5月19日から21日開催された第49回主要国首脳会議G7広島サミットが終了し、成果文書が公表されれています。
2005年のグレンイーグルスサミットが日本の違法伐採問題やその後の各国の違法伐採対策の取組に大きな影響を与えたように、G8/7サミットは地球環境問題の中の森林問題の取組に大きな役割を果たしてきたことに、このサイトでも注目してきました
各国だけでは対処できない事案に効果的・効率的に対応するのに、国連が十分本来の機能を果たしてないなかで、経済力をもった先進主要国があつまって、1975年以来49年間。
「森林のガバナンス」という大切だけど、なかなかわかりにくい課題がどんな時に国際的に重要な課題として共有されるのでしょうか?ということで、ヒストリーを先月整理してみました。→G7/8サミットの歴史の中の森林(2023/5/15->25)
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それでは、今回のサミットの主たる合意文書G7 Hiroshima Leaders’ Communique、G7広島首脳コミュニケ(仮訳)を見てみましょう。
((G7広島サミット主たる合意文書の中の森林))
今回の宣言コミュニケは40ページ66パラグラフ(以下にpara)21のセクションにわたるものです。その中にforest 森林という言葉はあるか?
テキストをひろって、整理してみまた。(細かい結果は末尾に)
その中で、森林 forest ということばが入っているparaが2つ(para1とpara24)、となっている部分ですが、・・・・para24(後段部分)を見てまいります。
左側、日本語に仮訳のしたもので、コメントが入っています部分を参照ください。右側が原文です。
「2030年までに森林の消失と土地の劣化を阻止し反転させるというコミットメントを改めて表明し(藤原解説:この部分は昨年のサミットから入ってきた途上国支援の重要なメッセージですー、COP26(21年11月)で行われた森林と土地に関するグラスゴー首脳宣言に一節が起源)、森林を始めとする陸域生態系の保全及びその回復を加速させるとともに、持続可能なバリューチェーン及びサプライチェーンを支援し(藤原解説:森林が減っていない国の人も食料や木材を買うときに森林に負荷をかけていない商品を選別して購入してくださいー:ゼロデフォ製品、森林認証制度、クリーンウッド法も)、持続可能な森林経営と木材利用を促進することにコミットする(藤原解説:G7サミットの文書で木材の利用促進というコンセプトが入ってきたのは初めてーー!!です)。
我々は、特に、炭素及び生物多様性の重大な貯蔵を有する国において、「森林、自然及び気候に関するカントリーパッケージ」を通じた我々の提案(藤原解説:para1にもでてくる大切そうな枠組み、いったい何?あとでフォローします)の調整などにより、まずは森林を中心として、炭素貯蔵量が多く生物多様性に富む生態系の保護、保全、回復を支援する統合的な解決策を提供するため、高い野心をもって協働する。
我々は、関連商品の生産に関する森林減少や森林及び土地の劣化のリスクを低減し、この問題に対する様々なステークホルダーとの協力を強化する取組を継続することにコミットする(藤原解説:先進国の途上国森林支援のツールはゼリデフィ製品の選択ー繰り返しになりますが)。
我々は、適切であれば、これ を支援するための更なる規制の枠組み又は政策を策定する」(藤原解説:木材利用拡大も含めた新たな枠組み作りが出発するか?楽しみです) |
We reiterate our commitment to halting and reversing forest loss and land degradation by 2030, and are committed to conserving forests and other terrestrial ecosystems
and accelerating their restoration, supporting sustainable value and supply
chains as well as promoting sustainable forest management and use of wood.
We will work together, with high ambition to deliver integrated solutions to support the protection, conservation and restoration of high-carbon, high-biodiversity ecosystems, including by coordinating our offers through Country Packages on Forests, Nature and Climate, especially in countries which host vital reserves of carbon and biodiversity, with an initial focus on forests.
We commit to continuing our efforts to reduce risk of deforestation and
forest and land degradation linked to the production of relevant commodities
and enhance cooperation with various 15 stakeholders on this issue.
We will, if appropriate, develop further regulatory frameworks or policies
to support this. |
以上がテキストです(もうすこし幅広いテキスト分析結果が下にありますが)
(木材利用促進が環境の文脈で国際合意に中に入ってきました!!)
循環資材である木材の利用がメインストリームにはいってきたということですが、どんな木材なら持続可能な木材なのかなど、川下と川上のビジネス関係者も巻き込んだ重要なプロセス不可欠です。
G7サミット構成国で本気になって、木材利用を進めている国はどこなの?
「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」といった国内法をもっている国は(州レベルの法律はありそうだけど)、日本以外に多分ないと思います。
2年前この法律ができた日に、菅総理は「G7サミットに出席するために英国南部コーンウォールに渡航。」でも菅総理の口からこの新法律のことが紹介されるかな?と思いましたが、それはなしでした。
いよいよ日本がリードして、世界中の持続可能な木材利用を推進し、新しい展開でしょうか・・・・。
(森林の消失を反転されための森林ガバナンスの新しいパッケージ?森林、自然及び気候に関するカントリーパッケージ)
昨年に引き続き「2030年までに森林の消失と土地の劣化を阻止し反転させるというコミットメント」が強調されています。21年のCOP26で行われた「森林と土地利用に関するグラスゴー首脳宣言」がもとになった文言みたいです。
これをどう進めるのか?途上国だけでなく、カナダの大規模な山火事など本当に森林を増加させていくプロセスが2030年までにできるのか?!
宣言を具体的な実施枠組みにもってくる重要なプロセスが、「森林、自然及び気候に関するカントリーパッケージ」見たいです。
このページでも、昨年のCOP27の「森林と気候リーダーズ・パートナーシップ(Forests and Climate Leaders’ Partnership: FCLP)」など紹介しましたが、COP28に向けて具体的な枠組みが提示する方向にあるようです。
途上国の森林減少を念頭においた枠組みでしょうが、国際的な森林ガバナンスの新たな枠組みについて、しっかりフォローしてまいります。
(先進国の消費者への期待-ゼロデフォ製品)
もう一つのトピックスは、」森林減少を伴わない形で生産された作物をサプライ・ チェーンの中で取り扱う「ゼロ・デフォレステーション1,2」の取り組みですね。
G7の先進国が途上国支援の重要なシステム。para24のメインメッセージかもしれませんね。
(こちらをどうぞ→ゼロ・デフォレステーションの取り組み
−サプライ・チェーンを通じた途上国の森林減少抑制−
。これもパケージにはいっているのかな?
今後フォローしてまいります
以下参考資料です
(合意文書の中身をフォローしておきます)
森林があったpara1,24と、その他は、全体の流れから、森林に関係のある問題に関連あると思ったparaです。
セクション |
森林に関係のある記述 |
前文(p1−2) |
para1 |
我々は、次のとおり協働し、また他の主体と共に取り組むことを決意している。
・・・
・「公正 なエネルギー移行パートナーシップ(JETPs)」、「気候クラブ」及び「森林・自然・気候の新カントリーパッケージ」を通じた協力を強化する。 |
気候(p9−12) |
para19 |
気候変動、生物多様性の損失、クリーン・エネルギーへの移行に関する行動の速度と規模を増加させる重要性に留意し、我々は、グリーン・トランスフォーメーションを世界的に推進及び促進し、遅くとも2050年までにGHG排出のネット・ゼロを達成するために我々の経済の変革の実現を目指して協働する。 |
para21 |
、環境十全性を確保 しつつ炭素市場の発展を促進させるため、我々は、カーボンクレジット市場における実施を促進するための「十全性(質)の高い炭素市場の原則」を支持する。 |
環境(p12−14) |
para22 |
我々は、循環経済・資源効率性原則(CEREP)を支持する。我々は、サプライチェーンにおける循環性を高めつつ、国内及び国際的な重要鉱物や原材料、その他の適用可能な原料の環境上適正で、持続可能かつ効率的な回収・リサイクルを増やす。 |
para24 |
我々は、人間の幸福、健全な地球及び経済の繁栄の基礎となる、生物多様性の損失を2030年までに止めて反転させるための歴史的な昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の採択を歓迎し、その迅速かつ完全な実施と各ゴール及びターゲットの達成にコミットする。この点で、生物多様性条約(CBD)締約国であるG7
諸国は、GBFとそのゴール及びターゲットに沿った生物多様性国家戦略及び行動計画(NBSAPs)を2023年内又は生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)に十分に先んじて、改定、更新及び提出し、又は、該当する場合は、GBFの全てのゴール及びターゲットを反映した国別目標を伝達することにコミットする。
・・・
発を支援するよう市場参加者、政府及び当局に強く求める。我々は、保護地域や保護地域以外で生物多様性保全に資する地域(OECM)の指定及び管理を通じ、各国の状況及びアプロー
