2025大阪・関西万博記念 国際フォーラムー巨大木材リングの再利用とトレーサビリティ(2025/6/20)

5月12日午後大阪市内でSGEC・PEFC主催2025万博記念国際フォーラムというイベントが開催されたので、出席するために大阪に行きました。

という話は一度ご報告し、このページでもご紹介してきた、大切なイベントなのでフォーラムの結果は追ってご報告しますが、朝一番の新幹線のぞみにのって、午前中に万博の会場に入ってきました。として、「2025大阪・関西万博入場ー木材専門家から見た海外パビリオンなど」という報告をしました。

今回はフォーラムの中身を(全部でないですが)報告します。

(開催趣旨とプログラム)

イベントのチラシによると、

「万博の開催においては、メインの施設である「リング」のほか、日本誼、海外パビリオンにおいて、SGEC/PEFC森林認証材も使用され建築が進められています。森林認証材が使用されていることや森林認証材利用の意義等をオンラインでも発信し、国内外にアピールWするどともに: 万博の成功を心祈念し、PEFC本部、及び各国のPEFO管理団体等関係者の参加も得て国際フオーラムを開催します。」

1. 開会挨拶及び森林認証制度の意義 SGEC/PEFCジャパン会長 前田直登
2. ご挨拶 林野庁木材産業課長 福田 淳様
3. ご挨拶 大阪府木材連合会副会長・カナダ林産業審議会・カナダウッド日本代表ショーン・ローラー様
4. 「万博における調達コードと万博終了後の使用木材の活用方針について」 (公社)2025年日本国際博覧会協会 持続可能性局長 永見 靖様
5. パネルディスカッション PEFC認証推進に向けた協力の方向について〜各国からの報告万博パビリオンにおける認証材の使用例など
6. 共同宣言〜今後のSGEC/PEFC認証材、製品の利用推進に向けた協力推進に向けて
7. 閉会挨拶 SGEC/PEFCジャパン 事務局長 梶谷辰哉
司会 2025年ミス日本みどりの大使 佐塚こころ

SGEC/PEFCのサイトにイベント全体の概要と講演内容のデータが掲載されています

今回私が、このイベントに出席しようと考えたいとは、4番目の事務局の持続可能性局長のプレゼンでした。内容をご報告します

(((万博における調達コードと万博終了後の使用木材の活用方針について)))

万博協会の永見持続可能性局長のプレゼンは、二つのセッションに分けています

1大阪・関西万博における木材調達コード、
2万博終了後の使用木材の活用方針

どちらも大切なので、順番に紹介します

(1大阪・関西万博における木材調達コード)

いままでも、万博の木材調達コードの内容はこのページでも説明してきましたが・・・

このプレゼンで大切なのは、その背景説明です。如何に木材調達コードがこのイベントの中で大切なのか?!、

大阪関西万博の持続可能性という背景説明の大切な右のページ、たくさんの文字情報が掲載されていますが、大切な点をピックアップします

(イントロ)博覧会協会は、「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマを掲げ、大阪・関西万博をSDGs達成、さらにはSDGs+beyondへの飛躍の機会と捉えています。また、大阪・関西万博は、その運営においてもSDGs達成を実現するため、環境や社会への影響を適切に管理し、持続可能な万博の運営を目指しています。

?大阪・関西万博の開催準備、運営を通じて持続可能性の実現を目指すため、2022年4月に「持続可能な大阪・関西万博開催にむけた方針」を策定・公表しました。

?本方針に掲げた5つの大目標のうち「3.Prosperity(サプライチェーン、バリューチェーン)」においては、目指すべき方向として、持続可能な調達コードを遵守したサプライチェーンを構築し、加えてバリューチェーン全体を通じた持続可能性に配慮することとしています。

?博覧会協会は、本調達コードに基づいた物品やサービスの調達が行われるよう関係者と連携として取り組むとともに、SDGsの実現に向けて、本調達コードと同様の取組が拡大し、広く社会に持続可能性を重視する姿勢が定着するよう働きかけていきます

