ニュースレター No.295 2024年3月14発行 (発行部数:1666部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 

                      一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原敬

目次
1. フロントページ:ビッグビジネスの木材利用の道筋ー第15回「新たな木材利用事例発表会」から(2024/3/14)
2. 森林の未来をつくる、消費者と連携した次世代の森林づくりの方向はー勉強部屋Zoomセミナー第6回報告(2024/3/10)
3. 「森林の生物多様性を高めるための林業経営の指針」案についての意見(2024/3/10)
4. 気候変動枠組み条約COP28と森林(2)日本からの情報発信(2024/3/1)
5. ビッグビジネスの木材利用の道筋?・・・ー勉強部屋ニュース295編集ばなし(2024/3/14

フロントページ:ビッグビジネスの木材利用の道筋ー第15回「新たな木材利用事例発表会」から(2024/3/14)

毎年開催している「新たな木材利用事例発表会」1月29日新木場の木材会館で開催されました。

久しぶりで、木材会館にいってきました。

全木連が主催するこのイベントは、しっかりした報告ページができていて、プレゼン資料、プレゼン概要、アーカイブ動画など、すごく丁寧な報告ページがあるので、こちら↓をみれば、詳しい内容はわかします

第15回「新たな木材利用事例発表会~JAS材の普及拡大に向けて」の概要

サプタイトルは上記の通り「JAS材の普及拡大にむけて」なのですが、需要者側企業の環境的情報発信を視野に入れた木材利用促進の熱意。

インパクトがありました、ので、すこし、全体の内容紹介のページを作ってみました。プログラムは以下の通り。

 プレゼン資料  タイトルとプレゼンター+動画  クロージング
   開会挨拶(全木連菅野会長)(アーカイブ動画  JAS材普及拡大に繋がるの契機となれば。ご参会の皆様のご健勝ご発展を祈念します
「製材 JAS の供給・利用の拡大に向けて」
林野庁 林政部 木材産業課 上席木材専門官
鈴 木 清 史 氏
アーカイブ動画
 改正建築基準法の施行等を契機として川下側で JAS 製材のニーズが高まることを想定しつつ、地域毎に川上から川下まで関係者間での協議や情報共有を行うことにより JAS 製材のサプライチェーンを構築することが、持続可能な森林経営、森林資源の循環利用においても大きな意義
「木材供給体制と JAS 材生産の取り組み」
協和木材株式会社 専務取締役
佐川 和佳子 氏
アーカイブ動画
 今後の JAS 材生産として選別を自動化する生産ラインがとりあげられ、視察で訪れたドイツの製材工場で目の当たりにした生産ライン上の無人化、人の介在は設備トラブル対応時のみといった生産体制が理想の姿であるとの話があり、カメラやセンサー等のスキャナーを使用した検査・選別・格付は、精度管理面・生産性向上、そして地方における人材確保の難しさにおいて有効な設備である
「カーボンニュートラル社会に向けた木材利用の取組と JAS 材への期待」
株式会社竹中工務店 木造・木質建築推進本部 シニアチーフエンジニア
小 林 道 和 氏
アーカイブ動画
 企業活動の情報開示基準をつくる国際組織である国際サステナビリティ基準審議会(ISSB: International Sustainability Standards Board)の記事の紹介がありました。ISSB は 2024 年6月までに気候変動の次に整備すべきサステナビリティ開示基準を絞り込む予定であり、そのテーマに生物多様性、人権、人的資本の3つが挙がっていること、生物多様性の採択の可能性が高く、採択されると5、6年先には企業の対応が求められるようになり、木材の使用についても気候変動と同等の説明責任を果たす必要があることに注意と準備が必要
「マクドナルドの国産木材の活用状況 Planet Project」
日本マクドナルド株式会社 店舗開発本部 設計建設部 投資モデル最適化部 部長
佐 藤 弘 樹 氏
アーカイブ動画
 植林が約束されている木材を使いたいとの考えのもと、3年間で使う 5,500 ㎥の地域材について、それら地域材の伐採あとに植林しその後 40 年で成長する森林がCO2 を吸収すれば、都市の CO2 貯蓄倉庫と併せて森林の CO2 貯蔵装置が機能すること、また、森林からトレーサビリティのある木材が店舗に供給されるとともに、植林した木が成長すれば森林として CO2 を吸収することとなり森林資源の循環利用につながる・・・・。木造店舗を開発することによって、CO2 排出削減だけでなくCO2 吸収にも貢献することがマクドナルドが描く夢であり、このことを子供たちにも理解してもらえば素晴らしい

