ニュースレター No.260 2021年4月11日発行 (発行部数:1560部) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。 情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原敬 |
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フロントページ:建築物への木材利用と炭素クレジットーGHGゼロ排出に貢献する道筋(2020/4/11)
3月19日から23日にかけて開催された第132回日本森林学会大会の3月20日のセッションで、標記の発表をしました(例に拠ってオンライン)。 演題は:「建築物への木材利用と炭素クレジットーGHGゼロ排出に貢献する道筋」。 「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という国の方針に、森林の学会関係者として、どんな課題があるのか、というのが話の内容です。 (森林の吸収量、木材の固定量へ企業の関心が高まっている!) 左の図は、準備過程で作成した大切な情報。 林業経済研究所で5年前に作成しネット上に公開している、企業の森林づくり・木材利用のCO2吸収固定量の見える化ガイドラインと、見える化計算シートをネットの月別のダウンロー数。昨年1年間のダウンロード数は5年間の累積数の半分!自治体も企業も関心が広がっています! といったことも含めて、報告しました。 こちらにプレゼン資料を置いておきます (プレゼン概要をご説明) 概要を報告します
(質疑) 質問を一つ頂きました
以上でした (森林計画学会でも) なお、森林計画学会で3月26日に春季シンポジウムがあり、第二部「21世紀の森林林業の諸課題と森林計画学の方向性」というセッションの中に、「会員からの提言」というプログラムがあったので、同じタイトルで、お話をさせていただきました。 左の一枚は、森林計画学会の皆さん方にむけに、一枚追加 「計測が比較的容易なエネルギー消費過程のGHG排出量の削減量に対応した、森林の吸収量の計測・森林管理活動の評価・ベースラインの測定、また木材の固定量に関する評価の手続きなどについて、課題と可能性を検討したい。」と思います (「見える化」するのは吸収量と固定量のだけでよいのか) 森林計画学会の議論で、すごく大切なご指摘を受けました。
多くの企業が排出削減を一生懸命やっている中、森林の吸収量・固定量について問題提起をしよう、というのが今回の報告の意図でした。 しかし、排出削減努力のなかにも、木材利用による省エネや化石燃料代替などのよる重要な側面があるので、その分を忘れないように!というご指摘です。 関連論文も送っていただきましたので、別途ご報告します。 kokunai4-50<2050NCJ1> ■いいねボタン |
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森林林業基本計画の改定作業ーカーボンニュートラルとの関係は(2021/4/11)
5年に一回改定をしている森林林業基本計画の改定作業が行われていますが、3月30日に開催された林政審議会で、その骨子に関する以下のような一連の情報が配布されています。 資料1-1 新たな基本計画(骨子案)のポイント(PDF : 475KB) いよいよ、検討が具体的な中身に入ってきたみたいですね。拾い読みをしてみました。 (新しい基本計画のストーリー) このページでも今まで、「グローバルな視野をもって、森林のガバナンスの確保を市民の参加で」という視点で意見を言ってきました。 市民と森林との関わり(など)ー「新たな森林・林業基本計画に関する意見」提出(2020/7/24) 下の図、左側は、資料1-2森林林業基本計画(骨子案)の骨子です。 そして右側はその内容で、①第一にグローバルな視野に基づいたカーボンニュートラルと関連しそうな木材利用の推進が記載されそうな〇A-G ②次に、次世代に森林のガバナンスについて、関係ありそうな〇「あ」と「い」、に記載しえあったことをメモしています 今後どんな書きぶりになるか、フォローしていきます。 (林産物の供給利用に関する目標) 右の図は、 資料1-4 森林・林業基本計画に掲げる目標数値について(案)(PDF : 1,073KB)のなかの、林産物の供給利用に関する目標数値を、前計画の数値と比較が分かり易くまとめてみたモノです。 左側の総需要が、国産材と輸入材を合わせた国民が木材を使う総量、右側がそのうち、国産材の供給量です。用途別の目標数値などがならんでいます。 今回の数値の実績欄の19年度の数値と、前計画の20年度目標のと比較をしてみると、・・・ 製材用材など建築用材は実績が目標に少し及びません。それに対して、燃料材は、19年度実績が20年度目標の倍以上。 それでは今後の目標は?建築材の目標は、前回の目標以上の数値が掲げられています。カーボンニュートラルを武器に拡大でしょうか?どんなシナリオで建築材に需要を拡大していくのか今回の計画の一つのポイントですね。 そして、燃料材の計画は、輸入材を中心に拡大基調がつづくストーリー。輸入バイオマスのリスクをどう考えるのか、重要な論点になりそうです。 今後フォローしていきますね kokunai1-19<kihonkeikaku2021_2> ■いいねボタン |
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春の学会の季節ー132回日本森林学会コレクション (2021/3/15) 3月19日から23日にかけて開催された第132回日本森林学会大会。 日頃少し気になっていたことを、少しまとめて考えるチャンスになるだろう、と、時間がありそうなときに、学会発表するようにしています。 森林分野の横断的な学術的報告が行われる森林学会大会は、持続可能な森林経営の枠組みについての研究動向を知る上で重要なのですが、年度末のこの時期に出席するのは難しい状況が続いていました。が少し余裕ができたので、いってきました(Zoom会議ですが) 気になった報告をすべてフォローすることはできませんが、本人のご厚意によりいただいた発表資料データ、大会誌に掲載された概要をもとにを紹介します。 森林学会の報告全体はこちらから
発表資料をいただける方は、ご連絡いただけるとありがたいです。 gakkai<sinrin2021> ■いいねボタン |
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日本の2030年削減目標(NDC)を45%以上にー気候変動イニシアティブの会員になりました
2050カーボンニュートラルにむけて、30年削減目標NDCをどのようにしていくのでしょうか?温室ガス削減、加速なるか 50年ゼロへ 政権、30年目標見直し(朝日新聞4/3) といったときに、気候変動イニシアティブという団体から、気候変動イニシアティブ(JCI)メッセージ賛同募集を開始します!と以下のようなメッセージが届きました。 4月15日が締め切りで、まだ間に合います.(21日に全国紙にPR記事が掲載されるんだそうです)
ということで、パナソニック株式会社、株式会社 日立製作所、イオンモール株式会社、住友林業株式会社などなど、600社・団体ほど(4月4日現在)が参加する気候変動イニシアティブJIC、に、一般社団法人 持続可能な森林フォーラムが加入しました。よろしくお願いします。 同団体が3月31日に開催したウェビナ「NDC:2050年ゼロを実現する2030年の排出削減目標とは」に参加しました。 「日本で45%以上の削減は可能なのか」と題する自然エネルギー財団 常務理事 大野 輝之氏の報告が面白かったです。 それによると、右の図は現在の削減ペースでも26%目標を超過達成し、35%程度の削減へ。 あと、ひとがんばりですね。 そこは、太陽光と風力発電を野心的目標(転換促進型)にたかめれば、自然エネルギ-45%となって・・料金も安定性も大丈夫(左の図)(自然エネルギー財団2030年エネルギーミックスへの提言(第1版))なんだそうです。 この分析が供給側、それも発電だけを対象にしているのようなので、バイオマスの話(転換促進でも4%アップ)があまり登場していません。 第2版では、熱利用のはなしとか、需要側(削減)など木材利用に関しても、議論がされるように期待します。 kokunai4-51<JCIkaiin> ■いいねボタン |
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みどりの食料システム戦略の中の森林林業木材産業(2021/4/11)
農林水産省が、3月26日「みどりの食料システム戦略」の中間取りまとめというのを発表しました。 「食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現~」というサブタイトルがついているので、森林林業分野はどうなっているのかな、読んでみました。 目次は、 左の図は、2から3までの総論部分を示したポンチ絵です その中に森林関係のことがどのように記載されているか、また、ちょっと気になった点を書き加えてみました。 (戦略の背景説明) 図の左上の「背景」ですが、2背景説明の、地球環境問題に関して記載してある部分の冒頭は、「カーボンニュートラル2050の農林水産省版かな」と思ってみてみたんですが、もちろん、そうでもあるのですが、「地球の安定性を維持する限界値を意味する「プラネタリー・バウンダリー」は、9つの項目のうち、気候変動、生物多様性、土地利用、窒素・リンの4項目で限界値をすでに超え」とされてます。 ・・・プラネタリーバウンダリー20年度環境白書からPlanetary boundaries: guiding human development on a changing planet 「気候変動だけを問題にしているんではないんですよ」というわけですね。 (政策手法のグリーン化) 3の「本戦略が目指す姿と取組方向」のなかに、「政策手法のグリーン化を図る」とあります(4ページ)。「政策手法のグリーン化とは、補助・投融資・税・制度等の政策誘導の手法に環境の観点を盛り込むこと」なんだそうです。 そして、その中に記載されているのは・・・ ① 2030年までに施策の支援対象を持続可能な食料・農林水産業を行う者に集中していくことを目指す。農林水産省の補助事業については、技術開発の状況を踏まえつつ、2040年までにカーボンニュートラルに対応することを目指す・・・ ④ 持続可能な食料・原材料や資材の利用など、環境保全に取り組む企業の情報開示等の取組を促すため、表彰やESG投資等の引き込みを検討する。 など ということで、補助金の対象となる、路網の整備、森林造成などの作業の機械の電動化などが進められ、カーボンニュートラルを進める企業を応援するシステムなどが進むんでしょうか。 (苗木の中のエリートツリーの割合) また、戦略が目指す目標を具体的な数値で示していくようです。とりあえず、今回の中間とりまとめでは、以下のような記述があります ⑫ エリートツリー等の成長に優れた苗木の活用について、2030年までに林業用苗木の3割、2050年までに9割以上を目指すことに加え、2040年までに高層木造の技術の確立を目指すとともに、木材による炭素貯蔵の最大化を図る(7ページ)。 