ニュースレター No.277 2022年9月15発行 (発行部数:1573部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 

                      一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原敬

目次
1. フロントページ:森林・林業・木材産業への投資のあり方ーガイドラインの内容は?(2022/9/15)
2. 木質バイオマスエネルギー利用の抱える課題と展望~輸入ペレットの問題と日本のバイオマス事業の展望を中心に~第二回勉強部屋Zoomセミナー報告(2022/9/15
3. 美しい木組みの家ー山と職人と住まい手をつなぐー勉強部屋Zoomセミナー第3回御案内(2022/9/15)
4. 第15回世界林業会議ーグローバルな森林の方向性をしめす―林業経済誌国際会議の紹介に掲載(2022/9/10)
5. 文京区の建築紛争ー街づくりの紛争処理と森林づくりの関係(あるかな?)(2022/9/10)
6. 民間資金のパワーとリスク・・・ー勉強部屋ニュース277編集ばなし(2022/8/15)

フロントページ:森林・林業・木材産業への投資のあり方ーガイドラインの内容は?(2022/8/15)

林野庁が設置していた 「森林・林業・木材産業への投資のあり方に関する検討会」が中間とりまとめを、「カーボンニュートラルの実現等に資する 森林等への投資に係るガイドライン 中間とりまとめ」という形で公表しています。(6月20日付(遅くなってごめんなさい))

森林の利用整備保全は誰にとっても大切なこと。公的資金(補助金)でなくて民間資金が利用できないの?

海外では森林への民間投資がすすんでいるのに、日本ではなぜ進まないの?

このページでも追いかけてきました。森林投資とカーボンオフセットーある投資セミナー関心事項(2021/7/15)

森林関係者も投資関係者もみんなが思っている疑問に対して、理由を解明し対応策を提示する!!

読んでみたので、ご紹介します。

(中間とりまとめの全体像)

ー--目次ー-- 
Ⅰ.気候変動対応において森林に期待される役割等について
1. 世界と我が国における森林のCO2 吸収の位置づけ・・・・・・・・・・・・・・・1
(1)世界における位置づけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
(2)我が国における位置づけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
2.気候変動の視点から見た世界の森林の現状と森林等への投資の取組・・・・・・・2
(1)森林の現状とCOP26 の対応方向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
(2)森林等への投資の取組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
3.我が国の森林の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
(1)我が国の森林の現況とCO2 吸収量獲得に向けた課題 ・・・・・・・・・・・・・5
(2)我が国の森林等への投資の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
(3)これまでの森林整備と今後の展開方向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
Ⅱ.森林等への投資を巡る環境変化
1.ESG 投資の流れの中で森林の注目度がUP・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
2.木材生産販売の収益確保可能性の向上・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
3.森林投資に対する収益期待の高まり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
4.官民ファンド等の新たな展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
Ⅲ.カーボンニュートラル推進の観点からの森林等への投資促進のあり方について
1. 森林等への投資の基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
2. 我が国の森林の特殊性を踏まえた検討の必要 ・・・・・・・・・・・・・・・・19
3.官民ファンド等による活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
4.民間投資機関における活用を見据えた検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
Ⅳ.投資プロジェクトの評価手法について
1.評価の適用と意義について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
2.投資プロジェクトのカーボンニュートラルへの貢献度を評価する仕組み・・・・・22
(1)主伐及び主伐後の措置に伴うCO2 排出量の評価 ・・・・・・・・・・・・・・・22
(2)伐採木材の活用用途に伴うCO2 貯蔵・排出削減量の評価 ・・・・・・・・・・・24
3.投資プロジェクトの生物多様性の確保等への貢献度を評価する仕組み・・・・・・27

((イントロダクション))

ガイドラインの本体にあたるのは、「Ⅳ.投資プロジェクトの評価手法について」みたいで、その前段はイントロダクション

(海外の森林投資はすごい)

