まち再生の議論を早急にー都市が森林・自然を見直すチャンス(2022/4/15)

ウッドマイルズフォーラム会長、もと日本建築士会会長藤本昌也さんから、お住まいの山形県新庄市で、だれでも読んでいるメジャー紙山形新聞のオピニオンというコラムに掲載された、「まち再生の議論早期に❗️ 人口減少顕著な県内▪小規模、共用、共同が鍵」という記事のコピーを送っていただきました。

また、関連資料金田和夫氏「大規模過剰建設がもたらす環境破壊」、(同)「自然と正面から向き合ってみませんかー環境異変を回避するために」を同送いただきました。

建築エンジニアの世界を長年リードされてきた藤本さん。建築物という私有財産であり社会資本であるインフラをめぐっては、当然「それで儲かるのか?もっと儲かる道はないのか!」という所有者や施工関係ビジネスの強い意向をとらえながら、後世の社会の人たちに「「よいものを作ってくれた!!」と言われる、社会資本をどのようにつくっていくのか?」という建築技術者魂の軌跡。

多分そのことは、同様に私的財産であり社会資本である森林の関係者にとっても学ぶことが多いはず、ということで、藤本さんの贈り物はこのページでも大切にしてきました。

ある建築家の60年にわたるまちづくりの経験と「小さな林業」ー「新ローカリズムの思想を語る」から(2020/9/3)

コラム記事の内容を紹介します。

(まち再生の必要性と方向性)

 「日本の人口は2050年に1億人を下回ると予測されています。この超人口減少に少子高齢化が重なり、まちの中心部も郊外も空き家・空き店舗・空地化が進み、いずれまち全体で総合的な空間再編に取り組む「まち再生の時代」が始まるのです。その時の目標は「若い世代にも住み継ぎたいと思われる魅力あるまちに再生すること」

(まち再生のための三つの問題提起)

そのために、三つの問題提起がされています。

第一は、多様な「スモールコミュニティー」によるまち空間の再編

「戦後、私たちは爆発的な人口増に対応するため、数多くの画一的なビッグコミュニティ(住宅団地)を作り上げてきました。しかし、それではこれからの若い世代が求めるライフスタイルを受け止められません。地域社会単位としてまとまりのよい「小規模」なコミュニティと、その生活空間の多様性が求められるのです。」

第二は、多様な「コモンスペース」によるまち空間の再編

「「コモンスペース」とは、コミュニティ内の居住者が共用地や共有地を確保し、路地、広場、緑地など様々な形態のオープンスペースとして整備した屋外空間全体を意味します。これからは、この空間の量的確保と空間形態のありようをどう工夫するかが生活環境の質を決定付けます。空地や空き家を否定的にとらえるのでなく、オープンスペースこそ「最大の価値」との思いを皆で共有し、オープンスペースを主役とした、魅力的なまち空間の再編が求められているのです。」

第三は、まち再生を実現する新たな事業手法、地権者も参加するコーポラティブ方式による共同建て替えの提起

「コーポラティブ方式とは、そこに住みたい人が集まって建設組合を設立し、その組合が事業主となって建築設計や新築工事を発注し、各会員が自らの住まいを取得するものです。その特徴は建築過程でおのずと良好な人間関係が形成され、住む人の思い思いのニーズに応じた設計が可能で、取得費用がオープンになるなどの利点が挙げられます。これから求められる持続可能なまち再生の事業手法として検討に値する代表的手法の一つと考えます。」

(街(まち)づくりと森林(もり)づくり)

以上が藤本さんの主張の概要です。森林づくりとどのような関係があるかな?

街づくりと森林づくりを比較すると、所有者は建築物の所有者と森林所有者、社会資本としてのサービスの受け手は「街の住民」と「流域住民・地球市民」となります。

そう考えたうえで、森林づくりから、上記の上記の3つのまちづくりが抱える課題を考えると、すぐ気が付くのは、第二の「オープンスペースが主役になる」という、新たな課題に建築関係者が挑戦を始めることになってきた、ということですね。街から見ると森林はオープンスペースそのもの。その主役である森林がどんなサービスを市民に提供できるのか?森づくりの関係者が、いままで培ってきたノウハウが試されることになると思います。

それから、第3の所有者の活動を支える建設組合、コーポラティブ方式。まだ、建築関係では主流にはなっていないでしょうが、森林づくりの方は、森林組合という所有者のコープラティブが主流で大きな役割を果たしてきました。現在森づくりの所有者の方は「所有者意識がなくなってきて大変という」、課題を抱えてすぐ共通の土俵にのることは、難しいかもしれませんが、長い目で見たときに、森林組合の経験が建設組合の発展に資するというコラボが大切な役割を果たす可能性があるような気がします。

それから、第一の小さなコミュニティ問題。戦後の大規模団地の画一的なフレームワークでなく多様性のある空間を提供、というチャレンジですね。森林の場合はマーケットと対峙するため、大きな集団づくりという形が当面の重要な課題となっていますが、マーケットに対峙する場合、多様な市民とどのように対応していくのか、森づくりの多様な小さな林業を一つの柱に据えていくことの重要性があるんだと思います。

以上がコラムの内容についてのコメントでした。

(省エネから省資源へ)

あと、背景説明でいただいた、二つ論文ですが、「大規模過剰建設がもたらす環境破壊」、(同)「自然と正面から向き合ってみませんかー環境異変を回避するために」という、タイトルかラ分かるように、市場の主流をいっている大規模再開発批判が一つのポイントになっています。

詳しくご紹介することはできませんが、キーワードの一つが、「省エネから省資源」

前者の論文に掲載してある図をご紹介しておきます。

中高層建築物の環境負荷は、低層より大きい」という節の、説明資料です。

「(環境負荷が)木造はRC,SRCの3分の1で、木造を基本とする低層に比して、S,RC,SRCは環境負荷が著しく大きくなる。」

そして、まとめの文章が「人類の英知をまだ使える建物を壊して大規模高層開発や、高性能建築機器の開発にそそくより、高耐久や中低層でも成り立つ都市と農村の均衡、機器に極力足らないパッシブな室内環境作りにシフトするなら、環境異変の回避、持続可能な地球環境に光がみえてくるのではないでしょうか。」

ご関心のある方はぜひ、お読みください。

藤本昌也氏「まち再生の議論早期に❗️ 人口減少顕著な県内▪小規模、共用、共同が鍵
金田和夫氏「大規模過剰建設がもたらす環境破壊」、
(同)「自然と正面から向き合ってみませんかー環境異変を回避するために」を同送いただきました。

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