世界の森林資源とガバナンスの今ー世界森林資源評価2025(2026/1/15)

このところ5年に1度公開されている、FAO国連農業食糧機関の世界森林資源調査(GFAといいます)2025年版が昨年10月から公開がされています。

原文FAOのサイト。Global Forest Resources Assessments

林野庁のサイトにkey findingsという部分の翻訳が掲載されています。世界森林資源評価2025主な調査結果(仮訳)

そもそも、ローカルな課題だった森林問題が突然地球環境問題になったのも1980年代初頭のこの調査などがきっかけです。

このサイトでも5年に1度の森林の現況を伝える、この報告書については、フォローしてきました。

世界と日本の森林の今ー世界森林資源調査2020の公開はじまる(2020/6/15)
世界の森林資源調査2015の内容(2015/10/24)
世界森林資源評価2010の結果 (2010/11/20)
FAO世界森林資源調査2005の全文公表 (2006/3/13)
FAO地球森林資源調査GFA2005の結果 (2006/1/9)
FAOによる2000年時点の世界森林資源調査調査結果(2001/5/11)

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上記のKey findings(以下KF))の概要を中心に紹介します。(5年前の前KFとの比較も)

       
 タイトル  主たる画像  KJの内容とか前KFとの関係  
<1>
FORESTS COVER MORE THAN 4 BILLION HECTARES, NEARLY HALF OF WHICH IS IN THE TROPICS
世界の森林面積「は40億ha超?約半分は熱帯に分布
 世界の森林面積は41億4000万ha。陸地面積の約3分の1(32%)を占め、気候帯別に見ると、熱帯に分布する割合が最も多く(45%)、以降、亜寒帯、温帯、亜熱帯が順に続く。(前KFとほぼ同じ)  
<2>
 THE NET LOSS OF FOREST AREA HAS BEEN REDUCED BY MORE THAN HALF SINCE THE 1990S
森林面積の純減速度は1990年代から半減
 世界の森林の純減速度(減少から増加を差し引いた数値)は、1,070 万ha/ 年( 1990-2000 年) から412 万ha/ 年(2015-2025年)に低下。アフリカ・南米の減速度がおおきい
。(前KFでは南米は改善と指摘していたが・・・)
 
<3>
 DEFORESTATION CONTINUES TO DECLINE
森林減少は減速傾向が継続
( 国別に減少国増加国を見た場合)1990年以降、世界の森林減少面積(減少国の減少面積)は推定4億8900万haに上るが、減少速度は低下している  
<4>
 MORE THAN 90 PERCENT OF THE WORLD’S FORESTS ARE REGENERATING NATURALLY
森林面積の90%以上が天然林
  天然林面積は38億3000万haであり、森林面積の92%に相当
減少量は低下傾向(左表)
(天然林はREGENERATING NATURALLYを訳しているので人の手が入っていない原生林、伐採跡地を天然更新させた林を両方含む?)
 
<5>
 PRIMARY FORESTS OCCUPY NEARLY ONE-THIRD OF THE WORLD’S FOREST AREA
原生林は森林面積の約3分の1
 図なし  原生林は少なくとも11億8000万haであり、世界の森林面積の29%を占める。
(前KFでは原生林PRIMARY FORESTSの記述はなし)
(原生林は前述天然林の一部?)
 
<6>
 THE RATE OF INCREASE IN PLANTED-FOREST AREA HAS SLOWED
人工林面積の増加速度は鈍化
 2025年の人工林面積(LANTED-FOREST AREA)は3億1200万haに上り、世界の森林面積の8%。(地域別人工林率が左図=アジアが多い)  
<7>
THE WORLD’S FOREST GROWING STOCK, BIOMASS AND CARBON HAVE INCREASED
 森林の蓄積量・バイオマス量・炭素量は増加傾向
   森林蓄積は、樹木の木材になる部分(m3)、バイオマス量は、樹木の根から枝先まですべて(トン)、炭素量は森林の地上地下(土壌を含む)にあるすべての森林由来の炭素量。
全ての炭素プールを含む森林炭素蓄積量は推定714ギガトン(平均172トン/ha)に上り、46%は土壌に、44%は地上・地下バイオマスに、10%はリター・枯死木に存在する(左図)。
(この記述は前KFには記載がなかった)
 
<8>
ONE-FIFTH OF THE WORLD’S FORESTS IS IN LEGALLY ESTABLISHED PROTECTED AREAS
世界の森林の5分の1は法的に保護された地域
 推定8億1300万haの森林が保護地域に指定されている。これは森林総面積の約20%。地域別にみると、アジアが最も高い(26%左図)。
? 1990年以降、世界の保護地域に指定された森林面積は、2億5100万ha増加した。
(前KFではアフリカが最も面積が多いと指摘していたが今回はそうではなくなったりしているので定義が変化しているだろう?)
日本では・・・18%
 
