日本のGoho-woodの取組みのグローバル基準としての可能性ー違法伐採対策問題に関する二つの国際セミナーから(2012/11/25)

11月11日(日)パシフィコ横浜で全木連主催による「違法伐採対策合法証明木材等に関する国際セミナー2012、生産者と消費者をつなぐ業界団体の取組(」開催されました。また、12日(月)には国際環境NGO FoE Japan、地球・人間環境フォーラムなど環境NGO主催「違法伐採対策セミナー、米国改訂レーシー法と木材業界への影響」のセミナーが開催されました。

(消費国の違法伐採問題対応の現時点)

日本は2006年にグリーン購入法の規程を改訂するとともにと木材の合法性証明等のガイドラインを作成し、消費国から違法伐採問題に重要な情報発信を始めました。遅れて米国がレーシー法の改正(2009年施行)、EUがEU木材規則の制定(2013年施行)を行いました。これらの取り組みをうけて、消費国・消費者から生産国・生産者に対して森林法の施行状況のレベルアップのための情報発信をどのような形で進めていくのか、ということが国際的な議論のテーマとなっています。

 (日本の取り組みについてのページ)
 合法木材ナビ

 (レーシー法関連ページ)
 米国の強力な違法伐採対策立法:レーシー法の概要(2008/1/13)(勉強部屋)
 米国の違法伐採対策法レーシー法の執行状況(2009/3)(勉強部屋)
 レーシー法改正本文和訳(合法木材ナビ)

 (EU木材規則関係ページ)
 木材製品の出荷に関する事業者の義務に関するEU規則日本語訳公開)(2011/9)(勉強部屋)
 2013年3月3日より適用されるEUの木材規制(USAIDの関連ページ)

(その他)
 オーストラリア違法伐採及びこれに関連する諸問題についての対策法案和訳(合法木材ナビ)

  (EUと米国のアプローチの共通点と問題点)

EUと米国の共通点は、取引される木材が国境を越えて自国内に入ってくる通関時点で、輸入業者に輸入されたものが、違法伐採木材による製品ではないということを担保するための「善良な管理者としても義務」を要請し、その義務に違反ものに罰則規定を設けていることです。

国境を通過する時点で生産過程の社会的負荷をチェックする手法として有名なのは、紛争地での反政府勢力に利用されるのを防ぐ紛争地ダイヤモンドの流通を防止するキンバリープロセスととよばれる輸入時点での証明書の要求です。
OECDの違法伐採対策円卓会議:違法伐採問題と紛争地ダイヤモンド(2007/2/18)

残念ながら違法伐採問題には国際的に合意された合法性を担保する証明書がありません。また、ダイヤモンド原石のように国際的な生産地点がきわめて限定されている商品に比べて、管理された証明書の作成の困難性は比較にならないものといえます。

そこで、生まれたのが、具体的な要請事項を明確にしないまま、管理者としての最低限の努力(DYUプロセスという)を要請し、その違反に罰則をつけるという思い切った(!)手法です。

要請事項が明確でないために、産地国側でのインパクト(混乱)は大きくなる可能性を含んでおり「産地側では日本に付いての話題がほとんどなく、EUと米国の話ばかり」という、日本の制度のインパクトのなさを批判する意見の根拠になっています。

そのほかにEUはVAPと呼ばれる二国間条約を産地国と結ぶ作業を行っており、締約国からの輸入に対しては上記のDYUプロセスを要求しないという二本立ての方法を導入しています。この点は重要です。

(日本のGoho-woodと欧米のシステムの違い)

他方で、日本の場合は日本の国内に合法性証明材を持ち込むためには林野庁のガイドラインに基づく証明が要求され、輸入業者は第三者による森林認証材か、ある種のDYUプロセスを要求される証明書発給プロセスの透明化を要求されています。(これらの点については、合法木材ナビ合法性の証明方法について

二つのシステムの違いを比較すると、第一に欧米側にあって日本にないものは、日本では合法性証明が法的にはグリーン購入法で担保されるようになっているため、罰則規定のような法的な拘束力が少ないない点であり、逆に欧米になくて日本にあるのは、通関時点を超えたあとの木材や域内で生産された木材をすべてカバーする、証明の連鎖のネットワークです。

(木材の加工流通ビジネスの特殊性)

日本人が使っている鉄の鉄鉱石の産出国は、オーストラリア、ブラジルの二カ国で9割をしめ、あとはわずかなものです。建築資材の基となる自然資源をコマーシャルベースで産出できる箇所は、鉄にしても石油にしても限定されていますが、木材の場合森林から生産される地点は限りなく拡散されていること、精錬、製油、加工といった原材料を消費形態まで加工させるための施設も木材の場合他の資材に比べものにならない多様性があります。

そのため、特に川上部分の環境負荷を追跡するには、膨大なコストとエネルギーがいることになります。このネットワークを管理するためのツールは二つあり、一つは通関時点のチェック、もう一つが加工流通業者に自主的な参画をもとめる仕組みを作ること、です。

たぶんその二つが必要なのでしょう。
欧米型と日本型は上記二つの仕組みにそれぞれ、かなり、思い切ったアプローチをしているということで、今後、両者がそれぞれの取り組みの成果を交流しながら、あたらな仕組みを構築していくことが必要だと思います。

(Goho-woodのグローバルスタンダードの可能性)

欧米型の通関時点のチェックがうまく機能するためには、ディユープロセスなどといった曖昧なものでなく、キンバリープロセスのような合意された証明制度の連鎖が必要になってくると思います。このへんも、国際的な産地国と消費国の連携が必要でしょう。欧州のVPAは一つの方向を示しています。

また、森林法の施行というあらゆる行政分野を比べても困難な政策課題は、途上国だけでなく、EUや日本にとっても重たい課題です。その管理を消費者と連携をとって実施していくという観点に立つと、消費国にとっては輸入材の輸入時点での管理のみならず、消費国内でのネットワークに管理を提唱している、日本のシステムはグローバルな意味を持つと思います。

そんな点で日本の取り組みについての評価を、先般の国際セミナーで「違法伐採問題に対する日本の木材業界団体認定制度の意義とグローバルスタンダードの可能性」という演題で、簡単な報告をさせてもらいました。

合法木材ナビの「違法伐採対策合法証明木材等に関する国際セミナー2012 開催結果」のページに報告概要、プレゼン資料が掲載されていますのでご一読下さい。

bouek4-48(Gohowoodsemi2012)