ニュースレター No.266 2021年10月15発行 (発行部数:1531部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 

                      一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原敬

目次
1. フロントページ:岸田新総理の所信表明と森林の未来(2021/10/15)
1+ 総選挙2021各党の政策の中の森林林業政策(2021/10/15)
2.  第6次エネルギー基本計画案ーパブコメ提出しました(2021/10/4)
3. 地球温暖化対策計画案などーパブコメ提出(2021/10/4)
4. 地球環境時代と木材ー連載が完了(2021/10/1)
5.  (日にちが変更)持続可能な森林経営のための勉強部屋Zoomセミナー第2回御案内(2021/10/1)
6.  カーボンニュートラル2050と木材利用―新たな森林・林業基本計画作成過程等に関連して―(2021/10/1)
7.  クローズアップされた-森林大国・日本 飛躍のカギは(2021/9/20)
8. 新総理所信表明の行われた10月8日は木の日ー勉強部屋ニュース266編集ばなし(2021/10/15)

フロントページ:岸田新総理の所信表明と森林の未来(2021/10/15)

岸田総理大臣は、10月8日臨時国会で所信表明演説を行いました。

成長の果実を分配することで次の成長につなげる「新しい資本主義」を実現する」んだそうですが、新しい資本主義の中でどのように森林の未来が視野に入っているか?見てみました

岸田首相 所信表明演説【全文掲載NHK

(テキスト分析)

まず、6900字のテキスト分析。森林という言葉がいくつあるかな(KHコーダーを使って頻語分析)

多い順に名詞を拾っていくと、経済23、コロナ22、国民21、社会19、実現18、成長16、保障15、分配13・・環境5・・農業3・・・地球2、グリーン2・・・すいません、森林と林業はゼロ

それでは、テキストでなく内容の分析を。

(新しい資本主義と森林は)

所信表明は6つの章立て。1はじめに、2第一の政策コロナ対策、3第二の政策新しい資本主義の実現、4第三の政策国民を守り抜く、外交・安全保障、5新し経済対策、6おわり。(章の番号と章の説明文書が少しずれていたり5章が不自然ですがNHKでも日経新聞でも同じ章立てになっているので、プレス向けに配布されたオリジナル文書でそうなっているのでしょう)

全体としてながめてみると、森林の将来が関係してくるの「第二の政策、新しい資本主義の実現」ですネ。

そのイントロ部分は・・・「新自由主義的な政策については、富めるものと、富まざるものとの深刻な分断を生んだ、といった弊害が指摘されています。・・・今こそ、我が国も、新しい資本主義を起動し、実現していこうではありませんか。・・・
「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」。これがコンセプトです

新しい資本主義を実現していく車の両輪は、成長戦略と分配戦略」。

新自由主義のアンチテーゼとしての新資本主義。配分先の新しい成長分野は何かな?市場の失敗である格差と環境を新資本がどのように、カバーしていくのでしょうか?

(森林分野への分配が成長産業の種になる?)

成長の成果をどのように分配し、次の成長につなげていくのか?ということが最も重要なコンセプトだとすると、森林や林業分野にどのような分配がなされるか、それで林業成長産業化は?

関連する箇所を拾ってみると・・・

成長戦略の第一の柱(分配先?)は、「科学技術立国の実現」、その中の最後あたりに、「2050年カーボンニュートラルの実現に向け、温暖化対策を成長につなげる、クリーンエネルギー戦略を策定し、強力に推進いたします

もう一つは、第二の柱、「地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」」!!

地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていきます。そのために、5Gや半導体、データセンターなど、デジタルインフラの整備を進めます。誰一人取り残さず、全ての方がデジタル化のメリットを享受できるように取り組みます」。この辺が関係ありそう。新しい林業ですね。

この新しい資本主義の実現の章の最後に分配政策という、節がありますが最後とのところに「これらに加え、地方活性化に向けた基盤づくりにも積極的に投資します。」ということばがありました。

森林対してにどうするか、ということは書いてありませんが、新たな政策的な分配で新たな成長を基軸とする新しい資本主義のストーリの中で、関連ありそうな部分は以上です。

新しい資本主義実現会議」を創設し、ビジョンの具体化を進めることになるようです。成長戦略という枠組みで森林の未来のことを議論しなければならないというのは、結構大変なことになりそうですネ。

(カーボンニュートラルは?)

気になったのはカーボンニュートラルの位置づけです。新しい資本主義の成長戦略の「科学技術立国」の中の、最後に先ほど述べた「そして、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、温暖化対策を成長につなげる、クリーンエネルギー戦略を策定し、強力に推進いたします。」とあります。

カーボンニュートラルは成長戦略の一つの中の小さな柱なんですか?人類が直面するリスク対策で日本がリードするのはデジタル技術。大きな視点は?

(急ぐときは1人、遠くに行きたいときは・・・)

「早く行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め。」

新総理が最後に2回繰り返されるこのことことば。成長戦略など、早く成果が欲しい人同士の議論になりやすいですが、地球環境や森林の未来のようなことは、遠くまで見据えて議論をしていかなければならないです。

「新しいことをやりたいけど、内容がまだ詰まっていない」・・・。車座になって議論しましょう。

岸田総理の曽祖叔父、岸田光太郎氏は、台湾基隆の大きな岸田材木店創業者なんだそうです。

カーボンニュートラルを目指す社会の中で、都市を炭素固定庫にするビルの木造化など再び街のインフラを支える木材を、どのように循環資源として新しい資本主義の主流にしていくのか?

道は遠いでしょうが、みんなで進みましょう。

kokunai6-55<kishidafore>

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 総選挙2021各党の政策の中の森林林業政策(2021/10/15)

10月14日衆議院解散、同日の閣議で、31日投開票の総選挙が行われることが決まりました。このページでは総選挙の度に(終わってから)各政党の森林林業政策をフォローしてきました。

今回はニュースを発出する日が、事実上の選挙戦の開始日なので、15日時点で各政党がネット上に公表している、政策の中で、森林林業政策に関係ある部分を整理してみました。(ネット上に公表されている政策の中で、森林・林業・木材という文言がはいっている文章を拾い出しました)

自民党
https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/pamphlet/20211011_bank.pdf

自民党政策バンク

3 国の基「農林水産業を守り、成長産業に。
〇カーボンニュートラルに貢献する森林・林業・木材産業によるグリーン成長の実現に向け、エリートツリーによる再造林等適正な森林管理を推進するとともに、スマート林業等で伐採から再造林・保育の収支をプラス転換する「新しい林業」や花粉症対策苗木の植替え等を展開します。
〇「5か年加速化対策」において治山事業や森林整備事業を2021年度から5年間で集中的に実施します。生産性向上のための林道・作業道等の整備を進めるとともに、ウッドショックを踏まえた国産材の安定供給体制を構築します。
〇森林組合等の林業の多様な担い手を育成するとともに、「改正木材利用促進法」のもと、製材やCLT等の国産材の都市等での利用拡大を図ります。

立憲民主党
https://cdp-japan.jp/news/20211014_2344
立憲民主党政策集2021
【エネルギーp121】
建築物の省エネ

○住宅の省エネ化を進めるため、新築住宅の断熱・省エネ義務化・省エネリフォームの推進、断熱性の高い木材住宅の普及などを図ります。
【環境p128】
生物多様性の保全

○森林は生物多様性の源であり、またCO2(二酸化炭素)の吸収源としても重要な多面的価値を持つことから、間伐等森林の計画的管理、更新期を迎えた森の伐採とその後の潜在植生による自然林の復活を進め、健全な森林再生を推進します。
○伐採木の有効活用(国産材の利用促進、C・D材のバイオマス資源としての活用など)を充実させ、あわせて海外から流入し日本の木材市場に悪影響を及ぼす違法伐採木材の関連法についても検証し、対策強化について検討します。
環境を巡るさまざまな課題の解決
○公共施設の建設などへの違法伐採木材の使用や、イベント開催時に多くの使い捨てごみが排出される現状を変革するため、責任ある調達や積極的な3R体制の構築を推進し、大型イベントのグリーン化を積極的に進めます。
【国土交通・沖縄北方132】
自然との共生P137
[森林]

○「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材利用促進法」を生かし、公共建築物の木造建築化をさらに推進するとともに、日本の森林を守り持続可能な林業経営を可能とするため、国産材(地元材)による道路の木製ガードレール化など、公共事業での木材活用を推進します。
○木材を建築材として活用するだけでなく、未利用森林資源の活用、間伐材等の端材を原料とするバイオマス発電と熱供給、木材ペレットに成型した熱エネルギー利用の促進や、森林資源からプラスチック代替材やバイオエタノールを生産する等の施策を進め、石油産業に代わるバイオマス産業の基盤を構築します
【農林水産p139】
農山漁村の活性化p141

○農地や林地等、相続等を契機として、耕作放棄や森林の適切な管理が行われない状況が生まれています。農地を次の耕作者に引き継ぎ、森林の適切な管理を実施するための登記のあり方について検討し、所有者不明土地の解消や林地の境界画定を進めます。
森林林業林産業p144
[林業の多面的機能の発揮と保全]
○森林の健全な状態での維持は、国民生活および国民経済全体に多大な利益をもたらします。このため、森林経営者や林業従事者の所得を安定・向上すること等により、健全な林業経営を継続するとともに、社会全体で森林づくりを行うとの考え方の下、所有者不明森林の管理保全を含め、地元の森林組合および市町村、国および都道府県が、公的役割を連携・活用して実施する体制をさらに強化します。
○豪雨災害による山腹崩壊の早期復旧および山地防災力の強化のため、森林経営者が受けた損害の救済対策、森林土木事業等を拡大実施し、あわせて、森林の適正な保全に支障を及ぼす開発行為等についての規制を強化します。
○森林を適切に管理・保全することにより、土砂災害の防止や水源のかん養など、森林の持つ多面的機能を向上させます。森林・林業再生プランに基づき、木材の安定供給の強化、国産材の利用促進を図り、また、フォレスター(森林総合監理士)、森林施業プランナーなどの山の専門家の育成等を支援します。
○間伐、主伐後の造林等適切な森林管理を実施する者に対する直接払い制度を維持・拡充し、「木材自給率50%」を目指します。また、国産材の価格を低下させる要因の一つでもある違法伐採木材の日本市場への流通を阻止するため、クリーンウッド法の実効性を評価し、効果向上に向けた検討を行います。
○森林環境税のさらなる有効な活用に向けて検討し、森林吸収源対策のための諸政策を拡充します。
[林業所得の安定・向上]
○わが国の林業は、小規模・零細な所有構造であり、多面的機能の発揮に対する支援を行いつつ、複数の森林所有者が一体となって主伐、再造林および保育等の循環型森林施業を実施する体制を構築していきます。
○林業の担い手を育成・確保し、安全労働環境を整備し、雇用の安定および高齢者の生きがいある働く場を確保するとともに、林道・森林作業道の整備、林業機械の活用および優良種苗の確保等、総合的施策の展開により堅実かつ安定的な林業構造を確立し、林業所得の安定・向上を図ります。
[木材産業の振興]
○路網整備や高性能林業機械導入への支援、販路開拓など流通ルート各段階における支援の強化、森林施業集約化をさらに進め、森林環境の保護と再造林の確保等、林業振興を一体的に推進し、林業の発展と雇用の拡大を図ります。その際、林業の労働安全衛生の徹底を図ります。
○国産材供給量、木材需要量ともに年々回復傾向にある中で、わが国の木材自給率は、着実に上昇を続けています。木材の利用は、快適で健康的な住環境を形成するだけでなく、山村経済の活性化、森林の多面的機能の持続的発揮に寄与しており、今後もさらに森林・林業に関する国民の理解を深めつつ、公共・非公共建築物の木造化の推進、CLT(Cross Laminated Timber=直交集成材)の活用、木造住宅ポイント制度の推進などにより、木材利用を促進します。
○木材産業は原木の購入を通じて山村や森林の整備を支え、また、需要者のニーズに応じた木材製品の供給によって木材利用を推進するという重要な役割を担っており、今後も木材産業への原木の安定供給体制を強化するため、林地と施業の集約、再造林体制の強化、林業と木材産業との川上・川中・川下の連携等を推進し、木材の安定供給と国産材の利活用を促進します。
○「植える→育てる→使う→植える」という森林資源の循環を維持するため、川上(森林所有者・素材生産業者)と川中(木材流通業者、木材加工業者)・川下(工務店・住宅メーカー)との連携強化等により需給変動に的確に対応できる国産材の安定供給体制を整備し、木材価格の安定と川上への着実
な収益の還元を図ります。
○適正に管理された森林から産出した木材を認証する「FSC」「SGEC」制度を推進するとともに、違法伐採木材の市場流入を防止します。
[山村の活性化]
○山村は、林業者が安定的に経営を営み、地域住民が定住し、森林の多面的機能を発揮する重要な場です。山村振興のため、森林資源の循環利用による林業経営の維持安定および生活環境の整備を図ります。
○地域住民が里山林の保全管理に関わり、森林・山村を観光資源として活用しつつ環境教育・体験活動の場とし、都市との交流を進める体制を整備することにより、国民全体の森林への理解を深め、あわせて地域住民の定住促進を図ります。
[国有林野の役割]
○国有林は、わが国の国土面積の2割、森林面積の3割を占め、その9割は「水源かん養保安林」等の保安林であり、公益的機能を果たす国民共有の重要な財産です。国有林野事業については、国民の安全・安心を確保するための公益重視の管理経営を推進し、その組織力、技術力を生かして、国有林野の荒廃地や保安林を整備するとともに、民有林と一体となって災害復旧、被災地域の支援を行い、また、林業の低コスト化等に向けた技術の実証・普及、人材の育成を支援します。
○国有林野の活用により、林産物を計画的・安定的に供給し、地域経済に振興、銃声家訓お香上位寄与する要旨支援しています
○里山再生モデル事業の検証を踏まえながら、除染や森林整備など里山の再生に国が責任を持って取り組みます。
○野生きのこや山菜については、新たな検査技術の開発などに取り組み、基準値を下回るものについては出荷が可能となるよう、さらなる検討・研究を進めます。

公明党
https://www.komei.or.jp/special/shuin49/wp-content/uploads/manifesto2021_s.pdf
2021MANIFESTO衆院選重点政策
【2ポストコロナの成長戦略】
⑧農林水産業の活性化

●新たな森林・林業基本計画に基づき、国産木材供給量の目標達成のため、外材や他資材に対抗できる高品質かつ低コストで生産・安定供給できる製材工場等の体制を整備するとともに、川上から川下までの効率的なサプライチェーンの構築や耐火・耐震性等に優れた木材の技術開発・普及を進めます。
●地震や集中豪雨等による災害を防止するため、ため池等の管理体制の強化や農業用水利施設等の強靱化、田んぼダムの取り組み拡大の加速化、対候性ハウスの導入・みかん等樹園地の改良、漁港の耐震化や漁船を避難させるための整備、森林・路網整備及び治山対策等の地域の防災力向上を図る総合的な防災・減災対策を講じます。
【4 つながり支えあう社会(地域共生社会)】
⑩既存住宅流通やリフォーム市場の活性化、脱炭素社会に向けた住宅循環システムの構築

●長引くコロナ禍による影響で、世界的に木材価格が高騰する「ウッドショック」への対策として、特に影響を受ける中小工務店の事業者への支援を進めます。また、国産材の活用による木材の安定的な供給を図るため、国産材の供給網の整備等を進めるとともに、木造住宅供給事業者や関係事業者等による国産材の共同調達の取り組みに対する支援等を行うなど供給体制の強化を図ります。
【6防災・減災・復興を社会の主流に】
②防災・減災・復興に向けた取り組みの加速化・深化、災害対応力の強化

●洪水の調節機能を強化するため、遊水地や調節池等を整備するとともに、治水ダムの活用だけではなく、利水者と協力・連携し利水ダム等を活用した事前放流等の洪水調節の取り組みを進めます。また、緑地や水田(田んぼダム)、ため池、森林など雨水貯留浸透機能を活用したグリーンインフラの取り組みを推進します。
【8気候変動対策持続可能な地球環境】
①気候変動対策の推進

●森林の適切な管理と森林資源の持続的な利用を一層推進するため、エリートツリー・早生樹の普及や高性能林業機械等の新技術を取り入れるとともに、伐採から再造林・保育までの取り組みを確実に実施します。また、再生可能エネルギーの利用促進の観点から、木質バイオマスの発電等の適正な利用を促進し、生物多様性の保全及びゼロカーボンや「カーボンマイナス」の実現に貢献する森林吸収源対策を推進します。

日本共産党
http://jcp.or.jp/web_policy/2017senkyo-seisaku.html
2017年日本共産党の総選挙政策
【山村地域の基幹的産業として林業・木材産業の再生をはかる】
国土面積の3分の2を占める森林は、木材の供給とともに、国土・環境の保全、水資源の涵養、生物多様性など国民生活に不可欠な役割をはたしています。またCO2の吸収・固定による地球温暖化防止への寄与など「低炭素社会」の実現にも欠かせない資源です。
森林の蓄積量は、戦後、植林した人工林を中心に、毎年、年間消費量を上回って増大しており、木材として利用する時代を迎えています。
国産材の利用と森林の公益的機能の持続的な発揮は、森林・林業者だけでなく、国民共通の願いです。森林・林業の持続的な管理経営のために、外材依存の加工流通体制を改めて、地域の実態に即した国産材の生産・加工・流通体制を構築し、林業・木材産業の再生をはかります。
外材依存政策を転換し、日欧EPA、TPP11大枠合意を撤回する――安倍政権は、日欧EPAの「大枠合意」で、かろうじて残されていた製材や集成材などの関税撤廃を受け入れました。政府は、木材自給率50%の目標を掲げていますが、「大枠合意」は国産材の利用拡大と森林・木材産業の再生を困難にし、自給率向上に逆行するものであり、撤回を求めます。
自主権を尊重した林産物貿易を提起する――丸太や製材品などの林産物は、WTO(世界貿易機関)協定では、自動車や電化製品と同じ「鉱工業製品」扱いになっています。多くの国で環境保全や林産業育成などのため、丸太の輸出規制が行われており、実質的に自由貿易品目でなくなっています。森林生態系や自然環境は、人間の生存にかかわる問題であり、市場まかせにする時代でありません。輸出国主導のWTO体制を見直し、各国の自主権を尊重した林産物貿易、森林・林業政策を保障することを世界に提起します。
地籍調査・境界確定を促進し、地域の実態に即した産地づくりにとりくむ――わが国の森林・林業は、亜熱帯から亜寒帯に分布し、植生も多様です。地域ごとに異なる歴史や自然的、社会的条件を持っており、画一的、効率一辺倒ではなりたちません。 
林業の基礎となる林地の地籍調査は4割台にとどり、事業の障害になっています。地籍調査と境界確定を促進し、森林所有者や素材生産、製材・加工、工務店など川上と川下が連携し、地域の実態に即した産地づくりを支援します。
地形や自然環境に配慮した林道・作業道など災害に強い路網整備をすすめる――生産基盤となる林道や作業道の路網整備が大きく立ち遅れています。路網整備では、生態系や環境保全に配慮した技術を確立し、災害に強い路網整備をすすめます。また、日本の地形や森林資源の実態に対応できる高性能林業機械の開発を国の責任ですすめます。
林業就業者の計画的な育成と定着化の促進、就労条件の改善にとりくむ――林業は、森林の多面的機能や生態系に応じた育林や伐採などの専門的知識や技術が必要です。基本的技術の取得を支援する「緑の雇用」や「緑の青年就業準備給付金」事業の拡充や事業体への支援を強め、系統的な林業労働者の育成と定着化にとりくみます。また、安全基準などILOの林業労働基準に即した労働条件や生活条件の改善にとりくみ、安心して働ける環境をつくります。
架線系システムの技術の継承、発展にとりくむ――急傾斜地では、林地保全などから架線集材システムが有効です。集材機の開発や技術者を確保し、技術の継承、発展をはかります。
公共建築物や土木、道路施設、新たな製品開発など国産材の需要拡大にとりくむ――「公共建築物木造利用推進法」が施行されて8年、木造化は推進されていますが、2017年度の全国平均実績は11.7%にとどまっており、不足している木造の設計・建築技術者の育成や木造建築技術の開発・普及にとりくみ、需要を計画的につくりだすなど、可能な限り木造化を推進します。また、土木事業や道路施設への技術開発、新たな木材製品の開発などをすすめ、国産材の需要拡大にとりくみます。
木質バイオマス施設の適切な配置と熱電併給にとりくむ――木質バイオマス利用は、林地残材等の活用による収入確保や雇用の確保など林業の再生にとっても大事なとりくみです。木質バイオマス発電では、一部で輸入パームヤシ殻依存や製紙用向けが燃料になるなどの問題が明らかになっています。地域の資源量に即した適切な配置をすすめます。また、熱効率を高めるために、排熱を利用する熱電併給にとりくみます。
国産材のカスケード利用にとりくむ――良質材から低質材まで、建築や木製品、紙製品、エネルギーなど、100%有効に利用するカスケード利用にとりくみます。エネルギー利用は、「材として利用できない低質材」の原則を確立します。
持続的な管理経営にとりくめるよう森林所有者に再造林できる価格を保障する――国の林業政策の目的に、「林産物の需給および価格の安定」を位置づけ、政府が責任をもって再造林できる原木価格を保障できるとりくみをすすめます。
地震や集中豪雨などによる山地崩壊や施設被害の復旧に全力でとりくむ――全国各地で地震や豪雨による大量の流木や山地崩壊、施設などの被害が頻発しています。流木による二次被害防止対策や荒廃林地や施設の全面的な復旧にとりくみます。地域材を活用した仮設住宅や復興住宅の建設に力を入れるなど、森林・林業の再生のとりくみを支援します。
シカ等の野生獣による食害や病虫害害対策にとりくむ――シカなどによる食害やナラ枯れなどの被害は、年間8000haに及び生態系の破壊など人間生活にも影響を与えています。野生獣の防除と捕獲、個体数の管理や病虫害の効果的、効率的な防除技術の開発をすすめます。捕獲した野生獣の食肉流通対策を支援します。
地域資源の活用や都市住民との交流などで就労機会の確保をはかる――山菜や薬草など地域資源を活用した特産品の生産振興や加工・販売などのとりくみや、自然環境を活用したレクリーション,保健・休養など都市住民との交流などのとりくみをすすめ、就労機会の確保をはかります。
市町村や森林組合、林業事業体への支援を強める――2016年の森林法改正で、市町村が森林・林業の基本となる資源情報など「林野台帳」の作成が制度化されました。「林野台帳」の整備にとりくむ技術者の育成や最新の情報通信技術や地理情報システムなどが活用できるよう、市町村への支援を強めます。また、森林組合員の所有面積は私有林面積の7割を占め、地域の森林整備の中心的な役割を担っています。市町村行政や素材生産業、製材業などと連携し、地域林業の確立のために積極的な役割がはたせるよう支援を強めます。
林業女子会などボランティア団体等への支援を強める――森林づくりにとりくむ女子会やボランティア団体は全国で3000を超え、国民の森林・林業への関心を高める大きな役割をはたしています。技能の習得や必要な資材の貸し出し、森林・林業者との自主的な相互協力・交流などを支援します。
森林のCO2吸収力を評価した排出量取引で、山村地域と都市部の連携を強める―― 国内のCO2排出量の削減を促進するために、森林の整備によるCO2の森林吸収量と、化石燃料を木質バイオマスの利用に替えることによるCO2排出量の削減を評価して、都市部の企業や自治体の排出削減のとりくみにおけるカーボン・オフセット(炭素排出量の相殺)に活用する制度を本格的に導入し、植林・間伐などの森林整備の資金を生み出します。 
国有林の持続的な管理経営にとりくむ――国有林は、国土面積の2割、森林面積の3割を占め、奥地山岳地帯や水源地帯に広く分布し、9割が保安林に指定され、国土保全や環境保全など国民生活にとっても重要な役割を担っています。「国民の共有財産」として、①林産物の計画的・持続的供給、②国土保全、水源涵養、自然環境の保全などの公益的機能の発揮、③地域振興への寄与等の役割をもっています。
 これらの役割を確実に実行していくため、技術者を育成確保し、自治体・住民との連携をはかり、地域の経済や雇用に配慮した、持続的な管理経営にとりくみます。規制改革推進会議で検討している国有林の民間開放は、この役割をないがしろにするものであり、反対します。
国が導入する「森林環境税(仮称)」は、汚染者負担原則を基本に、国民合意をすすめる――政府は温室効果ガス削減目標達成のために、年平均52万haの森林整備を実施することにし、その財源として住民税に上乗せする「森林環境税(仮称)」の創設を検討しています。この方式は、すでに37府県で地方税として導入され、約300億円の税収になっています。温暖化対策は、排出源対策と吸収源対策をあわせることが必要で、森林整備は重要な吸収源対策です。国が導入する「森林環境税(仮称)」は汚染者負担原則を基本に、二酸化炭素の排出量に着目した地球温暖化対策税を拡充するなど、国民合意のもとで森林整備を含めた温暖化対策を推進します。 

日本維新の会
https://o-ishin.jp/policy/pdf/seisakuteigen20210825_fix.pdf
政策 提言維新八策2021
【(産業別)成長戦略】
(5)農林水産業

115. 国産材の需要拡大を図るため、国産木材の積極的な活用を支援し、森林の適正な保全に繋げます。

国民民主党
https://new-kokumin.jp/wp-content/themes/dpfp/files/dpfp-policies-20210915.pdf
国民民主党重点政策
【4.国民と国土を「危機から守る」】
林業の活性化・花粉症対策国民の約3 割が罹患しているスギ花粉症の対策強化を図るため、スギ人工林の伐採・利用・植え替えの促進、花粉の少ない苗木の生産拡大、花粉飛散抑制技術の開発をさらに進めます。また、国有林・民有林において、公益的機能を維持しつつ、木材の安定供給を図り、木質バイオマスや木製サッシの推進を含めた住宅などへの国産材の 活用や、海外への製材輸出を促進し、ドイツのよ うな林産業大国をめざ します。 

以上
選挙中に新たな情報があれば加筆してい行きます
ご意見あればお願いします

総選挙2017各党の政策と森林林業政策(2017/11/25)
総選挙のマニフェストと森林林業(2012/12/25)
参議院選挙2010各党マニフェストから (2010/7/18)
参議院選挙各政党マニフェスト森林政策部分 (2009/8/15)
参議院選挙と各党の森林林業政策
(2007/8/12)

kokunai6-45<sousenkyo2017>

第6次エネルギー基本計画案ーパブコメ提出しました(2021/10/3)

9月3日に公開されてた第6次エネルギー基本計画案(以下計画案)、森林やバイオマスについて結構重要な内容みたいなので、意見募集にむけて、9月15日に内容の整理をしご報告していましたが、10月3日付で、提出しました。

左の図が前回整理したパブコメのチェックポイント整理表に、後述する今回作成した提出意見をはめ込んだものです。

チェックポイントAカーボンオフセットと森林・木材の評価、 Bエネルギー需要の削減と建築材料としての木材利用、C地産地消と運輸部門のエネルギー、D1 木質バイオマスの多面的貢献度評価、D2 木質バイオマスの熱利用、D3 輸入木質バイオマスのリスク評価

提出意見をチェックポイント(CP)に沿って整理すると以下の通りです

章  節  CP 番号 原文   修正意見  理由
4.2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と対応    (1)2050年カーボンニュートラル時代のエネルギー需給構造   A  ①  638行から「各部門においては省エネルギーや脱炭素化が進展するものの、二酸化炭素の排出が避けられない分野も存在し、それらの分野からの排出に対しては、DACCS(Direct Air Carbon Capture and Storage)やBECCS(Bio-energy with Carbon Capture and Storage)、森林吸収源などにより二酸化炭素が除去され る。  638行から「各部門においては省エネルギーや脱炭素化が進展するものの、二酸化炭素の排出が避けられない分野も存在し、それらの分野からの排出に対しては、DACCS(Direct Air Carbon Capture and Storage)やBECCS(Bio-energy with Carbon Capture and Storage)、森林吸収源、持続可能な木材利用などにより二酸化炭素が除去され る。 カーボンオフセットの対象サンプルにDACCSやBECCSなど現在実用化されていない、皆がよく知らない例がならんでいます。DACCSやBECCS開発の重要性を示す意味は分かりますが、サンプルを示すならなるべくわかりやすい例も記載すべきです。木材利用については、この8月に国土交通省、経済産業省、環境省が「2050年カーボンニュートラルの実現に向けた住宅・建築物の対策」を公表し、その中に、「吸収源対策(木材の利用拡大)」を記載してあり、重要なコンセンサスが進んでいます。
 (3)電力部門に求められる取組
①再生可能エネルギーにおける対応
 D1  ②  ・・・こうした課題にこたえるために、・・・立地制約の克服やコスト低減に不可欠な次世代型太陽電池、浮体式洋上風力発電といった革新技術の開発を進める。  ・・・こうした課題にこたえるために、・・・立地制約の克服やコスト低減に不可欠な次世代型太陽電池、浮体式洋上風力発電といった革新技術の開発を進める。またローカルな地域の循環資源や社会活性化などにつながる木質バイオマス発電の着実な発展につとめる。  木質バイオマスが電力供給の主流化する流れにないので、このセッションで木質バイオマス発電のことを記載していないのでしょうが、「電力部門に求められている取組」は大型化効率化という視点だけでなく、発電施設の設置運営過程で、地元の市民や地元のビジネス、資源とどのように連携していくかという視点が必要だと思います。そういう観点から木質バイオマス発電について、ぜひ触れて下さい
 (4)産業・業務・家庭・運輸部門に求められる取組
②業務家庭部門における対応
 AB  ③  これらの課題を踏まえつつ、建築物省エネ法や省エネ法 に基づく規制措置強化と支援措置の組み合わせを通じ、既築住宅・建築物について も、省エネルギー改修や省エネルギー機器導入等を進めることで、2050年に住 宅・建築物のストック平均でZEH2・ZEB3基準の水準の省エネルギー性能が確保されていることを目指す。  これらの課題を踏まえつつ、建築物省エネ法や省エネ法 に基づく規制措置強化と支援措置の組み合わせを通じ、また、省エネ資材である持続可能な木材利用などを通じて、既築住宅・建築物について も、省エネルギー改修や省エネルギー機器導入等を進めることで、2050年に住 宅・建築物のストック平均でZEH2・ZEB3基準の水準の省エネルギー性能が確保されていることを目指す。  木材利用の推進は、8月に国土交通省、経済産業省、環境省が公表した「2050年カーボンニュートラルの実現に向けた住宅・建築物の対策」に記載されている「吸収源対策(木材の利用拡大)」だけでなく、他の鉄骨などの資材に比較して、製造過程の化石資源利用が少ない、材料代替による排出削減効果がある。(注1
 (4)産業・業務・家庭・運輸部門に求められる取組
③運輸部門における対応
C  ④  運輸部門の脱炭素化に向けては、自動車の生産、利用、廃棄を通じたCO2排出削減、物流分野におけるエネルギー効率向上、燃料そのものの脱炭素化に向けた取組を通じて、カーボンニュートラルを目指す。  運輸部門の脱炭素化に向けては、自動車の生産、利用、廃棄を通じたCO2排出削減、物流分野におけるエネルギー効率向上、燃料そのものの脱炭素化に向けた取組を通じて、カーボンニュートラルを目指す。また、物流量を減少させるという視野に立って地産地消の大切さを再認識し、施策に生かしていく。  「運輸部門における対応」は、効率の向上燃料の脱炭素化という視点のみが記載されているが、その前に、物流量を減らすという視点各種の政策が必要なのでないか。
 5.2050年を見据えた2030年に向けた政策対応  (1)現時点での技術を前提としたそれぞれのエネルギー源の位置づけ
①再生可能エネルギー(e)バイオマス
 D23
 ⑤  木質バイオマスを始めとしたバイオマス発電は、災害時のレジリエンスの向上、地域産業の活性化を通じた経済・雇用への波及効果が大きいなど、地域分散型、地産地消型のエネルギー源として多様な価値を有するエネルギー源である。一方、エ ネルギー利用可能な木質や廃棄物などバイオマス資源が限定的であること、持続可 能性の確保、そして発電コストの高止まり等の課題を抱えることから、各種政策を 総動員して、持続可能性の確保を大前提に、バイオマス燃料の安定的な供給拡大、 発電事業のコスト低減等を図っていくことが必要である。
輸入が中心となっているバイオ燃料については、国際的な動向や次世代バイオ燃料の技術開発の動向を踏まえつつ、導入を継続することが必要である。
 木質バイオマスを始めとしたバイオマス発電・熱利用などのエネルギー利用は、災害時のレジリエンスの向上、地域産業の活性化を通じた経済・雇用への波及効果が大きいなど、地域分散型、地産地消型のエネルギー源として多様な価値を有するエネルギー源である。一方、エ ネルギー利用可能な木質や廃棄物などバイオマス資源が限定的であること、持続可 能性の確保、そして発電コストの高止まり等の課題を抱えることから、各種政策を 総動員して、持続可能性の確保を大前提に、バイオマス燃料の安定的な供給拡大、 発電事業のコスト低減等を図っていくことが必要である。
輸入が中心となっているバイオ燃料については、国際的な環境志向の動向や次世代バイオ燃料の技術開発の動向を踏まえつつ、持続可能な木質バイオマスの導入を継続することが必要である。
 木質バイオマスの重要性について指摘されているのは大切だが、木質バイオマスは発電についてのみ記載している。木質バイオマスについては熱利用が重要な要素であるので、そのことをかならず記載してほしい。また、輸入バイオマスの持続可能性のリスク、また、輸送製造過程の化石燃料使用などに対応する動きが海外で広まっているので、しっかりそれを踏まえた対応が必要です。
 (3)需要サイドの徹底した省エネルギーと供給サイドの脱炭素化を踏まえた電化・水素化等による非化石エネルギーの導入拡大 B  ⑥  これらの課題や、2050年カーボンニュートラル実現や2030年度の温室効果ガス排出削減目標の実現に向けて、「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対 策等のあり方検討会」における検討結果も踏まえ…新築住宅の販売又は賃貸時における省エネルギー性能表示の義務化を目指す などの省エネルギー対策を総合的に促進する。  これらの課題や、2050年カーボンニュートラル実現や2030年度の温室効果ガス排出削減目標の実現に向けて、「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対 策等のあり方検討会」における検討結果も踏まえ…新築住宅の販売又は賃貸時における省エネルギー性能表示の義務化を目指す などの省エネルギー対策を総合的に促進する。また、木材利用の省エネ性能のに着目し、建材としての持続可能な木材の利用拡大をはかる。  「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対 策等のあり方検討会」の結果を踏まえた8月に公表された「2050年カーボンニュートラルの実現に向けた住宅・建築物の対策」の中に、「吸収源対策(木材の利用拡大)」を記載がある。その中に木材利用の炭素削減効果についての記述もあるので、ぜひ、省エネの文脈の中で、記載していただきたい。
 (5)再生可能エネルギーの主力電源への取組
④電源別の特徴を踏まえた取組
(e)バイオマス
 D3  ⑦  また、バイオマス燃料の持続可能性を確保するため、FIT・FIP制度においては、環境、社会、労働、ガバナンスの観点に加え、食料との競合、ライフサイクル温室効果ガスの排出量等の観点について専門的・技術的な検討を踏まえ策定する持続可能性基準を満たした燃料を利用することを求めていく。加えて、…、適切に事業を行うことを求めていく。  また、バイオマス燃料の持続可能性を確保するため、FIT・FIP制度においては、環境、社会、労働、ガバナンスの観点に加え、食料との競合、ライフサイクル温室効果ガスの排出量等の観点について専門的・技術的な検討を踏まえ策定する持続可能性基準を満たした燃料を利用することを求めていく。加えて、…、適切に事業を行うことを求めていく。また、原料の輸送加工過程のエネルギ消費をしっかり管理するためのシステムの導入が必要である。  英国などでは、バイオマス発電に自補助金を与える条件として、当該バイオマス燃料を発電利用するまでに必要な加工、輸送過程のエネルギーをそのバイオマスを燃焼させたときに得られるエネルギーに対して、割合を定めているケースがあり、日本でもその考え方を念頭において、管理すべきだと思います
 (5)再生可能エネルギーの主力電源への取組
④電源別の特徴を踏まえた取組
(f)再生可能エネルギー熱
 D2  ⑧  太陽熱、地中熱、雪氷熱、温泉熱、海水熱、河川熱、下水熱等の再生可能エネルギー熱について、熱供給設備の導入支援を図るとともに、複数の需要家群で熱を面的に融通する取組への支援を行うことで、再生可能エネルギー熱の導入拡大を目指す。  太陽熱、地中熱、雪氷熱、温泉熱、海水熱、河川熱、下水熱、木質バイオマスエネルギー熱等の再生可能エネルギー熱について、熱供給設備の導入支援を図るとともに、複数の需要家群で熱を面的に融通する取組への支援を行うことで、再生可能エネルギー熱の導入拡大を目指す。  特に、木質バイオマスについては発電だけでなく熱利用が大切です
 (11)エネルギーシステム改革の更なる推進
③効率的な熱供給の推進
D2 ⑨   …、引き続き省エネ法による規制を通じて熱の効率的な利用を促 進する。  …、引き続き省エネ法による規制を通じて熱の効率的な利用を促 進する。農山村地域の地元の森林資源を木質バイオマス燃料として利用していく場合、地域型熱供給システムが必要なので検討を進める  特に、木質バイオマスについては発電だけでなく熱利用が大切です
 6.2050年カーボンニュートラルの実現に向けた産業・競争・イノベーション政策と一体となった戦略的な技術開発・社会実装等の推進  ⑤住宅建築物産業・次世代電力マネジメント産業 B  ⑩  住宅・建築物分野は家庭・業務部門のカーボンニュートラルに向けて鍵となる分野であり、一度建築されると長期ストックとなる性質上、早急に取り組むべき分野である。具体的には…新築住宅の販売又は賃貸時における省エネルギー性能表示の義務化を目指すことなどにより、省エネルギー性能の向上を図っていく。  住宅・建築物分野は家庭・業務部門のカーボンニュートラルに向けて鍵となる分野であり、一度建築されると長期ストックとなる性質上、早急に取り組むべき分野である。具体的には…新築住宅の販売又は賃貸時における省エネルギー性能表示の義務化を目指すことなどにより、省エネルギー性能の向上を図っていく。また、木材の炭素固定、省エネ性能を念頭において、木質建材の利用拡大を図ることとし、中高層建築物の木造化、木質化に関する技術開発、支援システムの開発を図る。  木材利用の推進は、8月に国土交通省、経済産業省、環境省が公表した「2050年カーボンニュートラルの実現に向けた住宅・建築物の対策」に記載されている「吸収源対策(木材の利用拡大)」だけでなく、他の鉄骨などの資材に比較して、製造過程の化石資源利用が少ない、材料代替による排出削減効果がある。(注1
 ⑪食料・農林水産業  AB  ⑪  また、森林・木材については、人工林の適切な間伐、エリートツリー等を活用した再造林等の森林整備や高層建築物等の木造化に資する建築部材等の開発、利用拡大等に取り組み、森林吸収量の確保・強化を図る。  また、森林・木材については、人工林の適切な間伐、エリートツリー等を活用した再造林等の森林整備や高層建築物等の木造化に資する建築部材等の開発、持続可能な木材利用拡大等に取り組み、森林吸収量の確保・強化を図る。  木材利用は省エネ、炭素固定という観点で大切なことですが、世界中の森林減少が続き、国内の森林の再造林問題などが指摘されている中で、木材利用の際に、持続可能性の確認をすることが重要です。
 7.国民各階層とのコミュニケーションの充実  ⑭ライフスタイル関連産業
<カーボンプライシング>
   ⑫  また、脱炭素化が難しい領域については、森林吸収源対策や、大気中からCO2を固定化するDACCS・BECCSといったネガティブエミッション技術の活用が必要となる。こうしたネガティブエミッション技術について、2050年までの4189 実用化を目指し、技術開発・社会実装を進めていく。  また、脱炭素化が難しい領域については、森林の管理や持続可能な木材利用を含む森林吸収源対策や、大気中からCO2を固定化するDACCS・BECCSといったネガティブエミッション技術の活用が必要となる。こうしたネガティブエミッション技術について、2050年までの4189 実用化を目指し、技術開発・社会実装を進めていく。  カーボンオフセットの対象サンプルにDACCSやBECCSなど現在実用化されていない、皆がよく知らない例がならんでいます。DACCSやBECCS開発の重要性を示す意味は分かりますが、サンプルを示すならなるべくわかりやすい例も記載すべきです。木材利用については、この8月に国土交通省、経済産業省、環境省が「2050年カーボンニュートラルの実現に向けた住宅・建築物の対策」を公表し、その中に、「吸収源対策(木材の利用拡大)」を記載してあり、重要なコンセンサスが進んでいます。

