ニュースレター No.244 2019年12月15日発行 (発行部数:1530部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 

                      一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原敬

目次
1 フロントページ:「世界の行方を問う ー岐路に立つ国際秩序と地球環境ー」の中の森林業(2019/12/06)
2. 「徹底討論:林政の新展開を問う」林業経済学会が問うたもの(2019/12/15)
3. 2019年林業経済学会大会から(2019/12/15)
4. 問われる森林バイオマスの持続可能性 (2019/11/15)
5. 森林サービスに関する関心の拡がりー勉強部屋ニュース244編集ばなし(2019/11/15)

フロントページ:「世界の行方を問うー岐路に立つ国際秩序と地球環境」の中の森林業(2019/12/06)

11月24日に東大本郷キャンパスで開催された、地球システム・倫理学会第15回学術大会シンポジウム、「世界の行方を問うー帰路に立つ国際秩序と地球環境」というイベントに出席してみまし(林業経済学会大会二日目はお休みして)>

タイトルが気になったので。

地球システムと地球環境を俯瞰して、どのような理念で次の社会を構想するのか?そして、そんなことを科研費も使っで検討しているグループの人たちが、森林という大切だが情報発信がすことたりない難物について、どのような認識しているか?

ーーーーーーーーパンフレットの概説曰わく

民主主義、自由市場主義、リベラル・デモクラシーという、人類が築いてきた理念と秩序の体系がいま揺らいでいる。既に先進国でリベラル・デモクラシーに反する政策を唱えるリーダーが選ばれた。新興大国は地政学的野心を露わにし、地域紛争も再燃している。人間の非合理性の主張やリアリズムへ振り子の振れを前にして、リベラル・デモクラシーは秩序の回復に向けた自己修正ができるのか、その真価が問われている。さらに、地球環境の変化が緊急に対処すべき深刻な危機を招いている。まさにこれまでの人間社会の秩序の粋を超えた概念を秩序の枠の外ではなく「内部化」する必要に迫られていると言うべきだろう。それでは、リベラル・デモクラシーが揺らぎ、しかも地球環境の変動にさらされている現在、世界秩序はどこに向かうのだろうか。権力と経済の利害が錯綜し、提起される構想もモラルの復権とAI(人工知能)への依存との二極に分かれるなかにおいて、これらの困難な課題を解く叡智はあるのだろうか。世界秩序の行方という大がかりなテーマを敢えて設定する理由は以上のものである。
本シンポジウムは、最先端の知見を結集し、内外に発信することによって、世界の良心に訴える

ーーーーーーー

13:00 ~ 13:15 開会挨拶 近藤 誠一 (地球システム・倫理学会会長)
13:15 ~ 14:30 基調講演 小宮山 宏 (株式会社三菱総合研究所理事長)
          「希望はある~プラチナ社会へのイノベーション~」
14:30 ~ 14:45  休憩
14:45 ~ 17:30 シンポジウム「世界の行方を問う ―岐路に立つ国際秩序と地球環境―」
パネリスト
 藤原 帰一 (国際政治学 東京大学大学院教授)座長
 川勝 平太 (比較経済史 静岡県知事)
 佐々木 瑞枝 (日本語学 武蔵野大学名誉教授)
 鬼頭 秀一 (環境倫理 星槎大学副学長)
 羽田 正 (世界史 東京大学副学長)
コメンテーター
 服部 英二 (比較文明論 元ユネスコ事務局長官房特別参与)

話は大きいのですが、この勉強部屋のトップページに掲載しようと思ったのは、基調講演を行った小宮山宏氏(三菱総合研究所理事長)の「希望があるープラチナ社会へのイノベーション」という話の中での森林の話です。

(プラチナ社会)

小宮山宏氏が語るプラチナ構想は、もと東大総長の語る次社会論という興味を引くストーリーというだけでなく、小宮山氏が実現にむけて執念深く自治体、地方大学、企業とのネットワーク、プラチナ構想ネットワークを作り上げ、その実現にむけた「希望をかたれる」と、いうことがすごいところです。

