プラチナ森林産業イニシアティブー日本が輝く森林循環経済ー次のステップへ(2023/8/10)

このページでもフォローしてきた「地球が持続し、豊かで、すべての人の自己実現を可能にする社会!」を目指すプラチナ構想ネットワーク

この団体が6月14日、プラチナシンポジウム―「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現に向けて、を開催しました。そして、

そのビジョンを主導するプラチナ森林産業イニシアティブが8月1日にフェーズ2にむけた説明会を開催しました。

これらに、参加しましたので内容をご紹介します。

充実した内容に引っ張られて少し大きなページになったのでセクションを書いておきます

プラチナシンポジウム概要:基調講演:「森林資源のフル活用によるプラチナ社会の実現」を中心に
プラチナ森林産業イニシアティブフェース2企画説明会
プラチナ森林産業イニシアティブの課題と期待

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

((プラチナシンポジウムの概要))

このページでも紹介した(「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の公表ー(一社)プラチナ構想ネットワーク)、5月に公表したビジョンが、絵に描いた餅にならないように、社会に伝達するイベントです。

一般のマスコミでも報道されました。
NHK「脱炭素社会へ木材の積極活用求める提言 経済界など参加の団体」
時事通信「森林資源活用でCO2を1割削減=植物由来製品・木造都市に転換―民間団体」

(シンポジウムプログラム)

プログラムは以下の通り

ーーーーー
 ・開会挨拶:株式会社トクヤマ 代表取締役社長執行役員 横田 浩
 ・基調講演:「森林資源のフル活用によるプラチナ社会の実現」
       一般社団法人プラチナ構想ネットワーク会長 小宮山 宏
 ・特別講演:「炭素耕作によるカーボンネガティブへの挑戦」
       国立大学法人東京農工大学大学院卓越教授 養王田 正文
 ・パネルディスカッション
      :「ビジョン 2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現に向けて
 【モデレーター】
  横田 浩
 【パネリスト】
  株式会社シェルター 代表取締役会長 木村 一義
  会津森林活用機構株式会社 取締役 小林 靖尚
  日揮ホールディングス株式会社 執行役員 CTO 水口 能宏
  国立大学法人東京農工大学副学長 吉田 誠
  一般社団法人プラチナ構想ネットワーク 事務局顧問 鎌形 太郎
 ・閉会挨拶:一般社団法人プラチナ構想ネットワーク 理事 長澤 光太郎
ーーーーー

基調講演:「森林資源のフル活用によるプラチナ社会の実現」

小宮山会長の基調報告内容を紹介します(つまみ食い)

 ネットワーク設立の背景 人類史が転換点にある!!

有限な地球
長寿化する人類(1900年平均寿命は31才だった)
爆発する知識

昔人類は生きるのに大変でそれ以外のこことは、考えなかった(考える暇がなかった)
でも今は違う

ビジョンが必要だ
 ネットワークのビジョン  プラチナ社会 地球が持続し、豊かで、すべての人の自己実現を可能にする社会!
 ネットワークの広がり  15年前?にできたネットワークは、今では
211自治体、法人会員142社など

長野と北海道、九州でも支部ができた
全国展開している
 プラチナ社会を実現する拠点群
プラチナ社会!
どのようにそのような社会を実現するか?

こうしたらよいんでないか?というアイディア(ピース)は一杯。

それをつないで産業化する必要がある!!
 産業も社会も変わる  プラチナ○○産業イニシアティブを設立することにした!!
 バイオマスが非金属物質の資源  日本には十分ある
エネルギーは:太陽光発電で現在の総発電量を賄える
金属は:都市鉱山が必要な量を供給できる(世界全体で2050年には・・・)

それでは、非金属物資は?
プラスティックはバイオマスから生産が急浮上
バイオマスの供給量は十分あるのか?
 森林文化と新林業による地域創生  10年間の蓄積があります
 山林は未開発なバイオマス資源  現在の4倍のバイオマスを供給する可能性がある
 全バル―チェーンで強力な有志が集まった  プラチナ森林産業イニシアティブが設立しました
プラチナ○○産業イニシアティブ第一号
 ステアリングコミッティ
 運営委員会のメンバーリストです
 森林フル活用将来フレーム  森林利用量現在3370万m3だが、2050年14000-17900万m3
実現可能だ
本当?
できるというのが検討結果
伐るのは3倍、あとは林地残材など
 需要で供給を引っ張る  どうやってそこにたどり着くのか?
石油化学からバイオマス化学への転換
木造都市の展開
その二つで需要拡大し
需要主導で
森林林業の革新

いままで林業改革をいってきたが出来なかったのは需要がなかったから

需要で供給を引っ張るーこれが第一の戦略
 ベンチャーのスピードを生かす 第二の戦略は
ベンチャーのスピードを生かす
プラチナには50以上のベンチャーが参画
魅力あるビジネスづくり  エネルギーや環境などと相乗化

森林ビジネスに色々新規ビジネスができる
 転換期常識を変えよう  日本は加工貿易ら自給国家へ
ビジネス50兆円で地方創生
 100人の有識者より1人の実践者  議論は半年でできる
 100人の有識者より1人の実践者

ビジョン「2050日本が輝く森林循環経済」を力を合わせて実践しましょう

30分にわたる理事長の基調講演
木質資材の供給量は、いまの4倍になる!!本当?

1年間にわたって検討を重ねた結果だそうです。
さまざまなプラチナ産業イニシアティブができる構想の第一番目が、プラチナ森林産業イニシアティブ

理事長の基調講演の動画がこちらにありますので、是非ご覧ください基調講演:「森林資源のフル活用によるプラチナ社会の実現」一般社団法人プラチナ構想ネットワーク会長 小宮山 宏

また、シンポジウムの背景となったビジョン2050の全文がこちらにあります→「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」

議論するより実践だ!!という理事長の話ですが、森林関係者は是非上記二つの資料をしっかりチェックていただければと思います。

また、ビジョンno
内容は、「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の公表ー(一社)プラチナ構想ネットワーク(2023/6/10)のページの(ビジョン2050とは)に概要紹介していますの是非参照下ください。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(シンポジウムプログラムの動画が見られます)

シンポジウムのプログラムごとの動画ユーチューブが掲載されていますーこちらから

 ・開会挨拶:株式会社トクヤマ 代表取締役社⾧執行役員 横田 浩
 ・基調講演:「森林資源のフル活用によるプラチナ社会の実現」 一般社団法人プラチナ構想ネットワーク会⾧ 小宮山 宏
 ・特別講演:「炭素耕作によるカーボンネガティブへの挑戦」 国立大学法人東京農工大学大学院卓越教授 養王田 正文
 ・パネルディスカッション:「ビジョン 2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現に向けて
 ・閉会挨拶:一般社団法人プラチナ構想ネットワーク理事 長澤光太郎

以上が「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」を受けた6月14日のシンポジウムの概要です

ーーーーーーーーーーーーーー

((プラチナ森林産業イニシアティブフェース2企画説明会))

8月1日に上記のフォローアップ標記説明会があったので、会場(三菱総研)出席しました。

プログラムは以下のとおり。プレゼン資料をいただいたので掲載します

・テーマ別講演:
  ①「バイオマス化学の動向と課題」1 日揮ホールディングス株式会社執行役員CTO 水口 能宏氏
           同2       株式会社リグノマテリア取締役専務CTO 見正 大祐氏
  ②「木造都市の動向と課題」株式会社シェルター常務取締役 安達 広幸氏
  ③「主伐・再造林に向けて」会津森林活用機構株式会社取締役 小林 靖尚氏
森林産業イニシアティブフェーズ2企画説明:一般社団法人プラチナ構想ネットワーク顧問 鎌形 太郎
・閉会挨拶:一般社団法人プラチナ構想ネットワーク 会長 小宮山 宏

企画説明というファイルに今後の方針が記載されています

第2フェーズのセクション別の活動内容

 セクション  実施方針  実施内容
 バイオマス化学  ①石油化学からの転換を見据えて、各転換技術の特性の整理の上、地域別・段階別の森林資源と廃プラスチック等の需給見通し及びバイオマス化学プラントの配置を想定して、バイオマス化学プロジェクトの掘り起こしを推進
②バイオマス化学への転換のネックとなる、森林資源及び廃プラスチック等の確保策、高コストとなるバイオマス製品の利用促進策等について、国や業界団体、個別企業の動向を研究し、必要に応じ推進施策を検討
 ① バイオマス化学の転換技術の動向と比較
② SAF の需給見通しと木質バイオマスからの生産可能量の検討
③ 2050 年の目標に向けた地域別・段階別のバイオマスプラントの配置計画想定
④ 森林資源の確保策
➄ 廃プラスチック等のリサイクルの動向と課題解決の施策の検討方法
⑥ バイオマス製品(リサイクル製品含む)の利用促進の検討
⑦ 推進施策のとりまとめ
⑧ バイオマス化学のプロジェクトの掘り起こし及び促進
 木造都市  ①2022年度(フェーズ1)では、「木造都市=都市の木造化・木質化」と定義し、木造都市の意義を確認しつつ、「2050 年までに9階建てまでをすべて木造化・木質化する」という高い目標(ビジョン)を提示

