ある建築家の60年にわたるまちづくりの経験と「小さな林業」ー「新ローカリズムの思想を語る」から(2020/9/3)

8月23日ウッドマイルズフォーラム会長藤本昌也氏の講演会、演題は「新ローカリズムの思想を語る-建築人としての「理念」と「作法」」がありました。

2月に大阪で開催されることになっていたのででかけてみようかと思っていましたが、コロナで延期になり、大阪中之島公会堂と同時にオンラインでも内容が配信された(ハイブリッド講演会、藤本会長は山形から参加)ので参加しました。

藤本会長が昨年のウッドマイルズフォーラム2019以来、同フォーラムの中で、新たな<地域木材・建築>産業(右の図)を提唱され、それに基づいて「「地域の家と小さな林業」全国ネットワークを求めて」の事業化(参考資料)について検討してきましたが、「産業間の連携による新たな産業づくり」や、「消費者の所有権とあるべき社会インフラの関係をどのように調整するか」など、さまざまなアイディアが、藤本会長の60年の経験の産物であるはずだ、という思いで参加しました。

ユーチューブ新建50周年企画「新ローカリズムの思想を語る」(2時間半)
資料新ローカリズムの思想を語る-建築人としての「理念」と「作法」を語る

新建築家技術者集団という団体(「国土を荒廃から守り、かつ、環境破壊を許さず、人びとのねがう豊かな生活環境と高い文化を創造」する目的(同団体団体憲章)の創設50周年記念イベントで、1時間半にわたる講演とその後のクロストーク全体がだったのでそのすべてを紹介することはできません(この場の意図ではありません)が、勉強になった点、紹介します。

(イベントの背景と藤本氏の仕事)

新建築家技術者集団という団体創設50周年記念イベントなので、聞き手の殆どが建築関係者であり、問題意識は建築ビジネスに関わる人が、消費者や住民に寄り添い社会的役割をはたしながら、どのようにビジネス展開が果たせるか、という内容です。

60年代の多摩ニュータウンの調査と、広島の戦後を終わらせる広島市営基町アパート(住宅の立体化でなく、街のの立体化を目指す)、70年代の「日本土人会」(欧州の近代化主義に対して、拠って立つ新なた理念を日本の風土の中か見つける以外にない)、茨城県営住宅が出発点となった低層集合住宅団地の提案、80年代戸建て住宅地づくりへの挑戦(住民参加・ポケットパーク)、家造り85民家型構法の提案普及、90年代多摩ニュータウン(生活者参加重視コープタウンづくりへの挑戦)、2000年代宇部市まちなか再生事業、新田園都市<つくばプロジェクト>、2010年代「第二期宇部プロジェクト

多分当該地域の人がだれでも知っているいろいろなプロジェクをリードされてきた経験が、@まちづくり(都市デザインの実現)「空間論」、Aものづくり(新しい生産システムの構築)「事業論」、Bくらしらしづくり(生産者ニーズの的確な把握「計画論」)の三つの視点から綺麗にまとめられています。

国や県などの行政との連携、住民の意見を取り入れるプロセス、大変面白いです。関心のある方は、ユーチューブ新建50周年企画「新ローカリズムの思想を語る」(2時間半)資料新ローカリズムの思想を語る-建築人としての「理念」と「作法」を語るをどうぞ。

(2020年代以降の<都市再生>時代にどう向き合うか)

結語の部分は以下の通り

「わが国の 20 世紀後半は、 高度成長を背景に 、「建築」づくりを謳歌した時代。しかし、それは一方で「建築」をつくり過ぎ、貴重な建築遺産や豊かなオープンスペース、緑を失ったゆとりの 無い建築過剰時代でもあった 。
超人口減少化時代を迎えている今だからこそ、私 たちは、 ?「空地」こそ最大の価値″との思いを共有し、 「空地」主役に魅力的な都市再生 に取り組みたい
ポストコロナ時代とは、“人と自然”“人と人” との関係性を抜本的に見直す時代
現代文明は確かに私たち社会多くの貢 献を果たしてきましたが、同時に“自然 ”への傲慢な態度や人hrの偏見、差別化を繰り返し、多く 繰り返し、多く の誤りも犯してきました。私たちは、この人間驕りがもらす事態 を創造する力持つ必要がある」

(木の建築と住民との関係)

さて、集合住宅群の<くらしづくり>と<まちづくり>を主題にされていた作業のなかから、「木の建築」が一つのテーマになるきっかけは、80年代の民家型構法

「85年の建設省が主催した、家つくり85の提案競技で16の入選の一つの入賞しました。」

林野庁が注目して、東京営林局潮見の東京木材サービスセンター「国産材ハウス」として展示されました(左の図)。

建築と環境を成立させる固有の場である「大地」の上にその場での固有の自然・歴史・社会条件にそって、「その地域の木で、その地域の風土に合った、地域の人々によって建てられる自然で健康的な長寿命の家」です。

講演の最後のセッションで、今後の課題を伝える3枚の内の一つ「<もの>づくりの視点」が、右の図です。

@小さな林業を支える国産材産業論、A森とまちをむすぶ地域ネットワーク型の<住まい・まちづくり>論の二つが提起されています。

昨年のウッドマイルズフォーラム2019の氏の結語をもう一度引用します「今日のフォーラムでも議論になった、山にちゃんとお金が戻り、山で生き生きと働けて、川下側もそれをリスペクトして仕事ができるという関係を今後どう構築できるか、ウッドマイルズフォーラムとしても一つの問題提起ができるよう議論していきたい。各地域の様々な特殊解から、普遍性をもった解が導き出せるよう、皆様からも色々な知恵を出して頂きたい。

これからも、是非、一緒に進めていきたい!!またフォローしていきますね。



junkan1-20<sinlocalizm>

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