森林に関するニューヨーク宣言をウォッチしているNYDF Assessment Partnersが2021 年に公表したレポート「森林に関する各国の気候変動対策の評価」では、「2010 年以降、世界各国の政府は、国際投資と国内投資合わせて、森林関連の気候緩和に対し年間平均24 億ドルを投じている。これは、森林の保護、回復、持続可能な管理に必要とされる資金のごく一部(0.5~5%)に過ぎない」(p3)

森林ファンドの世界市場規模は2000 年時点で200 億ドル(約2.2 兆円)であったが、2013 年時点では5倍の約1,000 億ドル(約9.8 兆円)にまで拡大し、その後も緩やかに増加しているものと推測されている(p4)

。2015~2019 年に世界で発行されたカーボンクレジットを部門別に比較すると、森林部門の発行量が最も多い状況であり発行量の42%を占めている。(右の図)

この背景には、気候変動対応への貢献だけでなく、生物多様性保全、水源かん養などに関しても多くの便益を提供するなど、森林の多面的機能に対する高評価があるものと考えられ、森林整備に対する投資的活動は、収益性の観点からの場合のほか、投資事業が社会・環境に与えるインパクトに着目して行われる場合もある。(p4)

(世界のESG投資がすごい)

気候変動のリスクに対する機関投資家等の危機感が世界的に広まる中で、機関投資家等の間で、財務情報だけではなく、気候変動対応や生物多様性保全など企業経営のサステナビリティ等に関する非財務情報を評価する概念が普及し、ESG 投資7の流れが加速してきている(左図p13)。

(日本ではどうかな?)

ただ、日本の森林は吸収量が低下傾向・・・なので

森林造成だけでなく「伐って、使って、植える」という人工林の循環利用を確立することは、我が国の森林の公益的機能を持続的に発揮し、気候変動対応や生物多様性保全等にもつながる(p13)(といったメッセージががポイント)

我が国においては、カーボンニュートラルの実現に向けた流れ等を背景として、 ①都市(まち)の木造化推進法の施行など、民間も含めた建築物への木材利用の気運の高まり、② FIT 制度等による、未利用木材等の木質バイオマスエネルギー利用の進展、③ 森林経営活動に由来するJ-クレジット制度の活用に向けた取組の進展などの動き(これはどうかな?)が見られ、森林の価値向上につながり、インパクト投資の観点から期待が高まっている(p14)(んだそうです)(右の図)

(橋渡しをするのは官民ファンド?)

国の政策に応じて政府と民間が出資する政府系の官民ファンドが森林支援のために二つできた、ということで、二つの図面が掲載されています。

一つは、農林水産省農林漁業法人等に対する投資の円滑化に関する特別措置法の改正によって森林分野にもあらなた出資が可能。もう一つは環境省株式会社脱炭素化支援機構の設立による森林吸収源対策に対しても民間投資の促進

大きな風が吹いていますが、前者は一年たってもまだ、投資実績がなさそう。(アグリビジネス投資育成株式会社投資先企業紹介)、後者は設立準備中

ということで、まだ、民間投資会社が心配している投資先に先鞭をつける官民ファンドが準備中。そこで、ガイドラインがこの事態の解決をリードできるか。

((どんなことがガイドラインに書いてある?))

対象は、主伐と再造林を含む評価が難しいプロジェクト。(伐って、使って、また植える)
二つの節からなっています。

(投資プロジェクトのカーボンニュートラルへの貢献度を評価する仕組み)

まず、このプロジェクトがカーボンニュートラルに貢献しているのか?は左図にあるように、二つの側面を評価します

①主伐及び主伐後の措置にともなうCO2排出量評価

ポイントは、主伐すれば立木の二酸化炭素が排出されるのでなく・・・

再造林をしっかり管理にすれば、伐採時点の蓄積に回復するので、伐採時の排出量をゼロカウント!。天然更新をする場合でもあるカウント方法を採用(具体的な方法は書いません)

