ニュースレター No.250 2020年6月15日発行 (発行部数:1550部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 

                      一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原敬

目次
1 フロントページ:輸入される発電用木質バイオマスのサプライチェーン管理ー森林認証とFITのガイドラインの関係(2020/6/15)
2. 世界と日本の森林の今ー世界森林資源調査2020の公開はじまる(2020/6/15)
3. 情報公開が試す地球環境を管理するグローバル企業の可能性ーCDPフォレスト2019公開(2020/6/15)
4. 新型コロナウイルスと森林(3)(2020/6/15)
5. グリーンなサプライチェーン管理のリスクとチャンスー勉強部屋ニュース250編集ばなし(2020/6/15)

フロントページ: 輸入される発電用木質バイオマスのサプライチェーン管理ー森林認証とFITのガイドラインの関係(2020/6/15)

森林認証制度を運営しているFSCジャパンが、最近「FSC森林認証制度をバイオマスの固定価格買取制度(FIT)に活用する際のご注意」と、「固定価格買取制度(FIT)のバイオマス発電燃料調達におけるFSC 認証制度の利用に当たっての関係事業者様へのご注意」という情報発信をしました(以下今回のFSC情報といいますね)。

循環資源である木材・木質資源を化石燃料に替えて利用することが地球環境によいとしても、地球を一周する木材製品の由来となる森林管理は大丈夫なのか?だれでも知りたいその重要な情報を、第三者に管理されたのサプライチェーンに託して消費者に届けるためのシステムを構築してきた森林認証制度(欧州のNGOが開発)。もう一つその重要な情報を業界団体によって認定された事業者によるサプライチェーンで届けようとする林野庁のガイドライン(日本発)。

前者の主人公の一人であるFSCの今回の情報発信は、その二つの大切なシステムの連携に関する、疑惑に端を発した重要な情報です。私自身、そのどちらにも関与した経験から、本件には思い入れがあり、今回のFSC情報の作成過程に若干関与したので、この際、作業過程で勉強したことも含めて、若干情報提供のお手伝いをしようと、このページを作成しました。

環境とビジネスに関する、環境NGOと木材や木質バイオマスのビジネス関係者との間の情報のやりとりですが、市民の電気料金が普通より少し上乗せされている根拠に関する情報ですので、関心のある方はどうぞ。

(指摘された疑惑)

今回私が初めてこの情報に接したのは私も会員となっているFSCの5月下旬の年次総会(テレビ参加)でした。そこで紹介されていたのは、環境金融研究機構RIEFというサイトに固定価格買取制度(FIT)のバイオマス発電燃料の輸入木質ペレットにFSC認証の大量偽装の疑念。ベトナムでは生産可能量の5.5倍も「認証」付与。バイオマス発電の持続可能性に疑問(RIEF) (以下RIEF指摘疑惑といいます) という情報です。

「ベトナムで現在FSC認証されたアカシア等の栽培面積・・・から推定される生産量よる多い大量の認証付きペレットが日本と韓国に輸入されている」などが指摘されています。

今回のFSC情報の中には、疑惑に関する情報源は全く触れられていません。多分、その他にもあり、FITの関係者は大体知っているだろうとの想定ですが、関係者以外の方、向けに情報源の一つを紹介しておきました。

これに巻き込まれたFSCジャパンが、FIT関係者に対してFSC利用上の注意などの情報発信をしたものです。

(木質バイオマスのFITとはーおさらい)

再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(以下FITといいます)」によると、輸入された木質チップやペレットなどのバイオマス燃料が、一定の手続きによってサプライチェーンが管理され透明性があることがわかると、FIT上の「一般木質バイオマス原料」ということになり、これを燃焼して発電された電力は24円/Kw時(大型発電所は21円/KW時)と、そうでない電力(13円/Kw時)より高い値段で消費者が購入してくれます(2020年6月現在)(固定価格買い取り制度)。

このサプライチェーンの手続きを定めたのが、発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン(以下FITガイドラインという、同運用マニュアル参照)であり、先行していた林野庁の「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」などを使って、伐採地点から、発電所までのサプライチェーンを管理することを求めています。

(FITガイドラインの要求事項)

林野庁のFITガイドラインが要求するのは、ガイドラインが求める一定の手続きをした業界団体が会員事業者の管理システムをチェックして認定し、業界団体が認定し事業者が、分別管理、加工した製品を販売・購入してサプライチェーンをつなぐことです(その他にも2種類のやり方が例示されています)。

