気候変動枠組み条約と森林政策ーツバル国の条約交渉担当者と語る(2006/8/6作成)(2006/10/9改訂) | |||
(経緯) イアンフライ氏を招待することになったのは、前年12月に開かれたCOP11の非公式会合で同氏がウッドマイルズに言及したこと、そして同氏がオーストラリア人でシドニーから離れていないところにすんでいることがわかったからでした。 忙しい日程を調整しイアンフライ氏がセミナーに参加してくれることがわかったとき、せっかくの機会なのでホテルに一泊てもらい、幅広く意見を交換したい、というこちらの申し出に快く応じてくれました。 (イアンフライ氏について) イアンフライ氏とツバルの紹介をしておきます。 ツバルは南太平洋の人口約1万人、面積26Km2の漁業を主産業とする小さな島です。英国領だったのが1978年に独立し、2000年には国連の187番目の加盟国になっています。(Wekipediaツバル) この目立たない国が国際政治の中で皆の注目を浴びるようになったのは、1992年に気候変動枠組み条約が締結されたためです。 地球温暖化はいろいろな形で深刻な障害を各国に引き起こしますが、南太平洋の最大標高5メートルというツバル国のように、温暖化が進むと海面が上昇し自国が消滅してしまうという深刻さをもった国はありません。 それらの国々は小島嶼連合を形成し条約交渉で重要なプレーヤーとなっていますが、イアンフライ氏はそのスポークスマンの役割を果たしています。 (インタビュー) 私のインタビューは、「私の理解するところでは、あなたの基本立場は、同条約の枠組みの中に、吸収源としての森林や伐採後の木材など、排出削減以外の問題を持ち込むのに反対だというものだが、森林や木材の吸収源としての役割についてどう考えているか伺いたい。」という質問から始まっています。 エコマテリアルである木材やそれを生み出す森林を気候変動条約の中で位置づけることの必要性をこちらから説明し、それについての理解を少しはもってもらったという意味はあったと思います。 ただし、森林の管理を気候変動条約という地球環境のフォーラムの中で本格的に議論するという、厳しい宿題がその前にはあるということも再認識させられました。 日本の森林政策や木材政策が近年、京都議定書という強力な地球環境条約のスキームに依拠して組み立てられていますが、そのことは、日本の森林政策が、気候変動枠組み条約を支えてきたフォーラムの中で遠慮なく点検をされるという面を持っていることを忘れてはならないと思います。 森林政策にとっての一つの飛躍の機会かもしれません。 インタビューの全文はこちら。 (「森林技術」誌への投稿) このインタビューの内容を中心に「森林技術」誌に投稿し、同誌9月号の論壇に掲載頂きました。 気候変動条約という地球環境条約で現在の所最も影響力を持つ条約の専門家と話をしていて、日本の「森林技術」という林業技術者の共通広場の参加者にどうしても伝えたいと思ったのは以下のことでした。
編集部のご了解を得て、全文のpdfファイルをおいておきます(こちらから)。 (同氏論文) 同氏が、セミナーに参加するに当たって作成した、「木材、ウッドマイルズ、京都議定書の本での炭素勘定」(Timber,"Wood miles" and Carbon Accounting under the Kyoto Protocol)と題するペーパーがウッドマイルズ研究会のホームページに掲載されています。(こちらから) 関心のある方は一読ください。
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