Prosperity(サプライチェーン、バリューチェーン)
「もの」だけでなく、「生活」を豊かにし、可能性を広げることにつながる社会や環境に関する知見をレガシーとして、次世代に継承する。
【目指すべき方向】
@持続可能な調達コードを遵守したサプライチェーンを構築し、加えて資源の循環的な利用及び処分までの過程を含むバリューチェーン全体を通じた持続可能性に配慮する。 

ということで、左の図にあるように、過去のビッグイベントが取得したような、、ISO20121(イベントの持続可能性を効果的に管理する仕組みの要件を規定する世界的に認められている規格)の認証を取得しました。

右下のリストには、2020東京オリパラ、などの歴代のオリンピック・パラリンピック大会や、前回のEXPOドバイ等が並んでいます。

ーーーさらに、7ページでの補足説明では

「プラス効果の拡大? 博覧会協会が持続可能性に配慮した物品やサービスを調達すると表明し、そのためのルール(調達コード)を策定・公表することで、万博に物品やサービスを供給する事業者等にとって、持続可能性(環境・社会・経済)への配慮指針が明確となります。

もし万博が調達する物品やサービスに環境面や社会面での問題があると、マスメディアやSNSで取り上げられ、SDGs達成を掲げる万博や企業のレピュテーションリスクに繋がるおそれがあります。」

こんなに大切な調達コードが「過去の万博の基準を念頭」に、「東京オリパラの基準をに参考」に、検討され・・・

2022年6月30日に、物品やサービスの調達プロセスにおける持続可能性への配慮を実現するための基準や運用方法等を定めた「持続可能性に配慮した調達コード」を策定・公表されました。

(調達コードの内容)

? 調達コードの趣旨は、大阪・関西万博が環境・社会・経済に与える影響について、リスクの低減を図るとともに、ポジティブな効果が広がり、環境・社会・経済の分野においてレガシーを残すこと。

? 博覧会協会は、調達コードの遵守を、サプライヤー、ライセンシー、パビリオン運営主体等及びサプライチェーンをはじめとする関係者との共同の取組として推進するとともに、SDGs組が拡大しの実現に向けて、同様の取組が拡大し、広く社会に持続可能性を重視する姿勢が定着するよう働きかけていく。

とされています。

(共通基準と個別基準)

? 「持続可能性に配慮した調達コード」は、物品調達等に関して、サプライヤー、ライセンシー、及びパビリオン運営主体等並びにそれらのサプライチェーンに求める事項を持続可能性に関する基準(共通基準)として定めている。

? 共通基準は、調達する物品やサービスの種類に関わらず共通して求める事項として、持続可能性に関わる各分野の国際的な合意や行動規範を尊重し、法令遵守を始め、地球温暖化や資源枯渇などの環境問題や人権・労働問題の防止、公正な事業環境の推進や地域経済の活性化等への貢献を考慮に入れたもの。

? また、木材、紙、農・畜・水産物、パーム油については、持続可能な形で生産されたものを確実に調達するため、より詳細な要件や担保措置に関する物品別の個別基準を定めている。

ということで、木材の調達基準は他の物品よりも詳細な要件を期待された、重要な4つのアイテムの中の最も重要な品目(あとの、3つはバージョン3で加筆された)と位置づけられています。