ただし、日本国内ではガイドラインの理解が進み、140ほどの業界団体に認定された事業者が5500社となっていて(日本木質バイオマス協会のサイト)、その人だけでサプライチェーンをつなぐことはできるのですが、ベトナム、タイ、マレーシアなどから輸入される木質ペレットなどを、その原料が伐採された地点からのサプライチェーンを管理するのは極めて、困難なので、FSCが認証したのサプライチェーン(COCの取得者:Chain of custody)を利用する(ガイドラインの例示の一つ)ことが多いようです。

FSCのCOCを取得した事業者と、そうでない、FITの業界団体認定事業者の取引がされるので、(仮に本人悪意がなくても)おかしなことが起こる可能性があります。

下の図は輸入材の木質バイオマスの二つのサプライチェーン管理の比較模式図です(藤原作成)。

下側の産地国の森林で生産された木材が産地国でペレットになり、上側の日本の発電事業者の発電原料となるため日本の輸入業者によって輸入されます。左側がFITガイドラインが一般木質バイオマスに要求する項目、右側がFSCの側が正規のFSC製品であるために要求する項目です。(あくまで模式図です)

(業界団体認定をうけた輸入業者の責任)

産地国のサンプライチェーン管理が本当に確りしたもので、信頼できるのかは、輸出する相手がFSCのCOC認証を受けた者かどうかがポイントです。(上の図の赤い矢印の先に注目)

自社がFSCの正規の手続きの製品であることを販売する資格がある(手続きを理解していて全ての取扱製品を管理するシステムを持っている)と、第三者が認証することをCoC認証といいますが、取引相手の産地国輸出事業者がCOCを所有していることを確認する必要があります(「COC所有者からかったものだ」といわれて買うのではだめ)。

その上で、その輸出業者が販売してくるものがすべてFSCの認証製品ではなく、その輸出業者がこの製品はFSCの認証製品であると証明している請求書、納品書などの文書が必要です。その文書を確り管理して一般木質バイオマスとして販売した量との間に矛盾がないように、管理しておく必要があるでしょう。

RIEF指摘疑惑が指摘している多量のFSC由来の木質バイオマスが輸入される可能性は、COCをもった輸出事業者が出荷する製品をすべてFSCの認証製品であるとして取扱い、輸入業者が「一般木質バイオマス」として日本に持ち込まれるリスクです。FIT管理上の初歩的な問題点です。

(FSCミックスとは)

もう一つRIEF指摘疑惑のように、FSCの森林認証された森林と、FSC認証製品の量との間に幅ができる可能性があるのは、FSCミックスという仕組みです。上記の図の輸出業者のFSCミックスとしての販売という部分を参照下さい。FSCミックスは、森林認証林から生産された木材ほのかに、木材製品が作成される過程で排出される端材や建築物の廃棄物などリサイクルされた木材であることがはっきりしている「FSC回収木材」と、FSC認証林由来ではないが合法性など一定の社会的なハードルをクリアした「FSC管理木材」などから製造された木材製品です。

FSCのミックス材は、一定の管理がされたものであることから、それを購入した輸入事業者が一般木質バイオマスの根拠として取り扱う可能性があり、RIEF指摘疑惑が示すFSCの認定森林の量と、FSCの認証木材の量の差の原因になります。

林野庁ガイドラインQ&AでもFSCミックスはFSCの管理木材が混じってる場合の「一般木質バイオマス」の根拠としてOKといっています。Q.91 質問内容 森林認証木材が証明書にミックスとか○○パーセントなど、分別管理していないと思われる記載がある場合でも合法性、持続可能性を証明したことになるのか

上図のとした部分

建築資材廃棄物と一般木質バイオマスの関係
発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン運営マニュアル (7ページ)

ただし、FSCシステムが発電用バイオマスを前提に作成されていないので、FSCミックスを使う場合、FITの側にとって、ちょっと注意しなければならないことがあります。

それはFSCミックスの中に回収木材というものが混入される可能性があることです。回収木材には加工工場で排出された廃材とか、建築物が解体された廃材がなど、それ以前の履歴がわかなない製品が入ってきます。(上の図の右下 分別管理が不必要など)

