ニュースレター No.092 2007年4月15日発行 (発行部数:1350部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1.
「ウッドマイルズー地元の木を使うこれだけの理由」2007/4/15)
2. FAO森林白書2007年版2007/4/15)
3. ウッドマイルズ研究会ニュースレター木のみち13号2007/4/15)
4. 「日本は世界で2番目の違法伐採材輸入国」WWFUKの報告書2007/4/15)

「ウッドマイルズー地元の木を使うこれだけの理由」2007/4/15)

「ウッドマイルズ 地元の木を選ぶこれだけの理由」という本が農文協から出版になり、出版記念パーティが開催されました。
セミナー概要 研究会のHPより

久しぶりに、近の木で家をつくる運動の創生期のリーダーをされた長谷川敬さん(長谷川敬アトリエ代表)とお目にかかりました。長谷川さんからはセミナーの中でコメントを頂きましたが、ウッドマイルズが地べたについた運動に少しずつなっていると、評価をして頂きました。

遠く北海道や九州からも参加者がありましたが、熊本から参加された、T工務店のTさんは、昨年11月に開催されたウッドマイルズ算出技術者講習会 2006に参加して「ウッドマイルズ関連指標算出技術者の認定」をうけていますが、いただいた名刺に「ウッドマイルズ認定証取得店」とかかれていました。
ウッドマイルズ関連指標算出技術者についてはこちら

この1行で、発注者の方との話がはずみ営業に役立っているのだそうです。

ウッドマイルズがこうして、近くの山で木をつくる地道な運動を支援するツールとなっているのは大変うれしいことです。

今回の本には、東は北海道から西は京都までウッドマイルズをつかった各地の運動が紹介されています。

下記ホームページの通信販売でもご購入いただけます。(各名前をクリックすると商品のページをご覧頂けます。)
アマゾン ・  楽天ブックス  ・  インターネット本屋「田舎の本屋さん」

なお、まとめてお買い上げ頂ける場合はウッドマイルズ研究会経由にてご購入頂くと、著者紹介により1割引で販売致しますので、ウッドマイルズ研究会事務局までご連絡下さい。
(送料は別途400円。但し、2万円以上お買い上げの場合は送料無料となります。)

『ウッドマイルズ 地元の木を選ぶこれだけの理由』
著者/ウッドマイルズ研究会  発行/農文協(社団法人農山漁村文化協会)  定価/1,750円
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第1章 ウッドマイルズとは何だろう
・日本はウッドマイルズ大国−森林と消費者の距離が明かすもの(藤原敬)
・近くの山の木は環境にやさしい−木造住宅の新たな環境指標(滝口泰弘)
第2章 木の家づくりとウッドマイルズ
・「地元の木」を使った住まいを設計する(田村宏明)
・「あなたの家の柱は、どこからやってきましたか?」(榎本崇秀)
・近くの山の丸太から生まれた子どもたちの活動拠点施設」(滝口泰弘)
・家具に地域の木を使う(石井学・石井愛)
・民家型構法から森林文化アカデミーの木造教育へ(三澤文子)
第3章 各地の地産地消運動のなかで
・持続可能な滋賀県への挑戦(山口美知子)
・越後杉の誕生−地域材を活かす(二野宮雅宏)
・循環可能な森づくり、家づくり−北海道下川町(相馬秀二)
・身のまわりの木材を探れ−岐阜木材探偵団(坂崎有祐)
第4章 環境を守るウッドマイルズ
・企業の社会的責任とウッドマイルズ(澤田順子)
・ウッドマイルズを環境負荷価値へ(渕上佑樹)
・環境運動とウッドマイルズ(野池政宏)
・国際的な環境運動−ウッドマイルズの活動(藤原敬)
第5章 林業政策とウッドマイルズ
・ウッドマイレージCO2認証制度(京都府産木材認証制度)の取組(白石秀知)
・研究面での取組(立花敏)
・日本の林業政策を評価する(藤原敬)
・ウッドマイルズと木材供給者の責任(熊崎実)
第6章 ウッドマイルズの広がりと展望
・ウッドマイルズ研究会の3年間(藤原敬)
・建築物を評価するツールとしてのウッドマイルズ(藤原敬)
・県産材、地域材を普及するツールとしてのウッドマイルズ(藤原敬)
energy2-47<book2_WM>

FAO森林白書2007年版2007/4/15)

FAOが二年に一回出版しているState of World's Forestの2007年版が3月にローマで開催れたFAO林業委員会(COFO)にあわせて、出版されました。(→こちらFAOのHPより全文

大きな特集は「持続可能な森林経営・管理への成果」Progress towards sustainable foest managementです。昨年発表された2005年の森林資源調査結果に基づき、地域別の分析を加えています。前向きにとらえようとしていますが、先進国と途上国の格差が拡大している現状は覆いがたいところです。

多くの国で政治の森林の持続可能な管理についての関与が高まっていて、ほとんどの国が地球サミット以来、新しい森林法を導入し、100以上国でより包括的な森林管理をするための森林計画が策定されたそうです(P70 Global vew)。