<9>
MORE THAN HALF OF ALL FORESTS HAVE MANAGEMENT PLANS
 管理経営のための計画を有する森林は全森林の半分以上

 1990年以降、管理経営のための計画の対象となる森林面積は全地域で増加しており、世界全体では3億6500万ha増加し、2025年には21億3000万ha(森林総面積の55%)に達した。
日本では・・・100%
 
<10>
FIRE IS A PREVALENT FOREST DISTURBANCE IN THE SUBTROPICS, AND INSECTS, DISEASES AND SEVERE WEATHER CONTINUE TO AFFECT MAINLY THE TEMPERATE AND BOREAL DOMAINS
火災は亜熱帯で森林に広くみられる撹乱要因ー病虫害及び異常気象は主に温帯及び亜寒帯に影響
図は無し  「2019年には約1億2300万haの森林が?災(の影響を受け、79%は亜熱帯」(前KFでは2015年に9800万ha、熱帯地域が多いと記載)
病虫害及び異常気象2020年に4100万ha(前KFでは約4000万ha)
 
<11>
THE WORLD’S FORESTS ARE MOSTLY PUBLICLY OWNED
世界の森林の大部分は国公有林
 世界の森林の所有形態の71%は国公有林(左図緑)であり、24%は私有林(=民間企業・団体)(黄色)、残りは「不明/その他」。
近年、緑から黄色に少し移行
(前KFでは73%が国公有林)
 
<12>
PRODUCTION IS A MAIN MANAGEMENT OBJECTIVE OF
THE WORLD’S FORESTS
世界の森林おける主要な管理目的は「生産」
図なし  全世界では、12億ha(森林面積の29%)の森林が木材及び非木材林産物の生産を主たる目的として管理経営されており、これに加えて多目的利用のために指定されている森林生産目的が含まれている。
(前KFでもほぼ同様の記述)
 
<13>
 NEARLY 12 PERCENT OF THE WORLD’S FORESTS IS ALLOCATED FOR BIODIVERSITY CONSERVATION
世界の森林の約12%が生物多様性保全のために指定
 図なし   ? 全世界では、4億8200万haの森林が生物多様性保全を主たる目的として指定されており、1990年と比較して1億1800万ha増加した。
(前KFでは4億2400万ha指定)
 
<14>
ABOUT 9 PERCENT OF THE WORLD’S FORESTS IS DESIGNATED PRIMARILY FOR SOIL AND WATER PROTECTION
 世界の森林の約9%は、主に土壌と水資源の保全を目的として指定
 図なし 3億8600万haの森林が土壌・水資源の保全を主たる目的として指定されており、1990年以降、1億2300万ha増加した。同目的に指定された森林の?積は増加傾向にあり、とりわけ直近10
年で顕著。
 
<15>
MORE THAN 5 PERCENT OF THE WORLD’S FOREST IS USED MAINLY FOR SOCIAL SERVICES 
 世界の森林の5%以上は主に社会サービスのために利用
   2億2100万haの森林がレクリエーション、観光、教育研究、文化的・精神的な場所の保全等の社会サービスのために指定。
増加率拡大気味
 
       
       

以上が、今回の調査GFAの概況です

少し長くなってごめんなさい。世界中の森林森林は減少し続けしているけれど、減少速度は減っている・・・毎回ほとんど同じ内容です。

過去にも重要な役割を果たしてきた調査結果ですが、少し気になる点があったので以下にコメントします。

(全体的な印象ー森林減少速度の減速と30年ゼロへの道筋)

気候変動問題の緩和など、森林減少を早く減らして30年には逆転(2021年COP26グラスゴー森林首脳宣言)、と迫られている森林問題。その課題の進捗状況を評価できる貴重な手段が5年に一度の今回の世界森林資源調査(GFA)結果です。

逆に言うと、森林首脳宣言の進展状況を評価できるのは、FAOが行う、この調査しか無い

その視点からは<2>森林面積の純減速度は1990年代から半減、<3>森林減少は減速傾向が継続、は重要なポイントです。

ただし、5年前もほぼ同じ指摘。頑張ってはいるのでしょうが、それがしっか評価できるような報告ではありませんね。

グラスゴー森林宣言で誓約した30年に森林減少ゼロにする道筋との比較した議論はされていません(少なくともKey findingsでは)。

念のために、Global Forest Resources Assessment 2025本文をダウンロードしGlasgowやCOP26という単語がないか検索しましたが在りませんでした。

