ニュースレター No.191 2015年7月26日発行 (発行部数:1326部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 

                         一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原

目次
1 フロントページ:ウッドマイルズ運動の今後の方向(2015/7/26)
2. 日本の違法伐採問題に対する取組の意義と課題ー日本の活動の海外への発信(2015/7/26)
3. 国連森林フォーラム第11回会合(UNFF11)の結果と来年の森林林業基本計画改定2015/7/26)
4.  日本の持続可能な林業経営のための施策・活動の海外への発信ー勉強部屋が今年度の緑の水の森林基金事業に2015/7/15)

フロントページ:ウッドマイルズ運動の今後の方向(2015/7/26)

7月23日一般社団法人ウッドマイルズフォーラムの総会とワークショップが開かれました。

ウッドマイルズ研究会の13年にわたる活動を引き継いで昨年方針化してウッドマイルズフォーラムとなって一周年のイベントでした。

国内では市場での国産材のシェアが高まり、日合連国産材製材協会の会員企業など規模の大きな国産材製品を製造するビジネスが市場で存在感を示すようになってきています。

「木材製品のサプライチェーンの輸送過程の環境負荷を見える化して国産材や地域材をアピーるするツールに」というのは、ウッドマイルズ運動の原点ですが、始めの時期に比べて、国産材や地域材を売り物にする企業が格段に多くなっており、ウッドマイルズを使った製品のPRのニーズは広がっています。

上記の絵は、ワークショップで発言された国産材製材協会会長企業であるK木材が、同社の製品が東京のDIYショップの店頭で売られることを念頭において、サプライチェーンを分析した結果を示したものです。

一立方メートルのK木材製製材を購入すると、欧州材の場合と比べるとガソリン55リットル分の二酸化炭素が輸送過程だけで節約できる、というわけです。

(13年間の歴史を踏まえて)

ただ、今回のワークショップではウッドマイルズ運動の結構厳しい現実を踏まえたものでもありました。

始めは、「見える化」の珍しさもあって、地球環境基金や科研費、森林総研のプロジェクトなど活動の展開・資金調達が多彩でしたが、その後、カーボンフットプリント、LCAなどのより幅の広い環境負荷の「見える化」の展開が進み、より幅広い情報提供が必要になってきました。

そのような中で、木材調達チェックブックなど次につながる蓄積はできてきましたが、それを生かして展開する十分な組織的・運動論的な基盤が整っていない状況にあることなどが、上の表のように示されました。

(今後の運動のあり方)

①木材利用の拡大の流れ、②見える化研究運動の展開、③地域の木材で住宅運動の一定の広がり、④国産材ビジネスの拡大・確立、⑤木材のグリーン化を求める声の拡大など、フォーラムをめぐる状況は、13年前とは大きく変わっています。

もう一歩知恵をしぼった情報発信が必要になっているといえるでしょうが、当初に紹介したように、基本的には追い風といえるでしょう。

①建築関係者に木と環境にまつわる情報の幅広い発信、②家づくり・木材製品の家づくり・木材製品のウッドマイルズPRの新たな展開、③サプライチェーンのグリーン化の担い手の支援、そんな分野の取り組んでいくこととなります。

今後ともよろしくお願いします。

energy2-68<2015WMWS>


日本の違法伐採問題に対する取組の意義と課題ー日本の活動の海外への発信 (2015/7/26)

持続可能で幸せな未来へ向かう日本の動きを、世界へ。」という魅力的なメッセージを掲げて情報発信をしている、ジャパンフォーサステイナビリティというサイト(日本語サイト英語サイト)に、勉強部屋に掲載されている違法伐採問題に対する取組の意義と課題―日本を含むすべての森林の森林管理のガバナンスにも関連して―(2015/4/25)の内容が紹介されています。

日本語サイト:違法伐採問題に対する取組の意義と課題 ― 日本を含むすべての森林の森林管理のガバナンスにも関連して
英語サイト:Illegal Logging Issues - Significance and Challenges: Pertinence of Forest Management Governance in Japan & Other Countries

ほとんど毎日日本語と英語で新しい情報発信をしているサイトですが、トップページの「今月のピックアップ情報」として、紹介されています!!(これは一か月だけなのですぐ見てくださいね)

サイトを運営している枝廣淳子さんが勉強部屋ニュースレターを読まれて、これは面白いからJFSに取り上げたいと、英訳も引き受けてくださったのです!!

この英訳をもとに、9月に南アフリカで開催される第14回世界林業大会のサイドイベントプレゼンテーションも計画しています!!お楽しみに。

 

boueki4-55<gohoJFS>


国連森林フォーラム第11回会合(UNFF11)の結果と来年の森林林業基本計画2015/7/26)

5月4日(月)から15日(金)まで、国連本部(ニューヨーク市、米国)において、「第11回国連森林フォーラム(UNFF11)」が開催されました。

国連森林フォーラムは23年前の地球サミットで合意された森林原則声明の正式のフォローアップの機関で、2007年第7回会合「全てのタイプの森林に関する法的拘束力を持たない文書(NLBI)(概要日本語訳林野庁)」及び2015年までの「多年度作業計画(Multi-Year Programme of Work:MYPOW)」が採択され、今回の2015年の第11回会合は、次の枠組みを決める節目の会合でした。

勉強部屋サイト、関連ページ「j持続可能な森林経営の国際的展開」
国連における森林問題への取組(外務省解説ページ)

今会合において、その枠組を強化し2030年まで延長し、これまでの政策対話のフォーラムに加えて、実施レビューのフォーラムを隔年で開催することなど、以下の決議がなされました。

閣僚宣言(「我々の求める2015年以降の森林に関する国際的な枠組み(The International Arrangement on Forests We Want beyond 2015)」原文林野庁仮訳
決議(「2015年以降の森林に関する国際的な枠組み」(International arrangement on forests beyond 2015原文、) 
UNFF11閣僚宣言と決議のポイント(日本語林野庁)

「国際的な取決め及びメカニズムの検討」については、法的な拘束力のない状態が引き続きつづくことになりますが、国連決議となっていた前述の「全てのタイプの森林に関する法的拘束力を伴わない文書」Non-legally binding instrument on all types of forests :は、達成時点を2015年から2030年に延期するとともに、国連森林措置UN Forest Instrumentと名称を変更することとなりました。

 (国連森林措置UN Forest Instrument

国連森林措置は、その目的を、①全てのタイプの森林の持続可能な森林経営達成と、合意した森林に関する国際目標(global objectives on forests)の達成のため、政治的な関与と全てのレベルの活動を強化すること、②持続可能な開発目標を含む、特に貧困の根絶と持続可能な環境についての国際的に合意した開発目標の達成のための森林の貢献を推進すること、③国別の活動・国際協力の枠組みを提供の3つに置き、次の四つの国際目標(Global Objectives)を掲げています。

森林に関する4つの国際目標

国際目標1
保護、保全、造林、再造林、および森林の荒廃を防ぐ努力を推進するなどの持続可能な森林経営・管理を通して、森林の減少傾向に歯止めをかける

国際目標2
森林に依存する住民の生活を改善するなど、森林の経済的、社会的、環境的便益を増進する

国際目標3
保護林その他持続可能な森林を世界中に有意に拡大し、持続可能な森林から生産された林産物を増やす

国際目標4
持続可能な森林経営・管理に対する政府開発援助の減少傾向に歯止めをかけ、持続可能な森林経営・管理を実施するため新規・追加的な財政的な資源を有意に拡大する

国連森林措置には、この秋の国連総会で決まる「持続可能な森林目標」(経緯は勉強部屋の関連ページ)という部分が含まれていますが、国連総会で決議される国際的に提示された各国の森林分野の活動を示す基準です。

その翌年に作成される我が国の森林林業基本計画が、モデルとしての形を提示できるのか、ということも、注目点だと思います。

chikyu1-30<unff11>


 日本の持続可能な林業経営のための施策・活動の海外への発信ー勉強部屋が今年度の緑の水の森林基金事業に(2015/7/15)

国土緑化推進機構が公募していた緑と水の森林基金の今年度の事業が採択決定となり、持続可能な森林フォーラムが提案していた、標記事業が採択されました!!

勉強部屋の英語ページを充実させ、海外への発信力を強化しようというものです。皆さん応援してくださいね。

事業概要は以下の通りです
事業の目的及び概要

国内外で森林保全等を行う団体の指針となる情報源となってきたHP「持続可能な森林経営のための勉強部屋」を発展させ、国内の活動の海外向け情報発信を拡充・強化する。

 事業の類型

4国際交流、(2)森林林業に関する海外との情報交換

 事業の内容  「地球環境の視点から、日本の森林と木材を考える、産官学民の情報交流の広場をめざす」として、1999年以来位構築してきたHP「持続可能な森林経営のための勉強部屋」(http://jsfmf.net/以下「勉強部屋」という)と、これと関連して毎月1千を超えるニュースレターを配布する活動は、国内外で森林の保全と持続可能な経営を行う団体の指針となる情報源となってきた。この事業を、さらに発展させ、国内の森林管理を巡る活動の海外むけの情報発信の拡充するため、以下の活動を実施する。

1 海外向けページの拡充のための、アドバイザリーグループの構築
海外向けのページである、Japan Forest Information Review
http://jsfmf.net/english/e_index.html
を改善するため、国際的なオピニオンリーダーに意見・提言を求める。

2 国内の関連情報の収集と海外向けコンテンツの作成掲載
来年の改定を前提に作業される森林林業基本計画の作成過程、違法伐採対策・合法性証明木材ガイドライン10周年を巡る動向、2020東京オリンピック・パラリンピックに関連した木材利用促進施策・運動、などの日本国内の森林木材施策の動向を英文で解説し上記サイトに掲載する

3 ネットワークの形成拡充
2か月に一回のニュースレター発信を目指して、海外のオピニオンリーダー、業界、NGOの関係者に情報発信リストを作成し、情報を共有する

konodaito1-10<GF2015jsfmf>


最後までお読みいただきありがとうございました。

持続可能な森林フォーラム 藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp

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