山を守ることは国を守ること
日刊木材新聞10月7日付報道
(日刊木材新聞社の了解をえて掲載します)
国内林業・木材業の現状を政治、行政、一般に訴えようと九月三十日、日田市内に九州の国産材業者を中心とした民間業者及び行政、議員など約一千六百人が集まり「日本の杉桧を守る会」設立総会及び森林・木材産業九州総決起大会を開催(写真)。初代会長に選出された武内達男氏は「業界の怠慢、行政の怠慢、そして勇気のない政治が現在の状況を招いてしまった。だが過去を振り返っても仕方がない。民間レベルの活動で森林産業の復活を目指し、努力していこう」と訴えた。
当日は会場の日田市民会館は二階席までびっしりの参加者。竹内達男会長と、招待者を代表して岩屋毅衆議院議員があいさつ。
岩屋氏は「品確法の施行以来、業界がさらに厳しい状況にあるのは承知している。農業は戦後の反省をして大きな転換を図ろうとしている最中だが、林業は遅れていると言わざるを得ない。日本の山を守ることは国を守ること。難しい問題だが、皆さんとともに取り組んでいきたい」と述べて会場の喝采を受けた。
続いて各業界からの意見発表が行われた。製材を代表して熊谷勉氏(マルミ専務)が「政府は景気が回復基調にあると言っているが、われわれは逆に沈んでいくのを感じている。今のような状況では、子供たちに会社を継がせる気にはならない。早急に山に公的資金を導入することを求める。山は公益的資源ということを強くアピールしたい」と述べ、次に原木市場を代表して諌本憲司氏(日田中央木材市場常務)が「当社は創立四十周年だが、当時一万四千円だった丸太の平均単価が、今は一方二千円。世の物価が十〜十五倍になっているというのに。だが、木材業は今後も絶対に必要な産業だ。循環型社会のなかで立派な公共事業だ。国土、国民を守る最も大切な職業についているという自覚でがんばりたい」とした。
最後に山林業を代表して井上明夫氏(井上育林代表)が「林業が厳しいといわれ始めてもう二十年になる。過去になくなった産業もあるが、林業はそうなってはダメだと思う。今までは山を守るという意欲で植林を続けてきたが、最近はそれにも限界がきている。林業の危機を国民に知らせるべきだ。二十一世紀の子供に素晴らしい山を残したい」と話した.
その後、石原猛志石原林材社長(岐阜)と影山弥太郎影山木材社長(静岡)の公開座談会が行われ、国産材の将来などに対する意見を聞いた。そのなかで影山氏は「こういった会を作ってくれたことに感謝している。自分は全国で講演を行う機会が多いので、そのたびに必ず紹介させてもらう」と述べ、会湯から大きな拍手が起こっていた。
最後の決起大会では九州全域から会場に集まった一千六百人が立ち上がり、大会決議及び決意表明。
決意表明文は「知ってもらおう! 人と環境にやさしい杉桧」「もっと使おう! 杉桧は再生可能な日本の資源」「はたらきかけよう外材の適正輸入! やめよう世界の木食い虫」「呼びかけよう! 家族を守る木の住まい」「木の文化! つなごう水土里(みどり)のネットワーク」。 同会では今後も様々な活動を進めていく予定。また全国に賛同者を募りたいとしている。問い合わせは日田木材協同組合(電話〇九七三−24−二四九五)まで。