現在検討中の森林林業基本計画改定作業などのなかに、こんな数値があったんでしたっけ。結構重要な数値ですよね。 右の図は目次の「4具体的な取組」のポンチ絵ですが、そのなかで、気がついた点を拾ってみたものです。 具体的な取組は (1)資材・エネルギー調達における脱輸入・脱炭素化・環境負荷軽減の推進 という7つのセッションから構成されています。 内容を見てみましょう (カーボンニュートラルに向けた森林・木材のフル活用によるCO2吸収と固定の最大化) 森林が中心となっているセッション(7)は森林に関する以下のような内容からなっています、 ① 林業イノベーション等による森林吸収の向上 (その他のセッションの森林・木材関連事項) 森林木材の話は上記にすべて記載されている、ということかもしれませんが (消費者との連携) また、食品にくらべて、森林関係の記述がうすいのは、、(4)環境にやさしい持続可能な消費の拡大や食育の推進、の部分ですね。 ② 消費者と生産者の交流を通じた相互理解の促進といった事項が、食品に関して記述されています。 森林や木材についても、建築関係者との連携など、川下との交流を通じた木材の利用拡大、など、是非記述を充実させて、5月の最終報告に向けて検討を進めて欲しいです。 関連して再造林の確保、のようなガバナンスの確保の部分も、市民や消費者との連携が大切なような気がします junkan1-25<midorisyokuryo> ■いいねボタン |
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カーボンニュートラルな社会 の中での木材利用 市民研入門講座
NPO法人市民科学研究室(市民研)という団体があって私もかかわっていましたが、4月5日その団体の入門講座というところで、「カーボンニュートラルな社会の中での木材利用」という話をさせていただきました(もちろんZOOM会議) (市民研とは) 「科学技術に市民の思いを活かしたい。」 科学技術がどんどん細分化して他の世界に人がわからなくなくなってきて、その最先端を担う人が中心となってその周辺に「村社会」をつくる。原子力村?。 原子力ほどでなくても、みんなそれぞれの村人ですね。私も森林村、霞ヶ関村の村人(もちろん、村役場の中心人物ではありませんが周辺の村人)。それは悪いことではもちろんありません(自分がローカルな住民であると言うこと自覚していれば)。 市民研は、いろんな、科学技術の村人に市民の声を届けよう、ということをやっている人たちです。 プレゼンタイトルは「カーボンニュートラルな社会 の中での木材利用」、こちらに置いておきます。 〇自己紹介 右の図はこのサイトでも紹介した、ネイチャーサステイナビリティ誌に掲載された記事「世界の炭素貯蔵庫としての都市のビルディングの図ですが、これを冒頭に紹介しました。 三つに分かれた時間軸の、右側が排出量の3割をになっている都市化のインフラ建設が炭素の固定量となる、という話。 この話の導入のつもりで、準備したんですが、今回準備をしてみて、この図の左側の部分に、「気候変動と森林」の話をする場合、インパクトがあることに気がつきました。 3億5千万年前から300年前までが、左の部分。そんな昔は大気中の二酸化炭素は今よりも倍以上あったのです、今のようにするまでに光合成をして固定する樹木(シダなど)が現れ腐朽菌がまだいなかったなので事情で、地中に炭素を蓄えた・・・。 ということなんで、大気中の二酸化炭素の増減をコントロールする話をするときには、森林関係の村人を必ず入れてくださいネ。 質疑のときに、厳しいご意見も。
junkan1-26<shiminken> |
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今年度もよろしくお願いしますー勉強部屋ニュース260編集ばなし(2021/4/11)
年度末には、日本森林学会の大会(今年は日本木材学会と合同大会)があり、関連して林業経済学会、森林計画学会などのイベントがあります。 年度末というビジネスや行政の関係者にとっては超忙しい時期に、アカデミア(学会)の関係者は教育現場は春休みですこし時間があり、ということで、この時期に学会大会の開催にはズーとすこし外側にいて、違和感がありました。が、私自身もマネジネントの仕事から外れて、少し余裕ができてきたので、「産学官民の情報交流の場」を目指す勉強部屋の主宰者としては、だからこそ、少し頑張らなければならない、と、報告の機会にまず手をあげるることとしています。 霞ヶ関でホットな話題からみた、学会への期待。カーボンニュートラルの話ばかりになって、ごめんなさい。 年度がかわって、新任地であらたな生活を始める方の多いかと思います。連絡先が変わった方は連絡下さいね。 新年度、勉強部屋の新年度は何をしようかと、考えていますが。読者の皆さんとのコミュにケーションをどのように、とっていくか? 昨年試行したZoom会議は、是非やりたいとおもいます。また、今月からアンケートの場所を設けました。この記事はおもしろかった。この記事はもうすこし、こうしたら?以下のページからよろしかったらお願いします。 次号以降の予告、成長産業化創出モデル事業-財務省が関心を持つ理由、バイデン大統領の森林問題、地域の未来自伐型林業で定住化、「論語と算盤」と森林の関係(2)、森林ビジネスイノベーション研究会、御殿場の木質バイオマス発電ーローカルな林業の可能性、欧州の炭素国境調整措置の内容、林業と木材利用の気候変動対策の潜在的可能性 、konosaito<hensyukouki> ■いいねボタン
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