FITの側からいうと、建築物からの廃材は、一般木質バイオマスでなく、建築資材廃棄物として分別管理すべき全く別の発電用燃料のカテゴリ です。(右の図の赤丸

実際のビジネス上、建築廃材がペレットやチップの中に入ってくることはあまりないかもしれませんが、FSCのミックスを取り扱う場合、それを一般木質バイオマスとしてよいかどうか、輸入事業者が確り調査して、確認をしなければならないことになります。

(FSC認証材の確認の仕方)

以上のことは、今回のFSC情報の中にも指摘されていて、今回のFSC情報の最後のページに分かり易い左表が掲載されています。

FITの側から、FSCを利用する場合のリスクが整理されていますが、一番下のFSC管理木材というのを注目して下さい。

管理木材というのは前述の通り、COCを持った人がFSCの認証製品を売る場合、すべての原材料をFSCの認証製品として売ることができない場合の便宜のために作られた制度で、その代わり、残りの部分も違法伐採や児童労働などの社会問題をおこさないように管理をするこという手続き規程があり、これに基づいて管理木材が取引されていますが。これは、COCを持った人にしか管理木材だといって販売してはだめですよ、という別の規程があるのだそうです。

買う側がFSCのCOCを持っていない場合、売る側がFSCミックスですとして売られるなら、それでよいが、FSC管理木材ですよ、と売られた場合FSCの規程違反なんだそうです。

(おわりに)

FITを管理する立場に立つと、FITのガイドララインで輸入材を一般木質バイオマスだと証明するのに産地国のFSCサプライチェーンを利用するのは便利なことですが、難しい問題もあり、担当者が替るなど認定事業者が間違う?リスクは常にあるので、リスクを回避するために、系統的な情報収集と、日常的な注意喚起などの不断の努力でが必要なのでしょう。

FSCの側でも同じなのだと思います。

ちょうどよい注意喚起のチャンス!

また、今回FSC側が指摘したように、FSCミックスのようにFSCの仕組みをそのまま使うことに問題が発生する可能性があるようなものについては、FITを管理する側からも系統的な情報発信がされていく必要があるでしょう。

今後、FITガイドラインの透明性を高めていく上で、関係者のさらなる努力が必要で、私も関係者の一人かもしれないので、この問題には可能な限り、関与していきたいと思います。

energy1-35<fitwithFSC>

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世界と日本の森林の今ー世界森林資源調査2020の公開はじまる(2020/5/15)

このところ5年に1度公開されている、FAO国連農業食糧機関の世界森林資源調査2020年版の公開が始まりました。Global Forest Resources Assessments

林野庁のサイトに翻訳が掲載されています。世界森林資源評価2020主な調査結果(仮訳)

そもそも、ローカルな課題だった森林問題が突然地球環境問題になったのも1980年代初頭のこの調査などがきっかけです。

このサイトでも5年に1度の森林の現況を伝える、この報告書については、確りフォローしてきました。

世界の森林資源調査2015の内容(2015/10/24)
世界森林資源評価2010の結果 (2010/11/20)
FAO世界森林資源調査2005の全文公表 (2006/3/13)
FAO地球森林資源調査GFA2005の結果 (2006/1/9)
FAOによる2000年時点の世界森林資源調査調査結果(2001/5/11)

概要を紹介しましょう。

詳細版は追って公表されるそうですが、今回はKey Findingの紹介で以下の見出しが並びます

★森林は世界の陸地の約三分の一に広がる_
★世界の森林面積は減少を続けているが減少速度は低下
★森林の純減速度が最も高い地域はアフリカ
★森林減少は続いているが、その速度は低下
★世界の森林の90%以上が天然林
★プランテーションは世界の森林の3%を占める
★原生林面積は約10億ha
★ 20億haの森林が管理経営のための計画を有する
★火災は熱帯地域における主たる森林撹乱要因
★世界の森林の所有形態は主に国公有林だが1990年以降は私有林も増加
★世界の森林蓄積量は減少
★森林の炭素蓄積量は減少
★約30%の森林が生産目的で利用
★約10%の森林を生物多様性保全のために指定
★水土保全のための森林が増加
★ 1億8000万ha以上の森林を社会サービスのために利用

森林の状態を色んな角度から検討すると共に、管理水準を評価しようという狙いですね。

より詳細な分析や236の国・地域からの個別報告を含むFRA2020の詳細版(main rport)は、2020年6月に公表される予定で、また、FRA2020の完全データベースは2020年半ば以降にオンラインで公開されるのだそうです。

