日本政府代表団評価
NGOの評価(環境パートナーシップ会議報告会、JACSESS緊急コメント)
社説
日経、環境の危機を主要国は改めて直視せよ(6/24)
朝日、「グリーン経済」の理念、宣言に リオ+20が閉幕(6/24)解説記事
読売、リオ+20 環境を守る責任は新興国にも (6/24)
毎日、リオプラス20 緑の経済へとつなげよう (6/24)
東京、リオ環境宣言 フクシマが教えている(6/24)
産経 「リオ+20」 地球救う責任は新興国に(6/25)
6月23〜26日 リオ+20関連メディア報道一覧(環境パートナーシップ会議)
グリーエコノミーがキーワードというので私も何か役にたつことがあるはずだと、二週間私もリオに行ってきました。主として森林関係のサイドイベントを渡り歩いてきましたが実りの多い旅行でした。報告します。
((合意された成果文書と森林))
(成果文書の概要)
The Future We Want「我々の望む未来」と題する、283のパラグラフからなる成果文書文は、@我々のビジョン、A政治的誓約の確認、Bグリーン経済、C制度的な枠組み、D行動と点検の枠組(A個々の分野の記述、B持続可能な開発目標)、E実施手段という柱立てとなっています。(成果文書の概要:外務省)
(グリーンエコノミー)
6つの柱の一つを割り当てられたグリーンエコノミーについては今回の会合全体を象徴するキーワードでした。
成果文書では、「重要ツールの一つであると認識する」(パラ56)とされたものの、優良事例を共有するなど以上の具体策は示されませんでしたが、世銀やUNEP金融イニシアティブが主催するサイドイベントで自然資本宣言など民間企業のコミットメントを引き出す活性化の役割を果たしていました。
グリーンエコノミーは「環境への否定的な影響を軽減し、資源効率を上げることにより、自然資源の持続可能な管理の能力を高め」「持続可能な生物多様性と生態系の持続可能な利用、自然資源の再生につながる」パラ60,61とされるように、森林の持続可能な管理の今後の議論の重要なテーマであることは間違いありません。
森林の環境サービスの計量評価などの努力を主流の政策課題の中に載せる重要なツールであり、森林関係のサイドイベントでも森林関係者の出番だという盛り上がりのきっかけとなるキーワードとなっていました。今後の展開を期待したいところです。
(持続可能な開発目標)
今回の会議は「成果に乏しく」採択された宣言文The Future We Want「我々の望む未来」も「具体性を欠く」(日経社説)と厳しい評価が多い中で注目されるのは、2015年までに「持続可能な開発目標SDGsを作成する」(パラ245-241)というものです。
2000年にミレニアム開発目標MDGsができて、それが途上国の開発目標として一定の成果を上げてきたので、さらに枠組みを持続可能な目標に広げて2015年を出発点とした目標を掲げようというものです。
どんな枠組みにするか生物多様性、エネルギー、水など宣言文の交渉過程の案の中に例示されていた項目が、最終的なテキストでははずされ、一から出直しということのようです。
今後国際政治の主流となりそうなこの開発目標の中に、森林の目標を具体的に設定できるのか、持続可能な森林の面積など定義が不明確なままに森林分野の目標に掲げられている事項が、この枠組みの中で記載できるのか、今後の国際政治の中で森林の管理が優先順位を上げていく上で重要な課題と思います。
(成果文書の中の森林に関する記述)
森林に関しては283のパラグラフのうち4つが割り当てられて以下のような内容になっています。
(和訳は当サイトの仮訳、確定訳ができれば差し替えます、注やリンクは当サイト)
193. We highlight the social, economic and environmental benefits of forests to people and the contributions of sustainable forest management to the themes and objective of the Conference. We support cross-sectoral and cross-institutional policies promoting sustainable forest management. We reaffirm that the wide range of products and services that forests provide creates opportunities to address many of the most pressing sustainable development challenges. We call for enhanced efforts to achieve the sustainable management of forests, reforestation, restoration and afforestation, and we support all efforts that effectively slow, halt and reverse deforestation and forest degradation, including, inter alia, promoting trade in legally harvested forest products. We note the importance of such ongoing initiatives as reducing emissions from deforestation and forest degradation in developing countries, and the role of conservation, sustainable management of forests and enhancement of forest carbon stocks in developing countries. We call for increased efforts to strengthen forest governance frameworks and means of implementation, in accordance with the non-legally binding instrument on all types of forests, in order to achieve sustainable forest management.
To this end, we commit to improving the livelihoods of people and communities
by creating the conditions needed for them to sustainably manage forests,
including through strengthening cooperation arrangements in the areas of
finance, trade, transfer of environmentally sound technologies, capacity-building
and governance, as well as by promoting secure land tenure, particularly
decision-making and benefit-sharing, in accordance with national legislation
and priorities..
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193. 我々は、市民に対する森林の社会的・経済的・環境的便益および、森林の持続可能な管理が、この会合の目的と主題に対して貢献することに注目する。我々は多面的な制度、分野における、森林の持続可能な管理を促進する政策を支持する。我々は、森林が生み出す広い範囲の生産物やサービスが、持続可能な開発に関する緊急かつ多くの課題を解決するための手だてを提供することを再確認する。我々は、持続可能な森林管理を達成し造林・保全・再造林を進める努力が拡大することを求め、また、合法的に生産された森林生産物の貿易の拡大を含め、森林の減少と劣化を低下させ、阻止し、回復させる効果的なあらゆる努力を支持する。我々は現在進行中の森林減少劣化による排出の削減のような事業の途上国における実施、保全と持続可能な森林管理および森林の炭素固定の途上国における増進の重要性を認める。我々は持続可能な森林管理のために、全てのタイプの森林に関する法的拘束力を伴わない文書にもとづき、森林の管理の枠組み強化と実施手段についての努力が加速することを求める。この目的のために、我々は、財政、貿易、環境に優しい技術の移転、人材の育成および政策を実行するとともに、法律と政策の優先度に従い、特に意志決定と便益の共有のための土地所有権明確化などを通じて、持続可能な森林管理のための必要な条件を形成し、住民の福祉を改善することを約束する。
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194. We call for urgent implementation of the non-legally binding instrument
on all types of forests and the Ministerial Declaration of the high-level
segment of the ninth session of the United Nations Forum on Forests on
the occasion of the launch of the International Year of Forests.]