木材個別基準配下の通り

 カテゴリ  概要
対象  ?建設材料として使用する製材、集成材、直交集成板、合板、単板積層材、フローリング対象要件要件への適合度が高いもの留意点
?建設に用いられるコンクリート型枠合板
?家具に使用する木材(製材端材や建設廃材等を再生利用するものを除く)
 要件 @ 伐採に当たって、原木の生産された国又は地域における森林に関する法令等に照らして手続きが適切になされたものであること
A 中長期的な計画又は方針に基づき管理経営されている森林に由来するものであること
B 伐採に当たって、生態系が保全され、泥炭地や天然林を含む環境上重要な地域が適切に保全されており、また、森林の農地等への転換に由来
するものでないこと
C 森林の利用に当たって、先住民族や地域住民の権利が尊重され、事前の十分な情報提供に基づく、自由意思による合意形成が図られていること
D 伐採に従事する労働者の労働安全・衛生対策が適切に取られていること
なお、サプライヤーはコンクリート型枠合板については再使用の促進に努め、再使用する場合でも@〜Dを満たすことを目指し、少なくとも@は確保されなければならない。
 要件適合度が高いもの ?FSC 、PEFC、SGECの認証材は上記の要件への適合度が高いものとして原則認める。
?認証材以外は別紙の方法により証明されなければならない。
 留意点 ?木材の輸送にかかる温室効果ガスの排出量や地域の資源循環、地域の経済の活性化への貢献度を考慮すべきである。
?伐採地までのトレーサビリティ確保の観点から可能な範囲で当該木材の原産地や製造事業者に関する指摘等の情報を収集し、その信頼性・客観性等に十分留意しつつ、要件を満たさない木材を生産する事業者から調達するリスクの低減に活用する。
?違法伐採木材が国内で流通するリスクの低減を図るため、「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」の趣旨を踏まえて、伐採を含め、サプライヤーに供給するまでの製造や流通等の各段階を担う事業者は、同法に基づく登録木材関連事業者であることが推奨されるとともに、サプライヤーは、同法の対象となっている木材については、登録木材関連事業者が供給する
ものを優先的に選択すべきである。
 書類保管  5年

以上が第一セッション

木材調達基準が後々までレガシーとして残る木の万博の決定的に重要なコード(約束事項)ですね

((2 万博終了後の使用木材の活用方針))

さて次のテーマです

巨大な木材リングなどを使用後どうするのか?という難しいテーマにチャレンジ中

(大屋根リングのリユース等提案募集結果)

大阪・関西万博の取り組みを一過性のイベントで終わらせることなく、後世に引き継ぐレガシーとして残していけるよう、また持続可能な資源利用の実現のため、大屋根リングのリユース等有効活用の可能性を検討する必要があるので、 民間事業者や公的団体等から今後の検討に活用する提案を募集したんだそうです

@ 建物を構築するための骨組みになる構造材としての再活用
A 構造材以外としての活用
B 大屋根リングの全部または一部の会場内への残置による活用

という三つのコンセプトで募集20社からの提案があったそうです。

その結果が、右の図ですがこれらをもとに、大屋根リング木材の公募入札の準備を進めているんだそうです

(リユースマッチング事業?)

最後の紹介されている、今後のプランですが・・・

未来社会ショーケース事業/グリーン万博の一環として、会期後の世の中に大阪・関西万博のレガシーをリユースという形で継承することに取り組むとともに、リユースを通じての持続可能性の実現を目指します。

また、国内では未だ数少ない施設や建材なども対象としたリユース市場を創生するため、Webシステム「万博サーキュラーマーケット ミャク市!」というリユースマッチングプラットフォームを立ち上げ、新たな市場開拓にも挑戦してます。

だそうです。

面白そうですね

万博の持続可能可能性局局長のプレゼン資料の概要以上の通りです。

((プライベートなコメント))

二つのテーマのプレゼンでした、

まず、前者について、1大阪・関西万博における木材調達コード、。合法性から持続可能性にステップアップしていく場合の重要なコンセプトだと思って来ましたが・・・・

「SDGs達成、さらにはSDGs+beyondへの飛躍の機会」ととらえる万博の象徴となる巨大木材リング。あらためてその重要性を、再認識しました

この木材がどのような由来で、しっかりその象徴としての持続可能な木材であると主張できるのか木材調達コードの重要性も再認識

プレゼンそこまででしたが、木材リングのサプライヤ―(大手ゼネコンの施工会社)がどんなプロセスでこの仕事に取り組んだのか、という最後のストーリーがまだ公表されていないみたいですね。

レガシーとするには、是非必要です。期待しましょう

後者の2万博終了後の使用木材の活用方針

大きなイベントのに引き継がれるレガシーとして重要な要素ですね。今後の作業がたくさん残っていそうで、大変ですね

フォローしてまいります

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