これらの中央政府の思いと、森林管理の現場でのマネジメント水準の乖離が違法伐採問題の本質だと思います。

第2部は、各論の解説で、気候変動、砂漠化、森林景観の保全、林業と貧困、林業分野の概況、森林の所有権、収穫、進入週、監査報告、山岳地域の開発、環境サービスへの支払い、人工林、林産物貿易、都市の森林、自由意志による制度、水、野生生物管理、木材エネルギーのテーマで1ページずつの読みやすいページになっています。

chikyu4-12<SOFO2007>


ウッドマイルズ研究会ニュースレター木のみち13号2007/4/15)

ウッドマイルズ研究会のニュースレターが4月4日久しぶりに配信されました。
目次は以下の通りです

1.  巻頭言            (財)日本住宅・木材技術センター 理事長 岸 純夫

2.  特集   『ウッドマイルズ 地元の木を使うこれだけの理由』 発売

3.  研究会ニュース

 -1 ウッドマイルズ ミニセミナー2007 in 東京
    『ウッドマイルズ 地元の木を使うこれだけの理由』出版記念     滝口 泰弘
 -2 朝日新聞(名古屋版)夕刊1面にウッドマイルズ             滝口 泰弘
 -3 都道府県産材の木材輸送距離
   (2006年度森林総合研究所委託研究より)                 滝口 泰弘
 -4 ウッドマイルズの視点からの地場産材の定義              滝口 泰弘
 -5 地域材セミナー2006in滋賀/算出技術者講習会2006in岐阜     滝口 泰弘
 

4.  【連載】ウッドマイルズ研究ノート

 ・ ウッドマイルズの視点からの地場産材の定義(概要版)
 ・ (その15)「地場産材の定義を考える」(アンケート調査分析詳細)    滝口 泰弘

5. 会員紹介

  内田信平さん・加藤明博さん・ 神谷義彦さん・ 高橋理恵さん・ 川端基洋さん

6. 事務局だより

内容はウッドマイルズ研究会当該ページからどうぞ

energy2-48 <kinomiti13>


「日本は世界で2番目の違法伐採材輸入国」WWFUKの報告書など(2007/4/15)

違法伐採問題に世界に先駆けて取り組んでいる英国政府の動きを、英国のWWF(WWFUK)などの環境保護団体がウォッチして情報発信していますが、これらの動きをWWFジャパンの森林活動のページが抄訳も含めて丁寧な情報提供をしています。

("Illegal logging cut it out")
1月下旬にWWFUKは"Illegal logging cut it out"(違法伐採を排除しろ)というタイトルの報告書を公表しました。(WWFUKのプレスリリース

英国は世界で三番目に違法伐採木材の輸入が多い国という事実をあげて、欧州一の木材輸入大国である英国が違法伐採木材を排除することの意義を強調していますが、1番目は中国、2番目は日本との指摘です。(木材輸出17カ国の輸出材の中の違法伐採率をもとに産出したもの)

民間の先進的な取組を紹介しながら、英国政府には、@EUで違法伐採材の輸入を違法とする貿易政策を導入する、A調達政策については量的な目標を明確にするなどと、提言しています。

WWFジャパンの紹介ページ「英国の違法木材輸入量は世界でワースト3位」(報告書の全文がダウンロード出来ます、日本語での紹介ページ有り))

(森林認証の評価結果に対する批判)
英国政府の調達政策のシンクタンクの役割をはたしているCEPT(Central Point of Expertise on Timber)の報告に対する、環境団体の批判の動きです。

昨年12月CPETは森林認証を合法性・持続可能性の切り口で評価し公表しました(本ページ内関連ページ「英国の違法伐採に対する調達方針とCPET」)が、これに対して、環境4団体が抗議の声明を発表したというものです。
原文(FoeUK)
WWFジャパンの紹介ページ「イギリス政府は森林管理の現場を精査せよ!」

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今後日本の制度を検討していく場合に、視野に入れておくべき議論です。

3月上旬、英国の取組をリードしているGlobe International (地球環境国際議員連盟)の方たちと日本の違法伐採対策について意見交換する機会があったのですが、「日本の制度は業界の善意に基づいている」とコメントがありました。言外に「それでうまくいくのか?」というこというニュアンスなのですが、英国の仕組み自体が批判の対象となっており、うまく機能するシステムを作るのは難しい課題です。

いずれにしても、木材は建築資材などとしての「中間資材」で、化石資源で作成された代替物との厳しい価格競争に晒されているので、安上がりなシステムを作る必要があります。(その点、同じ製造過程の情報を消費者に届ける仕組みとしての紛争地ダイヤモンド(小HP関連ページ)の場合とは違う)

制度を運営する立場の者が世界中から調達される木材の全てのチャンネルを掌握することは難しく、ビジネスの信頼出来るサプライチェーンに依存するというのが、森林認証制度がつくってきた回答です。林野庁のガイドラインに基づく業界団体認定もその流れの上に立っています。

boueki4-27<WWFUK>

最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp

 

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