質問 |
やはり木材は安い方を買うと思います。地域材を用いて輸送コスト・エネルギーを押えられるというのは大変意義があると思うが、消費者側からすると総コストも気になると思います。輸送コストは抑えられてその上総コストはどうなるのでしょう。 |
答え |
そうですね。木材に限らず市場経済の下では同一の利便を与える商品は安い方が買われることになります。ただ、木材を買うのは消費者でなく住宅メーカーですので注意が必要です。住宅メーカーはトータルとしてのコストを計算し住宅価格に反映し消費者は住宅を購入するという形になります。総額の中で何を節約し何を考慮するかということですから、木材を出来るだけ安くするか、少しだけなら木材を高くしても地球環境に優しくするか、という選択は、消費者側にはあると思います。 |
質問 |
「木材利用の消費エネルギー」の貢、各建材1?あたり生産する際に必要なエネルギーのコストを知りたいので原油価格を教えて下さい。 |
答え |
原油の価格は日本に輸入されるときの通関統計が公表されています。今年の4月期は1バレル(159リットル)あたり30.83ドル、1KLあたり23200円となっています(http://www.kakimi.co.jp/4kaku/4genyu.htm参照)。具体的に建材の生産に使用される燃料は原油を加工した重油や灯油という形で消費されているので品質によりいろいろな価格になります。インターネットで検索して調べてみてください。いずれにせよ、絶対再生産されることが出来ない原油が1リットル20円台という値段で輸入されるような取引がされていることが問題です。 |
質問 |
建築に要するエネルギーと同じくらいの輸送エネルギー(コスト)が必要なのに、国内で使われる木材が圧倒的に輸入材であるという事が不思議でした。輸入材のコストがそれでも安いぐらい国産材との差があるのでしょうか。国産材は経営面でコスト高だというがどうやって低コスト化していくのでしょうか。 |
答え |
国産材の育林コストや収穫のコストを引き下げてゆくには、経営の規模拡大が必要です。現在小規模の森林の所有者は所有には関心があっても経営には関心がなくなっています。経営委託という形で経営の規模が拡大してゆく条件はあると思います。 |
質問 |
地域材で、本当に質のいいものが、短時間で用意できるのでしょうか。地域材がふんだんに使われるようになったとして、放棄された山林が多い中でその需要にどの程度供給が間に合うのでしょうか。外材が入ってこない状況になったら、国産材だけで需要をまかなえる環境は整っているのでしょうか。 |
答え |
同様な趣旨の質問を沢山いただきました。簡単には解決できない問題です。なお、我が国の森林の成長量は91百万m3とされています(森林整備目標95年現況)。現在消費されている木材は丸太換算でおよそ同量(2001年)であり丸太への歩留まり率を考慮すると、成長量は消費量の7割程度を賄うことが出来ると考えられます。 |
質問 |
外材輸入量も多いのですが、国産材の消費を増やす際どう増やすのでしょうか。 |
答え |
国産材の供給を担っている方が生産性を上げまた様々なニーズに応えて競争条件を改善してゆくことが重要ですが、お話ししたように消費者が環境に優しい国産材を選択するように情報提供し説得してゆくという仕事を地方自治体などが一緒になってやってゆくことが必要だと思います。ウッドマイルズ研究会もお手伝いが出来ればうれしいです。 |
質問 |
消費者への普及活動だけでは道が遠いのでは。輸入材への関税などの施策は考えられないのでしょうか。 |
答え |
国内の産業を守るために各国が関税を上げると国際経済のブロック化などの問題が起こる問うことは第二次大戦前の教訓でありそれを受けてガットやWTOの多角的貿易体制というものができあがっています。ただ、環境保護と自由貿易の問題にはいろいろ問題があり議論されているところです。環境保護も含めた森林保全と利用のための国際協定が出来、合意の上で関税がかけられるということは理論的には可能だと思いますが、そういう合意が出来る政治的は条件は整っていません。なお、輸入急増に対して緊急避難的、時限的に関税をかけるセーフガードという手段はWTOでも認められた各国の権利です。日本としてはなるべくそういうものは発動しないという意向が働いてきましたが、最近事情が変わってきたといえます。 |
質問 |
林野庁はバイオマス利用促進のためにどんな政策を持っているのでしょうか。 |
答え |
林野庁は、関連する技術開発や利用施設の整備の助成などをしています。http://www.rinya.maff.go.jp/seisaku/sesakusyoukai/biomass/con3-2.htmlをご覧下さい。 |
質問 |
ウッドマイルズは環境負荷を考える上で重要な指標だと分かりました。それを一般消費者に伝える手段として、研究会としてどのような活動をしていかれるのですか。一般の人たちにウッドマイルズという言葉をどのように伝え、理解してもらうかが研究会の重要なテーマだと思う。また、このことが国産材を利用する大きな節目となるよう期待したい。 |
答え |
