リオ+20森林はグリーンエコノミーの心臓部分FAO,ICFPAのサイドイベントから(2012/6/23)

リオ+20のハイレベル会合の周りで無数のサイドイベントが開催され森林関係だけでも数十のサイドイベントが開催されますがその中で、6月18日リオセントロ近くの会場で開催されたFAOと国際森林製紙産業団体協議会(ICFPA)が主催するサイドイベント会合がもっとも規模の大きな会合でした。

主催者のプレスリリース(6/21英文)

タイトルはなんと魅力的な“Forest: the heart of the Green Economy”森林はグリーンエコノミーのハートです。

この会合で発表の機会を得たので、今回のリオでの藤原の情報発信の活動の中でもっとも重要な場となりました。

現時点(6/23)で主催者側のウェブ情報が掲載されていないので、掲載され次第追加するなど順次詳しい報告をしていきますが、とりあえずの報告を掲載していきます。

モナコのアルバート二世、ブラジル環境大臣(代理)、韓国の森林大臣などの開会挨拶、FAO林業局長、ブラジル製紙業連合会(BRASELPA)会長の基調演説(音声録音データC14-1)のあと、①来るべきバイオエコロジーの中での森林関連業界の役割、②森林認証グリーンエコノミーの中のパラダイムシフト、③林産業の地域開発への貢献という三つのパネルディスカッションがおこなわれました。

イベントプログラム

開会 Event Co-Chairs’opening words: Eduardo Rojas (ADG FAO Forestry) and Donna Harman (ICFPA Chairman)
ハイレベルの開会挨拶 Albert II, Sovereign Prince of Monaco
Minister of Environment of Brazil Ms. Izabella Teixeira
Minister of the Korea Forest Service Mr. Don Koo Lee
Heads of international agencies
Economic Commission for Europe, Executive Secretary Mr. Sven Alkalaj
FAO Video on Forests at the Heart of Green Economy (8 min.)
基調演説 Speaker 1: Mr. Jos? Luciano Penido, Chairman of BRACELPA and Fibria
Future challenges and opportunities in supplying the 5Fs (Food, Fodder, Fiber, Fuel and Forest Conservation)
TAPPI video on multiple uses of wood (4 min.)
Panel Discussion I (Chair invites and introduces speaker and panellists 11.00 ? 11.10)
Role of Forest Sector in Emerging Bio-EconomyPanel I Chair: Teresa de Presas, CEPI
基調演説2 Speaker 2: Stanley Hirsch, Suzano, Brazil
Panel Discussion Panelists:
-FremandoRaga Castellanos, CMPC, Chile
- Thomas Jostmann, Evonik, Germany
- Stefan Sundman, UPM, Finland
-Takashi Fujiwara, Fedarataion of Wood Industry, Japan, The Woodmiles Forum
Interaction with the floorDiscussion with the floor
Chair’s conclusions and wrap-up
Panel Discussion II (Chair invites and introduces speaker and panellists 4.00 - 14.10)
“Forest Certification: a Paradigm Shift in Green Economy”
Panel II Chair: Daniela Chiaretti, a Brazilian journalist Valor Econmico
基調演説3 Speaker 3: Anders Hildeman, Forest and Supply Chain Director, IKEA
Panel Discussion Panelists:
- Marvin Hundley, Mead Westvaco Forestry, USA
- Peter de Marsh, IFFA
-Andre de Freitas, FSC
- William Street, PEFC
- Ben Cashore, Yale & IUFRO
Interaction with the floorDiscussion with the floor
Chair’s conclusions and Wrap-up
Panel Discussion III (Chair invites and introduces speaker and panellists15.40 - 15.50)
Contributions of Forest Industry in Rural DevelopmentPanel III Chair:
基調演説4 Speaker 4: Dilip Kumar, DG Forests, India
Panel Discussion Panelists:
- Heikki Granholm, Min. of Agriculture and Forestry, Finland
- Gerhard Dieterle, the World Bank
- Steven Ngubane, Forestry South Africa
-Stewart Maginnis, IUCN
- Ms. Coosje Hoogendoorn, INBAR
-Anders L?nnblad, DDG, Ministry of Agriculture, Sweden
Interaction with the floorDiscussion with the floor
Chair’s conclusions and wrap-up
Closing Words of the Event Co-ChairsFO-ADG and ICFPA

この三つのテーマは現在世界中の林産業の抱えている将来への課題を設定しているので参考になります。第一は他の化石資源が支配している分野に森林産業が攻めていく戦線での製品開発・技術開発その他の課題、第二は森林産業が持続可能な課題に答えていく中心課題としての生産過程の環境負荷を消費者に伝達する手段としての森林認証制度のこれからの展開、第三目はどの森林関係のどのサイドイベントでも中心に取り上げられる、地元住民との新林産業との折り合いをどうつけていくかという課題です。これらの、課題がリオ+20という国際的な枠組みの行政と業界市民が合意する枠組みの中でどんなテータを提起するかというのが問題意識です。

(第1セッション、来るべきバイオエコノミーの中の森林産業の役割)

第一セッションのバネリスト、左から

第一セッションの基調演説はブラジルの製紙会社の社長で製紙メーカーのStanley Hirschで、今後バイオマスを使った製品が様々な分野に広がる一方、供給源の森林は制約されるで、供給力を高めるための抜本的な技術開発が必要であること、また、それを実施する課程で地元住民や消費者との関係をしっかりしたのに構築していくこと、これらを実施するために政府の役割は大きいなどという話でした。

その後の、3人のパネリストは1人は化学製品、2人は製紙業のビジネスマンで、バイオマス全体に製品展開を広げていくための技術開発の話と、途上国の原料供給先と住民との関係などが主たる話でした。4番目に私が話す番になりましたが、行政と一緒になって消費者との関係を構築していことが重要であるとして、日本の公共建築物等木材利用促進法と、ウッドマイルズの取り組み、業界団体による合法木材供給のとりくみについて、紹介しました。第一のセッション取り上げてもらいましたが、第二のセッションとも関係のあるもので、けっこうインパクトがあったのでないかと思います。

日本における木材利用推進に関する立法措置と
木材の環境情報
Recent Legislation on Promotion of Wood Utilization in Japan and Environment Information on Wood
藤原

1 木材利用推進の新しい立法措置

2010年公共建築物等の木材利用促進法が成立し施行されている。
関係者の長年の努力が実ったものであるが、環境資材である木材を普及すべきというコンセンサスができた証。国の木材利用計画、地方自治体の木材利用計画などが規定されている。木材がグリーンエコノミーに位置づける上で重要な立法なので研究してほしい。
これで、木材利用に関する行政的なサポート体制が整ったが、最終的には木材の環境性能についての消費者の支持を確固としたものにできるかが、成功の課題である。
法律の全文を含む配布資料

2 木材の環境性能伝達の課題

木材の環境資材と見た場合、「木材を使うことが森林を破壊する」というコンセプトにどう立ち向かうかという課題がある。地球規模の森林破壊と再生産可能な森林産との関係を消費者に説明するためには、生産過程の環境負荷と環境貢献の情報を的確に伝えるシステム化が必要であり、以下の二つに分けて日本の経験を伝えたい①生産地点と消費地点の距離を短くするという視点、②遠隔化する生産地点の情報をビジネスチェーンを通じて伝達するシステムの効率的な構築、

(1)生産地点と消費地点の距離

環境改善の点から、生産地点と消費地点を短くする二つの意義。生産地点と消費地点の距離を短くすることが生産地点の環境負荷の程度を消費者がリアルに認識する条件となり、生産者と消費者のコミュニケーションが容易になる。輸送過程の環境負荷を少なくする。この問題はウッドマイルズ研究会が取り組んでいる(ウッドマイルズ研究会配布資料

(2)遠隔化する生産地点の情報をビジネスチェーンを通じて伝達するシステムの効率的な構築、

木材製品流通の特徴とビジネスネットワーク管理の重要性
(生産過程と流通過程が小規模分散的であり、一カ所で第三者がコントロールすることはできない。ビジネスに参画する人を薄く広くカバーする体制が必須)
2006年に林野庁のガイドラインが作成され、キーポイントは業界団体。業界団体は違法伐採問題に反対する明確な姿勢を示すとともに、会員を人手された合法木材供給事業者として認定する手続きを示す。認定事業者は自分の商品に合法木材である証明書を出すことができるが、同じ証明書がついていた原料に基づくものだけである。こうして、証明書の連鎖ができる。現在8500の会社が認定を受けて活動している。(Gohoウッド配付資料

第二部第三部については追って掲載します

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