ニュースレター No.044 2003年4月13日発行 (発行部数:780部)

 

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1.
 フロントページ:我が国の緑の消費者が産地国の森林管理に与える影響

2.

我が国の森林の新たなFSC認証

3.

日本林学会大会の森林認証関係報告
4.

始動する「我が国にふさわしい森林認証制度」

 

1. フロントページ:我が国の緑の消費者が産地国の森林管理に与える影響(2003/04/13)

日本や極東に向けに林産物を輸出する国と、欧米向けに林産物を輸出する国とでは、認証森林面積に大きな差がある。3月下旬に岩手大学で開かれた林学会の総会で小生が行った報告の一節です。

 

世界中で林産物輸出している国を、主として北米に輸出している国、極東に輸出している国、欧州に輸出している国の三つのカテゴリーに分けると、極東依存国は全体の20%になりますが、これらの国の認証森林面積は0.07%にしかならないというものです。「日本を含む極東への輸出依存度が高い国は、欧米へ依存している国より森林管理の質が劣っている可能性があり、極東地域の緑の消費者の成熟度合いが、国際的な森林管理の質を底上げする鍵を握っている。」ことを示唆しています。

報告の表題は「森林管理の国際化と木材貿易に関する影響」。コンセンサスが得られない「国際的な森林管理」の実現のためには、どのような条件が必要なのか、という問題意識をもとに、「先進国の緑の消費者の環境指向が資源国の森林管理の質に影響を与えている」と仮定し、その程度を分析解明しようとしたものです。分析の手法の不十分な点について一部厳しいご指摘も受けましたが、実践的な意味合いは結構重要な内容を含んだものだと思っています。

大会の資料に掲載された「発表概要」ををこちらにおきます。

 

2.我が国の森林の新たなFSC認証(2003/04/13)

3月から4月にかけてFSCの認証が次々と進んだという報告がありました。去年の1月の段階で4件約7500ヘクタールだったものが、今年の3月から4月にかけて三重県、岐阜県、山梨県で4件148千ヘクタールが加わりました。注目されるのは山梨県有林143千ヘクタールの認証で、日本で最大のまた公有林における最初の認証となりました。これで、FSC認証の森林は約155千ヘクタールとなりました。

 

no 名称 場所 contact 面積 取得時期 認証機関 公開概要 関連情報
SCS-PM-
00006
速水林業 三重県海山町 速水亨 1070 2000年
1月
SCS 英文
和文アミタkk
速水林業HP
SW-FM/
COC-125
檮原町森林組合 高知県檮原町 中越利茂 3335 2000年
10月
Smart wood 英文smartwood
和文
檮原町森林組合のHP
SCS-
FM00037P
アサヒビール庄原林業所 広島県庄原市 秋葉さとし 2169 2001年
9月
SCS 英文
和文
アサヒビールのHP
SGS-FM/
COC-0824
東京農工大学 栃木県・群馬県・埼玉県 岸洋一 902 2001年
11月
SGS 準備中
SA-FM/
coc-1228
宮川森林組合 三重県 鳥山昌章 1814 2003年
3月
Soil Association 準備中 関連HP
SA-FM/
coc-1227
吉田本家山林部 三重県 吉田正木 1257 2003年
3月
Soil Association 準備中 三重県のHP
SGS-FM/
COC-1330
東白川森林組合 岐阜県加茂郡東白川村 安江章吉 1462 2003年
3月
SGS 準備中 東白川森林組合HP
山梨県県有林 山梨県 木村靖郎 143000 2003年
4月
Smart wood 準備中 山梨県のHP

資料:アミタ株式会社SGSジャパン山梨県

 

3. 日本林学会大会の認証関係の報告(2003/04/13)

3月27日から30日に岩手大学で開かれた第114回日本林学会は800件近い発表のあるマンモス学会です。
その中で森林認証制度についての報告を、小生の気が付いた範囲でリストアップし、本人の了解を得て概要テキストを掲載します。

 

タイトル 発表者 関連情報
森林認証制度の導入による森林経営の変化について 持立真奈美
東京大学院農学部
概要テキスト
森林管理の社会化における認証制度に関する研究 小島睦夫
静岡大学農学部
概要テキスト
森林管理の国際化と木材貿易に関する考察 藤原敬
森林総研
概要テキスト
構造から見た森林認証制度比較 白石則彦
東京大学農学部
概要テキスト
山梨県における森林環境モニタリングとFOC森林管理認定制度取得 松谷順
山梨県森林研究所
関連サイト
森林認証におけるモニタリング指標の検討 松村直人
三重大学生物資源学部
概要テキスト
FSC森林認証制度取得による木材流通及び住民意識の変化ー高知県檮原町の事例ー 都築伸行
森林総研四国
概要テキスト

 

4.始動する「我が国にふさわしい森林認証制度」(2003/04/13)

日本林業協会の提言(準備会ホームページよりのダウンロードはこちら)に基づく「緑の循環認証会議」の設立の日程が明らかになってきました。

12月の提言を受けて準備会のホームページが開設されていますが、3月14日に「我が国にふさわしい森林認証制度」発起人会議が開催されました。発起人会のメンバーは日本林業協会、木材団体連合会、日本製紙連合会といった業界関係者、日本林学会、日本木材学会など学術分野のトップが主体となっていますが、日本自然保護協会、国際自然保護連合など自然保護関係者も顔をそろえたそうそうたる72名です。

発起人会では審議会を作ってにで内容を審議してもらいその結果に基づき制度の設立をはかる、ということが決められました。その審議会が4月11日に都内で開催されました。小生も審議会の委員の一員ということで参加しました。審議会メンバーは15名ですが、純粋な業界の関係者は2名だけで、自然保護団体4人、あとは学会やNPO団体などの関係者で業界主導ということにならないような細心の配慮がくみ取れます。

会議は日本大学佐々木恵彦教授を座長として、12月の提言の詳しい説明がありそれを中心に意見交換をするという形で進められました。大筋での提言内容を是とする立場の議論でしたが、次のような点についていくつかの提言がありました。

1 認証参加者にメリットがある仕組みをくみたれられるか
2 地方段階で活発になっている地域材推進という動きとどう連携をとるか
3 他の国際的な制度との関係をどうするか
4 制度の透明性をどのように維持してゆくか
などなど

小生としては、この制度には前から関心があり意見を言ってきましたが、この席でも、@情報発信の少なさ、A都道府県など地方の動きとの連携、B海外の活発な認証の動きとの関係など、心配なことがあったのでいろいろ意見を言わせていただきました。近いうちに議事概要がのると思います。

今後、5月上旬にもう一度審議会で議論をし、その結果を踏まえて5月中に設立に向かいたいという説明がありました。

準備会では、報告書に関する意見を求めているところでもあります。

日本に定着した制度となるようにいろいろご意見があれば、上記の論点などに関し、事務局にでも小生の方にでもお寄せ下さい。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 takashi.fujiwara@nifty.com