(製材JAS普及の課題)

全体のイベントのサブタイトルが「JAS材普及の普及拡大にむけて」であり、林野庁の第一報告ではJASとは何かに始まり、とくに製材JASの普及が課題だが、とくに、国産材の利用の推進力となっている地域工務店の地域材利用を拡大するには製材JASが不可欠と、具体的な提案がなされてインパクトがありました。

ただもっとインパクトがあったのは、最終消費者のプレゼンの環境にこだわる木材利用の取組でした。

色々質問もしてみました。

(カーボンニュートラル社会に向けた木材利用の取組と JAS 材への期待:竹中工務店)

地域材の木をふくめて、各地に建設してきた木造ビルの紹介に、はじまり、後段は、木造木質建材が社会に受け入れられうための課題として、右の図のように、3点指摘されました。

①建設工事費の削減、②耐久性に関する建築主等の不安の払拭、➂環境問題への貢献

とくに、三つめ中心のプレゼンが充実していました。(この部分の動画

そこで、終わってから、質問をしてみました。

問:JASがテーマなんですが環境問題につい大きな話題として報告されたので、そちらの方面を伺いたいです。クリーンウッド法の話がでました。竹中さんはクリーンウッド法の登録されているようですが、ゼネコンでなかなか登録が進まないようですね。グループでワーキンググループをつくっているとわれていました、是非頑張って下さい。建築事業者のクリーンウッド登録のどんなところに問題点がありそうですか?

答:クリーンウッド法登録は努力義務なんでトップから「どんなメリットがあるのか?」聞かれると、はっきりいって、「ちゃんと対外的に公表出来ますよ」というだけなんですよね。「『ちゃんとした調達をがんばってやっています』よ、といっていれば、登録する必要なんかないじゃないか?」となります。ただ、経営環境を見てみると、「生物多様性などにちからをいれているか」というTNFDといった仕組みも動いてきているので、クリーンウッド法どころの話ではない、厳しい環境パフォーマンスの報告が求められるようになります。クリーンウッド法で地ならしをしておいて、将来に備えるということが必要だと思ます。TNFD時代にむけて!!

(マクドナルドの国産木材の活用状況 Planet Project)

世界約100以上の国と地域ー約40,000店舗で展開
日本:約3,000店舗ーといった企業が店舗の木質展開をしています

なぜ?の答えが、左の図

繰り返しになりますが、植林が約束されている木材を使いたいとの考えのもと、3年間で使う 5,500 ㎥の地域材について、それら地域材の伐採あとに植林しその後 40 年で成長する森林がCO2 を吸収すれば、都市の CO2 貯蓄倉庫と併せて森林の CO2 貯蔵装置が機能すること、また、森林からトレーサビリティのある木材が店舗に供給されるとともに、植林した木が成長すれば森林として CO2 を吸収することとなり森林資源の循環利用につながる・・・・。木造店舗を開発することによって、CO2 排出削減だけでなくCO2 吸収にも貢献することがマクドナルドが描く夢であり、このことを子供たちにも理解してもらえば素晴らしい

ということなので、質問をしてみました(ごめんなさい、おわってからメールで)

問 「植林が約束されている木材を使いたい」といわれていました。すばらしいです!が、実施ができていますか?