1時間以上におよぶ、上記基調講演は、小宮山氏の今までの取組を総括したもので、全体をフォローすることができません(→新ビジョン2050をどうぞ)が、プレゼンの途中から、森林問題が話題の中にはいってきました。

その最初のプレゼン資料が、左の図です。国土の70パーセントが放置されている。

(プラチナ社会の森林)

「問題を解決するのは、そんなに難しくない。大規模化、機械化、情報化である。補助金が効率化の道をスポイルしてきた」

突然、森林話になったのと、スポイルの話は私の問題意識とかさなったのでインパクトがあったのですが、あまりに単純化された「解決策の提示」は、森林関係者がきかれると、なにをいっているのだ、ということになるかと思います。

ただ、関係者はご存じなのかもしれませんがプラチ構想ネットワークで、森林政策に関して少し、時間をかけてフォローしてきていることに気がつきました。

プラチナ構想ネットワーク森林フル活用プロジェクト
会津森林活用機構株式会社(小宮山氏が会長)
『日本創生 よみがえれ!!森林資源大国日本!! ~森林資源のフル活用で地域に新産業を創る~』

国産材が使われるようになって、木材産業の周辺がすこし活性化している令和の時代のブームにのった話で終わらせないように、令和に生まれた森林が次世代にむけて情報発信ができるようなプラチナ社会だったと言われるように、このページでもフォローして参ります。

(未来にむけた質問)

すこし、メインのストーリーとは外れますが、環境ガバナンスに関する専門家がそろっているようなので、日頃の関心事項を質問してみました

(問)
基調講演で森林が話題になったのは興味深い。質問がある。私は、霞ヶ関でGATTやウルグアイランドなどの担当をしていたときがあるが、経済のグローバル化と環境問題が話題となった。そのときにWTOの人から、「われわれは経済のグローバル化を大変な苦労をしてやってきた。それにくらべて、環境のグローバル化の努力がたりないのでないか?」と言われた(WTO貿易と環境に関する特別報告)。それで、1992年の地球サミットで森林条約を作ろうというはなしが、途上国の反対でできなかということことが思い浮かんだ。経済と環境のガバナンスのグローバル化の関係について、なにかコメントをいただけないか?

(答1パネリストKさん)

林業は時間がかかる、非市場的な、お金で解決できない問題を含んでいる。非市場的な部分をしっかりとりあつかっていかないと、問題がでてくるのでないか?経済的になりたつたようにといって、市場になげこまれれている面がある。その問題をどのように検討するか?コモンズ研究などの蓄積が大切だろう。

(答2パネリストでコーディネーターFさん)
l国際政治の側からひと言。国際協定は2国間から戦後多国間になってきた。その場合、強制力が問題、EUにように罰則をつけられるかどうか。こんな方向で行きましょうとうアドボカシー多国間協力もありうるが、そのようにするかで、効果が全然ちがう。

junkan1-19<Crroad-fore>  

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徹底討論:林政の新展開を問う」林業経済学会が問うたもの(2019/12/15)

11月25日林業経済学会大会3日目に開催された、標記シンポジウムに出席しました。

09:00-09: 10 開会挨拶(土屋俊幸氏・東京農工大学)
09: 10- 09:30第1報告(柿澤宏昭氏・北海道大学)
「森林環境譲与税と森林経営管理法に関する批判的コメント・疑問」
09:30-09:50 第2報告(本郷浩二氏・林野庁)
「森林経営管理制度の取組状況について」
09;50-10: 10 第3報告(枚田邦宏氏・鹿児島大学)
「市町村アンケート調査結果からみた森林経営管理法への対応」 

