ウッドマイルズ運動の方向性ーウッドマイルズフォーラムから木の建築フォラムへ(2024/8/15)

報告が遅くなってごめんなさい、4月22日に行われたウッドマイルズフォーラムの総会で、一社ウッドマイルズフォーラムという団体が、発展的に解散して、ウッドマイルズフォーラムの活動を、いままで、木の建築賞の活動などで連携してきた「NPO木の建築フォラム」の事業の一環として実施していくこととなりました。

総会で議決された「「一般社団法人ウッドマイルズフォーラム発展的解散のご提案」の内容にそって概要を紹介します。

(ウッドマイルズフォーラムの足跡)

弊会は、2003 年に発足したウッドマイルズ研究会を前身として、2014 年に一般社団法人設立しました。

定款の目的には「世界が共有する“持続可能な循環型社会の実現”を理念とし、その循環型社会の主役としての木材、特に地域材の持つ環境性能についての理解が広がることの重要性に鑑み、ウッドマイルズ関連指標をはじめとする多面的な指標の開発、普及・利活用の実践を通して、トレーサビリティを確保した地域の木質資源の利活用を推進すること、及び、それらの諸活動を手掛かりに、わが国の山村と都市相互の幅広い、安定した地域連携関係の構築に寄与することを目的として」と記載されています。

それにそって、ウッドマイルズ関連指標木材調達チェックブックの開発、及び普及のためのセミナーの開催等、多面的に活動をして参りました。

(最近の事情と転換方向)

昨今では、脱炭素社会への取組の必要性が高まる中、特に輸入材から国産材へのシフトによる環境貢献度を明示するためにウッドマイルズ関連指標を活用したいという木材関係事業者の声に答えるべく、ウッドマイルズ関連指標を中心として効率的・効果的に環境貢献度を明示する仕組みづくりの検討や川上川下連携のための調査検討、発電利用に供する木質バイオマスの証明に係る事業者認定事業等を継続しております。

が、現在の事務局や組織体制のままでは、これらの活動の継続が難しい状況であり、今後、活動をより安定的に、より幅広く普及していくため、事務局や組織体制の根本的な改革、及び、他団体との連携が必要であると考えます。

そこで、現在の一般社団法人ウッドマイルズフォーラムは発展的に解散させ、木の建築賞の実施等で連携して参りましたNPO法人木の建築フォラムに協力を要請し、同団体の中の一事業として活動を再始動することで、発展的に継続させていくことができると考えております。

(木の建築フォラムとの連携)

NPO法人木の建築フォラムは、木造建築の復活・復興を目的として1986 年に発足した木造建築研究フォラム(代表:内田祥哉氏)を前身として2001 年にNPO法人化した団体です。

我が国の川上から川下までの連携を支援することを主目的とした全国版のネットワークとして、公開フォラムや研究集会、木の建築賞、講習会、見学会、その他の活動を行っており、森林、木材、建築等に関わる研究者から実務者まで、幅広い会員が参画しています。

NPO法人木の建築フォラムの新たな事業として、ウッドマイルズを主とした活動が出来ることは、各地域の川上川下連携の推進や木材利用における環境貢献の評価等について、より積極的な活動が出来ると期待しております。

(会員の皆様よろしく)

今後は、ウッドマイルズフォーラム理事長の藤原、及び専務理事の滝口が中心となり、NPO法人木の建築フォラムの一事業として、これまで実施してきたウッドマイルズに関する活動について責任を持って継続させていきます。

一般社団法人ウッドマイルズフォーラムの発展的解散についてご賛同頂けたら幸いです。

また、今後はNPO法人木の建築フォラムの会員として、引き続き本活動のご支援を賜りたく、ご支援ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。

ーーーーーーーーーー以上が提案書です

といういことで、ウッドマイルフォーラムの総会でも採択され、木の建築フォラムの理事会でも共有されて

いよいよ木の建築フォラムのなかで、ウッドマイルズに関連する活動が続いていくことになります。

(今後のウッドマイルズ事業展開)

採択され、木の建築フォラムの理事会でも共有されました。

昨年の報告で、ウッドマイルズうフォーラムを取り巻く現状についてふれ、、今後の方向について触れました。その方向がどうなるのかな?

