ニュースレター No.0462003年6月13日発行 (発行部数:800部) | ||||||||||||
|
||||||||||||
このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。 情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 |
||||||||||||
|
||||||||||||
|
||||||||||||
1. フロントページ:「ウッドマイルズ研究会」の発足によせて(2003/06/13) 6月12日岐阜県庁の記者クラブで岐阜県立森林文化アカデミー熊崎実学長を代表とする27人の呼びかけ人による「ウッドマイルズ研究会」の発足が発表されました。 「(エコマテリアルとして認められつつある木材は)ただし安価で均質という工業用途としての利便性を追い求めた結果、我が国は地球の裏側の木材を大量に消費することとなり、エコマテリアルといいながら輸送過程で膨大な化石燃料を消費し(一軒の家の新築エネルギー 左の図にマウスポインターを)、また、木材の大切な性質である「再生可能な資材」という点についても、私たちが手の届かない産地における『違法伐採』などという形で、疑問を突きつけられることとなっています。 私たちは、木材の「人と地球に優しい」という属性を、消費者が自信を持って選択するための手助けとして、また、我が国の大量消費社会の矛盾を示す尺度として、木材の産地から消費地までの距離(ウッドマイルズ)についての様々な情報を提供することが必要だと考えました。」 昨年の8月の小論「ウッドマイルズと地域材利用住宅」をはじめ、小HPでも追いかけてきた(関連記事)、住宅木材の輸送距離に関する情報提供をキーワードにとする動きの新たな展開です。研究会の準備の過程で、地域材住宅をセールスポイントとしている住宅メーカーから、多数関心を寄せていただきました。 研究会は、第一に、住宅に関するウッドマイルズの指標を開発しだれでもでも使いこなせるようなソフトを作成すること、第二に、ウッドマイルズを窓口にして、住宅のライフサイクル分析など様々な分野の方々が集まる交流の場を作ること、などが、仕事となります。 私も、代表運営委員という立場で関わることになりました。よろしくお願いします。 |
||||||||||||
|
||||||||||||
2.ウッドマイルズとウッドマイレージ(2003/06/13) 研究会を立ち上げるにあたって、研究会の名称を「ウッドマイルズ研究会」、使用した木材の量と距離を物差しとした指標は「ウッドマイレージ」、という整理をしています(設立趣意書参照)。ちょっとややこしいのですが、経緯を説明しご理解をえておきたいと思います。 ウッドマイルズのルーツは、英国人のティムラングが1990年代に提唱したFoodmilesで、我が国には農林水産政策研究所の篠原所長が2001年の5月に朝日新聞の私の視点にフードマイレージとして紹介したものです。2008年の8月号の「木材情報」誌藤原が、「ウッドマイルズと地域材利用住宅」という小論を書いたのがウッドマイルズの始まりです。その後、岐阜県立森林文化アカデミーの卒業発表で滝口泰弘さんが事例研究を行い、研究会発足へと話が進みました。 私が木材情報へ原稿を書いた際、表題を「ウッドマイルズと・・・」にするか「ウッドマイレージと・・・」にするかという選択肢が有ありました。篠原所長自身が「私は日本では航空会社のマイレージプランが広まっていることを考慮してFood Mileageとして使い始め」(食品流通研究 2002年冬号(No.2))としており、何か我が国のローカルな都合によるマイレージという用法であり、将来ウッドマイルズが国際的なものになってゆくことを見据えると国際的に通用しそうなウッドマイルズを使うべきだ、と判断し「ウッドマイルズ(木材総輸送距離)と地域材住宅」という表題としました。 ところが最近篠原所長から電話があり、経緯の説明と申立がありました。曰く「海外でフードマイルズといっているのは距離のことだけをいっているからであり、輸送量に距離を乗したものはフードマイレージということに整理している。木材総輸送距離というならウッドマイレージを使うべきである。」 確かに調べてみると、少なくとも我が国では、「『フードマイルズ』は運動そのものであり、『フード・マイレージ』は食料の輸送量・距離を定量的に把握するための指標です」、とした解説サイトがあることも分かりました。 そういういきさつで、研究会を立ち上げるに当たり、「木材の産地から消費地までの距離」について一般を表す場合は「ウッドマイルズ」、「使用した木材の量と距離を物差しとした指標」は「ウッドマイレージ」と整理しました(ウッドマイルズ研究会設立趣意書)。以上により研究会の名称は「ウッドマイルズ研究会」としています。 木材情報誌に掲載された出発点となった小論で、その辺が曖昧に記述されており、ご迷惑をおかけしました。今後そういう使い方をしてゆくこととします。 |
