持続可能な森林経営の実現のための政策手段に関する勉強部屋
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ニュースレター 030
2002年2月11

このレターは、表記HPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。情報提供していただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちらで勝手に考えている方に配信しています。表記HPも併せてご覧下さい。御意見をいただければ幸いです。  藤原

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目次

フロントページ:生物多様性条約と森林
林業経済誌WTOと林産物貿易特集の掲載小論
FSC国内基準作成検討会の議事録
日本政府の違法伐採への取り組み督促ーOECD環境保全成果レビュー
穂の国からの地域認証の提案


フロントページ:生物多様性条約と森林(2002/2/11)

1月28日から30日にかけてガーナのアクラで開催された「森林の生物多様性に関するワークショップ」に参加しました。
生物多様条約CBD)では、今年4月に開催される第六回締約国会合で、「森林の生物多様性に関する新たな行動計画」を採択する準備をすすめています。そのたたき台を昨年11月の科学技術補助機関会合(SBSTTA)第7回会合で「行動計画要素」の案という形で作成しました。議論の過程で、国連で森林分野の地球サミットのフォローアップを行っているUNFFの作業との重複を避ける必要であるとの指摘があり、各国の森林計画や二つのプロセスに精通した専門家の会合を開催することとなったものです。世界各国の林野庁・環境省などの関係者・関係国際機関・グリーンピースなどのNGO団体などが50人ほどが集まり(参加者リスト)、今後の行動計画についての提言などをとりまとめました。
小生としても、昨年の基本法の改正を踏まえて「日本の新たな森林林業政策と生物多様性の統合」というプレゼンテーションをしてきました。また、生物多様性条約で開発されてきたエコシステムアプローチなど興味深い概念を勉強することができました。
リオから10年、世界中の森林の管理が不十分な状況は依然として改善されていませんが、未だにそれを包括的に取り扱う強制力を持った森林条約はできていません。その間に、生物多様性条約や、気象変動枠組条約などが森林の部分的な側面についての管理に関し議論をどんどん進めるという構図になっています。
森林に関する政策に関心をもつ者として、第1に、他の条約での議論の中で開発された成果を十分に学び森林政策の中に取り入れてゆくこととともに、第2に、他の条約では不十分な点を解明し、包括的な法的な枠組をつくることを目指してゆく必要があると思います。

関連資料
生物多様性条関係ウェブサイト 生物多様性センター:和文
本部事務局:英文
国連森林フォーラムUNFFウェブサイト 本部事務局
森林の生物多様性に関する新たな行動計画の要素 英文和訳
ワークショップの概要 出席者リスト 英文(pdf)
報告書 英文(pdf)
日本の新たな森林林業政策と生物多様性の統合 テキスト 英文(pdf,html)・和文
エコシステムアプローチの概念 英文和文解説サイト(英文)

林業経済誌WTOと林産物貿易特集の掲載小論(2002/2/11)

1月号の林業経済誌は「WTO体制下における林産物貿易の動向と在り方」という特集を組んでおり、「国際的な『環境と貿易』の議論の展開と林産物貿易我が国の林業政策・林産物貿易政策への含意」と題する小論が掲載されています。

90年代のはじめから、ガット・OECDなどの国際的な舞台で繰り広げられた、「環境と貿易」の相互関係に関する国際的な議論の過程を分析し、「80年代から表面化してきた環境問題の国際化をうけた地球市民の新たな問題提起に対して、各国の貿易・環境・林業などの政策分野の政府間の連携の動きが十分対応し切れていないという実態」を明らかにしています。今後のWTOラウンドをにらんでの論考です。要旨を掲載します

特集でその他に掲載されているのは以下の論文です。
村嶌由直:WTO体制下の林産物貿易を考える
島本美保子:「林産物の自由貿易と森林の持続可能性」論争と東南アジア諸国の現状
久保山裕史:「林産物分野の早期関税自由化」(研究資料)


FSC国内認証基準作成検討会合 開催 議事録公開(2002/2/11)

先月報告した表記検討会の詳しい議事録が「森林認証制度研究会」のウェブサイトに公開されています。また、当日配布提供された資料も掲載せれています。

日本政府の違法伐採への取り組み督促ーOECD環境保全成果レビュー(2002/2/11)

OECDが行った我が国の環境政策のレビューが公表されました。その勧告部分で、「輸入木材を持続可能に管理された森林から採取されたものとする手段を開発すること」が指摘されています。世界でトップクラスの木材輸入国である日本が、違法伐採の根絶という分野で地球環境に貢献する余地はもっと大きいという指摘です。
環境庁の関係サイト
CONCLUSIONS AND RECOMMENDATIONS(英文)[PDFファイル]
「結論及び勧告」(環境省仮訳)[PDFファイル]

穂の国からの地域認証提案(2002/2/11)

愛知県東部の東三河地区は三河材産地として有名な林業地域ですが、新たな地域材認証の取り組みを進めています。地元のNPO団体である、「穂の国の森づくりの会」が作成した検討資料を、作者の了解を得て転載します。県産材認証という動きが各地で進んでいます(神奈川長野岐阜)が、@行政とタイアップしてNPO団体がイニシアティブを持っていること、A豊橋市など消費者との結びつきが視野に入っていること、B特定の地域と言うだけでなく環境認証というコンセプトがはっきりしていること、の三つがこの提案の大変重要な視点だと思います。

藤原敬 
〒356-8687 独立行政法人 森林総合研究所
電話 0298-73-4751 FAX 0298-73-3795
email mailto:takashi.fujiwara@nifty.com?Subject=勉強部屋ニュースレター
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