②伐採木材の活用用途に伴うCO2 貯蔵・排出削減量の評価

製材工場や市場などの出荷した時は、その丸太の量に歩留まりをかけて、炭素量を計算して、CO2の固定量を計算。

燃料用の出荷する場合は、その木材を燃焼させた場合に、A重油を代替した量を計算して排出削減量を計算

(投資プロジェクトの生物多様性の確保等への貢献度を評価する仕組み)

タイトルはチャレンジングですが・・・二つの点が記載されています

① 森林の公益的機能の維持・発揮に直接つながる事項

森林が適切に管理できているか?森林認証制度の取組状況、自然災害リスクに関するリスク要因分析をして対応しているか、合法伐採木材等(クリーンウッド法)に登録している事業者が参加している場合はその活動状況も・・・忘れないで記載してください

② 森林・林業・木材産業に関する投資プロジェクトの特性を踏まえた事業の安定性確保の確認に資する事項

○森林経営計画の作成、○先進的技術の導入、○地域貢献、○労働安全衛生や労働環境改善、○造林の省力化・低コスト化、○企業ガバナンスや企業情報の開示、○地域の事業体や市町村等との連携、などの内容を記載してください

ガイドラインは以上です

((ガイドラインがどんな貢献するのかな))

今後投資しようかな?と考えている民間投資家に対する情報提供なんですが、民間企業者が欲しい情報は二種類ありますよね。

①このプロジェクトに投資して儲かるのかな?②このプロジェクトに投資すると環境に貢献しているとして評価されるかな?

ガイドラインを読んでみると、①についての記載はなく、②について(しっかり)記載されています。前段で記載されているように、①については官民ファンドをたよってリスクの分散を測り、②について先進的な取り組みをしてくださいね。

というメッセージですね

なーんだという方が、結構いますが、カーボンニュートラルに向かうこの時代、気候変動の環境貢献の方法は、いろんな方法が検討されていて、いろんな影響を与えそうです。Jクレジットもその一つですが、今回の林野庁のガイドラインは、同じく林野庁の管理しているJクレジットの方法論と違います(少し(?だいぶ?)緩やか)。

このガイドラインが定着すれば、Jクレジットの方法論の影響をすることは間違えないし、環境パフォーマンスデータ開示などに取組んでいる企業には、参考になるでしょう。

②をさらに進化させながら、民間資金が本当に知りたい①については、今後の宿題ですね

junnkan10-2(GLinvestFore)

 

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木質バイオマスエネルギー利用の抱える課題と展望ー勉強部屋Zoomセミナー22年度第2回報告(2022/9/15)

9月3日勉強部屋Zoomセミナー第2回を、ゲストにバイオマス産業ネットワーク理事長、泊みゆきさんを迎えて開催。

前回に引き続いて、木質バイオマス問題をテーマに、「木質バイオマスエネルギー利用の抱える課題と展望~輸入ペレットの問題と日本のバイオマス事業の展望を中心に。」という話を伺い、議論をしました。

自己紹介で泊さんは、バイオマスエネルギーを推進しようというのではなく、良いバイオマスと、問題のあるバイオマスをしっかり分けて、使いましょうということを、やってきましたーと説明。

前回からやっている木質バイオマスの懐疑論をしっかり整理していくうえで重要な機会となりました。

(木質バイオマスエネルギー利用の抱える課題と展望~輸入ペレットの問題と日本のバイオマス事業の展望を中心に)

泊さんのプレゼンデータはこちらに掲載しておきますが、、藤原の責任でつまみ食いします。

FITバイオマス発電所は、稼動が少しずつ増えているが(左半分-発電能力万KWを単位)、認定された発電所は(現在稼働されていないものも含めて)3倍ほどの発電能力ある(右半分)。

未稼働のものが稼動すると大量の輸入バイオマスが必要
輸入が急増するバイオマス燃料
PKSパーム椰子殻(右)
木質ペレット(左)