ありがとうございます。家を新築する消費者が住宅メーカーや設計者と相談するときに、どんな木材を利用したら輸送距離がどの程度となりそこで発生する二酸化炭素はどのくらいかということが分かる指標を研究会では作成します。そして、だれでも研究会のホームページを見ると自分で計算できるような仕組みを作りたいと思います。地域材を利用することをセールスポイントにしている住宅メーカーは現在でもけっこう多いのでとりあえずその様なメーカーを研究会が支援するという形で普及をはかってゆこうと思っています。 |
質問 |
ウッドマイルズで、消費者と生産者は本当に近くなるのでしょうか。 |
答え |
両者の間を取り持つ道具には十分なりうると思います。 |
質問 |
ウッドマイルズを循環社会とのつながりを具体的に教えてください。 |
答え |
循環社会にするには、20世紀の大量消費社会から決別し、再生資源を再生可能な量だけ使い、再生しないエネルギーや資源を出来るだけ早く少なくする必要があります。木材は再生可能な資源でありエネルギー源にもなり、作るのにもエネルギーが少ない等スーパー資源ですが、唯一遠距離を運ぶのにエネルギーがかかるという弱点があります。ウッドマイルズはその弱点を補うもので循環社会の大切な入り口になると思います。 |
質問
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エネルギー消費の中の木質バイオマス依存度をスウェーデンと日本とで比較していますが、スウェーデンの人口は日本の1/20程度なので、木材起源のエネルギー量をパーセントで比較すると不公平ではないでしょうか。 |
答え |
その通りですので、日本がスウェーデンと同じようにやればいいとは思いません。スウェーデンにしても税制などのサポートで木質バイオマスエネルギーを地域暖房などに使うようになって総消費エネルギーの2割近いものになっているのです。各国がいろいろ知恵を出しながらやっていることに我が国も学ぶ必要があると思います。 |
質問 |
フードマイルズとはどのような活動か、具体的にどのような事をしたのか教えてください。 |
答え |
世界中の食材が食卓に並びその過程で安全、環境に悪影響をあたえているという、調査や啓蒙活動をしているようです。 |
質問 |
月給資源とは何でしょうか。 |
答え |
ある人が、化石資源は遺産資源、再生資源は月給資源といったのがおもしろくて使って見ました。 |
質問 |
「太陽起源の水素」「間欠的再生産可能エネルギー」とは何でしょう。 |
答え |
IPCCの報告書による将来の再生可能資源についてのカテゴリーで、前者は太陽エネルギーで水を加水分解して水素を取り出し、それを運んで使うという方法、後者は風力や波力といった自然力を利用する方法のこと、のようです。 |
質問 |
木材に消費者が見合った支払いをするにはどうするのでしょう。教育か。 |
答え |
消費者が木材のすばらしさに対し再生産コストに見合った支払いをするには、そのすばらしさが分かる情報提供をするか、安すぎる代替化石資源の製品に課税をして高くするかがあると思います。 |
質問 |
バイオリージョンとは何でしょう。 |
答え |
市町村や県といった人間の都合による境界線でなく、一つの河川の流域など自然の特徴により一つのまとまりを持つ地域と認められるものを、バイオリージョン(生命地域)といいます。これを中心にした自立性のある地域社会を目指す運動がバイオリージョナリズム(生命地域主義)と銘打って北米などで始まっています。 |
質問 |
持続可能な社会にする為に私達はどうしたらいいのか。 |
答え |
消費者として有権者として納税者としていろいろな私たちがいます。本日話したように消費者としてのエコマテリアル選択という行動は重要なポイントだと思います。そして消費者が的確な判断が出来るような情報提供がされる社会が必要で、ウッドマイルズもその一環です。また、炭素税や吸収源対策など政府や自治体など公的な機関がやらなければならないことも多いです。 |
質問 |
バイオマスで約600×10^12MJまかなおうとしたらどのくらいの面積が必要でしょうか。 |
答え |
IPCCの推測で21世紀末に世界のエネルギー需要の内バイオマスで約600×10^12MJを供給するとしています。その半分を木材で賄うとして、木材はトンあたり20GJ=20x10^3MJの発熱量、ヘクタールあたり10トンというきわめて成長量が高い技術開発が可能になったと仮定すると、エネルギー供給森林面積は15億ヘクタールとなります。現在の世界の森林面積が39億ヘクタールですから、その約4割となります。 |
質問 |
木材の液体燃料化ができれば、間伐材や廃材の大量のはけ口も見つかるのではないでしょうか。または、燃料専用に成長の早い木材を生産できれば、燃料の安全保障にも繋がるのではないでしょうか。 |
答え |
燃料が固体から液体気体への転換してきたのは生活様式の変化に応じて利便性を追い求めたためです。液化が効率的な工業原料として必要であることは間違えないことですが、問題は生産や集荷のコストで液化技術は重要ですが、根本問題を変えるものではないと思います。 |
質問 |
木造のビルディングを建てることができれば技術的にどこまで可能なのか分からないが、大量の木材の薄利多売が可能ではないでしょうか。 |
答え |
大規模な木造建築の制限は徐々に緩くなっていますが、見直しの余地はあると思います。そういうことも含めた再生資源である木材が他の資源に取って代わる道をいろいろ模索する必要があると思います。 |