まえがきには趣旨が、「FRAが示す情報は、世界の森林の状態やその変化に関する包括的な概況であり、そのような明確な全体像は森林・林業に関する適切な政策や施業、投資の策定に資するものである。」とされています。

是非日本の管理水準が全体の中で、どんなになっているのか?検討材料にしていきたいですね。

chikyu4-2<GFA2020>

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情報公開が試す地球環境を管理するグローバル企業の可能性ーCDPフォレスト2019公開(2013/9/28)

「情報開示を通じて、投資家、企業、自治体が自身の環境影響を認識し、真に持続可能な経済を実現すべく行動を起こすよう促しています。」とする英国母国のNGOであるCDPが、森林をテーマにした報告書CDPフォレストレポート2019を公表しました。

もともと炭素Carbonの開示DisclosureではじまったCDPが、活動分野を広げて森林分野に取り組みはじめたのが2013年度。その時に、このサイトでも内容を紹介しました。情報公開が試す地球環境を管理するグローバル企業の可能性ー炭素から森林へCDPの実験

森林破壊を食い止めるための、グローバル企業の活動を市場を通じた管理するという取組がどのようになっているのか?日本語版に基づいて概要を報告します。

(企業の情報開示と森林との関係)

生産過程で森林にリスクを与える可能性のある商品(木材、パームオイル、畜牛品、大豆、天然ゴム)を取り扱うグローバル企業(今年から金属炭鉱なども含む)1983社(内日本企業152社)に対して、自社の製品の取扱状況から、リスクの認識・対応方針・管理の仕方・・・検証の仕方などに関する、体系的な質問リストが送付され、回答状況・回答内容などが開示されるととともに、回答状況と内容に応じた評価が開示されるというものです。

スポンサーとなっている投資会社に回答内容が開示され、「開示を通じて示される毎年の進歩でが森林減少を食い止めるため根拠。開示の加速化を」(CDPフォレスト責任者モーガンクレスビー)というわけです。

(リストされた企業)

質問が送られた企業の名前と回答状況が公示されています。日本語版には日本の企業の名前がすべて開示さ得れていますが、パーム油など食品をあつかう、味の素だとかサントリー等並んでいますが、木材の関係で選ばれているのは、インフラセクターとして大手建築会社・住宅メーカー、小売りセクター?で伊藤忠、住友商事、双日などの輸入商社、などなどです。

国産材に関連する大規模製材企業などが選ばれていないのですが、事務局に聞いてみたら、「グローバルな基準で選んでいるので」という回答。また、「今後は追加はあります」とのことでした。具体的な基準が示されていないのは少し残念。

(質問の内容)

全ての質問とその回答のガイダンスが示されている(CDP Forests 2020 Questionnaireを参照)ので、内容を見てみました。
ほんの一部ですが、雰囲気を見ていただくために紹介します。

(F3.1) 貴社の事業の財務または戦略面で重大な影響を及ぼす可能性のある潜在的な森林関連リスクを特定したことがありますか?

はい→(F3.1b) 回答する森林リスク・コモディティに関して、事業における財務または戦略面で重大な影響を及ぼす可能性があると特定されたリスクと、そのリスクへの対応の詳細を記入します。
色んな選択肢が提示されーーーブランドイメージ/収入割合や収入源の変化/成長に対する制約/事業撤退/株主価値の減少/売上の混乱/罰金、違約金、または施行令/訴訟/事業許可の喪失/企業資産に対する影響/従業員管理および計画立案の混乱/などなど
それから補足説明
いいえ→(F3.1c) 財務または戦略面で重大な影響を及ぼす可能性のある森林関連リスクにさらされていると考えない理由を回答してください。
主な理由の選択肢が示されーーーリスクはあるが、重大な影響はもたらされないと考えられる。/評価中/まだ評価していない/その他、具体的にお答えください

(F3.2a) 選択した森林リスク・コモディティに関して、事業における財務または戦略面で重大な影響を及ぼす可能性があると特定された機会(チャンス)の詳細を回答してください。

