ニュースレター No.078 2006年2月12日発行 (発行部数:1300部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1.
フロントページ:「百彩の森」全村の森林認証ー垣間見た諸塚村の挑戦(2006/2/12
2 気候変動条約会合でのウッドマイルズ(2006/2/12)
3. カタログハウス商品憲法06年版ー地産地消(2006/2/12)
4. 違法伐採問題と「グリーン購入法」同時進行レポート(1)ー意見募集(2006/2/12)
5. 欧州の木材業界のトレーサビリティへのこだわり(2006/2/12)

フロントページ:「百彩の森」全村の森林認証ー垣間見た諸塚村の挑戦(2006/2/12)

1月下旬に宮崎県諸塚村でひらかれた「森林・木材認証フォーラムin諸塚」に参加する機会がありました。

諸塚村では04年に村内の森林の大部分を対象にFSC認証の取得をし、世界初のFSC認証しいたけなどユニークな取組をしていますが、FSC、SGEC、地域認証といった壁を越えて、「森も木も認証の時代がやってきた!〜地球を守る木を身近なものに〜」と、全国の関係者に呼びかけたものです。

《諸塚にとっての国際森林認証の意味》
印象深かったのが、諸塚村のみなさんや先輩方が古くから築いてきた、「諸塚式自治公民館活動」、「モザイクの森」、「道づくりと自主的な道路管理システム」、「林間放牧」、「次代を担うウッドピア諸塚」などのソフトとハードの蓄積がFSCというグローバルな基準から評価されたということです。

本審査での評価経緯をみてみると(こちら、FSCが公表している認証レポート英文)、評価者も予備審査段階から本審査の間に倍近く参加者が増えたことに、驚いています。村当局の理念が、自治公民館活動をベースとしたコミュニケーション力によって村民全体に波及してゆく様を実感したのだと思います。

スギの跡地の更新がどう図られるかという、大きな心配はありますが、基本的にはFSCは日本でやってきたことを再評価して自信をつけ、さらに一歩前に踏み出すという意味合いがあるのだと思っていました。
すばらしい実例を見せていただきました・

《産直住宅》
産直住宅に取り組む林業地域は全国にたくさんありますが、諸塚村でも96年から諸塚式産直住宅取り組んでいます。今回のセミナーで関連するプレゼンテーションをお聞きして印象深かったのは300キロ圏内の九州をターゲットとするという下りでした。

消費者との顔の見える関係を大切にし連携を図ってゆくということを考えると当然そのような方向になるのだと思いますが、同じ行政でも都道府県となると、なかなかそのような自由な発想にいたらず、県産材といった行政境界にとらわれた施策になったり、首都圏・関西圏の大消費地が目標になったりします。

地産池消とFSCの環境認証を結びつけたこの部分のコンセプトの展開については、ウッドマイルズが力を発揮すると思います。福岡、熊本、宮崎といったターゲットとなる市場に諸塚産直住宅を建てた場合のウッドマイルズ指数で評価したウッドマイルズレポートが早晩作成されることを期待しました。

《FSC認証しいたけ》
諸塚のFSC認証の楽しい話題が「世界初!のFSC認証しいたけ」です。昨年11月に、日向農協諸塚支店椎茸協同選別場と、同農協の支店長をトップとする130人のしいたけ生産者からなる「諸塚村しいたけ部会」が認証審査を受け、既存の部会活動の取組による情報共有や管理の徹底が評価され、めでたく認証されたのだそうです。消費者の目に触れることの多い、食品にも森林の認証マークを添付することが出来るようになり、森林認証制度と認証マークの普及に力がこもっていました。おみやげに発売したばかりの認証シイタケを買ってきました。

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2 気候変動条約会合の中のウッドマイルズ

気候変動和組条約の締約国会合の中でウッドマイルズ登場

昨年2005年11月28日から12月9日にかけてモントリオールで開催された気候変動枠組み条約の第11回締約国会合(COP11)の一連の会合の中で、ウッドマイルズについて議論があったと、出席していた林野庁の関係者が教えてくれました。

