林行動プログラム2000/8/15
九州沖縄サミットは3日間の日程を終わりましたが、その中で地球上の森林問題につて議論されているのはあまり知られていません。80年代に森林問題が地球環境問題と認識されるようになり、89年のフランスのアルシュサミットで地球環境問題が本格的に議論され、熱帯林の保全に向けての方針が話し合われました。また地球サミットの第一回準備会合を控えた90年のヒューストン会合の経済宣言で森林条約締結に向けての意志が表明されました。その時点で「先進国サミット」はの関心は主として「熱帯林問題」についてに限られていましたが、97年米国のデンバーサミットで、初めて自国の森林問題も含めた森林についての本格的議論がされ、98年のバーミンガムサミットにおいて森林行動プログラムが合意されました。沖縄サミットではその実施状況の中間報告をするという位置づけです。サミットの宣言に表れた森林に関する記述を資料として掲載します。

持続可能な森林経営の基準と指標  

基準と指標の作成に関する各種の国際的な作業について比較して評価を行い、今後の課題を明らかにする。


収集資料
持続可能な森林経営の基準と指標づくりについての国際動向
以下の内容の骨子は、林野庁海外林業協力室が作成した「森林林業分野の国際的取組のあらまし」によっています。骨子からの資料へのリンクなどの編纂は藤原の責任で行っています。
UNCED以降、持続可能な森林経営の達成に向けて、各国、関係国際機関、NGO(Non-Governmental Organization)などによる取組が活発化したが、それらの中でも最も顕著なものは、森林経営の持続可能性を評価するための基準・指標(Criteria and Indicators)の作成でです。UNCEDでは、熱帯林保有国を中心とする開発途上国から、熱帯林問題のみを森林問題として取り上げることに強い反発もあり、熱帯林以外における基準・指標づくりのが活発に行われたのが特徴です。その経緯を関係資料とともに掲載します。new

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地球上の森林状況


FAOによる2000年時点の世界森林資源調査調査結果

20年前に熱帯林問題を地球環境問題の主役にしたきっかけはFAOの行った熱帯林始業評価プロジェクトだったが、その流れで1990年、1995年と行われてきた世界森林資源評価の2000年版が3月にローマで行われたFAO林業委員会で報告され、インターネット上で公表されている。森林の面積の減少があらたに造成された森林によってカバーされつつあり、減少率が緩和したという点が強調されているが、森林の量だけでなく、管理された面積、認証された面積など持続可能な森林経営という課題に果敢に挑戦した興味深い資料である。なお、国際的な環境NGOである世界資源研究所(WRI)がコメントを発表している

アマゾンの森林から考える

日伯のアマゾン森林研究の夢
6月3日から17日まで15日間仕事でブラジルアマゾンの森林地域に行って来ました。目的はアマゾンの森林についての日伯共同研究についての打ち合わせです。国際協力事業団と森林総研が協力し、ブラジル側の国立アマゾン研究所との間で地道な熱帯天然林の動態についての息の長いモニタリングを行う基盤が整ったところです。この基礎的な研究の結果が具体的な荒廃地の回復のための事業のバックアップとなってゆくことが期待される夢の多い事業です。
プロジェクトのコンセプト 
プロジェクトを紹介する科学技術省のウェブサイト

大型の森林研究プロジェクトが投入されるアマゾン地域
世界の熱帯雨林の50%、全世界の被子植物の37%の種があるといわれているアマゾン地域の森林については、世界中の援助機関・研究機関が共同研究・研究支援に乗り出しています。90年のヒューストンサミットで提唱された熱帯アマゾンの森林保全に関するパイロットプロジェクトPPG7LBAとよばれる大規模生物圏大気圏循環プロジェクト、など、米国とECが肝いりで支援する大型のプロジェクトが実施されています。その結果質量ともに高水準の研究成果が公表されています。ちなみに、世界中の総合自然科学誌の中で論文平均被引用指数(インパクトファクター)が最も高い英国の科学誌Natureに昨年(西暦2000年)1年間に掲載されたアマゾンに関する論文は17件もあります。アマゾンの自然研究は紛れもなく人類の知の領域を広げる最前線の一つとなっており、これが人類の未来の幸福につながることを願うものです。

アマゾンの森林経営の質
このようにアマゾンの研究は進んでいますが、実際のアマゾンの森林管理の質はといえばあまりほめたものではありません。1999年のアマゾン天然林の伐採は、87%が違法、のこりの11%だけが合法で、合法伐採のうち10%は森林管理計画に基づかない略奪的伐採で、1%が合法的計画的伐採である」との報道がされている(ブラジルの代表的報道紙Veja1999年6月9日号)ほどです。他の資源国同様、90年代後半には様々の森林管理に関する法的整備を行ってきたのにもかかわらず、それを地べたにおろす人材がいないという、これも世界に共通する問題のようです。
ブラジル国内においても未開発地いえるアマゾン地域における人材養成は重要な課題であるとブラジル政府もいっていましたが、持続可能な森林経営というのは、中進国ブラジルにとっても大きなハードルがあるようです。

資源国のリーダーとしての大国ブラジル

ブラジルは9年前に地球サミットが開催された国で、地球サミットの森林条約を巡る攻防の中で、自国の資源の開発権の主張に基づき法的な拘束力を持つ条約反対の立場を主張した資源国側のリーダーです。地球サミット以降東南アジアの資源国が森林条約に対して柔軟な姿勢に変化してきた中で、反対の姿勢を一歩も変えなかったブラジルの立場は際だったものでした。ブラジルが真の資源国のリーダーとして、持続可能な森林経営実現のための先頭に立ってほしいと願います。

もう一つの森林問題(「北方林」をめぐって)(2002/9/15)new

北海道富良野にある東京大学演習林で北日本林業経済研究会が主催する「今持続可能な森林経営を北海道で考える」いうテーマのもとにシンポジウムがあり、「『持続可能な森林経営』の国際的な展開と北海道の森林管理」と題する報告をさせてもらう機会がありました。

東北・北海道の林業経済研究者や道庁・国有林の旭川分局の関係者などが集まり、小生の報告とともに、阿寒湖畔財団法人前田一歩園の林業経営(北海道大学尾張さん) 林分施業法の批判的検討(東京大学宮本さん)の報告がありました。

小生としては地球上の森林の三分の一をしめる北方林の実態について考える機会を与えてもらいました。10年前の地球サミットの意義の一つは、熱帯林とともに始まった地球環境問題を、もう一つの問題領域である北方林にも目を向けさせる「すべての森林の持続可能な森林経営」を対象とした原則声明を採択したことです。
北方林に関しては1990年以降関心が高まりFAOのUNASYLVAの特集では@国際的な北方林に対する木材の需要圧力は増加の方向ー木材供給力を他の機能とどう調和させるかが課題,、A造林技術の選択肢ー天然更新から人為を使った技術体系へ、B低利用の問題ー過密トウヒ林の環境問題・民有林の放置問題、C温暖化の影響(生長量増、病虫害の危険性増大)などが指摘されています。

また、我が国にとっては、十年間で我が国に対して木材供給が唯一増加した供給源としての北方林問題として我が国の林業の将来を左右する重要なポイントです。
報告のレジメはこちら。
小生の報告に関する資料室を設けました。

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