すこし今回公表された結果をいじってみました

  根拠 期間 年間増加量
(1)
年間減少量
(2)
差引変化
(3)
 1 GFA 1990-2000 6.95 17.6 -10.65
 2 GFA 2000-2015 9.88 13.6 -3.72
 3 GFA 2015-2025 6.78 10.9 -4.12
4 推測 2025-2035 いまのままいくと 6.78 8.22 -1.44
 5 推測 2025-2035 がんばると 6.78 6.7 0.08

上の表の1-3行は今回の調査結果<2><3>の数値をそのまま持ってきています。年間の森林増加面積(1)と減少面積(2)があり差し引くと、差引森林減少面(3)です。1行目2000年時点でその前10年間で差引面積は10.65(百万ha)(3)、が3行目2025年時点で差引面積は4.12(百万ha)(3)に減っています。

それではどれだけ頑張れば2030年に差引(3)がゼロになるのか?つまり今後10年間の平均がゼロになるのか?その推測が4と5です(勉強部屋の推測です)

推定値が違うのは・・・・推測方法の違いは以下の通りです

両方とも年間増加量は最近あまりかわらないので、3のまま(6.78)(1)としています。

さて減少量(2)の推移は?1の減少量(2)と3の減少量(2)の差は6.7百万ha(改善した)。その数字で、3の減少量(2)を引いたのが5の(3)です。そうすると、増加量(1)より減少量(2)が少なって、差引変化(3)は増加(森林減少が止まる)!! 

なんですが・・・1と3の時間差は25年、3と5の時間差は10年。ですから過去25年やってきた努力を2倍半頑張らねば、グラスゴー宣言は達成できません!!といういことです。

4は今まで通りやったらどうなるか?という推測です(減少量の減り方が10/25。

というのが今回明らかになった調査結果の減少量について一つの評価(思い付き)です。誰もいっていません(多分)

ーーーー

ということで、よほど頑張らなければ、30年森林減少劣化ゼロにはならない、ということがわかる報告書です。

頑張るツールが・・・・地域別の動向により、南米とアフリカの主たる森林減少地域だということがわかりますので。ブラジルが主導するTFFF等の重要性ですね。

森林回復に頑張る森林ガバナンスのシステム)

上記の分析の対象となった森林減少量<2><3>は各国の取組の結果ですが。その結果に至る、森林の管理体制問題である<8>世界の森林の5分の1は法的に保護された地域、<9> 管理経営のための計画を有する森林は全森林の半分以上。

どちらも増えています

前回2020年と比べた比較表が以下の通りです

法的保護林 経営計画がある森林
2025年 2020年 増え方 2025年 2020年 増え方
アフリカ 23 27 -4 28 24 4
アジア 26 25 1 65 64 1
ヨーロッパ 23 6 17 94 96 -2
北中米 12 11 1 59 59 0
オセアニア 16 16 0 28 31 -3
南米 17 31 -14 19 17 2
世界 20 18 2 55 54 1

この二つのコンセプトがどんな、手段をさしているのか?

この調査の専門用語の解説は、Terms and Definitions FRA 2025に記載されています。

その18ぺージに以下のような説明が

FOREST AREA WITHIN LEGALLY ESTABLISHED PROTECTED AREAS

Forest area within formally established protected areas independently of the purpose for which

the protected areas were established.

FOREST AREA WITH LONG-TERM MANAGEMENT PLAN

Forest area that has a long-term (ten years or more) documented management plan, aiming at defined management goals, and which is periodically revised.

少しわかりづらいので、当該項目の日本の数値はどのように算出されているか確認すると以下のような説明がありました。

Forest area within (1egally established )protected areasについては、

国立公園、国定公園、都道府県立自然公園、特別鳥獣保護区、原生自然環境保全地域、自然環境保全地域、保護林、緑の回廊の数字を報告しています(重複を除く) 
4559百万ha(18.3%)

Forest area with long-term management planについては、

地域森林計画及び国有林の地域別の森林計画対象森林の数字を報告しています。
24908百万ha(100%)

なのだそうです
少しわからない点もあるので、追ってご報告します

(SDGsとの関係)

FAO世界森林資源評価GFAに関するサイトを見ていくと、SDGsの指標の進展状況を評価するのに、この調査結果がつかわれているようです。

これについては面白そうなのでおってご報告します。

ーーーー

関係資料は以下の通りです

林野庁:
「世界森林資源評価2025」主な調査結果(仮訳)(FRA2025 Key findings)

FAO
・メインレポート(Keyfindingsを含む)?https://openknowledge.fao.org/items/090d2fbb-32a6-412b-a3b8-1ce5c5905df2
・国別報告? https://www.fao.org/forest-resources-assessment/fra-2025-country-reports/en
・国・地域別の最新データ?https://fra-data.fao.org/assessments/fra/2025

ーーー

ありがとうございました
ご意見あればこちらからどうぞ

chikyu4-22<GFA2025>

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