北日本林業経済研究会報告
「持続可能な森林経営」の国際的展開と北海道の森林管理
（要旨）
森林総合研究所 藤原敬
2002年9月11日
Ⅰ 趣旨
グローバルな国際森林管理の視点中での北海道森林林業及び関連研究の位置づけを明らかにするため、①森林管理の国際化（国際森林レジーム形成）の意義、②地球森林問題の中の北方林、③モントリオールプロセス・森林認証など、持続可能な森林経営を評価する技術基準の意義と内容、④民有林の森林計画制度、国有林とグローバルスタンダードとの関係、について議論する。
Ⅱ 概要
０ はじめに
１ 森林管理の国際化（国際森林レジーム形成）の意義
１－１ 森林管理国際化の背景
森林の機能と波及範囲
他分野の環境レジームと森林管理国際化
１－２ 持続可能な森林経営の二つのルーツ
持続的な開発―――ブルントラント委員会
生物資源管理の原則 森林生態系の管理―――適応管理
１－３ 持続可能な森林経営の二つの意義
森林の過剰な開発への歯止めー持続可能な森林の利用
循環社会での森林の可能性の制約からの開放
１－４ 我が国にとって国際的森林管理の意義
先進国の役割と被害者としての立場
２ 地球森林問題の中での北方林（Boreal Forest）
２－１ 熱帯林問題から全ての森林の問題へ
1990年を転換点とする国際森林問題のアジェンダ
北方林への関心の高まり
FAO林業局機関誌UNASYLVAの中のBoreal forest
２－２ 地球森林問題の北方林の位置づけ
FAO西暦2000年森林資源調査の中の北方林
生産への期待、気候変動の影響、脆弱な生態系、森林管理への不安
２－３ 北方林の国際管理と北海道の林業研究
世界の北方林の現状と北海道の森林
３ 持続可能な森林経営への取組が生み出した技術的ツール
３－１ 国際的なレジームの中での森林の定義の意味
アジェンダの変換と持続可能な森林経営
ITTO２０００年目標の果たした役割
３－２ 国ごとの規準と森林経営レベルの規準
国際条約の必須要素としての国毎の規準
木材を選別し緑の消費者にさらすための森林経営レベルの規準
３－３ モントリオールプロセス
経緯と我が国の果たした役割
Japan’s view on the Technical Criteria of Sustainable Forest Management
規準の概要
３－４ FSC認証の原則と規準
世界の認証制度の流れとFSC認証
４ 国際的規準と我が国の森林経営
４－１ 施業計画制度と国際基準
我が国の森林計画制度と森林施業計画制度
FSCの規準概要と三つのカテゴリー、
FSC規準と我が国の施業計画のカバー率
４－２ 国有林の経営計画と国際基準
希少野生動物への対応
マネジメントシステム：施業方法の根拠・モニタリング
４－３ 北海道の現場からグローバルスタンダードへのフィードバックの可能性
参考資料
全般
「持続可能な森林経営」の国際的展開と北海道の森林管理（デジタル版）＊
地球環境森林問題基本年表（デジタル版）＊
「持続可能な森林経営に関する勉強部屋」
http://homepage2.nifty.com/fujiwara_studyroom/front.htm
１ 森林管理の国際化（国際森林レジーム形成）の意義
信夫隆司編著「地球環境レジームの形成と発展」(2000)国際書院
ガレスポーターほか「入門地球環境政治」（1998）有斐閣
生物多様性条約エコシステムアプローチに関する決議（第５回締約国会合）＊
２ 地球森林問題の中での北方林
K.Kuusela, The boreal forests: an overview, Unasylva 170, (1992)＊
３ 持続可能な森林経営への取組が生み出した技術的ツール
ヘルシンキプロセス サンチャゴ宣言
Forestry Agency, Japan’s View on the Technical Criteria of Sustainable Forest management, June 1994、国際林業協力研究会、「持続可能な森林経営に向けてー日本の取組」(1996)、日本林業調査会、収録
Soil Association “Woodmark Generic Standard and
Checklist”＊
４ 国際的規準と我が国の森林経営
藤原敬「県産材認証とFSC認証の間」(2002)＊
藤原敬「森林施業計画とFSC森林認証の隙間」(2002)＊
北海道森林管理局、「第一次地域管理経営計画書（上川南部森林計画区）」、「第一次国有林施業実施計画書（同）」、「国有林野の各機能累計に応じた管理経営の指針」(1999)
