情報公開が試す地球環境を管理するグローバル企業の可能性ー炭素から森林へCDPの実験(2013/9/28)

久しぶりの環境経済政策学会大会で、グリーンサプライチェーンの展開と政策課題というシンポジウムが開催されましたが、グローバル化するビジネスのネットワークを通じてた地球環境の管理の可能性について、大変興味深い話を聞くことができました。

その一つが、ロンドンに本部がある国際非営利法人CDPの活動です。

(気候変動への取組開示を投資先選定の要素にしたCDPの活動)

カーボンディスクロージャープロジェクトのイニシアルをとって命名されたCDPですが、その名の通り2003年から気候変動に関する情報開示を企業に求める活動を開始し、今では世界中の6000社から回答を得て、その内容を開示しています 。

CDP 2013 投資家質問書(日本語訳)
CDO2013対象日本企業500社

その回答の内容が公開され投資会社の投資先の選択や、ウオルマートなど大規模小売店の商品調達先選定などに利用されているのだそうです。

CDP の活動投資家によるCDPデータの利用

(CDPの活動の拡大ー森林リスク商品への対処状況)

そのCDPが自社の名称を変更してでも挑もうというのが、炭素以外の地球環境負荷回避の活動で、水とともに、森林リスク商品分野のリスク回避活動の質問票が今年度から全世界750社(日本で56社)に送付されました。

CDPフォレスト 質問書と回答評価2013年2月28日CDPワークショップ

木材、パーム油、畜牛、大豆、バイオ燃料の5つの商品を森林リスク商品と規定し、関連するすべての全ての商品とそれぞれの商品に関する質問質問票が750社に送られ、回答した場合、回答結果は自社の選択によって、公開と非公開の手続きが踏まれます。

公開とした場合はCDPのウェブ上に公開されるとともに、CDPと契約関係にある評価団体、署名投資家などに送付されます。また、非公開とした場合も、回答は署名投資家などに参照できる状況になるようです。(もちろん回答しないことも自由な選択肢)

すべての回答結果は内部で評価されスコアは100点満点に換算、スコアは当面公表しないが、セクター内で高評価だった企業は、セクターリーダーに選出するということなのだそうですです。

今年度の森林リスク商品に関する以下の情報が、一部日本語になってCDPのサイトのCDPジャパンのページに公開されています。(結果に関する情報は現時点9月24日では公表されていない)

対象日本企業一覧、質問書(英語日本語)、回答ガイダンス(英語)、回答評価方法(英語

(質問の中身)

質問票は以下の12の項目にわたっています
1 森林伐採リスク評価(森林リスク商品FRCに利用されている原料を調査したことがあるか)
2 リスク評価(FRCの自社の評判などに関する評価をしたことがあるか、その評価結果と課程、サプライヤーリストの保有の有無)
3 トレーサビリティおよびサプライヤーとの協働(原産地を特定する正規のシステムの有無、サプライヤーと協力した改善努力、生産地の特定など)
4 森林と気候変動に関する公約(FRCに関する製品やサービスの調達において環境基準や調達基準の有無など)
5 基準策定プロセス(第三者認証制度への参加の有無など)
6 目標設定、及びパフォーマンスの改善(基準を満たす商品の数量把握など)
7 サプライチェーンにおけるキャパシティビルディングとサポート(持続可能なサプライチェーン開発されたものの有無と改善方向)
8 対象範囲(戦略の対象となっている割合)
9 報告(サプライチェーンにおける森林伐採リスクに関する情報を一般公開の有無)
10 社内体制とガバナンスプロセス(取締役会での議論、責任者の氏名など)
11 リスクと機会(持続可能性のある原材料を調達または販売することによる事業機会など)
12 今後に向けて( 持続可能な商品の利用に向けて重要な課題)

(森林リスク商品指定の機会とリスク)

グローバルにビジネスを展開する企業の環境対応を通じた森林問題へ取組の今後が注目されます。

対象となる日本の会社リストには王子製紙、日本製紙、大日本印刷、凸版印刷なのほか、ローソンやセブン&」アイなどのコンビニ系がはいっていいます。

5つの森林リスク商品のうち4つは農産物で森林との共生をはかる農業の展開に応援となるものでしょう。

また、木材についても持続可能な森林経営に向けては大きな力となる可能性があります。

ただし、森林リスク商品と認定された木材よりも化石資源系の商品の方がリスクが低くて安心ということにならないかというのが、このプログラムのリスク面です。

プログラムの運用など注意をしておく必要があります。

junnkan5-1(CDP1)