||||||||||||
|
||||||||||||
3. 日本型認証制度「緑の循環認証会議」(SGEC)の発足(2003/06/13) 6月3日に「緑の循環認証会議」の設立総会が開催されました。二回の審議会の結果を審議会の佐々木座長が報告し、その結論を受けて、会議規則、認証基準などが決められ、緑の循環認証会議が設立の運びになりました。 私も審議会の一員として議論に参加しましたが、認証の具体的なマニュアルなどは今後のケースに応じて整備してゆかなければならないなど、残された課題が多く、まだ一人前にはなっていないとという印象です。 審議会の議事録を早く公開するようにお願いしていましたが、その辺の迅速さや公開性がイマイチの歯がゆさがあります。ただし今回の設立総会の内容は早速ホームページに資料が公開されています。 SGECホームページ設立総会の結果(以下SGECホームページよりpdfファイル) 審議結果報告 緑の認証会議の枠組み 「緑の循環会議(SGEC)」の設立について 1.大綱 2..規則 3.運営規程 4.森林認証基準・指標 5.分別・表示システム運営規程 報道記事 |
||||||||||||
|
||||||||||||
4. SGECがFSCと別に出来るわけ(2003/06/13) SGEC設立総会会場で取材にきていた報道関係者から、なぜFSCと別の制度ができるのか?という質問をうけました。両方のプロセスに関係している小生としては一応整理しておかなければならない論点です。 現時点の日本でFSCとSGECが併存する社会的背景は二つあると思います。 一つは、FSCが世界中の消費者に説明責任を負っているのに対し、SGECが日本の消費者だけに責任を負う立場なので軽量効率的なシステムが出来る余地があるという点です。もちろん日本の消費者の点が甘いといっているわけではありません。森林の状態に同じハードルが設定されていたとしてもそれを、日本人に説明する場合、世界中の人に説明する場合(言葉の問題も含めて)とでは、負担が違ってきます。ただし、あくまで「余地」であり、そういうシステムが現時点で明快に提案されている訳ではありません。どれだけ効率的なシステムに仕上がるのか将来の検討課題です。 もう一つは、残念ながら日本の林業関係者には環境団体に対する偏見があります。だから、環境団体が主導していると思われているFSCには一線を画したいと考えている人が意外に多いのが現実です(個人的には残念なことではあると思いますが)。 以上を基盤にして二つの制度が並立することになった(評論家のようで申し訳ありませんが、私は「並立させるべき」という立場ではありません)のではないか、というが私の意見です。 SGECの関係者とFSCの関係者で何回か意見交換の機会が設けられているようですので、2番目の点については、取組が進んでゆくに従って次第に薄らいでゆくのではないかと思いますが。(環境団体側にある森林計画制度などに対する不信感も払拭されてるとよいと思います。) |
||||||||||||
|
||||||||||||
5.岐阜県立森林文化アカデミーコロキウムT(2003/06/13) 熊崎学長の岐阜県立森林文化アカデミーで、6月5日の午後半日講義をする機会がありました。演題は「ウッドマイルズが可能にする地域材利用促進ー森林と消費者の距離を考える」です。エコマテリアルである木材を消費者が選択するためには、消費者に分かりやすい情報を提供する必要があり、それが森林認証であり、ウッドマイルズであるという持論をお話ししました。 途中で提出していただいた質問に時間内では回答することができず、文書で回答することになりました。ウッドマイルズ研究会の中身から、国の輸入政策まで幅広い議論が出来ました。また、ちょうど立ち上げにかかっていたウッドマイルズ研究会をテーマとして、こちらの考え方を整理する機会にもなりました。 了解を得て、質問と回答を掲載します。 |
||||||||||||
|
||||||||||||
|
||||||||||||
■いいねボタン
|