今後PKSは調達の制約があり、北米から木質ペレットの輸入量が増える見込み
バイオマス燃料供給過程で発生するGHG(輸送過程、チップやペレットへの加工過程などで発生する化石燃料起源の二酸化炭素など)を減らすため、GHGの発生量を推定して、化石燃料による発電で発生するGHG(比較対象GHG)を基準にして一定割合以上のGHG(基準値)を発生させるバイオマス燃料をFITの対象範囲から外す動きががある。

欧州発の制度だが、日本でも今年度から(やっと)制度化?
2030年から比較対象GHGの7割減を基準値とし、それまでは基準値を5割減とする方向
上の三つは化石資源の排出量(燃焼で排出するもの+輸送加工過程で排出するもの、の合計)
その下うすい青はバイオマス燃料の輸送加工過程(燃焼での排出ははいっていない)の排出量
縦線は真ん中が比較対象GHGの5割減、左が7割減
   バイオマス燃料のリスクを列記しています

〇生産加工輸送過程で排出されるGHG
〇伐採跡地の森林跡地が前の森林のように戻らなければ、石炭以上のGHG排出されたことになる
参考の動画があります
ウソホント バイオマスはカーボンニュートラル?
今後大量に木質ベレットが輸入される供給元である米国の産地にに行ってきました
大規模な木質ペレット工場があちこちにできています

左上の工場は年間76万トン生産と書いてありますが巨大。日本のすべての工場で生産される年間生産量は全部で15万トンです

24時間稼働で、ひっきりなしに原料が供給されている
   ペレット生産されている地域の森林
手入れがいれられていない低質人工林もあちこちにある
   ペレット用に(も)伐採された伐採跡地
年間40万トン生産するペレット工場があると、80万立方メートルの木材供給が必要
いろんなケースがあるが中には「全部ペレット工場いいったよ」というところもありました。
伐採後更新しそうにない場所もある
   大規模工場が立地するのは土地の高い住宅邸でなく、土地の安い地域だけど、その周りに住んでいる住民も。振動や音響などたいへん
  人工林にすると生物多様性だけでなく二酸化炭素も問題
   広葉樹林は400年たっても吸収量がある?
   環境省もGHGのガイドラインでいっています
森林の減少を伴う事業は対象外にしては

(参考)
再生可能エネルギー及び水素エネルギー等の温室効果ガス削減効果に関するLCAガイドライン
   たくさんの森林から輸入バイオマスが供給される

このようにバイオマスのために伐採される森林の評価が必要なのでないか?
   泊さんの主張のポイント(1)

主産物のバイオマス燃料はFIT対象から外したら
   泊さんの主張のポイント(2)

バイオマス燃料は発電でなく熱利用に
 バイオマス産業社会ネットワークよろしく
   

((質疑の時間)

泊さんのプレゼンのあと、私から3点にわたってコメント質問してダイヤログセッション

(問1:GHG排出量について)

FITにおけるGHG排出量の基準に関連して、この話は私自身が、数年前から気にしていたことでした(固体木質バイオマスエネルギーの 需給動向と 環境基準の展開の可能性ー環境経済政策学会報告(2016/9/24))。

FITは「再生可能なバイオマスエネルギーを使って化石資源からの排出を抑える!」という素晴らしいプロジェクトなんですが、燃料の供給過程でたくさんの化石資源由来のGHGは派生している!という点が欧州などで指摘されていたのです。

やっと、今年度GHGの排出量を供給の制約にする仕組みになったんですね。どんな方向性なのか?導入にあたって注意点など伺いたいです。

(答1)

GHG基準をFITの認定に使っていこうという話は、今後の新規認定発言事業者に対してこんな原料はダメですよと義務付けられるようです。

つまり、今までの認定発電者は利用している原料の供給過程のGHGを報告だとか開示するとうことが要求される。それでなるべくGHGの少ない原料を利用してくださいね、となるはず。

これから作る人は熱電併給で効率性をあげるとか、色々工夫して取組んで、徐々にGHG問題などを解決していこうということだと思います。

(問2:米国からの大量輸入について)

米国から多量の木質ベレットが輸入されようとしており、現地にいかれて持続可能性に関する問題点を指摘されました。

米国産地で大量のバイオマス燃料の供給体制ができている!これが持続可能な体制でできたのであれば、次世代の循環社会を見通していくうえで、すごいことだと思いました。

ご指摘は、これが持続可能な形態でなく数々の問題点を抱えている、というご指摘です。供給ポイントが極めて広いプロジェクトで、その中の何か所かをご覧になって問題点を指摘されたので、この場で全体を評価することは難しいんでないかと思います。そこで、質問は・・・

なんでこれが、欧州や日本に輸出されるのか?米国は中国について世界で二番目にGHG排出量が多い排出量大国です。苦労されて米国で循環可能なバイオマス燃料の大量な供給が可能になったのなら、何故、自国内で供給ができないのか?という点です。

FITがなければ供給できなようなエネルギー源なら、持続可能でない、ですね。

(答2)

ペレットを発電に利用するのは、大規模なものはFITのような補助制度がなければ成立しません。木材工場が製造過程の排出物を使って自家用の発電をするならできるかもしれないが。

英国ではバイオマス発電への助成を行っていたが、バイオマス利用の湿地林の伐採問題など跡地問題などがでてきて、廃材だけなど助成範囲を厳しくしている。

それで、日本はFITがあるから日本に売ろうとなっている。24円時代の、FITを慎重に設計しなければならない、ゆがんだ制度によるものを反対している。

(問3:バイオマス燃料はカーボンニュートラルなのかどうか?)

私からの最後の質問は、スライドの9番目バイオマスはカーボンニュートラルか?についてです。

この点については、前回のイベントでゲストできていただいたバイオマスエネルギー協会の加藤顧問が言われていましたが、この話は、長期的な視野で話をしなければならない、という点です。それも踏まえて、私の考えを申しますので、ご意見をいただきたいです。

石炭や石油をつかって、エネルギー効率のよい生産・流通システムを大規模に造成し、コンビニに行けば世界中の原料を組み合わせて生産された製品が安く買える。すばらしい便利な社会を作ってきた。その結果が、気候変動問題で、この社会を循環社会に換えていかなければならない、というのが私たちの世代の、基本的なミッションです。

その前提としての、化石資源エネルギーから再生可能なエネルギーへの転換の一つが、木質バイオマスエネルギーの利用です。確かに木質バイオマスエネルギーを得るにはGHGを排出します。ただ、その二酸化炭素は数十年か数百年の間に大気中から吸収固定されたものであって、次世代の循環社会の構成要素としてよいものかどうかという視点で考えると、何億年前に固定された大量の化石資源からのGHGとは明らかに違う。

私は、化石資源のGHGとバイオマス由来のGHGとは、次世代に残れるかどうかという観点で全く違うのでカーボンニュートラルなんだ、と、思っていました。(長期的視点)

もちろん、再生可能エネルギー利用にはいろんなリスクがあります。ので、原点にかえり、持続可能な循環社会を作っていくための木質バイオマス利用!その点に帰って、GHGの排出問題、供給された木材の持続可能性しっかりリスクをチェックする必要があることは前提です。

(問3答え)

気候変動のGHGの排出は大半が化石資源由来だけど、10%ぐらいは土地利用の転換。だから、土地利用も重要。

森林が増えているんなら大事にとっておいたら。木材利用を否定する分けでない。FITがなれれば伐られない森林が伐られているのが問題だと言っている。合目的性を考えると、発電でなく熱利用

気候変動のために負担してFITをしている。そのために森林が切られるのは問題

(今後の課題)