森林林業政策の担当官庁の責任者林野庁長官が関係学会とホットな話題で議論。前日に三菱総研小宮山理事長の補助金が森林整備の企業活動をスポイル発言も気になり。

テーマは森林環境譲与税、森林経営管理制度。林業経済学会ではこの準備で、林業経済学会の研究ボックス「新たな森林管理システム」をみなで考える など準備を重ねてきました。

森林経営管理制度とはなにか?左の図は本郷長官の示したスライド(林野庁作成)の1枚目です。

森林所有者が関心を失い経営管理が行われていない森林のうち、林業経営に適さない森林は市町村が、適した森林は意欲と能力のある事業者に経営委託するというのです。

半分の市町村で公有林化に関する問い合わせが始まっている(枚田報告)、700社を越える事業体がノミネートされている(本郷報告)など、所有と経営の分離という大胆な施策が進みそうというところですが、本当動くのか?目的通りのものになるのか?目的が明らかでないので、よく分からない(柿沢報告)?

まだまだ、今後の課題がたくさん、ということのようです。

(施策の経緯と目的)

鼎談のなかで、本郷長官は施策の目的がわかりにくい、という質問に答えて、以下のように答えていました。

「(心配される)所有権移転話は、霞ヶ関では農地とか、空き家とか先行事例があって、そんな大きなハードルはなかった。

前提となる森林譲与税の使い道について、少しわかりにくくなっているが。経緯をはなすと、林野庁の施策にしたかった(林野庁の森林整備予算財源となる)温暖化対策税が、経済界が反対でどうしても実現せず。温暖化対策税は木材利用につかうことになり、あきらめていたところに、総務省から、「こんなの」でどうか?と、森林環境税が林野庁施策とはちがうものに使うようになった。ほったらかしになっていた森林に、焦点をあてた使い道に。それで、補助金が使えない分野に、といって制度の設計をしていたが、最後の段階で、市町村が使いたいことに何でもつかえるように、ということになった。若干の混乱あり。

わかりにくくなっているのは確かだが。成長産業化のためにも使える。天然林にも使える。・・・」(ごめんなさい、よく確認して下さい)

(少し心配な点)

成長産業化に環境譲与税が使われるとして、その、前提となるのが市町村が決定する、「この森林は林業に適しますという」線引きということになります。

保安林と別の線引きが、市町村によって行われる。どんな方向になるのだろうか。そして、林業に適しているというところに経営を委託された意欲と能力のある事業体が、前提とする、現在の補助金はどうなるのだろうか。成長産業に国が補助する理屈は何か?小宮山理事長のいった、「補助金が企業のマインドをスポイル」ということがば、気になります。

終わりに、フロアからの発言の機会があったので、ひと言言わせていただきました。

「所有と経営の分離は大切です。昨日地球システム・倫理学会のシンポジウムで将来のプラチナ社会に中での森林の在り方について基調講演を聴きました。すべて話すことはできないが、補助金が企業の動きをスポイルしているという話がでました。森林環境を保全するためにしっかり補助金が出る必要があるし、もっとたくさん必要だろう。ただ、成長産業の基盤への補助金はつけられるのかという問題がある。いずれにしても、補助金の理屈の議論をすすめるためにも、線引きが必要だろう。その意味で、市町村がとりくんでいる、今回の線引きは重要で、それを出発点として議論を発展させてほしい。」

kokunai14-9<gakkaisympo2019>  

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2019年林業経済学会大会から(2019/12/15)

11月23-25日に、林業経済学会秋季大会が東京農工大キャンパスで開催されました

恒例の大切なイベントですが、公開討論会にについては、別途報告しました。恒例により報告のつまみぐい、と思いましたが、報告を一つ携え、二日目は別件があり出席できずと、全体を俯瞰して、これはということをピックアップる作業ができませんでした。気になるテーマ別セッションを紹介することとします。

