「世界の行方を問うー岐路に立つ国際秩序と地球環境」の中の森林業(2019/12/06)

11月24日に東大本郷キャンパスで開催された、地球システム・倫理学会第15回学術大会シンポジウム、「世界の行方を問うー帰路に立つ国際秩序と地球環境」というイベントに出席してみまし(林業経済学会大会二日目はお休みして)>

タイトルが気になったので。

地球システムと地球環境を俯瞰して、どのような理念で次の社会を構想するのか?そして、そんなことを科研費も使っで検討しているグループの人たちが、森林という大切だが情報発信がすことたりない難物について、どのような認識しているか?

ーーーーーーーーパンフレットの概説曰わく

民主主義、自由市場主義、リベラル・デモクラシーという、人類が築いてきた理念と秩序の体系がいま揺らいでいる。既に先進国でリベラル・デモクラシーに反する政策を唱えるリーダーが選ばれた。新興大国は地政学的野心を露わにし、地域紛争も再燃している。人間の非合理性の主張やリアリズムへ振り子の振れを前にして、リベラル・デモクラシーは秩序の回復に向けた自己修正ができるのか、その真価が問われている。さらに、地球環境の変化が緊急に対処すべき深刻な危機を招いている。まさにこれまでの人間社会の秩序の粋を超えた概念を秩序の枠の外ではなく「内部化」する必要に迫られていると言うべきだろう。それでは、リベラル・デモクラシーが揺らぎ、しかも地球環境の変動にさらされている現在、世界秩序はどこに向かうのだろうか。権力と経済の利害が錯綜し、提起される構想もモラルの復権とAI(人工知能)への依存との二極に分かれるなかにおいて、これらの困難な課題を解く叡智はあるのだろうか。世界秩序の行方という大がかりなテーマを敢えて設定する理由は以上のものである。
本シンポジウムは、最先端の知見を結集し、内外に発信することによって、世界の良心に訴える

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 13:00 〜 13:15 開会挨拶 近藤 誠一 (地球システム・倫理学会会長)
13:15 〜 14:30 基調講演 小宮山 宏 (株式会社三菱総合研究所理事長)
          「希望はある〜プラチナ社会へのイノベーション〜」
14:30 〜 14:45  休憩
14:45 〜 17:30 シンポジウム「世界の行方を問う ―岐路に立つ国際秩序と地球環境―」
パネリスト
 藤原 帰一 (国際政治学 東京大学大学院教授)座長
 川勝 平太 (比較経済史 静岡県知事)
 佐々木 瑞枝 (日本語学 武蔵野大学名誉教授)
 鬼頭 秀一 (環境倫理 星槎大学副学長)
 羽田 正 (世界史 東京大学副学長)
コメンテーター
 服部 英二 (比較文明論 元ユネスコ事務局長官房特別参与)

話は大きいのですが、この勉強部屋のトップページに掲載しようと思ったのは、基調講演を行った小宮山宏氏(三菱総合研究所理事長)の「希望があるープラチナ社会へのイノベーション」という話の中での森林の話です。

(プラチナ社会)

小宮山宏氏が語るプラチナ構想は、もと東大総長の語る次社会論という興味を引くストーリーというだけでなく、小宮山氏が実現にむけて執念深く自治体、地方大学、企業とのネットワーク、プラチナ構想ネットワークを作り上げ、その実現にむけた「希望をかたれる」と、いうことがすごいところです。

1時間以上におよぶ、上記基調講演は、小宮山氏の今までの取組を総括したもので、全体をフォローすることができません(→新ビジョン2050をどうぞ)が、プレゼンの途中から、森林問題が話題の中にはいってきました。

その最初のプレゼン資料が、左の図です。国土の70パーセントが放置されている。

(プラチナ社会の森林)

「問題を解決するのは、そんなに難しくない。大規模化、機械化、情報化である。補助金が効率化の道をスポイルしてきた」

突然、森林話になったのと、スポイルの話は私の問題意識とかさなったのでインパクトがあったのですが、あまりに単純化された「解決策の提示」は、森林関係者がきかれると、なにをいっているのだ、ということになるかと思います。

ただ、関係者はご存じなのかもしれませんがプラチ構想ネットワークで、森林政策に関して少し、時間をかけてフォローしてきていることに気がつきました。

プラチナ構想ネットワーク森林フル活用プロジェクト
会津森林活用機構株式会社(小宮山氏が会長)
『日本創生 よみがえれ!!森林資源大国日本!! 〜森林資源のフル活用で地域に新産業を創る〜』

国産材が使われるようになって、木材産業の周辺がすこし活性化している令和の時代のブームにのった話で終わらせないように、令和に生まれた森林が次世代にむけて情報発信ができるようなプラチナ社会だったと言われるように、このページでもフォローして参ります。

(未来にむけた質問)

すこし、メインのストーリーとは外れますが、環境ガバナンスに関する専門家がそろっているようなので、日頃の関心事項を質問してみました

(問)
基調講演で森林が話題になったのは興味深い。質問がある。私は、霞ヶ関でGATTやウルグアイランドなどの担当をしていたときがあるが、経済のグローバル化と環境問題が話題となった。そのときにWTOの人から、「われわれは経済のグローバル化を大変な苦労をしてやってきた。それにくらべて、環境のグローバル化の努力がたりないのでないか?」と言われた(WTO貿易と環境に関する特別報告)。それで、1992年の地球サミットで森林条約を作ろうというはなしが、途上国の反対でできなかということことが思い浮かんだ。経済と環境のガバナンスのグローバル化の関係について、なにかコメントをいただけないか?

(答1パネリストKさん)

林業は時間がかかる、非市場的な、お金で解決できない問題を含んでいる。非市場的な部分をしっかりとりあつかっていかないと、問題がでてくるのでないか?経済的になりたつたようにといって、市場になげこまれれている面がある。その問題をどのように検討するか?コモンズ研究などの蓄積が大切だろう。

(答2パネリストでコーディネーターFさん)
l国際政治の側からひと言。国際協定は2国間から戦後多国間になってきた。その場合、強制力が問題、EUにように罰則をつけられるかどうか。こんな方向で行きましょうとうアドボカシー多国間協力もありうるが、そのようにするかで、効果が全然ちがう。

junkan1-19<Crroad-fore>  



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