以上が、泊さんのプレゼント、ダイアローグセッションの概要です。Q&A概要ページを作成しているところですので、少々お待ち下さい。

新たな循環社会を視野に入れて、木質バイオマス燃料が大きな役割を果たす!その移行過程でFITの補助制度で木質バイオマス燃料が供給さえるのは当然のことですが、仮に補助事業がなければ決して供給できないような資材が日本のFITのために世界中から大量に供給されるといった事態になっているとしたら、大きな問題ですね

ただ、現地に負荷をかける持続可能でない原料が供給されているのだとすると、それは、発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドラインで対応できるはすなんですね。この辺は関心をもってフォローしていきます。

(森未来と連携)

前回から素晴らしい内容を多くの方の共有できるように、持続可能な森づくり向けたビジネスネットワーク構築を進めている株式会社森未来さんと、共催企画としました。

zoomの設定とか、皆さんへの案内、アンケートの回収など、大変お世話になりました。

持続可能な森林づくりをメインのコンセプトにした、ビジネルの可能性はどんな方向?興味深いですね。

今後ともよろしくお願いします

(関連ペーご案内)

質疑によせられた項目を掲載します。「勉強部屋22年度Zoomセミナー第2回Q&A」(作成中少々お待ちください)

 konosaito3-10<zoommt22-2ndrepo>

 

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美しい木組みの家ー山と職人と住まい手をつなぐー勉強部屋Zoomセミナー第3回御案内(2022/9/15) 

第3回持続可能な森林経営のための勉強部屋Zoomセミナー

タイトル: 美しい木組みの家ー山と職人と住まい手をつなぐ

ゲスト:松井郁夫さん、松井郁夫設計事務所代表

日時:11月12日(土曜日)14時から

持続可能な森林フォーラムでは、皆さんとのコミュニケーションを双方向で深めていくため、ゲストをむかえて、Zoomセミナーを開催しています。

11月12日に開催の、今年度第3回目は、ゲストに、松井郁夫さん、松井郁夫設計事務所代表をむかえ、「美しい木組みの家ー山と職人と住まい手をつなぐー」という演題で、お話を伺い意見交換をさせていただくことになりました!!

松井さんの仕事は、昨年勉強部屋でも紹介しました。美しい木組みの家ー古民家になる家と森林との関係(2021/11/23)

「山を守る木の値段は「植林費用から逆算して一本の木の値段を決めて、山主に払っています。一般に流通している木材より割高ですが、その代わりに直接山に行って買付をしているので、流通のマージンをカットできます。番付を打った図面を持って山の製材所に行くので、木は選り取り見取りで良い木が買えます」究極のトレーサビリティを実践しています。

どうぞ皆さん、ご参加下さい。

参加はこちらからどうぞ→参加ご希望の方はこちらから御連絡ください

素晴らしい内容を多くの方の共有できるように、持続可能な森づくり向けたビジネスネットワーク構築を進めている株式会社森未来さんと、共催企画としています。

konosaito3-12<zoommt22-3rd>

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 第15回世界林業会議ーグローバルな森林の方向性をしめす―林業経済誌国際会議の紹介に掲載(2022/9/15)

5月2日から6日韓国ソウルで開催された第15回世界林業会議。

その報告を林業経済誌(7月号)の国際会議の紹介というページに掲載させていただきました。

同大会の報告は、林野庁のウェブサイトに(当時の次長、今の長官をトップに数人のチームで出席したので)採択された宣言の仮訳も含めて丁寧い紹介されています。→第15回世界林業会議の結果概要について

ただ、日本人で14回に引き続き15回に出席したのはただ一人(多分)、という思いで、勉強部屋にも報告ページを作りました。グローバルな森林政策の方向性ー第15回世界林業大会から(2022/5/15)
循環資源としての木材利用拡大の方向性は?ー第15回世界林業大会持続可能な木材閣僚級会合から(2022/6/15)

そして仕上げが、林業経済誌に投稿しました。(了解をえて、pdfデータをこちらに置きます

研究者の多い、林業経済誌の読者に「グローバルな森林政策の方向性」というタイトルで、しっかり情報発信ができたかな?

