持続可能で回復力のある社会の建設:国内準備委員会セミナーから(2012/6/30)

6月14日リオ+20の国内準備委員会が現地で主催するセミナーが日本パビリオンの会場で開催されました。

リオ+20に向けて、ステークホルダー(産官学民の利害関係のある関係者)間の対話を進めるため、リオ+20に関心を有するステークホルダーが自発的に集まり、「リオ+20国内準備委員会(共同議長:小宮山宏(三菱総合研究所 理事長)、崎田裕子(NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット理事長))(名簿)が設置され、ステークホルダー間の情報共有や意見交換、意見・提言を取りまとめ、リオ+20事務局に提出する(日本語訳:持続可能な開発の推進に向けた日本のステークホルダーからの提案---世界最大規模の震災の経験を踏まえた持続可能な21世紀国際社会の構築へ向けた提案---)などの活動をしてきました。

セミナーのタイトルは「大震災と津波からの経験:持続可能で回復力のある(resilliant)社会の建設」。若者・子供/労働者・労働組合/科学技術コミュニティ/女性/地方自治体/労働者・労働組合/NGO/企業・産業/農林漁業生産者/教育といった関係者がそれぞれの立場から持続可能で回復力のあるな社会をるくつ、という提言を中心に進められるのですが、そのFarmer(農林水産業の生産者)という立場で、藤原が参加することになりました。

ファシリテーター 崎田 裕子 (NPO法人)持続可能な社会をつくる元気ネット 理事長
企業・産業 青木雄一 (社)日本経済団体連合会
(三井物産(株)理事 環境社会貢献部部長
子供・若者 福島宏希 特定非営利活動法人エコ・リーグ事務局長
農業者
(農林水産業生産者)
藤原敬 (社)全国木材組合連合会常務理事
先住民 リオ+20に参加せず
地方自治体 西田裕子 東京都都市地球環境部国際環境協力課
MGO 古沢広祐 「環境・持続社会」研究センター(JACSES)理事
科学技術コミュニティ 廣野良吉 成瑛大学名誉教授
財団法人・地球環境戦略研究機関(lGES)参与
女性 織田由紀子 日本女性監視機構(JAWW) 副代表
NPO法人北九州サステイナビUティ研究所主席研究員
労働者・労働組合 曽根崎 義治 日本労働組合総連合会(連合) 総合政策局 社会政策局
教育 野口 扶美子 ESD-J国際プログラムコーディネーター

プログラム(配布されたもの英文

1130-1140 イントロ 崎田 裕子(配布されたもの英文
日本語訳:持続可能な開発の推進に向けた日本のステークホルダーからの提案---世界最大規模の震災の経験を踏まえた持続可能な21世紀国際社会の構築へ向けた提案---
1140-1150 メッセージの発信 若者・子供/労働者・労働組合/科学技術コミュニティ
発表内容英文
1150-1220 ステークホルダー対話
1430-1440 イントロ 崎田 裕子
1440-1505 メッセージの発信 女性/地方自治体/労働者・労働組合/NGO/企業・産業/農林漁業生産者/教育
発表内容英文
1505-1550 ステークホルダー対話

国内準備委員会の農林水産関係の委員である全国エコファーマーズネットワーク佐々木会長、大日本水産界木上事業部長、日本林業協会前田副会長などからいろいろ教えてもらって、以下のようなプレゼンをしました。

「日本の農林水産業の生産者として話をします
日本の環境保全型農業は行政のサポートをうけて、進展しています。

食糧の生産過程と生物多様性の保全、地球温暖化対策などで成果が出ています。

ただ、市場がグローバル化する中で、生産者の努力が消費者から見えにくくなる心配があります。市場のグローバル化の悪しき側面です。


そこで、私たちは提案します。
第一に食糧安全保障の権利を各国が確信しあうこと。
第二が生産者の努力が償われる仕組みを作ることです。
償う手段は、行政からの直接支払いを効果的に仕組むこと。もう一つは環境情報を共有した消費者から確固とした支持をえることができ、消費が拡大することによる償いです。

森林に森林林業に関してその部分を少し具体的に説明します。

森林は持続可能な資源である木材の供給者であり、生物多様性の保全、炭素の固定とグリーンエコノミーの主たる担い手です。ただ、どこの国も森林の持続可能な管理については大きなハードルがあり苦労しています。そこで仕掛けがある仕組みが必要です。

日本の例を示します。

2010年日本では公共建築物に木材利用を進める法律が施行されました。環境に優しい木材を政府が法律を作って利用推進することが、エコノミーのグリーン化のモデルといえます。(配付資料公共建築物の木材利用促進法に関する資料)

ただ、それは出発点で、環境情報を共有した消費者からあつい支持が得られるようになることが最終目標です。

その意味で、ビジネスネットワークを使って環境情報を消費者につたえる、日本の合法性証明の仕組みは参考になります。2006年にできた、国のガイドラインに基づいて、業界団体の認定をうけた8500社の事業者が、違法伐採問題に対応して合法性が証明された木材を供給する資格を持ち、事業を展開しています。

以上のように、生産者と消費者の連携を巡って日本の経験をお話ししました。このことは、農林漁業というだけでなく、あらゆるセクターにとって関係にあるものだと思います。

(環境保全型農業の動き)

この間、エコファーマーズネットワーク、有機農業の関係者から、いろいろ話を聞く機会がありました。

各都道府県ごとの認定基準に従って農薬や化学肥料の提言に取り組んでいる認定された全国のエコファーマーは20万人で販売農家の1割を超えているのだそうです。

欧州と米国では3兆円づつの市場がある有機農業が、日本では1千億円なのだそうで、今後日本市場の中で拡大していく大きな可能性を持っているようですが、それがどのように実現していくのか、環境資材としている木材関係者としても関心のあるところです。

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