はい→(F3.2a) 選択した森林リスク・コモディティに関して、事業における財務または戦略面で重大な影響を及ぼす可能性があると特定された機会の詳細を回答してください。
機会の種類(選択肢:効率/弾力性/市場/製品および サービス/金銭的インセンティブ/その他)
バリューチェーンのどこで機会が生じますか?(直接操業/サプライチェーン/バリューチェーンのその他の部分)
潜在的影響の程度(選択肢:やや高い/中程度/中程度~低い/低い/不明)
可能性(選択肢:ほぼ確実/可能性が非常に高い/可能性が高い/5割を超える確率で/可能性がおよそ5割/可能性が低い/可能性が非常に低い/可能性が並外れて低い/不明)
などなど
いいえ→(F3.2b)貴社が森林関連機会はないと考える理由を記載してください。
主な理由(選択肢:機会は存在しますが、それを実現することができません/機会は存在するが、事業に重大な財務的または戦略的な影響を及ぼす可能性があるものはない/評価中/重要でないと判断した/機会追求について経営陣から指示がない/まだ評価していない/その他、具体的にお答えください)

などなど

(回答結果とその評価)

突然送られてきた詳細な質問票と、丁寧な注意事項の説明書。勿論、回答するもしないも企業の勝手ですが、回答結果が内容の含めて、公開され、その評価結果も公表されます。どのように評価されるかがスコアリングの紹介Scoring Introduction 2020という文書で説明されています。

回答しなかったり評価できないほど回答が不足している会社はF( Failure to provide sufficient information)、評価ができる十分な量の回答をされた会社はAからD-までの8段階に評価されます。
評価の段階は①情報開示、②評価、③マネジメント、④リーダーシップという4つのカテゴリーに応じて行われ、それぞれの質問項目が4つのカテゴリーに割り振られているようです。

ます①情報開示に分類された質問が俎上に登り、配点が一定点(80点)以上にならないと、次の評価の段階の採点をしてもらえないで、点数によりD(45点以上)かDー(それ未満)に評価されます。そして②評価の段階の採点に進んだ企業はその段階で結果が80点以上になると、次の段階③マネジメント段階の採点とすすみ(すすまなかった企業はCかC-)、その結果が80点以上だと、最後の④リーダーシップの採点段階まで進んでその質問の点数が80点以上だとA評価になるようです。

(森林リスク商品指定の機会とリスク)

このような調査が、どの程度の力になるのか、回答数は増えつつあるが、まだ回収率は3割以下(気候変動や水管理分野では半数以上)で、正直言ってまだ先がよく見えないです。

しかし、今回改めて質問の内容などを見てみましたが、それぞれの回答に対する精緻な選択肢が提供されていて、様々な角度からの検討がなされたものであることがよく分かりました。

また、回答結果も、回答するけど、ウェブ上では一般に人には公開しないでほしい(報告書では未公開となっている)、という選択もできて(スコアリングと署名投資家には公開されるのだそうです)、選択肢が広がっています。

回答する立場に立つと面倒くさい作業には間違えありませんが、作業過程で会社の本部と現場の間でコミュニケーションが進む。特に木材分野でなく食品や農産物などを取り扱う企業が、森林分野のリスクや取り扱うメリットについて認識を深める大切な機会となることは間違えないと思います。

(CDP説明サイトの日本語力)

CDPフォレスト2013が公開されたときは日本語版がなく、承諾を得て勉強部屋でkeysumaryというページを仮訳してネット上に公開しました(こちらから)。

それに比べると、現在ではCDPジャパンという日本語のページがあり日本語で十分です(エンゲージメントってなに?大手輸入商社が小売業なの?といった気になる点はありますが)。日本企業や投資家に向けた情報発信の大切さが認識されてきたということですね。

持続可能な木材の利用推進などで、この、機会という部分がどのように活かされていくのか?今後注目して参ります。

junkan5-5<CDPF2019>


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新型コロナヴイルスと森林(3)(2020/6/15)

このページでは「新型コロナウイルスと森林」に関するニュースを拾っていきます。

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森林伐採の防止が新たなパンデミックリスクの低減につながる(5月20日)
How Curbing Deforestation Can Help Protect Us Against Future Pandemics

森林伐採により、コウモリやその他の動物と人間との距離が近づき、本来共生するはずではなかった種同士が引き合わせられ、新しい人獣共通感染症による破滅的な事態を招いている。

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新型コロナウイルス発生の裏にある“自然からの警告(国立環境研究所五箇公一氏YouTube)