11月30日の非公式会合でウッドマイルズについて言及したのは、条約の成立時からずっと条約の運営に関わってきた、ツバル国の国連代表部顧問イアンフライ氏(Ian William Fry, International Environment Advisor, Permanent Mission of Tuvalu to the United Nations)です。

今回の会合では、京都議定書以後の将来の枠組みをどうするかが、一つの論点になっていましたが、その中で、吸収源の計上方法の現在のルールでは伐採された木材は排出されたとカウントされるために、伐採された木材製品でストックされる膨大な量の炭素を吸収源として位置づける必要がある(伐採後の木材問題Harvested wood products)という重要な論点がありました(小HP内関連)。30日に行われたこの問題に関する非公式会合でツバル代表のフライ氏は、「各国で計測されるであろう木材ストックのうち、遠距離をかけて輸送されたものがあるが、日本でウッドマイルズという考え方が提唱されており、単純に計測すると問題がある」といった趣旨の発言をされたそうです。

会議に出席していた林野庁の担当者から、関係者にウッドマイルズの考えを紹介したいので英文で書いた説明文があれば送ってほしいという要請が藤原宛にあり、急遽sb05tokyoでの報告を送って関係者に配布してもらいました。

ウッドマイルズの海外への紹介は昨年のテーマであり、8月にバンクーバーで開催された国際建築材料学会(Conmat05)、9月に東京で開催されたサステイナブル建築国際学会(Sb05tokyo)に参加して報告しましたが、世界の耳目が集まっている気候変動枠組み条約の締約国会合でウッドマイルズが話題になったということは、すばらしいことだと思います。

(木のみち10号に投稿した記事を編集部の許可を得て転載しています)

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3 カタログハウス商品憲法06年版ー地産地消(2006/2/12)

諸塚村の森林木材認証フォーラムのねらいに一つは、産物のマーケティングでしたが、その面での参加者のキー(ウ−)マンは、通販大手カタログハウス取締役エコひいき事業部長の竹本さんでした。

通販業界の中で「商品は地球である」など環境にこだわる独自の展開をしているカタログハウスはFSCによる認証製品を取り扱ってきました(売れ行きはイマイチのようですが)。

市場のグリーン化の程度と速度に興味がある私としてはこのような会社の動向は気になるところです。

今回は、新しくなったカタログハウスの商品憲法を紹介します。

第一条「できるだけ、地球と生物に迷惑をかけない商品を販売していく」の第三項目が「熱帯林を破壊させる商品は売らない」、となっていて、「南洋材産出7カ国(マレーシア、フィリピン、インドネシア、ブルネイ、シンガポール、パプアニューギニア、ソロモン諸島)とアマゾン川流域の自然林の木材(合板、MDFを含む)を使用した商品は売らない。原産地が不明な商品は売らない、日本の持続可能な森林の木材を使う。」

第1条は「8つの売らないルール」というのがあるのだそうですが、その中に、「○○は使う」という記述がでてきていることが注目です。

違法伐採問題などトレーサビリティに関心が高まり、市場に、森林認証材以外にも、原産地を表示したり合法材であることを証明した材を供給する仕組みができつつあります。このような取組が進み、商品憲法に将来「エコマテリアルである木材を使う」ということが書かれるような、消費者と木材関係者の信頼関係が生まれることを期待します。

今年から第六条「「できるだけ、地産地消、自給自足。『メイドインジャパン品』の販売を増やしていく」が加わったそうです(こちら)。この項目は、部内で色々論議があったそうですが、原材料をしっかり説明できるかどうか突き詰めていくと、やはり近くのもの、国内のもの、となってくるということだったそうです。「顔の見える関係」といいますが、通信販売という遠距離のコミュニケーションを売り物にする業態の中にも、突き詰めていくと近距離でなければ、ということになってくることが印象的でした。

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4 違法伐採問題と「グリーン購入法」同時進行レポート(1)ー意見募集(2006/2/12)