②2023年度(フェーズ2)では、ビジョン実現に向けた複数の課題の中から、以下の2つに着目し、政・官・民の関係者を巻き込んで具体的なアクションを検討し、実施・支援
✓需要サイド:非住宅の施主に対する「木造化・木質化のメリットの明確化と訴求」
✓供給サイド:特に国産材から製造する「建築部材の強度の見える化」
 ①施主のメリットの明確化と訴求】
ア法定耐用年数の見直し
イCO₂ 固定に対するオフセット機能を有する制度の創設
ウシンポジウム等での啓発
②建築部材の強度の見える化
ア木造都市をとりまく法制度動向の整理
イ木造建築部材の地域別需要・供給の見える化
ウJAS 格付け製材が増えない要因の分析と対応策の検討
 森林林業  ①森林・林業の革新に向けては、提言で示した基本戦略、すなわち林業・製材産業の経営強化および林業の大規模化を、着実に実行するとともに、制度や実務面での課題の解決が必要
②その裏付けとなる資金を確保すべく、投資家等への具体的な森林・林業事業像の提示も重要

③フェーズ2では、わが国の森林・林業への投資ならびに森林CO2 クレジットのモデルを検討、併せて事業推進に向け制度拡充を政府等に提案
④複数の地域が連携して課題解決を目指す取組を試行
 ① 森林・林業投資モデルの検討およびケーススタディ
② 森林CO2 クレジットモデルの検討およびケーススタディ
③ 不明地主対策、ならびに地籍調査完了地域での森林集約策の検討
・ 事例研究(実務的対策、または不明等地主問題の回避可能な事業の事例)
・ 制度拡充の検討・提案
④ 森林・林業の投資・補助等に係る制度についての検討・提案
⑤ 飛び地連携(仮称)の試行およびスキーム作り
(林業事業体および自治体が、他地域との間での情報交換や人材・事業ノウハウの共有・協力、
政府への働きかけ等を通じて、夫々の森林・林業を振興していく)
⑥ 専門家の講演、意見交換・ワークショップを行う分科会を4 回開催

(今後のスケジュール)

8月1 日(火) 企画説明会
8月31 日(木) 参加申込締切
9月29 日(金) 部会申し込み

10月 第1回全体会議(キックオフ、部会・メンバー紹介)~懇親会
1月 第2回全体会議(ロードマップ等)
4月 第3回全体会議(政策提言等)
5月 政策提言等公表(プレスリリース)
6月 森林産業ビジョン普及のためのシンポジウム開催~懇親会

ーーーーーーー

((プラチナ森林産業イニシアティブの課題と期待))

「地球が持続し、豊かで、すべての人の自己実現を可能にする」プラチナ社会の実現を目指すプラチナ構想ネットワークが、プラチナ森林産業イニシアティブを立ち上げ

森林の関係者ならだれでも注目する(はずの)大きな運動です。このサイトでも追いかけてきました。

でも、森林の関係者にはあまり関心が広がっていないみたいです。

どのようにして、そのような道筋が実現するんだろうか?というのが、だれでも考える疑問です。

それに対しては化石資源経済からバイオマス資源経済への移行という柱で、需要主導で森林産業改革をけん引しますというメッセージが提示されています。森林産業イニシアティブのステアリングコミッティの委員長は大手総合化学メーカー株式会社トクヤマの社長。

ビジョンで示された、三つの領域(2.3つの注目領域)、①化石資源原料から脱却を図る「バイオマス化学」、②進展する「木造都市(まちの木造化・木質化)」、③需要の拡大が刺激する「森林林業の革新」のうち、とりあえず①が主導する布陣です。

大手の化学産業、建築産業のビジネスが主導して始まる運動に、供給体制の改革をどのように構築するのか?まだそれが十分に描き切れていなところが、森林の関係者にこの運動の関心が十分に広がっていない理由だと思ます。

最後に、ビジョン2050に示された(p.26)「ビジョン実現に向けた課題と戦略」という図を掲載しておきます。(右の図)

真ん中の〇の10の戦略のなかに、森林ガバナンスで重要な、林業経営の強化、林業の規模拡大という事項が並んでいますが、たぶん他の戦略にくらべて実装化のテンポに差が出てくるはずです(遅れる)。

ビジネス主導で進んでいくときに、川上がおくれると、その森林がいったいどうなってしまうのか(はげ山)、その辺のリスクを川下のビジネス関係者も共有し、「上流―下流―リサイクルのバリューチェーン確立」(9番目の戦略)、「国民事業者への啓蒙」(10番目の戦略)が進むように、期待します。

勉強部屋も、特に川上の③需要の拡大が刺激する「森林林業の革新」についての蓄積と動向をしっかり勉強しフォローしてまいります

junkan10-9<sinrin-platina2-3>

■いいねボタン