「新型コロナウイルス発生の裏にある“自然からの警告”」と題して、ダニ博士としてTVでおなじみ、五箇公一室長(生物・生態系環境研究センター 生態リスク評価・対策研究室)によるトークを、秘密のアジト(?)から緊急配信!新型コロナウィルスをはじめとする新興感染症や、外来生物の脅威など、いま人間社会を脅かしている問題を、生態学の視点から解説します.
最後の落ちは地産地消

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新型コロナパンデミックの原因は「人類が森林を破壊したからだ」(ニュースウィーク6/10)

「チンパンジーの道具」を発見した86歳の霊長類学者が語る、野生生物保護と新型コロナ危機
霊長類学者で野生生物保護活動家のジェーン・グドールの名前を聞くと、チンパンジーの保護活動が思い浮かぶ人も多いだろう。しかし、これまで60年にわたって彼女が取り組んできた活動は、それだけにとどまらない。
私たち一人一人が毎日、地球に影響を及ぼしているということ。ものを買うときには、倫理的な選択をしてほしい。その商品はどのように作られたのか。環境に害を及ぼしていないか。動物に残酷ではないか。

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6月5日、世界環境の日にウィズ/ポストコロナ時代を見据えた WWFが提唱する人と自然の新しい関係(JIJI.COM)

公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)は、6月5日、世界環境の日の本日、新型コロナウイルスとの共存(ウィズ・コロナ)の社会と新型コロナウイスル感染収束後(ポスト・コロナ)の社会で求められる持続可能な未来を目指した活動にどう取り組んでゆくのかを発表しました。
【WWFの取り組み】
・森林・海洋の保全活動:環境に配慮した製品につけられるエコラベルの推奨
・環境教育・普及活動:環境教育、活動の広がりと支援の呼びかけ
・活動全般:持続可能な社会の実現に向けた提言

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林政ニュースー遠藤日雄のルポ&討論コロナショックにどう立ち向かっていくか

「コロナショック」にどう立ち向かっていくか(下)
 ▽今夏の着工戸数は4割減、減産指示出す、ヒノキ価格下落 ▽直面する最大課題は丸太の供給調整、今こそ懸案にメスを ▽国有林が一定の役割、原木市場と量産工場の“関係”活かす ▽民・国の関係者がSCMに参画し、適正利潤で“最適化”へ
「コロナショック」にどう立ち向かっていくか(中)
 ▽廃業危機から脱する道を、「林業版ニューディール」も必要←こちらから▽「木質内装の今後は明るい」、木製内窓や防球格子戸が好調 ▽感染拡大受け「できること着実に」、新たな需要も見据える
「コロナショック」にどう立ち向かっていくか(上)
 ▽消費増税の落ち込みに追い打ち、5月以降一体どうなる? ▽製品価格下落、コンテナ物流停滞、プレカットは4割減も ▽山元の丸太価格が続落、五輪延期で在庫放出、廃業を懸念

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junkan9-3<cov&fore3>

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 グリーンなサプライチェーン管理のリスクとチャンスー勉強部屋ニュース250編集ばなし(2020/6/15)

FSCとFITのガイドラインの関係。サプライチェーンを管理システムについては、疑惑などの形で情報が拡散するなかで、直接現場の実態がわからないもどかしさがあります。ただ、システムのほころびができると、「まじめにやっていると損をする」となって結構危うい面を持っているのも間違えなありません。こういう機会にしっかり情報発信が組織的にされる必要がある!!フロントページ輸入される発電用木質バイオマスのサプライチェーン管理ー森林認証とFITのガイドラインの関係が少しお手伝いになればよいと思います。

グローバル企業の社会的責任が投資側への情報開示という形で後押しするCDPの挑戦。これも森林管理という側面でいうとサプライチェーン管理の手法です。食料品の製造過程と森林リスクという点で、食品業界のサプライチェーンの中のなかの巨大企業の役割は大切です。それでは木材とくに国産材の場合はどうなのか?国産材製材過程の大企業化が進んでいますが、そのプレーヤーにCDPの質問状が届くのはいつなのか?CDP事務局に聞いてみましたが、・・・国産材輸出も視野に入れると、もうすぐでしょうか。

次号以降の予告、地域の建築と小さな林業の全国ネットワークー新しいウッドマイルズの可能性、欧州で進むグリーンニューディールは日本にとって?、グリーンインフラと森林ーグリーンインフラ運動の展開、成長産業化地域と令和の山づくり、森林外交論続き、勉強部屋の20年

konosaito<hensyukouki>

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最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp