「速水林業の挑戦」を読んで、読後感想(2012/11/25)

日本でFSC森林認証の第一号取得者であり林業経営者協会の会長でもある、速水亨氏が「日本の林業を立て直す」として標題の著書を出版されました。

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書評「日本林業を立て直す」森林ジャーナリストの思いつきブログ

このHPでも早くから森林認証制度を興味深く追いかけてきたので、同氏とのつきあいも長いことになります。2000年6月号ニュースレター#13速水林業の挑戦

ご案内をいただき、早速入手して読ませていただきました。(すこし時間がかかりましたが)

林業が、ローカルな地域の重要産業という立場から、急にグローバルな位置づけをさせられる難しい時期に、林業界のリーダーとして、企業の対応をはかるだけでなく、対外的な発信の第一線を担いつづけてこられた記録として「速水林業の挑戦」は大変刺激になります。

地球環境のサイドからFSCの森林認証などの手続きで提起される「生物多様性」のようなグローバルな難しい課題に対しても十分柔軟に対応されていく課程や、グローバルな価格競争力を山作りの過程から真っ正面にうけとめて改革をはかられてきた課程がわかりやすく紹介されています。そのどちらも、歴史のある尾鷲林業の中ではぐくまれた速水林業の蓄積に支えられていることがわかり、伝統ある林業地から全国に発信される貴重な問題提起の書ですので、一読をおすすめします。目次は以下の通りです。

 まえがき
第1章 千年の森を訪ねて
第2章 速水林業九代目に生まれて
第3章 速水林業のやり方
第4章 生物多様性と経済性を両立させる
第5章 ヨーロッパ人の森、日本人の森
第6章 日本林業の行くべき道
第7章 誰が森を壊しているのか
第8章 森と人々の関わりを取り戻す

大変刺激的な「速水林業の挑戦」に対して、「日本林業を立て直す」という視点に立った場合、すこし物足りないところがあります。

フロントランナーを走る速水林業としては、あらゆる困難の中で、ニッチな市場を開拓して思わない消費者との出会いなど経営者としての感動もあり、経営としての安定性も確保されるといということなのかもしれませんが、それが日本全体の林業を立て直す選択肢の一つではあっても全体を規定するキーワードになるのか疑問があります。

また、ニッチと全体の関係は、「日本の木材関連業界が進めている合法性証明は、第三者性がない」といって否定的な議論をされるのも同じです。FSCやPEFC、SGECといった第三者性をもったコストをかけたシステムと、困難だけれども全体の底上げをはかるシステムがともに必要だと思います。(その辺は「日本のGoho-woodの取組みのグローバル基準としての可能性」を是非どうぞ)

いずれにしても、評論家でも学者でも行政官でもない企業経営者の書いた優れた問題提起の一冊です。

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