答: そこができない状況です。林野庁などビジネスに直接かかわらない第三者がそういうことを保証するシステムを期待しています。

コメント:そうなんですね。FSCとかPEEFCとか持続可能な木材のサプライチェーンを保証する仕組みがありますが、あの山でとれた木できています、ここまで成長していますよ!といったシステムが是非ほしい、ということですね。本当にインパクトのあるお話ですね。自治体などと相談して頑張っていただきたいと思います。

よろしくおねがいします!!!

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その先もありますが、ニュースレターではここまで

(「木材供給体制と JAS 材生産の取り組み」:協和木材)

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以上でした

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ビッグビジネスの木材利用の道筋?・・・ー勉強部屋ニュース295編集ばなし(2024/3/14)

フロントページは、ビッグビジネスの木材利用の道筋ー第15回「新たな木材利用事例発表会」から

毎年全木連主催の事例発表会で副題は「JAS材の普及拡大にむけて」なんですが、ビッグビジネスの方がでてきて、もちろんJASの話をされるんですが、主たるお話は自社の環境ビジネスと木材の可能性。

チャンスなので、手をあげて質問をし、名刺交換をし・・・・なのですが、上記にありますように「クリーンウッド法登録のハードル」について質問をしたら、TNFD「自然関連財務情報開示タスクフォース」への取組の準備といった回答が返ってきたので、びっくりしました。

しっかりグリーンビジネスの最前線に追いつけるように、頑張らなければ。JASについての話が弱くなってごめんなさい

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ZOOMセミナー第六回報告、速水さんを迎えての、「森林の未来をつくる、消費者と連携した次世代の森林づくりの方向は」。

速水さんのお話は、補助金の問題点、森林管理適正化事業補助金?の提案など、具体的な話がたっぷりで、「もう1・2回?続きをやってほしい」というご意見がたくさん集まりました・・・

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今回報告は間に合いませんでしたが、学校が春休みなんで、学会関係のイベントがいろいろ。

第135回日本森林学会大会は、東京農大世田谷キャンパス。3月8日から11日まで4日間ある全体の日程のうち最初の一日だけ出席しました。

どっさりある口頭報告や、ポスターを全部フォローできなかったんですが、コレクションかならず作成します。そして、林業経済学会のシンポジウムもアーカイブ動画ができるようなので、ご紹介ページ作ります。

もう一つ3月11日日本建築学会の「建築のLCA指針」改定講習会というのに出てきました。ある建築物の造成・運営・廃棄にかかる環境負荷を測定するツールが新しくできたので、その説明会。

建築物に関連する包括的な計算過程ですが、その中に入っているであろう、造成過程の材料である木材の育成・製造・輸送過程がどのように積算されているのか?ウッドマイルズフォーラムが蓄積してきたツールを新規に構成しようという事業を準備しているので、建築学会のツールでの計算過程に連携がどのようにできるかな?という問題意識で出席してきました(森林学会を休んで)。しっかり報告用のページを作っていきますのでよろしく。

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いよいよ年度末です。来月から2024年度は持続可能な森林経営のための勉強部屋開設25年、勉強部屋ニュース300号(8月号かな)の重要な年度です。

蓄積をフォローする作業を、皆さんと一緒にやって、記録が残せないかなーと思っています。
皆さんと相談しながらやっていきますので、よろしくお願いします

しっかりしたイベントができないか?

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先月号で、「再来年にはカーボンプライシングを導入するんだという方針なんですね。来月号にカーボンプライシングと木材や森林との関係掲載する予定です。」と書きましたが、ごめんなさい。

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それではよろしくお願いします

次号以降の予告。エンボディドカーボン?ー建設過程の温室効果ガス発生量の開示動向/ 森林学会春季大会から/ 「森林整備保全事業計画(案)」についての意見・情報の募集について/ 2024年施政方針演説と森林政策(2)-GXとカーボンプライシング/ 沖縄の木造建築/ 顔の見える木材供給体制構築事業成果報告会/ カーボン・クレジット市場、東証が開設/ 建築物の木造・木質化に関する現状と今後の可能性調査/ パリオリンピック・パラリンピックと木材  

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最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara.takashi1@gmail.com