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ニュースレター No.159 2012年11月25日発行 (発行部数:1350部) | |||||||||||
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このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。 情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。藤原 |
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フロントページ:日本のGoho-woodの取組みのグローバル基準としての可能性ー違法伐採対策問題に関する二つの国際セミナーから(2012/10/29)
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11月11日(日)パシフィコ横浜で全木連主催による「違法伐採対策合法証明木材等に関する国際セミナー2012、生産者と消費者をつなぐ業界団体の取組(」開催されました。また、12日(月)には国際環境NGO FoE Japan、地球・人間環境フォーラムなど環境NGO主催「違法伐採対策セミナー、米国改訂レーシー法と木材業界への影響」のセミナーが開催されました。 (消費国の違法伐採問題対応の現時点) 日本は2006年にグリーン購入法の規程を改訂するとともにと木材の合法性証明等のガイドラインを作成し、消費国から違法伐採問題に重要な情報発信を始めました。遅れて米国がレーシー法の改正(2009年施行)、EUがEU木材規則の制定(2013年施行)を行いました。これらの取り組みをうけて、消費国・消費者から生産国・生産者に対して森林法の施行状況のレベルアップのための情報発信をどのような形で進めていくのか、ということが国際的な議論のテーマとなっています。
(EUと米国のアプローチの共通点と問題点) EUと米国の共通点は、取引される木材が国境を越えて自国内に入ってくる通関時点で、輸入業者に輸入されたものが、違法伐採木材による製品ではないということを担保するための「善良な管理者としても義務」を要請し、その義務に違反ものに罰則規定を設けていることです。 国境を通過する時点で生産過程の社会的負荷をチェックする手法として有名なのは、紛争地での反政府勢力に利用されるのを防ぐ紛争地ダイヤモンドの流通を防止するキンバリープロセスととよばれる輸入時点での証明書の要求です。 残念ながら違法伐採問題には国際的に合意された合法性を担保する証明書がありません。また、ダイヤモンド原石のように国際的な生産地点がきわめて限定されている商品に比べて、管理された証明書の作成の困難性は比較にならないものといえます。 そこで、生まれたのが、具体的な要請事項を明確にしないまま、管理者としての最低限の努力(DYUプロセスという)を要請し、その違反に罰則をつけるという思い切った(!)手法です。 要請事項が明確でないために、産地国側でのインパクト(混乱)は大きくなる可能性を含んでおり「産地側では日本に付いての話題がほとんどなく、EUと米国の話ばかり」という、日本の制度のインパクトのなさを批判する意見の根拠になっています。 そのほかにEUはVAPと呼ばれる二国間条約を産地国と結ぶ作業を行っており、締約国からの輸入に対しては上記のDYUプロセスを要求しないという二本立ての方法を導入しています。この点は重要です。 (日本のGoho-woodと欧米のシステムの違い) 他方で、日本の場合は日本の国内に合法性証明材を持ち込むためには林野庁のガイドラインに基づく証明が要求され、輸入業者は第三者による森林認証材か、ある種のDYUプロセスを要求される証明書発給プロセスの透明化を要求されています。(これらの点については、合法木材ナビ合法性の証明方法について) 二つのシステムの違いを比較すると、第一に欧米側にあって日本にないものは、日本では合法性証明が法的にはグリーン購入法で担保されるようになっているため、罰則規定のような法的な拘束力が少ないない点であり、逆に欧米になくて日本にあるのは、通関時点を超えたあとの木材や域内で生産された木材をすべてカバーする、証明の連鎖のネットワークです。 (木材の加工流通ビジネスの特殊性) 日本人が使っている鉄の鉄鉱石の産出国は、オーストラリア、ブラジルの二カ国で9割をしめ、あとはわずかなものです。建築資材の基となる自然資源をコマーシャルベースで産出できる箇所は、鉄にしても石油にしても限定されていますが、木材の場合森林から生産される地点は限りなく拡散されていること、精錬、製油、加工といった原材料を消費形態まで加工させるための施設も木材の場合他の資材に比べものにならない多様性があります。 そのため、特に川上部分の環境負荷を追跡するには、膨大なコストとエネルギーがいることになります。このネットワークを管理するためのツールは二つあり、一つは通関時点のチェック、もう一つが加工流通業者に自主的な参画をもとめる仕組みを作ること、です。 たぶんその二つが必要なのでしょう。 (Goho-woodのグローバルスタンダードの可能性) 欧米型の通関時点のチェックがうまく機能するためには、ディユープロセスなどといった曖昧なものでなく、キンバリープロセスのような合意された証明制度の連鎖が必要になってくると思います。このへんも、国際的な産地国と消費国の連携が必要でしょう。欧州のVPAは一つの方向を示しています。 また、森林法の施行というあらゆる行政分野を比べても困難な政策課題は、途上国だけでなく、EUや日本にとっても重たい課題です。その管理を消費者と連携をとって実施していくという観点に立つと、消費国にとっては輸入材の輸入時点での管理のみならず、消費国内でのネットワークに管理を提唱している、日本のシステムはグローバルな意味を持つと思います。 そんな点で日本の取り組みについての評価を、先般の国際セミナーで「違法伐採問題に対する日本の木材業界団体認定制度の意義とグローバルスタンダードの可能性」という演題で、簡単な報告をさせてもらいました。 合法木材ナビの「違法伐採対策合法証明木材等に関する国際セミナー2012 開催結果」のページに報告概要、プレゼン資料が掲載されていますのでご一読下さい。 bouek4-48(Gohowoodsemi2012) |
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全国1のスギの産地でこれからも高いポテンシャルをもつ宮崎での大会で、今後の国産材の行く末を考える重要な機会ですが、関連するイベントで、宮崎県木材利用技術センターの所長を長いことされた有馬孝禮 発表用の資料をいただいたので基調講演を紹介します。 「なぜ、今スギなのかー木材利用推進の流れの中でー」 (あらすじ) 47年から20年単位の時代エポックにしたがうち、来年は今までの停滞期から飛躍の時代への転換点にある、のだそうですが、それはそれとして、 スギの素材生産量の推移の分析をされていました。全国の推移を見ると72年あたりからから横ばいになっていたのが、最近少し上向きになってきた、という変哲もないグラフですが、県別にみると、おかれた状況と態様が生産地と消費地で大いにつがうことがわかる。 地産地消や顔の見える家造りなど、グローバルマーケットの動向に対抗する運動は、なかなか広がりが難しいが、うまくいっているところは、製材加工部門のステークホルダ=が鍵をにぎっている。 為替の動きを気にしているが、丸太の価格にはほとんど影響を与えていない、丸太が安いのは別の要因。 資源としての持続性(どんどん使える 「なぜ、今スギなのかー木材利用推進の流れの中でー」 kokunaii6-27<whysugi> |
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「速水林業の挑戦」を読んで、読後感想(2012/10/29)
日本でFSC森林認証の第一号取得者であり林業経営者協会の会長でもある、速水亨氏が「日本林業を立て直す」として標題の著書を出版されました。 日本林業を立て直すアマゾン購入サイト このHPでも早くから森林認証制度を興味深く追いかけてきたので、同氏とのつきあいも長いことになります。2000年6月号ニュースレター#13速水林業の挑戦 ご案内をいただき、早速入手して読ませていただきました。(すこし時間がかかりましたが) 林業が、ローカルな地域の重要産業という立場から、急にグローバルな位置づけをさせられる難しい時期に、林業界のリーダーとして、企業の対応をはかるだけでなく、対外的な発信の第一線を担いつづけてこられた記録として「速水林業の挑戦」は大変刺激になります。 地球環境のサイドからFSCの森林認証などの手続きで提起される「生物多様性」のようなグローバルな難しい課題に対しても十分柔軟に対応されていく課程や、グローバルな価格競争力を山作りの過程から真っ正面にうけとめて改革をはかられてきた課程がわかりやすく紹介されています。そのどちらも、歴史のある尾鷲林業の中ではぐくまれた速水林業の蓄積に支えられていることがわかり、伝統ある林業地から全国に発信される貴重な問題提起の書ですので、一読をおすすめします。目次は以下の通りです。
大変刺激的な「速水林業の挑戦」に対して、「日本林業を立て直す」という視点に立った場合、すこし物足りないところがあります。 フロントランナーを走る速水林業としては、あらゆる困難の中で、ニッチな市場を開拓して思わない消費者との出会いなど経営者としての感動もあり、経営としての安定性も確保されるといということなのかもしれませんが、それが日本全体の林業を立て直す選択肢の一つではあっても全体を規定するキーワードになるのか疑問があります。 また、ニッチと全体の関係は、「日本の木材関連業界が進めている合法性証明は、第三者性がない」といって否定的な議論をされるのも同じです。FSCやPEFC、SGECといった第三者性をもったコストをかけたシステムと、困難だけれども全体の底上げをはかるシステムがともに必要だと思います。(その辺は「日本のGoho-woodの取組みのグローバル基準としての可能性」を是非どうぞ) いずれにしても、評論家でも学者でも行政官でもない企業経営者の書いた優れた問題提起の一冊です。 kokunai6-28<hayamicyosen> |
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