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194. 我々は全てのタイプの森林に関する法的拘束力を伴わない文書と「国際森林年の開始に際する、UNFF第九回会合の高級会合における閣僚宣言」の緊急な実施を求める。
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195. We recognize that the United Nations Forum
on Forests, with its universal membership and comprehensive mandate, plays
a vital role in addressing forestrelated issues in a holistic and integrated
manner, and promoting international policy coordination and cooperation
to achieve sustainable forest management. We invite the Collaborative Partnership
on Forests to continue its support to the Forum and encourage stakeholders
to remain actively engaged in the work of the Forum.
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195. 我々は国連森林フォーラムがその広範な参加者、包括的役割から、森林に関する課題を全般的で総合的な形で取り扱い、持続可能な森林管理を実現するための政策の調整と協力を実施する重要な役割を持つことを認識する。我々は「森林に関する協調パートナーシップ」に対して、フォーラムを支援し、フォーラムの活動に積極的に関係者が参画することを支援することを要請する。
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196. We stress the importance of integrating sustainable
forest management objectives and practices into the mainstream of economic
policy and decisionmaking, and to that end we commit to working through
the governing bodies of member organizations of the Collaborative Partnership
on Forests to integrate, as appropriate, the sustainable management of
all types of forests into their strategies and programmes.]
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196. 我々は、持続可能な森林管理の目的と政策が、主たる経済政策と政策決定に統合されることの重要性を強調し、その目的のために、我々は、「森林に関する協調パートナーシップ」のメンバー機関の意志決定組織を通じて、必要な場合、その機関の戦略と計画の中に「すべての森林の持続可能な森林管理」が位置づけられるよう働きかけるよう約束する。
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注)森林に関する協調パートナーシップ(CPF:Collaborative Partnership on Forests) UNFF活動を支援しIPF/IFF行動提案を実施するための森林に関する国際機関のパートナーシップ。世銀、FAO、ITTO、UNEP、UNDP、CBD等14の国際機関・条約事務局等からなる。 |
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森林に関する今までの合意を確認するという物足りない内容ですが、今までのコミットメントをしっかり実践することも、結構なハードルが高いといえます。
パラ156に言及されている「全てのタイプの森林に関する法的拘束力を伴わない文書(NLBI)」(2007年UNFF7、2007年12月国連決議)では、「2015 年までに、@持続可能な森林経営を通じた森林の減少傾向の反転、A森林由来の経済的・社会的・環境的便益の強化、B保護された森林及び持続可能な森林経営がなされた森林面積の大幅な増加と同森林からの生産物の増加、C持続可能な森林経営を実施するための財政措置の増加と ODA の減少傾向の反転」といった期限を切った国際目標が合意されています。
これが首脳レベルの約束として位置づけられたのが今回の宣言文ですが、これが達成され、次のステップとして「大幅な増加」などといった、あいまいな表現でない目標を今後設定できるのか。
これからのこの目標に向けて成果が上がり、2015年の持続可能な開発目標の中で生かされていくことが重要だと思います。
((森林に関するサイドイベント会合))
今後のリオ+40ぐらいまでをにらんで、「地球環境の視点から、日本の森林と木材を考える、産官学民の情報交流の広場をめざす」としているこのサイトをベースとした、日本発の森林と地球環境に関する情報発信の質と量の飛躍的向上を目指して、一人でも多くの人とのネットワークを作りをしてこよう、という目的で、私も13日から現地入りし、森林に関するサイドイベントを中心に情報収集、情報発信をしてきました。
出席した(しようとした)関連する会合
私が、出席したのは上記会合です。(当方の出番があったものや規模の大きなものに集中したので、結果的にどちらかというと政府系、業界系になっています)
全体としてバイオマス系の資源を扱っている業界関係者は自分たちの時代がくると意気込みが感じられ、技術開発や資源への投資に意欲的です。また、バイオマス資源を持続可能な形で確保するには、森林の地元の住民との関係を良好に構築する必要があるということが、どのサイドイベントでも強調されることです。また、持続可能な資源に対する消費者からの信頼も強調されています。
個々のイベントで重要な(と思った)ものは、別途ページを掲載していますのでご覧ください。
リオ+20インターネットによる政策提案
ジリオ+20森林はグリーンエコノミーの心臓部分FAO,ICFPAのサイドイベントから
森林問題をグローバルな課題に統合:国際林業研究センターCIFORのイベントから
グリーンエコノミーの中の中国の林業:リオ+20への中国林業局の情報発信
グリーンエコノミーに対応する欧州の森林政策のアクションプラン
「グリーンエコノミー」で活性化する自然資本の情報開示
これらの方向にむかって、生産者、消費者、生産地の地元住民そして、行政組織のとの連携が構築・改善し、さらに、持続可能な開発目標、さらには、法的な拘束力のある持続可能な森林条約などの枠組みに発展することを期待します。
kokusai0-8<rio+20portal>
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