市民と森林との関わり(など)ー「新たな森林・林業基本計画に関する意見」提出(2020/7/24)

森林・林業基本法よって、政府が「森林及び林業に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため」森林・林業基本計画を作成することになっていますが、過去5年に1度づつ改訂されてきた同計画の改訂時期が、来年となり、林野庁は新たな森林・林業基本計画に関する御意見を募集をしていました(7月22日期日)。

このページとしても森林林業基本計画は重要な内容なので、過去もこの計画の作成過程(原案に対するパブコメ)で意見をいってきました。

森林林業基本計画案に関する意見(2016年、2011年)

前回2016年は当方の意見が一つ採用され、原案になかった策定されたばかりのSDGsについて言及されました!!

前述の通り、今までは計画案に対するパブコメというかたちでしたが、今回は「森林・林業基本計画」の変更に向けて、林政審議会において審議を開始するにあたり、国民の皆様から森林・林業・木材産業政策等に関する御意見を募集します」

一歩前からの意見募集で一歩前進。

林野庁が指定したテーマ(カテゴリ)

森林・林業・木材産業政策全般 / 森林の整備・保全 / 森林環境・生物多様性保全 / 山地災害防止 / 林業経営 / 特用林産(きのこ、竹、漆等) / 山村振興・地方創生 / 森林の多様な利用 / 木材生産・加工流通 / 木材利用・木材需要 / 新型コロナウイルス感染症による影響 / その他

ということで、今回は、以下のとおり、森林のガバナンスの確保を市民の参加でといった点を中心に以下の様な意見を提出しました。(1点200字程度)

カテゴリ  意見
 @森林林業木材産業政策全般   (国際的な持続可能な森林への取組との関係―ニューヨーク宣言)
森林に関する国際的な議論を確り踏まえることが大切です。SDGsだけでなく、国際的な森林に関する約束であるニューヨーク宣言(日本も署名している)は是非引用して、取り込むべきです。同計画の「2030年までに天然林の喪失をなくする」といった目標は、我が国の育成単層林から複層林や天然林への転換の根拠として位置づけるべきです。
 (森林減少をゼロに貢献する商品―様々な商品の商品選択と森林管理)
ニューヨーク宣言にもある、民間セクターが森林に優しい商品調達を推進、といった関連で日本の消費者の商品の嗜好をグローバルな森林政策に位置づけたらどうでしょう。パームオイル、牛肉、大豆など森林減少をゼロに貢献する商品が開発されています。森林政策を、木材やバイオマスだけでなく幅広く商品に関するツールとして拡大して下さい。
A森林の整備保全   (皆伐跡地の森林の方向性―育成単層林の在り方)
国産材の利用拡大がすすみ、皆伐面積が増加しています。無断伐採に係る都道府県調査結果が発表されるなど、伐採地やその後の管理について努力が必要で、その後の森林をどのようにしていくかの具体的なビジョンが必要です。1000万haの現在の育成単層林の伐採跡地が現在どうなっているのか(管理されているのかいないのかも含めて)確りフォローした上で、65%を単層林、35%を複層林にしていくという現計画のビジョンが合理的なのか、どのように管理をしていったらいいのか、というビジョンを明確に提示していただきたい。
(市民参加による森林のガバナンスーサプライチェーン管理)
皆伐跡地の管理など計画の実施に管理をする上で、行政だけでなくサプライチェーンの側からの管理する体制を整備するのが一つの効果的な手段です。現在、林野庁の合法性持続可能性のガイドランによる業界団体認定事業者によるサプライチェーン管理がグリーン購入の前提になっていますが、あらゆる調達の最低限の条件にして、出発点の伐採届けなどの確認体制を整備する必要があります。また、FSCやSGECなどのサプライチェーン管理も取り入れるべきです。また、流通加工を集中して大規模化するという方向になると思いますが、そのような助成を進める場合、原料の調達条件に再生可能性を条件としたらどうでしょう。
 C山地災害防止  (グリーンインフラを計画に位置づける)
国土交通省は、多発する災害やインフラ維持改修費の増額という観点から、いままでのグレイインフラから「自然の持つ多機能性やしなやかな回復能力などの特性を賢く活用する」グリーンインフラにシフトしようとしています。保安林はグリーンインフラの重要な内容です。都市住民の災害防止の中に流域の保安林整備などが重要な位置づけになっていることを明確にして、国交省のグリーンインフラ推進と協調して進めていく、グリーンインフラ整備の内容を基本計画に位置づけるなど検討して下さい。
I木材利用木材需要 (顔の見える木材での家造りーガバナンス論からの議論)
現計画の、地域材に高付加価値化というセッションの中に、「顔の見える木材での家づくり」などによる消費者のニーズに対応した木材利用を促進するという項目が入っています。近くに山の木を利用することは、地域の活性化、木材利用の拡大という意味だけでなく、地域の山の次の世代がどうなるか、という消費者の山づくりに関する関心、ガバナンスの強化という意味でも大切です。是非次期計画の中でも充実させて下さい。

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