(事業計画の注目点(1)ウッドマイルズ関連指標及びツールの開発事業)

昨年の事業計画の一つのポイントは「他の団体が絶対やらない、ウッドマイルズ関連指標の開発。としている、ウッドマイルズ関連指標算出マニュアル として公表していますが、現在のバージョンはウッドマイルズ関連指標算出プログラムVer.2016 。これのの改定作業

この課題に対して国土緑化推進機構の、「緑の水の森林ファンド」に提案し、調査資金をもらいました。「地域材利用拡大に向けた環境指標整備のための調査研究(NPO木の建築フォラム)」

採択された事業計画のなかから事業の内容の部分を以下に掲載します

木材の生産・輸送履歴の証明については森林認証制度や合法木材制度等が存在するが、森林認証はコスト面等からハードルが高く、一方の合法木材制度だけでは地域材利用の訴求が難しいという事業者の声が多いこと、及び脱炭素経営が求められる現在、木材製品の生産・輸送過程のGHG排出量の明示や第三者認証取得の必要性が高まっていることから、木材の生産・輸送履歴、及び生産・輸送過程のGHG排出量、使用木材の炭素固定量等を効率的に明示する評価手法を構築する。

具体的には、来年度から弊会の事業として統合する(一社)ウッドマイルズフォーラムが培ってきた地域材の環境評価指標をベースに、以下の調査研究を行い、新たな評価手法を構築する。

(1)木材の生産輸送履歴、及びGHG排出量算出方法の検証

(一社)ウッドマイルズフォーラムが提供してきた木材の輸送過程のGHG排出量を示すウッドマイレージCO2、及び木材調達チェックブックで示されている製造過程のGHG排出量を示す手法等について、2016年以降更新されていないため、学識者を交えた検討会を開催し、最新の調査研究情報を踏まえて、精査、改良する。

(検討会外部学識者:予定)
流通関係/筑波大学生命環境系森林資源経済学研究室 立花敏准教授、森林総合研究所林業経営・政策研究領域 早舩真智研究員
GHG排出関係/東京農工大学自然環境保全学部門 加用千裕教授
建築・環境関係/弊会会員学識者

(2)効率的・効果的に明示する仕組みの構築

上記(1)と並行して、活用する可能性のある脱炭素経営を目指している木材関連事業者、建築事業者、その他関係者等に対して情報収集や意見交換会を実施し、新たな第三者認証制度等の創設も含め、実際に実務で効果的・効率的に使用できる手法を検討、構築する。 

ということで、いままでコンタクトのある、建築事業者の方々とも連携をとって、進めていこうとしています。

(環境に貢献する木材の供給事業者の認定事業)

もう一つ、木の建築フォラムへの移行過程で議論されたのが、ウッドマイルズフォーラムが実施してきた、①合法木材供給事業者認定、②合法性持続可能性のサプライチェーンの証明システム承認、➂発電利用に供する木質バイオマスの証明に係る事業者認定からなる、木材供給事業者認定木材供給事業者の認定事業です。

最初の2つが林野庁の「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」、3番目が同じく林野庁の「発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン」に基づく、環境に貢献する木材事業者の認定事業です。

最初の二つは制度はできているけど、認定はなし、3番目は認定実績4件で、団体の移行過程で今まで認定されてきた事業者が不利にならないように、木の建築フォラムでの手続きを整えて移行手続きがすみました。(木の建築フォラムサイト発電利用に供する木質バイオマスの証明に係る事業者認定

後の二つは移行過程の準備中ですが、いずれにしても、林野庁の木材の環境貢献に関するシステムがどのようになっていくのか、に関係する大切なシステムなので、このページとしてもフォローしてまいります。

建築関係者が木材のサプライチェーンの管理をする仕事、頑張って欲しいです。

energy2-82<WMF2024>

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