チに応じて、2030年までに陸域及び内陸水域の少なくとも30%、海洋及び沿岸域の少なくとも30%を効果的に保全・管理するという目標(30by30)を国内及び世界で達成するとのコミットメントを強調する。
・・・
我々は、2030年までに森林の消失と土地の劣化を阻止し反転させるというコミットメントを改めて表明し、森林を始めとする陸域生態系の保全及びその回復を加速させるとともに、持続可能なバリューチェーン及びサプライチェーンを支援し、持続可能な森林経営と木材利用を促進 することにコミットする。我々は、特に、炭素及び生物多様性の重大な貯蔵を有する国において、「森林、自然及び気候に関するカントリーパッケージ」を通じた我々の提案の調整などにより、まずは森林を中心として、炭素貯蔵量が多く生物多様性に富む生態系の保護、保全、回復を支援する統合的な解決策を提供するため、高い野心をもって協働する。我々は、関連商品の生産に関する森林減少や森林及び土地の劣化のリスクを低減し、この問題に対する様々なステークホルダーとの協力を強化する取組を継続することにコミットする。我々は、適切であれば、これ
を支援するための更なる規制の枠組み又は政策を策定する。 |
エネルギー |
para25 |
我々はパートナーと共に、遅くとも2050年までにネット・ゼロ排出を達成し、気温上昇を摂氏1.5度に抑えることを射程に入れ続けるために、再生可能エネルギーのグローバ
ルな利用拡大を含め、エネルギー安全保障、気候危機、地政学的リスクに一体的に取り組むことを模索する。我々は、過去と現在のエネルギー危機への対処の経験を通じて、「第一の燃料」
としての省エネルギー及びエネルギーの節減の強化並びに需要側のエネルギー政策の発展の重要性を強調する。我々はまた、再生可能エネルギーの導入や次世代技術の開発・実装を大幅に加速させる必要がある。G7
は、2030年までに洋上風力の容量を各国の既存目標に基づき合計で150GW増加させ、太陽光発電の容量を、各国の既存目標や政策措置の手段を通じて、
IEAや国際再生可能エネルギー機関(IRENA)で推計された2030年までに合計で1TW以上に増加させることも含め、再生可能エネルギーの世界的な導入拡大及びコスト引下げに貢献する。 |
気候変動エネルギー及び環境 |
気候変動 |
今世紀後半に温室効果ガスについて発生源による人為的な排出と吸収源による除去との均衡を達成することの重要性に留意しつつ,2020 年の期限に十分に先立って今世紀半ばの温室効果ガス低排出型発展のための長期戦略を策定し,通報することにコミットする。
我々は,他のドナー国と共に,意味のある緩和のための行動及び実施の透明性の文脈において,2020 年までに年間1000 億米ドルを共同で動員するとの目標の達成に向け,着実に前進しつつあることを認識
我々は,エネルギーの生産及び利用が世界の温室効果ガスの排出の約3 分の2 を占めるという事実を踏まえ,エネルギー部門が気候変動に対処する上での重要な役割を果たさなければならないことを認識する。 |
エネルギー |
我々は,エネルギー効率及び水力発電を含む再生可能エネルギー並びにその他の国産資源の活用に関する強化された取組を支持する。 |
開発 |
持続可能な開発のための2030 アジェンダ |
我々は,持続可能な経済への世界的な移行に実質的に貢献するため,野心的な国内の行動をとることを決意する。我々は,国内の行動に加え,ぜい弱なグループにおける個人の尊厳及び人間の安全保障の促進を特に強調しつつ,2030
アジェンダを実施するための開発途上国の取組を支援することにコミットする。我々の共同の対応における重要な要素は,全ての女性と女児のエンパワーメントとジェンダー平等,国際保健,質の高いインフラ投資,特に後発開発途上国(LDCs)の若年者のための支援,平和及び安全に対する脅威への対応の活性化,強制移動及び現代の奴隷制度への対処,産業人材育成,包摂的なイノベーション,食料安全保障と栄養,CONNEX
イニシアティブ,世界津波の日を通じての活動を含む災害リスクの低減への支援,気候変動の緩和及び適応への支援,エネルギー安全保障及び持続可能なエネルギー,海洋ゴミに対処することを含む資源効率性及び3R
並びに持続可能な森林経営及び違法伐採の根絶を含む。 |
複雑な契約交渉の支援強化(CONNEX) |
我々は,当初採取部門に焦点を当て,複雑な商業契約交渉のための分野横断的かつ具体的な専門性を開発途上にあるパートナー国に対して提供するため,
CONNEX イニシアティブの下での我々の取組を強化することにコミットする |
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chikyu2-10 <G7hirosima_fore>
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