原稿にも書きましたが、前回宣言になくて今回の宣言にはいってきたのは、四つのポイント。

 ①グローバルな他の枠組みの合意と森林に関してグリーンリカバリーなど森林をテーマとした課題の重要性が大きくなり、森林の重要性の根拠を示す部分が幅広く記載されるようになった。
②森林と景観に関する投資額を30年までに3倍にする、具体的な目標に応じた資金投入に目標額が示され、森林投資に関するフレームワークが示されたことである。
③木材利用の関する項目が一項目入ったこと。指摘事項の4番目の文章として「木材は人類にとって最も古い原材料のひとつ」という前提で「再生可能でリサイクル可能、そして驚くほど用途が広いため、私たちを未来へと導いてくれる」として「建築分野を変革し、再生可能エネルギーと革新的な新材料を提供し、循環型バイオ経済と気候ニュートラルに移行しなければならない」としている。
④森林に関する情報収集の手立てが発展し、「根拠に基づいた森林や景観の意思決定と効果的な森林コミュニケーションを可能」となったので「広く適用されなければならない」としたことである。

特に3番目の木材利用に関しては、日本の取組を世界に発信するという状況になっていると思います。

関心のあるかたはどうぞ→第15回世界林業会議ーグローバルな森林の方向性をしめす

chikyu1-44<WFCXVfoeri>

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 文京区の建築紛争ー街づくりの紛争処理と森林づくりの関係(あるかな?)(2022/9/10)

地元の文京区内の建築紛争。

区内のある学校に隣接するところに、巨大なマンションが!(左の図は学校法人桜蔭学園のHPに掲載されているイメージ図から)

東京都から公聴会をするので、意見を言いたい利害関係者は9月9日までに意見を提出してほしい、という告知があったので((仮称)宝生ハイツ建替え計画」に関する公聴会の開催について)、都庁の関係部局に意見を提出しました

勉強部屋で紹介すべきかどうか?と考えましたが、街づくりと森林づくりの関係については、今までも、日本建築士連合会の元会長ウッドマイルズフォーラム藤本昌也会長から問題提起でをうけていました。

まち再生の議論を早急にー都市が森林・自然を見直すチャンス(2022/4/15)

建築物も森林も私的財産であり社会資本。

「建築物という私有財産であり社会資本であるインフラをめぐっては、当然「それで儲かるのか?もっと儲かる道はないのか!」という所有者や施工関係ビジネスの強い意向をとらえながら、「後世の社会の人たちに「「よいものを作ってくれた!!」と言われる、社会資本をどのようにつくっていくのか?」という建築技術者魂の軌跡。」

今回の建替え計画も、将来の人が「よいものとは絶対言えないものが」、ある人たちの私的利害関係によって計画されている(よくある)状態が、現行の建築基準法体系のシステムで、どのように排除されるのか?あるいは残念ながらまだ排除できないシステムなのか?

このページでは、当事者の方たち(私も含めて双方の利害関係者と行政の関係者)には申し訳ありませんが、森林づくりが参考にすべき、街づくりの社会規範をささえる現行制度を、今後(クールに)考えていくきっかけにしたいので、時々フォローしますね。

前置きが長くなりましたが、意見提出の内容と背景を説明します

(提出意見:(仮称)宝生ハイツ建替え計画に関する意見)

以下の通り

提出先:
 東京都 都市整備局 市街地建築部 建築指導課 建築計画担当

提出者:
 一社ウッドマイルズフォーラム理事長藤原敬

利害関係:
 文京区民であり、高層建築物を主体とした都市開発がライフサイクルにおいて有限資源の消費が多く環境に負荷を与えているという指摘 に関心をもち、循環資材である木材を中心とした循環社会を展望するウッドマイルズフォーラム活動 をしている