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energy1-41<6thEBP+>

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地球温暖化対策計画案などーパブコメ提出(2021/10/5)

2050年までの温室効果ガス排出ゼロCN2050をどのように達成するのか?地球温暖化対策法に基づく地球温暖化に対する我が国の総合計画である地球温暖化対策計画の改定案が公表され

また、パリ協定4条(第19項)にもとづいて策定が求められている、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略案などが公表されました。

意見募集がされていたので提出しました。

((地球温暖化対策計画案))

(意見1)

「吸収源対策としての木材利用の拡大に向けて、住宅・建築物の木造化・木質化の取組を推進する」については、木材の炭素の安定的固定、化石資源の代替という視点で地球温暖化対策として大切な指摘です。
世界的には森林の減少が続く、国内でも皆伐跡地の再造林のリスクが指摘される状況の中で、ぜひ持続可能な木材利用の推進」という視点を加筆してください。(3章2節、8節など)

(意見2)
Jクレジット制度の活性化の中に、森林管理だけでなく木材利用拡大という側面も記載してください

森林の産物である木材利用拡大についての認識が拡大し、森林の吸収源対策だけでなく、木材の利用による炭素固定機能の拡大、化石資源を木材で代替し温室効果ガスを削減する機能などが注目されています。そのことをJクレジットの中で評価し、訴求する必要がありまする。そのことを是非記載してください。(国交省。経産省・環境省本年4月に公表した2050年カーボンニュートラルの実現に向けた住宅建築物の対策という文書の中に吸収源対策としても木材利用が指摘されています

((パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略案))

パリ協定4条(第19項)にもとづいて策定が求められている、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略案に関しても、上記の同様の趣旨で意見をいいました。

kokusai2-81<ondankakei-iken>

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 地球環境時代と木材ー連載が完了(2021/10/2)

クボデラ株式会社(東京都中野区、代表取締役:窪寺 伸浩)のサイトで、「地球環境時代の木材」というタイトルで連載記事を掲載させていただいてきましたが、10月で全6回完結しました。

ーーーー

第1回 地球環境時代って何?―循環しない異常な社会を、子孫のための循環社会に(5/1)
第2回 温暖化対策の決め手は木材の利用(6/1)
第3回 温暖化対策の決め手は木材の利用(続き)(7/1)
第4回 木材を使えば森林が減る?森林のガバナンスとサプライチェーン管理(8/1)
第5回 ウッドマイルズって何?森林と消費者の距離を近づける運動(9/1)
第6回 2050カーボンニュートラルに向けた施策と木材ビジネス(10/1)

この半年間、2050カーボンニュートラルに向けて、森林林業基本計画、エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画などの作成過程が進み、木材の利用が環境政策の中に進んできました。

2050年カーボンニュートラルの実現に向けた住宅・建築物の対策」で「炭素貯蔵効果の高い木材の利用拡大に向けた住宅・建築物における取組」いう対策が示されました。(経産省、環境省、国交省)

木材ビジネスの関係者にとっては追い風ですが、「持続可能な木材」を責任をもって消費者に届けられるかな?がんばってください。

プレスリリース「地球環境時代の木材」 ~消費者と生産者を結ぶ環境ビジネスの可能性~ 2021年5月より連載開始にあったように・・・「本連載を皆様方の商売のヒント、お客様への提案などに活用していただけれたでしょうか?

kokunai3-63<kubodera+>

(日にちが変更)持続可能な森林経営のための勉強部屋Zoomセミナー第2回御案内(2021/10/1)

第2回持続可能な森林経営のための勉強部屋Zoomセミナー

タイトル:「ある建築関係者のまちづくりへの経験と森林への想いー新ローカリズムの思想から

ゲスト:前日本建築士連合会会長藤本昌也さん

日時:11月6日(土曜日)14時から(変更になりました)

持続可能な森林フォーラムでは、皆さんとのコミュニケーションを双方向で深めていくため、ゲストをむかえて、Zoomセミナーを開催しています。

基本計画の策定過程から(海外・他分野の計画と比較も)ー第1回勉強部屋Zoom会議やりました

第2回目はゲストに、ウッドマイルズフォーラム会長 前日本建築士連合会会長藤本昌也さんを迎えて、「ある建築関係者のまちづくりへの経験と森林への想いー新ローカリズムの思想から」と題して話をしていただきます。

社会資本がマーケットを通じてどのようにできていくのか、まちづくりの視点から森づくりを考えます

どうぞ皆さん、ご参加下さい。

参加はこちらからどうぞ(申し込み窓口料金がかかります).(会員の方には別途ご案内します)

手続きがうまくいかないような場合、申し訳ありませんがこちらの連絡窓口からご連絡ください

 konosaito3-2<zoommt2nd>

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 カーボンニュートラル2050と木材利用―木材利用システム研究会で報告(2021/10/1)

9月17日、木材利用システム研究会報告大会で、「カーボンニュートラル2050と木材利用―新たな森林・林業基本計画作成過程等に関連して―」と題する報告を行いしました。

カーボンニュートラル2050(以後CN50)に向けての政府の政策が、木材利用にどんな応援になってるかな?

ご報告します

プレゼン資料こちらにおいておきます、カーボンニュートラル2050と木材利用

   この図を一枚お見せするために報告しに来ました!

林業経済研究所が2015年に実施した:民間企業の活動による二酸化炭素吸収・固定量の「見える化」実証事業で作成したガイドラインの月別のダウンロード数です
5年間掲載していますが、この一年のダウンロード数が5年間のダウンロード数に6割
最近になって、企業の方々の注目度がアップしています
   ガイドラインとワークシートの概要です

(右上)建築関係の事業の取引で普通に入手できる情報を入力すると

(右下)木材に固定される二酸化炭素の量が、直ぐわかります

ご関心のある方は、どうぞ民間企業の活動による二酸化炭素吸収・固定量の「見える化」実証事業
   今年の6月に公表された「2050 年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略

内閣官房/経済産業省/内閣府/金融庁/総務省/外務省/文部科学省/農林水産省/国土交通省/環境省が作っています

その中で、木材利用に関係あるのは、目次のアンダーラインの部分です

農林水産省がドラフトしたセッション(9)だけでなく、国交省がドラフトした(12)にも③ 炭素の貯蔵に貢献する木造建築物p.115という項目があります
   成長戦略の枠組みを示す図です

非電力、電力とも、一生懸命頑張る!jこの部分は本文ですが

どうしてもゼロにならなかった部分は、除去するプロジェクトで、オフセット青〇部分
例に植林と書いてありますが、現時点で技術的に使えるものは、森林吸収源と木材の利用拡大

それがオフセット「取引」できるような、信頼できる手続き規定が必要だ
  林野庁の新たば森林・林業基本計画
長期的な需要見通しの数字を掲載しています

建築用木材の国産材の需要見通し2020年の数字に現状が達成していません。
それだけど、2025年の数値は、前計画より今計画の方が大きな数字
すごく、野心的な数値目標を閣議決定です

これにむけて、行政だけでなく、業界、学会関係者が知恵を絞らなければならない、という状況におかれています
頑張りましょう
   森林および林業をめぐる情報変化等を踏まえた対応方針
という部分の新旧比較です

前計画の5本柱が、新計画は6本柱に

「都市等における「第2の森林」づくり」という新しい柱が立ちました
  細かい内容は」べつにして、アンダーライン部分

 官需だけに依存せず、民需、とりわけ都市等における非住宅分野、リフォームなどの需要を積極的に取り込んでいくことが有効である。

関係府省と連携した木造建築物の設計者の育成、設計施工や部材調達の合理化に有効なBIM(注)の活用推進、建築部材の安全性に関する情報提供等を行う。

木材による健康・環境貢献度に係る科学的根拠の収集・発信等を推進する。

関係府省との連携を強化するとともに、地方公共団体や民間の事業者等とも協力して、木材利用の促進を図る
   最後に、グリーン成長戦略の
 3.分野横断的な主要な政策ツール
(4)規制改革・標準化
③ 市場メカニズムを用いる経済的手法(カーボンプライシング等)p,16

木材利用のカーボン取引の可能性、大切です
   日本政府が関与して、脱炭素プロジェクトの取引を前提とした客観的なデータ提供を目指している、Jクレジット

その方法論にが60ぐらい提示されていますが、森林関係はuFO-001  森林経営活動  2021/08/03 uFO-002  植林活動    2017/07/26 の二つです

木材利用に関する方法論はできていませせん。(Jクレジットの事務局に聞いたら、現在検討中だといっていましたが、木材利用システム研究会の大切な事業ではないでしょうか)
   木材利用の官民をつなぐうえで、カーボンオフセット、カーボンプライシングを通じた木材利用の支援の枠組みが重要な課題の一つ。

産学官民の連携が必要でーす
   

勉強になりました
プレゼン資料こちらにおいておきます、カーボンニュートラル2050と木材利用

junnkan3-22 <CN50mokuzai>

 クローズアップされたー森林大国・日本 飛躍のカギは(2021/9/20)

9月15日NHKクローズアップ現代+で「宝の山をどう生かすー森林大国・日本 飛躍のカギは」という番組が放映されました。

NHKの取材力を結集した硬派の看板番組(そのあり方が国会審議もされた)に、森林問題が登場!

何人かの方から、意見をもとめられたので、NHK+で見てみました。(生番組はちょっと都合がつかずに、何回でも見られる有料放送で)

上記の通り、番組を紹介する詳しいサイト「宝の山をどう生かすー森林大国・日本 飛躍のカギは」がありますので、それにそって、素晴らしい内容を紹介したうえで、すこし気になった点を・・・

(何が問題か?木材利用拡大にともなう皆伐跡地の山はどうなっているか?)

さて、硬派な報道番組が厳しく指摘する、森林大国の問題点は何でしょうか?上記サイトのイントロ部分は以下のとおり。

「日本の木材自給率を20年間で、かつての約2倍、40%近くまで上昇させた。(右の図の左下)

しかしその裏で問題が起きている。大規模伐採ではげ山が広がったり、山の所有者に無断で伐採する「盗伐」が発生したり。(同左上)

大規模伐採の一部が、土砂災害などの要因の一つになっているという指摘もされている。(同右下)」

そして、何故皆伐がひろがるの?というタイトルで、バイオマス燃料などですべての木が売れるようになり、皆伐が広がり、そのあとに植林が進んでいないと紹介されます(左の図)。

ゲスト東京大学蔵治教授:「やはり大規模、低コストな林業というのは短期的には効率がよくて合理的に思えるんですが、やはり長期的に見ると国土保全のリスクというものがありますので、しかもそれは林業地だけではなくて下流のほうまで影響することですので、持続性という意味では考えないといけないことです。」

(宝の山をどう生かす 持続可能な小さな林業「自伐林業」で付加価値を)

「こうした大規模な林業の課題が明らかになる中、山にできるだけ負担をかけない「小さな林業」が注目されています。・・・」として、詳しく紹介されるのが、鳥取県と智頭町、高知県佐川町を例にとった自伐型林業。

取材班が作成した、自伐型林業の解説ページ→目指せ!持続可能な林業 注目の「自伐型林業」とは?によると、自伐型林業の特徴は、①皆伐でなく間伐、②壊れにくい最小限の大きさの作業道。全国54か所の自治体が自伐型林業を支援しているんだそうです(NPO「自伐型林業推進協会」

高知県佐川町の例が、右の図で、町が所有者との間にたち、20年間無料で管理をすることとして、全国から募集して、毎年5名ほど地域おこし協力隊として雇用した、自伐型林業の関係者に委託し、間伐の売上代金は所有者1,自伐型林業事業者9割でシェア、しているんだそうです。

そして、上の図は、大雨による山地崩壊の7割が伐採作業関係で発生、という自伐型林業をリードしているNPOの情報発信です。すごい技術力を背景にした事業展開ですね。

九州大学佐藤宣子教授:「契約条件についてはいろいろあると思うんですが、2つの自治体ともに、自伐型林業を地域の総合計画に位置づけて支援していることが重要なポイントだと思います。今後そういった自治体の取り組みを広げるとともに、国の林業行政の中でも山村政策として自伐型林業をきちんと位置づける必要があると考えています。」

大切な問題提起ですね、「宝の山をどう生かすー森林大国・日本 飛躍のカギは」まだの方は、ぜひどうぞ。NHKプラスでもどうぞ。

(次世代の森林はどうなるかー「宝の山」はどうやってできたか)

番組がタイトルで指摘している「宝の山」とは、国土の7割の森林の中の1千万ヘクタールに及ぶ伐期に達した人工林ですね。

「おじいさんは山に柴刈りに」と言われて農村地域の燃料用材を供給していた裏山が、化石資源によるエネルギー革命で見直されて方向転換。皆で、燃料材供給基地の広葉樹を皆伐して、子や孫のために一生懸命植えて手入れをしたスギやヒノキの造林地。

一部にガケ崩れを起こしながら、生産林として成長した人工林の「宝の山」を、循環資源としての木材利用を社会に広げながら、その跡地の次世代の森林をどのように構築していったらよいのか、という問題提起ですよね。

((そこで、気になることが二つあります。))

(皆伐跡地に造林してできた宝の山をもう一度皆伐して一斉に植え付ける作業のリスクは)

番組の問題点の指摘の最後に「何故皆伐がひろがるの?というタイトル」で、バイオマス燃料などですべての木が売れるようになり、皆伐が広がり、そのあとに植林が進んでいないと紹介されます。

自伐型林業が否定する皆伐ですが、今の宝の山は、皆伐をしたあと、植栽しててできた山なんで、その山を再び皆伐することなんです。ずーと間伐を繰り返えして、複層林にして管理していく方法もありますが、若返らせて二酸化炭素の吸収量をたかめることも大切な課題。それでは、50年前に皆伐して人工林にしたところを、もう一度皆伐して造林をすることが合理的な森林がどれだけあるのか?時代が変わったからもうないのでしょうか?

林野庁は、森林・林業基本計画の中で、1千万ヘクタールのうち、660万ヘクタールが、一斉造林して運営すると合理的(指向する森林の状態が「育成単層林」、左の図)、といっています。

急傾斜地はさける、住居や施設の裏山はやめる、皆伐後はどんな条件の場所は植栽をする、などきっちりした基準作りをして、線引きをしながら、市場にまかせる。いわば、企業的な栽培林業(大きな林業)の可能な場所。

50年前にできたところが、時代変化によって半分ぐらいになるのかもしれませんが、皆伐跡地の3割が再造林されているのだそうですから、どんなところが再造林されているか、だめなのか確認しながら、「新しい林業」を

その他のところは、自伐型林業の応援をえながら、高齢級の育成複層林にしていく、ということなんでしょうか。

自伐型林業(小さな林業)と、農業的林業(大きな林業)その二つを共存してやっていこうということなのだと思います

たくさんのハードルがあります。そのハードルがうまく超えれれていないのが、今回の、番組が指摘している、たくさんの問題点です。

(自伐型林業のリスクは)

自伐型林業の担い手は、場合によっては委託された他人の森林のどの木を間伐して、どの木を残すということを、相手がいないところで決定する、きわめて難しい作業ができる素晴らしい人だと思っています。

逆に言えば、今日市場にもっていけば、自分のふところに、1万円はいるけど、それは10年後の委託者の収入が5万円損するから、その木は残しておいて、となりの千円の木を選木間伐して、市場にもっていこう、という選択を、だれもいない山中の現場でできる人なんで、あまりいないんではないでしょうか。

自伐型林業では間伐の結果を評価する手続きが難しく、変な伐採が横行してしまうリスクがあるんではないかな?

市町村が関与するなど、いろいろ、工夫をして普通の人ならできるようなシステム開発はされているのかもしれませんが・・・少し気になります。

(出演した佐藤教授からのご意見)

これらの点について、コメンテータとして出演された、九州大学佐藤宣子教授は存じ上げたかたなので、ざっくばらんに伺いました。

すると、丁寧な返事をいただきました。

ご紹介します。

 テーマ  佐藤教授のご意見
 ①皆伐一斉再造林のリスクについて   現在伐採されているところは前回も同じ面積伐採して造林したところだから大丈夫とはいえないと思います。伐採方法の変化と気候変動の影響(加えて鹿害)を考える必要があります。50ー60年前はほとんどが架線集材で数年かけて伐採、造林されています。今回の問題提起の一つは、急傾斜地や民家のすぐ裏を、大面積に搬出路網を入れて高性能林業機械を使って搬出して土壌撹乱をする方法の危険性です。路網からの災害発生は多いですし、再造林しても、根系が発達する20年間は危ないのではないでしょうか(この点砂防や造林の先生の知見がもっと必要)。また、高性能林業機械が普及しているヨーロッパの人に、日本では1時間に100mm以上降る時もあると言ったら、1日の間違いだろうと言われたことがあります。このところの気候変動で、災害が激甚化していますし、人口密度が高いので、日本の場合、伐採活動はヨーロッパ基準よりも厳しくするぐらいが求められると考えています。これを変えるには保安林制度が立ちはだかっています。
皆伐再造林をせず、多間伐や択伐施業だと管理が難しくなるというのは、その通りだと思います。小規模分散の皆伐・再造林(または天然更新)まで許容すべきと考えます。ただ、ドイツなどでは、合自然的林業や将来木施業など現場判断での森林管理ができているようですので、それをどう見える化(データ管理しているのか)知りたいところです。
あと現在の造林地が、全て前世樹種を皆伐したところに植林したところかどうかは、よく吟味する必要があります。人工林で2代目、3代目のところ、天然林を伐採して人工造林したところ、茅場など原野に造林したところがあり、再造林せずに天然更新可能かどうかに関連しています。
 ②自伐型林業者・間伐のリスク   自伐型林業者がどのような森林を作っていくのか、またそれをどう評価するのかという点に関わる重要な点だと思います。
森林所有者の意識が高いと、将来の山林をどのようにしたいかという共通認識をもち、変な施業はできません(事例ででた智頭町はこのタイプ)。また、自伐協の主張も、森林の将来価値を上げると言っています。
ただ、森林所有者がどのような森林にしたいといったものがなく、確認にも来ないとなったら、今の所得を優先するかもしれません。また、一生懸命に自制して良い山にしようと間伐したけれども、それを理解して評価してくれる人やシステムがないとやりがいにつながりません。佐川町は20年後にどのような森林にしようとしているのか、行政がチェックできるのかが重要だと思います。
実際、自伐型林業者がやったという山林で、残存木が傷だらけだった山を見たことがあります(これは伐倒の技術的な問題もあります)。また、森林組合に間伐を頼んだら、「良い木ばかり売って、曲がった木しか残っていなかった」という事例もありましたし(自伐型林業だけの問題ではない)、2011年の森林法改正で間伐材積に伴って補助金が高まることになって、荒い間伐が多くなったという話は多く聞きます。
そのような荒い間伐にならないようにするには、選木を誰がするのかということが重要なポイントになると思います。自伐型林業者の方は将来の山づくりまで興味がある方(所有者のように、将来価値をあげる山づくりを標榜して、それが楽しいという方も多い)も多いので、選木を任せてもらったとして、それを評価する仕組みが求められます。実は、その仕組みづくりについても議論が始まっていて、自伐型林業者を山守として育成したい大規模森林所有者(奈良の吉野地方など)と自伐型林業者を仲介する組織を作る動きがあり、注目しています。
資源を食い潰すような施業ではなく、将来価値をあげるような森林施業をやった場合に、それを評価して、継続して山林を任せてもらい、経済的な見返りもあるような仕組みができるともっと自伐型林業も信頼されるようになるのではと期待しています。

ありがとうございました。

kokunai5-55<NHKclogen>
新総理所信表明の行われた10月8日は木の日ー勉強部屋ニュース266編集ばなし(2021/10/15)

今月のフロントページは岸田新総理の所信表明と森林

「新しい資本主義」といった、成果をどのように森林の機能のような部分に分配していくのか、結構突っ込めそうなコンセプトは提示されているのですが、まだまだ、車座になって議論していかないと具体化しないみないです。

ところで、所信表明の冒頭、新総理は「本日は新たな木材利用促進法で規定した木材利用促進の日です。」

とはいいませんした、が、新総理が生まれた、10月は新たな木材利用促進法が規定する初めての、木材利用促進月間で、所信表明がおこなわれたのは「木の日」木材利用促進の日ですね。

カーボンニュートラルのビジョンの中で持続可能な木材利用がどうなるでしょうか?

「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」施行記念講演会・シンポジウム。8日は私もリアルなイベントに出席して、偉い人と名刺交換。

そして14日は、1年ぶりで東京をはなれて、札幌へ。全木木材産業振興大会に2年ぶりで出席しました。

次号にはご報告します。楽しみにしてくださいね。

次号以降の予告「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」施行記念講演会・シンポジウム出席、地域の未来自伐型林業で定住化、地球温暖化対策の推進に関する法律改正は?森林所有者は幸せか?森林に関する主観的幸福度論文が公開、御殿場の木質バイオマス発電ーローカルな林業の可能性、欧州の炭素国境調整措置の内容

konosaito<hensyukouki>

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藤原敬 fujiwara.takashi1@gmail.com