4月から、合法材であることが証明された材をグリーン購入法による優先購入の対象にしようという方針が打ち出されてから、どのように合法材であることを証明するのか?グリーン購入法上はどのように取り扱われるのか、政府内部でツメの検討が進んでいますが、個人的にもその作業の中に組み込まれてばたばたしています。

森林をしっかり管理するという仕事は、どの国にとっても、政策が決定する首都から遠く離れた場所がその執行場所となるため、大きな負担のある仕事となります。とくに熱帯林を抱える開発途上国や、膨大な管理箇所をかかえ市場経済に転換しつつある国々にとっては、人的・資金的なハードルは高く、関連業務が林業や木材業、地域住民といった少数の関係者の関心のもとに行われている限り、いろんな問題がおこり、それが放置される可能性があるといえます。(森林管理関係の行政機関で働く多くのフォレスターのまじめで真摯な姿勢を疑っているものではありません)

その業務が、この20年ほどの間に、急に「地球環境問題」という国際政治上最重要課題の中で位置づけられるようになり、関心を持つ人が格段に広がってきたな中で、森林管理の質に対する問題提起の水準が変化してきた、ということが、違法伐採問題と呼ばれるものの基本的な性格だと思います。

そういう意味でグレンイーグルスサミットの共同声明の中の「違法伐採に取り組むことが、森林の持続可能な管理に向けた重要な一歩」という指摘は、単なる修辞上の表現以上のものだと思います。

また、この問題は、政策と経済のグローバル化の中での森林政策の国際協調の可能性、市場のグリーン化の進展が森林政策へ与えるインパクトの程度、など、小HPが追いかけてきた論点についての市場や政策現場での検証という面を持っています。

というような視点で、グリーン購入法の執行や、それがもたらす波及効果、など、随時追いかけて行きたいと思います。

第一回目は、グリーン購入法の執行の根拠となる、特定調達物品表に合法材が記載される手続きです。
1月10日 環境省のホームページに、「環境物品等の調達の進展に関する基本方針」に定める特定調達物品及びその判断の基準等の見直しの概要(案)について(違法伐採関係、ディス無礼及び自動車)」という文書に対する意見募集が掲載されました。(こちら

グリーン調達物品の判断基準の記述の仕方がポイントになるのですが、全ての記述箇所で林野庁作成による「木材・木製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」という文書が参照され、その案がインターネット上に公表(pdfファイル)され、注目を集めました。

それについて、全国木材組合連合会は意見を提出しました。(全木連HPに掲載
もともと、グリーン購入法の木材関係では「間伐材、林地残材、小径木であること」という判断基準が示されていました。それに対して、あらたに合法材が加わったので、その間の関係が不明確(記述箇所によって一貫性がなく、違法伐採問題に対する取組姿勢がよく見えない)なので明確にして欲しいということが主眼となっています。

今後審議会などをへて、今月中には方針が固まってくるものと思います。

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5 欧州の木材業界のトレーサビリティへのこだわり(2006/2/12)

昨年12月にペテルスブルグで行われた東欧ロシアにおける違法伐採問題(ENAFLEG)に関する会合で印象深かったのは欧州の木材業界の原料調達のトレーサビリティに対する真剣な取り組み姿勢でした(欧州企業の存在感)。

会議期間中に独自の説明会などが開催されましたが、説明者のフィンランドの木材メーカー、メッツァリット(Metsaliitto)の担当者に、プレゼンテーションで使用したファイルを請求していたところ、このたび送られてきました。

「ロシア及びバルト3国における木材の原産地を追跡し証明するシステム」と題する、4コマのパワーポイントファイルです。(ダウンロードはこちらから)

契約時に木材の原産地証明を添付させ、GISなどを使ったデータベースを作成し、社内での審査体制をとるとともに、外部監査も行うという、徹底ぶりです。

とくに、東欧ロシアの原産地情報の信頼性を第三者に説明するために多大な努力を行っていることがわかります。

この例が一般的なのかどうかは分かりませんが、一緒に説明会に臨んだ、ストラエンソ社も同様なシステムを持っているといっていましたので、大手企業の中ではある程度標準的なスタイルになっていることを伺わせます。

ストラエンソ社のホームページ

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最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp

 

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