意見:
 文京区本郷1丁目27番34-35にわたる標記計画は、場所は第一種文教地区であり東側にある中高一貫校の桜蔭学園と隣接している。
隣接地に高さ70メートルのビルが建つため、同校が日陰になり、現在広い視野が確保されている教室からの視界には一面のマンション(環境負荷建築のシンボル)が見えるだけになるだろう。
広い視野から次世代の循環社会の担い手を育てる重要の責務を担っている教育現場に厳しい負担をかけるものと想定される。
高さ制限緩和の根拠としている建築基準法59条の2「総合設計制度」の立法目的の「公共の福祉の増進」に今回の計画はふさわしくない。
是非、隣接の学校法人と十分な意見調整をはかり、素晴らしい計画となるよう指導をしていただきたい。

(意見提出の根拠)

今回の計画は建築基準法第59条2による総合設計制度にもとづく、都市計画の制限である容積制限、高さ制限の緩和に基づいて計画されています。(この場合は400%の容積制限を600%まで緩和)

総合計画制度適用の要件である、敷地内の空地の設置、市街地の環境の整備改善に資する等が満たされれてるかどうかの判断は東京都。その際に東京都建築審査会の議決が必要であり(基準法78条)、公聴会(東京都総合設計許可要綱実施細目)を開催することになっています。

9月14日3時から4時((仮称)宝生ハイツ建替え計画」に関する公聴会の開催について)公聴会が開催されます

公聴会で公述する希望者が提出する意見書です。

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民間資金のパワーとリスク・・・ー勉強部屋ニュース277編集ばなし(2022/9/15)

フロントページは、森林・林業・木材産業への投資のあり方ーガイドラインの内容は?資金運用に関心を持っているビジネス関係者がだれでも知りたいテーマのガイドラインが林野庁からネット上に。グリーンエコノミーだといって世界中が森林投資を始めているのに、森林大国の先進国である日本でリードできないのはどうしてなのかな?

ガイドラインの内容は、森林づくりの二酸化炭素吸収量の貢献がJクレジットよりすごく柔軟に書かれていいる、というところがポイントですね。今後の課題が記載してあって、よくみると「中間とりまとめ」ですね。今後、しっかりフォローしていきます。

森林づくりのように、民間資金が社会資本に投入される場合のリスクが、建築紛争問題です。文京区の建築紛争問題を勉強部屋に掲載したのは、フロントページが民間資金問題だったこととは直接関係ないのですが、やっぱり街づくりのガバナンスを森林づくりのガバナンスという視点で、問題提起してきた勉強部屋としてはこれもフォローしていきます。

9月3日の今年度第2回ZOOMセミナー、バイオマス産業ネットワーク泊理事長ありがとうございました。

北米から大量に輸入される見込みの木質ベレット問題。勉強部屋ニュース読者でセミナー参加者の中には実際のビジネスにかかわっている方もあり、先進国の米国からのバイオマス燃料がどんな背景なのかこちらも気になっていました。FITというシステムが森林と発電事業ビジネスを結び付けつけた重要性は大切ですが、安定的なビジネス環境が構築され、FITがなくなったときに、FITで供給された燃料が本当に引き続き供給されるのかどうか?(将来のことはわからないというのでなく)、FIT制度を評価する大切な基準だとわかりました。

次号以降の予告、森林総合研究所公開講演会「ネットゼロエミッション達成のための森林の役割」から、ウェビナー 「気候変動シナリオについて世界では今何が議論されているか?、岸田政権の新資本主義と森林のガバナンス、木質バイオマス発電ーローカルな林業の可能性、、欧州の炭素国境調整措置の内容、2020年日本の森林吸収量について、土地は誰のもの・森林は誰のもの?ー所有権の相対化議論の行く末と森林

konosaito<hensyukouki>

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最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara.takashi1@gmail.com