ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済-ビジョン実現に向けた推進戦略とロードマップ-(2024/9/12)

このページでもフォローしてきた「地球が持続し、豊かで、すべての人の自己実現を可能にする社会!」を目指すプラチナ構想ネットワーク

その団体が昨年、プラチナ森林産業ネットワークという団体を立ちあげ「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」という文書(以下「ビジョン2050本体」といいます)を公表したので、このページでもフォローしてきましたが、7月に「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済-ビジョン実現に向けた推進戦略とロードマップ-」を公表しました。

先般開催した、勉強部屋ニュース300号記念Zoomセミナーでゲストの全木連会長菅野さんが、この記事は素晴らしかったとほめていただいた、プラチナ森林産業ネットワークの記事!!

その実現への道筋が公表されました。

全4ページの簡単な内容ですが、以下紹介します。

 ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済-ビジョン実現に向けた推進戦略とロードマップ-
本文
 勉強部屋コメント
 脱炭素化、経済安全保障強化、地方創生及び森林文化の醸成を同時に目指す「ビジョン2050日本が輝く、森林循環経済」を実現するため「産官学民の総力を挙げて森林循環経済を実現」「リサイクル&バイオマス化学の早期立ち上げ」「木造都市の加速」「儲かる林業の実現」を柱とする2050 年までの推進戦略とロードマップを提案する。  昨年5月発表した「ビジョン2050・・・」(ビジョン本体といいます)推進戦略とロードマップは4つの柱
 官学民の総力を挙げて森林循環経済を実現
化石資源に替わり、わが国の森林資源を建築・エネルギー・化学産業などで有効活用するためには、民間企業の努力とともに政府はLCA や経済波及効果等を考慮し、GX 戦略における重点施策に位置付け、省庁横断で総合的に推進する必要がある。また、森林資源フル活用事業は地方公共団体のコーディネートや国民の理解・行動変容も期待したい。
 このすごい、森林循環経済はそう簡単に実現はしない。政府の中心戦略GX戦略の重点事項に位置づけ、官民あげた行動が必要だ!!
 リサイクル&バイオマス化学の早期立ち上げ
リサイクルやバイオマス資源を活用した化成品生産は技術開発や実証から実用に向け早期に推進する必要がある。資源確保とともに既存設備の活用・連携等を考慮した効率的な体制の検討・構築が必要である。またコスト高に対し、リサイクルやバイオマス製品のユーザーの理解醸成、国による税額控除・公共調達・補助金・カーボンプライシング等市場創出策の具体化が必要である。化学産業の脱炭素化に必要な低価格なグリーン水素の確保を官民で取り組む必要もある1
 ビジョン2050本体の第一基本戦略「石油化学からバイオマス化学への転換」
技術開発・実証段階から実用化に向けた早期推進を!!
 木造都市の加速
需要サイドでは、非住宅の施主や建築事業者に対する木造化・木質化のメリットの明確化と訴求が重要である。実際には木造建築物の寿命は短くない。実態に合った木造建築物の耐用年数・償却年数の指標設定が必要である。また、国産由来の木材製品のCO2 固定量を認証し、SHK 制度でオフセットする新たな制度の創設を推進する。
供給サイドでは、建築基準法の改正等でさらに重要性が高まった建築部材強度の見える化、特に国産の製材でのJAS 格付の普及が鍵となる。具体的には、無等級材に対するJAS 材の優位性の明確化やJAS 材生産コストの抑制にかかる制度設計に加え、民間サイドでもJAS 材の積極的な活用が求められる。
 ビジョン2050本体の第2基本戦略「木造都市(まちの木造化・木質化)の展開」
需要側では大規模建築需要者への木造化等のメリットの明確化!
供給サイドはJAS材の活用
 儲かる林業の実現
木材需要の拡大を見据え、林業・木材産業の生産性向上、主伐・再造林を前提とした施業面積大規模化の他、地域が主導するバリューチェーンの構築や、金融との連携強化を一層推進・支援していく必要がある。この4 点を踏まえた、「儲かる林業」の標準型事業モデルを提案する。
本モデルでは、わが国の森林・林業の現況、経済合理性、環境負荷等を考慮の上、10 万㎥/年を原木集材(全量買取)するストックヤードを設定。ヤードを中心に、森林面積250ha/年を基準とした40 年サイクルでの主伐・再造林を提案している(1 サイクル当たり10,000ha)。木造都市やバイオマス化学との連携に向け、隣接地での製材・チップ工場の設置やチップから液化等一次加工する化学プラントの併設も望まれる。
本モデルを踏まえた社会実装に向けた取組として、富山県西部では事業検討協議会が立ち上がり、ケーススタディのフェーズに入った。本取組を皮切りに、今後全国での展開を図っていく。
 ビジョン2050本体の第3基本戦略「需要拡大を受けた森林林業の革新」
絵は描けているので、ケーススタディがはじまった。
 2035 年までパイロット事業を展開、2035 年から本格的に事業展開、2050 年にビジョン達成ビジョンで定めた木材自給率100%、化生品の化石資源由来0%、9 階建以下建物木造化・木質化100%、林業の再造林率100%を目標に、概ね2030 年に目途に事業検討、制度設計を終え、2035年までにパイロット事業を展開、2035 年以降本格的に事業展開、2050 年にビジョン達成を目指す。  2050年が着地点は示されていたが、2030年・2035年の道筋を提示!!
 4 倍の森林資源の需要増加は国産資源で供給可能、1 割のCo2 削減効果と4.7 兆円の経済効果ビジョンで下記に示した通り、森林資源の需要増は国産資源で供給可能であり、大きなCO2 削減効果と経済効果があると試算した。今後、モデルケースを設定し、従来の化石資源を活用したケースと比較したLCA や地域経済波及効果を試算する。
① バイオマス化学や木造都市の進展で森林資源の需要は1 億4,500 万㎥/年程度と現在の約2倍となるが、潜在成⾧量などから国内の森林資源で供給可能である。
② 現在(2020 年)のわが国のCO₂排出量の約1 割に相当する約1 億tのCO₂排出削減が見込まれる。
③ 国内資源のフル活用とリサイクルの推進スギ花粉対策の効果で4.7 兆円の直接的な経済効果(付加価値増)が見込まれる。
ビジョン2050本体に同じことが記載されています

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上記の他に、その他に、プラチナ森林産業イニシアティブ参加団体名簿が公表された(ステアリングコミッティが7名から17名に、参加法人が41社から59社に、参加自治体が4自治体から11自治体に)

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(プラチナ森林産業イニシアティブの課題はどうなった?))

ビジョン2050本体が公表されたときすこし問題点を概略以下のように指摘しておきました

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指摘したすごいプジェクトだけど、森林関係者にあまり関心が広がっていない。

森林産業イニシアティブのステアリングコミッティの委員長は大手総合化学メーカー株式会社トクヤマの社長。ビジョンで示された、三つの領域(2.3つの注目領域)、①化石資源原料から脱却を図る「バイオマス化学」、②進展する「木造都市(まちの木造化・木質化)」、③需要の拡大が刺激する「森林林業の革新」のうち、とりあえず①が主導する布陣です。

大手の化学産業、建築産業のビジネスが主導して始まる運動に、供給体制の改革をどのように構築するのか?まだそれが十分に描き切れていなところが、森林の関係者にこの運動の関心が十分に広がっていない理由だと思ます。

川下が進んで、川上おくれると?いろんな問題が発生する可能性があります

などーーーー

そういう意味で、今回の推進瀬略とロードマップで重要なのは、上記、、第3基本戦略「需要拡大を受けた森林林業の革新」に記載されている「本モデルを踏まえた社会実装に向けた取組として、富山県西部では事業検討協議会が立ち上がり、ケーススタディのフェーズに入った」

この部分かもしれません

フォローしてまいります

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参考に前回の指摘した事項など、前回もご紹介した課題と戦略もう一度掲載しておきます

ビジネス主導で進んでいくときに、川上がおくれると、その森林がいったいどうなってしまうのか(はげ山)、その辺のリスクを川下のビジネス関係者も共有し、「上流―下流―リサイクルのバリューチェーン確立」(9番目の戦略)、「国民事業者への啓蒙」(10番目の戦略)が進むように、期待します。

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