グレンイーグルス サミットと違法伐採問題 (2005/8/7)


7月英国のグレンイーグルスで開催された主要国首脳会議(G8サミット)はアフリカと気候変動・地球環境が二つの大きな議題で、12の文書が作成されました。

そのうちの「気候変動、クリーン・エネルギー、持続可能な開発」と題する地球環境問題をあつかった文書は(総論行動計画)に分かれており、行動計画の、最後の部分に、違法伐採への取り組みというタイトルで三つのパラグラフがあります。

違法伐採への取組

  1. 我々は、違法伐採が、アフリカ及びその他すべての地域における最貧国の多くの人々の生計に与える影響、また、環境劣化、生物多様性の損失と森林破壊、そして世界的な持続可能な成長に対する影響を認識する。我々は、特にコンゴ盆地、アマゾン地域を含む、世界的な炭素吸収源の重要性を認識する。
  2. 我々は、違法伐採に取り組むことが、森林の持続可能な管理に向けた重要な一歩であることに合意する。この問題に効果的に対処するためには、木材生産国及び消費国双方の行動が必要である。
  3. 我々は、G8環境・開発大臣会合の違法伐採についての結論を承認する。この分野における我々の目的を更に推進するため、我々は同会合において支持された結論を、各国が最も効果的に貢献できる分野において行動することにより、推進する。
グレンイーグルス行動計画 気候変動、クリーン・エネルギー、持続可能な開発(外務省仮訳)
GLENEAGLES PLAN OF ACTION: CLIMATE CHANGE, CLEAN ENERGY AND SUSTAINABLE DEVELOPMENTpdfファイル
この問題に取り組むためには「生産国のみでなく消費国の行動が必要である」として、日本のような木材の消費大国での具体的な取り組みが始まろうとしています。

<違法伐採問題の背景>


サミットで違法伐採問題が取り上げられたのは7年前の1998年バーミンガムが最初で、ブレア首相のこの問題についてのこだわりがわかります。

違法伐採問題が国際政治の舞台に登場したのは、90年代の半ばで英国に本部を置くNGOである、EIA(Environmental Investigation Agency)によるインドネシアの国立公園の報告書だとされています。
The Final Cut -Illegal logging in Indonesia's Organgutan Parks

地球サミットで議論された「持続可能な森林管理」が、特に熱帯林問題では全く改善されない状況に対して、NGOと欧州の政治家が風穴を開けようとした構図が見えます。

<地球サミットの教訓>

海外における不適切な森林管理についての指摘が、自国の森林管理の透明性についての課題としてブーメランのようにはね返えってくる、ということは、92年の地球サミットの時の教訓です。

90年代の初め盛んになった、途上国における熱帯林の管理についての問題提起は、地球サミットの議論中で「すべての森林の持続可能な管理」という形で、問題設定がしなおされ、その後、多くの先進国は自国内の経済林のかなりの部分を第三者認証の枠組みにのせるという形で説明責任を果たそうと努力してきました。

今回の違法伐採問題も具体的な方策に一歩踏み出せば、G8側も自国の森林管理や流通の透明性についての説明責任問題に直面する性格を持っています。

10数年にわたる各国の森林政策の水準がグローバルスタンダードをもとチェックされる機会であるともいえます。

参考資料
Welcome to illegal-logging.info 英国政府が関与している情報源
全木連の関係ページ
FOEの関係ページ
グリーンピースジャパンの関連ページ

 
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