報告資料を提供して頂いた報告していただいた方、御礼申し上げます

林業経済学会の関連ページプログラムと報告要旨が公開されています。

 発表者  標題 関連データ 注目点
 テーマ森林環境税と森林環境譲与税  発表要旨  
 香坂令(名古屋大学)  趣旨説明 発表要旨 報告資料  
 香坂令(名古屋大学)  森林環境譲与税による市町村支援の方向性-都道府県の動向の概説と都市・農山村連携の萌芽 発表要旨報告資料  都道府県に対する質問票及び聞き取り調査。所有者の意向調査への、市町村支援などの体制
 福田淳(広島県)  広島県における森林経営管理制度・森林環境譲与税の取組状況  発表要旨報告資料(広島県HPから)  先行するひろしまの森づくり県税と環境譲与税との関係。市町村と連携した集中的な意向調査の取組
 多田忠義(農中総研)  森林環境譲与税の執行環境をめぐる条件整理と関係主体の現局面に関する速報  発表要旨  市町村を、国・民別森林面積、セクター別生産額などで類型化、森林譲与税の取組との関係を分析する基盤がづくり
 中谷和司(飛騨市森林組合)ほか  森林経営管理制度実施の課題と森林環境譲与税の使途-飛騨市のスタン  発表要旨  広葉樹の街づくりをすすめる、飛騨市にとって森林環境譲与税、新しい森林管理制度の展開。分かり易いです
 加藤七海(日本大)ほか  森林環境譲与税の評価基準設定に関する研究-神奈川県を事例として  発表要旨  県内の市町村調査、評価基準策定と、「神奈川県水源環境保全税」とのすみ分けへの課題
 久城隆敏(島根大)ほか  新たな森林管理システムに関する考察-鳥取県日南町森林組合の「山林意向調査結果報告書」の分析  発表要旨報告資料 先行した森林所有者の意向調査の結果分析。譲渡した意向所有者が1割
 栗山浩一(京都大)ほか  森林環境税は国民の支持を得られるか?  発表要旨  森林環境税の課税の是非、金額に関するアンケート調査。支払意思はあるが、今後の課題
 木材の合法性確認のシステムのありかたとその課題  発表要旨  
 鮫島弘光(IGES)  趣旨説明    
 鮫島弘光(IGES)  違法伐採対策のこれまでの経緯、現状、現在の課題  発表要旨 サプライチェーンの複雑化、小農による牧西生産、制度の多様化などの課題
 藤崎泰治(九州大/IGES)ほか  熱帯地域の伐採合法性証明制度に関する国際比較  発表要旨 木材生産国5 か国(ブラジル、ペルー、パプアニューギニア、タイ、フィリピン)を事例に、伐採合法証明制度について比較検討 
根本昌彦(鳥取環境大)  オーストラリアにおける違法材対策  発表要旨  オーストラリアでの違法伐採対策の法制度の導入と運用のプロセスなど、課題など。CWへの教訓は?
 御田成顕(九州大)ほか  土地所有構造の違いが立木売買および素材生産に与える影響-宮崎県南部および北部の比較から  発表要旨  所有規模の違いが、サプライチェーンの違いに。リスクを減らすには仲介事業者の役割が重要。
 相川高信(自然エネルギー財団)  木質バイオマスエネルギーの持続可能性基準-国際比較から見る日本の制度の課題  発表要旨報告資料  日本の基準について、EU とイギリス(英)及びオランダ(蘭)の基準を対象として非比較、持続可能性基準を、国際的に調和した十分な水準にする課題
 三柴淳一(FoE Japan)  自治体による熱帯木材使用抑制政策の現状について  発表要旨  都の制度が参照している改正グリーン購入法との整合性に関して国の対応が急務、自治体の取り組みの義務化など法的拘束力強化といった検討も必要
 セッション外ですが、関連報告    
 前川洋平(日本木質バイオマスエネルギー協会)  「発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドラン」の運用状況と課題- 認定団体の取り組み状況を事例に-  発表要旨報告資料  FITの木質バイオマス供給認定事業者の悉皆調査の結果、認定団体を支援、管理するシステムが必要なのでないか
 林業史と森林史  発表要旨  
 竹本太郎(農工大)  趣旨説明  発表要旨  
 芳賀和樹(東京大)  秋田藩における森林利用と自然環境  発表要旨  利用形態によるゾーンイングなど,森林と人の関わり合いの歴史を,自然環境にも着目しながら検討
高橋美貴(農工大)ほか 近世東北の鉄生産と森林・河川-仙台藩領を事例として  発表要旨  土砂流出・堆積問題の背景を鉄や砂鉄の生産にも光を当てながら分析し,流域史的な観点から同藩地域史の描出
赤池慎吾(高知大) 保安林制度にみる「公益」の形成過程  発表要旨  土佐藩/高知県を事例に、近隣住民の森林に対する認識や空間利用に留意しつつ、保安林指定の史的展開過程を通じて森林の「公益」がいかに形成されてきたのか検討
竹本太郎(農工大) 統治初期台湾における阿里山森林の探索  発表要旨  森林官の思想や行動に着目しながら,日本帝国の本国と植民地における森林の環境保全を比較し,環境保護主義とは何かを論じる
 山本伸幸(森林総研)  占領期林政下における地域森林管理の諸相-秋田県林野経営協議会と山形県国有林野経営協議会  発表要旨報告資料  秋田県林野経営協議会と山形県国有林野経営協議会の2 つの事例に関する比較分析から,占領期林政下における地域森林管理の実態について検討
 藤原敬(林業経済研)  戦後日本森林外交史論-グローバルガバナンスの展開と日本の森林外交  発表要旨報告資料  第二次大戦後、森林ガバナンスの世界的な流れを日本の政策立案者や利害関係者がどのように理解したか、日本の森林や林業に関する考え方が世界に体系的に発信されたかを分析し、日本の森林外交を解明
齋藤和彦(森林総研関西)  沖縄やんばるで山の歴史を探索する意義  発表要旨  戦前の古道と開墾の分布調査、および終戦時点の優良天然林の残存状況の調査について報告し、当地で山の歴史を探索する意義について議論
 柴崎茂光(歴博)  林業の定義に関する歴史的変遷  発表要旨  林政学・林学の教科書を取り纏め、時代ごとの林業の定義と、公益的機能の記載のあり方を明らかに

gakkai<rinkei2019>

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  問われる 森林バイオマスの持続可能性 (2019/12/06)

バイオマスの持続可能性に関する議論二つ。

(バイオマス持続可能性WG中間報告)

(経産省の総合資源エネルギー調査会の省エネルギー・新エネルギー分科会の新エネルギー小委員会バイオマス持続可能性ワーキンググループで11月18日中間報告が公表されました

主たるテーマは、FITで最近増えつつあるパームオイルなど「農産物にともなって生じるバイオマス燃料についての、持続可能性を確認する手段の具体化」で、環境、社会労働、ガバナンス、食料との競合、という4つの確認内容と、確認手段について検討し、現行認められているRSPO 認証に加えて、RSB ( Roundtable on SustainableBiomaterials)認証を追加して認めるべきである。等としています。

直接木質バイオマスに関する議論ではないのですが、FITのバイオマスの基準の中で、温室効果ガスGHGの排出に関する基準の議論、地域環境や土地利用権・労働安全等持続可能性に関する議論などの今後、木材バイオマスの基準にどのように、反映するのかという点で、重要な視点が含まれた報告書です。

今後、来年4月にむけて、FITの認定基準改定作業がおこなわれるようです。

(国際セミナ-森林バイオマスの持続可能性を問う)

12月4日に国際セミナー:森林バイオマスの持続可能性を問う〜輸入木質燃料とFIT制度への提言というイベントがあったので、出席してみました。

開催趣旨曰わくーーーー

木材を使った発電は、木材が二酸化炭素を吸収して成長するため「カーボンニュートラル」とされていますが、原料や燃料加工、輸送の各段階においてのGHG排出を無視することはできません。また、生産段階で森林・生態系や地域社会に大きな影響を与えることもあります。果たして、輸入森林バイオマスを利用した発電は本当に持続可能と言えるのでしょうか。

講演1:バイオマス燃料の持続可能性とGHG排出 ~森林バイオマスはカーボンニュートラルか~(オンライン)
     メアリー・ブース/Partnership for Policy Integrityディレクター
配付資料.バイオマス燃料の持続可能性とGHG排出 ~森林バイオマスはカーボンニュートラルか メアリー・ブース/Partnership for Policy Integrityディレクター
講演2:北米の木質ペレット生産地での環境・社会影響
     タイソン・ミラー/Stand.earth 森林プログラムディレクター
配付資料.北米の木質ペレット生産地での環境・社会影響 タイソン・ミラー/Stand.earth 森林プログラムディレクター
講演3:FITバイオマス発電:持続可能性への取組みと課題
     泊みゆき/バイオマス産業社会ネットワーク理事長
配付資料.FITバイオマス発電:持続可能性への取組みと課題 泊みゆき/バイオマス産業社会ネットワーク理事長
バイオマス発電に関する共同提言

泊さんの話は、前述の中間整理の内容を踏まえて、GHG排出基準が必要との今までの主張をが中心でしたが、経済産業省の議論も(まえ向きに)少し変わってきたと、されていました。FIT以降を踏まえて、熱利用を踏まえた展開が必要。この課題は別途報告します

気になったのは二人の北米のNGOの関係者の報告。

(化石資源由来のCO2と木材由来のCO2の違いは)

同じエネルギーを供給するのに、バイオマスは石炭よりCO2の排出量が多い!というメアリーブース氏のプレゼンの一節はのは正しいのでしょうが、「それではバイオマスより石炭のほうがよいという考えでしょうか?」という質問がフロアからあったように、何を主張しようとしているのか?解りづらかったです。

「バイオマスを燃料に使う場合、供給過程のGHG排出量、持続可能な生産過程の二つが重要な要素であることは重要です。
ただ、カーボンニュートラルというコンセプトは重要だと思います。

いま直面している問題は、300年ぐらい前から化石資源を利用して効率的で便利な社会を作り上げようと努力した結果、生まれた自動車・飛行機などなど。それで温暖化問題が起こっている。この問題に対応するため、長い歴史的過程で形成されてきた化石資源から排出される二酸化炭素と、現在の空気中の二酸化炭素を固定した二酸化炭素は意味合いがことなるでしょう。
これをニュートラルなCO2であるとといっているのだと思います・・・

とコメントをしました。

energy1-34<fitrsb> 

  

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 森林サービスに関する関心の拡がりー勉強部屋ニュース244編集ばなし(2019/12/15)

林業経済学会大会の中(なか)日に地球システム・倫理学会シンポ。農耕社会、工業社会の次にくるプラチナ社会を形成する自然共生社会のなかで重要な役割を果たす森林議論されていました。

次の日は、林業経済学会でのシンポジウム。森林環境税を前提とする新たな森林管理に向けて、市町村段階で意向調査が進められています。

まだ報告していませんが、その後、森林と金融のセミナー、グリーンインフラ研究会と少し忙しい日が続きました。

これらについては追って報告しますが、いずれにしても森林関係者以外の人たちが森林が関連するサービスに色んなかたちで関心を持ってきています、ということですね。

次号以降の予告、令和の山づくり、森林外交論続き、書評:諸外国の森林投資と林業経営-世界の育林経営が問うもの―、グリーンインフラ論と森林、気候変動枠組み条約COP25と森林、勉強部屋の20年

konosaito<hensyukouki>

  

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最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp