国連サミットで合意された「持続可能な成長のための2030年アジェンダ」の中の森林(2015/10/24)

2015年9月25日−27日、ニューヨーク国連本部において開催された国連持続可能な開発サミットで、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030年アジェンダ」SDGs(以下「2030年アジェンダ」という)が採択されました。

17の目標と169のターゲットからなる今後の15年間の世界で共通した開発・成長の指針です。

国連関連ページSustainable Development - the United Nations
外務省持続可能な開発のための2030アジェンダ英語本文(PDF)仮訳(PDF)
地球環境戦略研究機関(IGES)の関連ページSDGsについて

(我が国と「2030年アジェンダ」)

今回採択された2030アジェンダの最大の特徴は、持続可能な環境や社会を実現するために先進国を含む全ての国が取り組むという「ユニバーサリティ」にある(日本政府の評価、持続可能な開発のための2030アジェンダ)、とされるように日本の国内開発(成長)のあり方も含む計画です。

ただ、この計画は、途上国の開発の指針として重要な役割を果たした「ミレニアム開発目標」MDGsの成果の上に立つもの(前文)とされるため、その次の枠積みづくりづくりとして途上国援助の枠組みとの理解が一部にありました。

日本の外務省のウェブ上でも、このテーマは長い間ODAの一部に掲載されてきました。トップページ > 外交政策 > ODAと地球規模の課題 > ODA(政府開発援助) > ODAとは? > 開発に関する国際的取組 > ミレニアム開発目標(MDGs),ポスト2015年開発アジェンダ

「持続可能な開発に先進国はない日本も途上国」(慶応大学蟹江教授)というように、今回のSDGsはすべての国がその進捗状況を閣僚級会合で検証するシステムが盛り込まれています(フォローアップとレビュー(パラ71-91))。

(勉強部屋と「2030年アジェンダ」)

持続可能な開発の三側面(経済・社会・環境)の調和をめざす(前文)この目標の実現にむけて森林分野の果たす役割がどのようなものになるのか、リオプラス20、世界林業大会に参加するなどこのサイトでも注意深く見守ってきました。

持続可能な森林目標と森林の将来(3)ーSDGs国連事務局長の統合報告書 (2015/1/25)
持続可能な開発目標と森林の将来(2)、OWGの議論の結果、素案の中の森林 (2014/9/21)
持続可能な開発目標と森林の将来、FAO森林委員会での議論 (2014/7/21)
持続可能な開発に関する公開作業グループ会合ー森林の行方(2014/05/31)

(総論部分の中の森林)

「2030年アジェンダ」前文、宣言の導入部等からなる総論(53パラグラフ)と、具体的な持続可能な開発目標(SDGs)とターゲットの記述部分(37パラグラフ)からなっています。

総論の中で森林という用語が現れるのは、目標の解説部分のパラ33の一か所です。

 33 (天然資源、海洋、生物多様性等)我々は、社会的・経済的発展の鍵は、地球の天然資源の持続可能な管理にあると認識している。よって我々は、大洋、海、湖の他、森林や山、陸地を保存し、持続的に使用すること及び生物多様性、生態系、野生動物を保護することを決意する。また、我々は、持続可能な観光事業、水不足・水質汚染への取組を促進し、砂漠化、砂塵嵐、浸食作用、干ばつ対策を強化し、強靱性(レジリエンス)の構築と災害のリスク削減にむけた取組を強化する。この観点から我々は、2016 年にメキシコで開催される生物多様性条約第13 回締約国会議に期待を寄せている。

また、全体の枠組みを示すパラグラフ3は以下の通り。

 3.(取り組むべき課題)我々は、2030 年までに以下のことを行うことを決意する。あらゆる貧困と飢餓に終止符を打つこと。国内的・国際的な不平等と戦うこと。平和で、公正かつ包摂的な社会をうち立てること。人権を保護しジェンダー平等と女性・女児の能力強化を進めること。地球と天然資源の永続的な保護を確保すること。そしてまた、我々は、持続可能で、包摂的で持続的な経済成長、共有された繁栄及び働きがいのある人間らしい仕事のための条件を、各国の発展段階の違い及び能力の違いを考慮に入れた上で、作り出すことを決意する。

6つのアジェンダが指摘され、森林は全般にわたって関係生まれるが特に最後の二つ、天然資源の永続的な保護、包摂的で持続的な経済成長の関係が深いことが理解されるでしょう。

(目標SDGsの中の森林)

17の目標は全体は以下の通りです。

目標1 あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる  
目標2 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する。  
目標3 あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する  
目標4 すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する  
目標5 ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う  
目標6  すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する  
 6.6  2020 年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護回復を行う  
目標7 すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する  
目標8 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する  
目標9 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る  
目標10 各国内及び各国間の不平等を是正する  
目標11 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する  
目標12 持続可能な生産消費形態を確保する  
目標13 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる*  
目標14 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する  
目標15   陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する  
15.2  2020 年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。  
15b 保全や再植林を含む持続可能な森林経営を推進するため、あらゆるレベルのあらゆる供給源から、持続可能な森林経営のための資金の調達と開発途上国への十分なインセンティブ付与のための相当量の資源を動員する  
目標16 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する  
目標17 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する  

目標の中で森林が記載されているのは、目標15陸域生態系と森林の管理、その下のターゲットに森林が記載されているのが、目標6水と衛星の管理です(緑の部分)。

今後我が国の政府や自治他の政策を積み上げる過程で、2020年までに「持続可能な経営の実施の促進」、「再造林の大幅な増加」、といったターゲットがどのように実現してくるのか、その過程で森林政策が開発と成長の大きな枠組みからチェックされることとなるでしょう。

(マーケットを通じた目標)

黄色をつけた目標は、森林という言葉は入っていないけれど、森林にまつわるターゲットがある目標です。

特に先進国のマーケットの中で、持続可能な森林からの産物がどのように取り扱われるかは、人類が、包摂的で持続的な経済成長を目指すうえで大変重要な課題です。

作成過程で森林側からこの点についての指摘がされましたが(持続可能な開発目標と森林の将来、FAO森林委員会での議論目標9 森林のグリーン経済への貢献の改善など)、残念ながら関連する目標である、7、11、12などにターゲットのレベルでも木材、木質バイオマスという言葉は入りませんでした。

再生可能な資源、天然資源の持続可能な利用というキーワードで、持続可能な森林から提供される木質バイオマス由来の商品がマーケットの中で重要な位置を占めていくのか、特に日本のような工業発展国の大きな市場を持つ国にとって大切な目標になっていく必要があるでしょう。

今後に残された課題といえます。

chikyu1-33<SDGsummit>

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