欧州森林条約の策定へー日本の再生プランとの関係(2011/7/10)

第六回目となる欧州森林保護閣僚会議(Ministerial Conference on the Protection of Forests in Europe)が6月14日から16日までノルウェイ・オスロ市で開催され、@法的拘束力のある森林条約の締結交渉開始を決定しOslo Ministerial Mandate for Negotiating a Legally Binding Agreement on Forests in Europe
、A欧州森林オスロ閣僚2020年計画Oslo Ministerial Decision: European Forests 2020 を決議しました。

IISDによるMinisterial Conference on the Protection of Forests in Europeの記録(英文)

1990年にフランス・ストラスブールで第一回が開催されたこの会議は、1993年第二回ヘルシンキ会合で欧州持続可能な森林管理のためのガイドラインなどを決議し、その後ヘルシンキプロセスといわれる温帯地域の森林管理のの方向を主導する重要な役割を果たしてきました。(小HPの解説)。

欧州のこれらの動向が重要なのは、日本と同様の温帯地域の森林管理の基準作りが、国と国との約束事として決定されていくので大変オープンな形でその過程が公開されていくことです。

平行して我が国では森林・林業再生プランが具体化されつつあり、森林法改正、森林林業基本計画の改定、森林法改定に関する政令省令の改正作業などが行われていますが、日本の作業と欧州の作業がどんな関係にあるのか注目すべきポイントかと思います。

欧州側が進んでいて日本がかけている点、逆に日本側が進んでいて欧州側がカバーしていない点。

2020年計画の技術内容のトップに来ているビジョンの部分を紹介しましょう。

VISION FOR FORESTS IN EUROPE
17. SHARE the following vision:

To shape a future where all European forests are vital, productive and multifunctional. Where forests contribute effectively to sustainable development, through ensuring human well-being, a healthy environment and economic development in Europe and across the globe. Where the forests’ unique potential to support a green economy, livelihoods, climate change mitigation, biodiversity conservation, enhancing water quality and combating desertification is realised to the benefit of society;
欧州森林のビジョン
17以下のビジョンを共有する


すべての欧州の森林が活力があり生産的で多面的な機能を果たす将来を目指す。
そこにおいて、欧州の森林は、人間の福祉の確保、健全な環境、経済の発展を通じて欧州ひいてはグローバルな持続可能な発展に効果的に資する。グリーンエコノミー、人々の生計、気候変動の緩和、生物多様性の保全、水質保全、砂漠化の防止に貢献する森林の独特の潜在力を、社会の利益として実現する。
(小サイト訳)

日本の森林・林業基本法でビジョンに当たる第二条は以下の通りです

(Fulfillment of the Multifunctional Roles of Fo rests)
Article 2
1 Recognizing that sustaining the various functions of forests, including the conservation of land and water resources and the natural environment, the protection of public health, the prevention of global warming, the provision of forest products, and other functions (hereinafter referred to collectively as the “multifunctional roles of forests”), is indispensable for maintaining stability in the quality of life and the national economy , forests shall be properly managed and conserved for the future.
2 Recognizing the importance of stable forestry production in rural areas,in the context of measures for proper forest management and conservation, adequate consideration shall be given to rural development, including the promotio n o f stable communities in these areas
(小サイト訳)
(森林の有する多面的機能の発揮)
第二条  森林については、その有する国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、公衆の保健、地球温暖化の防止、林産物の供給等の多面にわたる機能(以下「森林の有する多面的機能」という。)が持続的に発揮されることが国民生活及び国民経済の安定に欠くことのできないものであることにかんがみ、将来にわたつて、その適正な整備及び保全が図られなければならない。
2  森林の適正な整備及び保全を図るに当たつては、山村において林業生産活動が継続的に行われることが重要であることにかんがみ、定住の促進等による山村の振興が図られるよう配慮されなければならない。

達成すべき森林の機能についての記述内容がほぼ同様になっているとうことは、地球サミット以降持続可能な森林管理のコンセプトが各国で共有されてきた重要な到達点です。

自分の地域の森林の管理をグローバルな貢献ととらえているところが、欧州の文書にあって日本の文書にないちょっと残念な点でしょうか。

他方で施策段階で日本が進んでいるのは、エコマテリアルである木材の利用推進という部分。この点が欧州での今後の条約策定作業の中でどのように取り扱われていくのか、日本の経験を欧州が生かしてほしい点です。(森林・林業再生プランの国際的視点

グローバル化した経済・環境問題、木材貿易に対応して森林政策もグローバル化が必要、というのが小サイトの立場ですが、その目標である法的拘束力のある森林条約に向けて、欧州地域の森林条約が第一歩となるのか注目されます。

chikyu1-21<EuroLBA>