新たな木材利用促進法ーl公共建築物木材利用促進法改正案成立(2021/6/15)(6/16加筆)

今国会に議員立法として提案されていた、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案が6月11日参議院で可決成立しました。

脱炭素社会の実現に 木材活用と森林整備につなげる法改正(NHKニュース)

法案の内容は以下に掲載されています。
●公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案

概要要綱新旧対照表

さわりの部分を読んでみました

法律の名称を「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」から「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に変更するとともに、第一条の目的を示す規程を以下のようにするのだそうです。

 (目的)
第一条
この法律は、木材の利用を促進することが地球温暖化の防止、循環型社会の形成、森林の有する国土の保全、水源の涵養その他の多面的機能の発揮及び山村その他の地域の経済の活性化に貢献すること等に鑑み、建築物における木材の利用を促進するため、農林水産大臣及び国土交通大臣が策定する(以下挿入)木材の利用の促進に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにし、並びに建築物における木材の利用の促進に関する基本方針等について定めるとともに、公共建築物の整備の用に供する木材(以下挿入)の策定、建築物における木材の利用の促進及び建築用木材の適切(以下挿入)かつ安定的な供給の確保に関する措置を講ずること等(以下挿入) 等について定めるとともに、木材利用促進本部を設置することにより、木材の適切な供給及び利用の確保を通じた林業(以下挿入) 及び木材産業の持続的かつ健全な発展を図り、もって森林の適正な整備及び木材の自給率の向上に寄与する(以下挿入) とともに、脱炭素社会(地球温暖化対策の推進に関する法律(平成十年法律第百十七号)第二条の二に規定する脱炭素社会をいう。第三条第一項において同じ。)の実現に資することを目的とする。

新設された第3条「基本理念」は以下の通りです

 (基本理念)

第三条 木材の利用の促進は、地球温暖化を防止することが人類共通の課題であり、そのための脱炭素社会の実現が我が国の緊要な課題となっていることに鑑み、森林における造林、保育及び伐採、木材の製造、建築物等における木材の利用並びに森林における伐採後の造林という循環が安定的かつ持続的に行われることにより、森林による二酸化炭素の吸収作用の保全及び強化が十分に図られることを旨として行われなければならない。

2 木材の利用の促進は、製造過程における多量の二酸化炭素の排出等による環境への負荷の程度が高い資材又は化石資源(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭をいう。以下同じ。)に代替して、森林から再生産することが可能である木材を利用することにより、二酸化炭素の排出の抑制その他の環境への負荷の低減が図られることを旨として行われなければならない。

3 木材の利用の促進は、森林の有する国土の保全、水源の涵養その他の多面的機能が持続的に発揮されるとともに、林業及び木材産業の持続的かつ健全な発展を通じて山村その他の地域の経済の活性化に資することを旨として行われなければならない。

省庁にまたがる「木材利用促進本部」がどんなことをするのか、温暖化対策法と連携した脱炭素社会の実現がどんな道筋にすすんでいくのか、今後の課題がたくさんありそうですが、改正に取り組んだ方々の熱意が伝わってくる条文ですね。。

以下の概要です

公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(衆第三〇号)(衆議院提出)要旨
 本法律案は、脱炭素社会の実現に向けて、建築物等における木材の利用の一層の促進を図るための措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

T、題名及び総則の改正
1 題名を「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に改め、目的に脱炭素社会の実現に資することを追加するとともに、基本理念を新設することとする。
2 責務規定等を改正し、国は、建築用木材等の適切かつ安定的な供給の確保のために必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととするとともに、林業及び木材産業の事業者は、1の基本理念にのっとり、建築用木材等の適切かつ安定的な供給に努めるものとする。
3 国民の間に広く木材の利用の促進についての関心と理解を深めるため、木材利用促進の日(十月八日)及び木材利用促進月間(十月一日から同月三十一日まで)を設けることとする。

U、建築物における木材の利用の促進に関する施策の拡充等
1 基本方針、都道府県方針及び市町村方針の対象を公共建築物から建築物一般に拡大することとする。
2 国又は地方公共団体及び事業者等(事業者又は事業者団体をいう。以下同じ。)は、事業者等による建築物における木材の利用の促進に関する構想及び国又は地方公共団体による当該構想の達成に資するための支援に関する事項を定めた協定を締結することができることとする。
3 国は、2の協定に係る構想の達成のための事業者等の取組を促進するため、必要な支援を行うものとし、地方公共団体は、国の措置に準じて、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

V、木材利用促進本部の設置
農林水産省に、特別の機関として、木材利用促進本部を置くこととし、同本部は、基本方針の策定、木材の利用の促進に関する施策の実施の推進等に関する事務をつかさどることとする。

W、施行期日
この法律は、令和三年十月一日から施行することとする

(G7サミットでの中の木材利用)

丁度、採択された11日、菅総理はG7サミットに出席するために英国南部コーンウォールに渡航。

G7のテーマの一つが気候変動だし、G7の国のなかで、多分木材利用に関してついてこんな法律を持っている国はないはずだから、菅総理の口からこの新法律のことが紹介されるかな?

と思ってフォローしてみました。G7では森林にも関するNatureContact自然協約、という共同声明が採択されました。少し勉強して内容を紹介します、が日本の法律については触れられていませんネ


kokunai11-12<riyouhou_sin>

 

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