ニュースレター No.251 2020年7月15日発行 (発行部数:1560部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 

                      一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原敬

目次
1 フロントページ:グリーンインフラと森林ーグリーンインフラ運動の進展(2020/7/15)
2. FSCミックスの中に何がミックスされているか?FITとFSC続き(2020/7/15)
3. 持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する森林・林業・木材産業ー森林林業白書特集(2020/7/15)
4. 3年たった林業成長産業化創出モデル事業ー成長産業化地域の取り組み(2020/7/15)
5. Web上のシンポジウムー勉強部屋ニュース251編集ばなし(2020/7/15)

フロントページ: グリーンインフラと森林ーグリーンインフラ運動の進展(2020/7/15)

国交省がWeb上で6月下旬から7月上旬に開催した「グリーンインフラ官民連携プラットフォーム 第1回シンポジウム」に参加しました(見ました)。

Web上のシンポジウムの可能性は?グリーンインフラとは一体何か?・・

「自然の持つ多機能性やしなやかな回復能力などの特性を賢く活用するインフラ整備・国土の管理手法の新しい概念」をグリーンインフラ(以下GIと言います)というんだそうです。(グリーンインフラ研究会グリーンインフラとは

国交省は2018年12月GI懇談会設立、19年7月GI推進戦略策定、20年3月GI官民連携プラットフォーム設立とGIの実装化推進への体制をかため、その出発を世に問うシンポジウムを3月に予定していたのが、新型コロナ騒動でおくれて、やっと開催となったものです。

GIは森林に関連するインフラ整備でもあり、このサイトでも過去にも関心をもってフォローしてきましたグリーンインフラと生態系に基づく減災対策に関する議論 (2019/10/15)

プラットフォームの個人会員にもなって参加しました(シンポジウムはオープンな参加)。

(ウェブ上のシンポジウムとは)

コロナ対応で、みんなで一カ所に集まるのでなくウェブ上で情報共有するというイベントが試みられていて、情報発信のしかた、一般参加者の参加の方法などいろいろあるのでしょうが、このイベントでは・・・・。

・6月30日(火) パネルディスカッション 総再生回数:1,195回、最大同時視聴者数:425人
・7月6日(月) グリーンインフラ座談会 総再生回数:699回、最大同時視聴者数:373人

はじめと終わりに2回のネット上のリアルタイムの討議が行われました。

一般参加者は登壇者のZoom上の議論を見ることができます。が、質疑に参加するには別途メールで質問意見をおくって時間があれば登壇者がコメントする形。また、登壇者のプレゼンテーションは別途この期間中、いつでもネット上からビデオで見聞きすることができるようになってました。

終了後、結果がプラットホームの会員には公開されるのだそうですが、この作業を進めている7月14日の時点では構築中のようです。

(シンポジウムの情報発信)

私の見て聞いた限りでの、登壇者の情報発信は以下の通り。

演題  発信者  概要
挨拶 GI官民連携プラットフォーム会長
二宮 雅也
経団連自然保護協議会会長
プラットフォーム設立意図
グリーンインフラ社会実装の進展を期待
基調講演
 『グリーンインフラからグリーンコミュニティへ』
 涌井 史郎
GI官民連携プラットフォーム会長代理
東京都市大学環境学部特別教授
脆弱性を強める我が国と世界の共通課題→自然災害へのレジリエンスの獲得
社会資本の劣化=経済活動基盤の劣化
今なぜグリーンインフラなのか
日本人は叡智を働かせて自然共生の手立てを実践(してきた)!日本こそGI先進国になれる
 トピックス
『「暮らし」の観点からグリーンインフラを考える
 甲斐 徹郎
建築・まちづくりプロデューサー
今GI普及で大切なのは(重要性を説明することではなく)グリーンインフラを自分のこと化して考えるられるようにすること
都市市民の暮らしにとってのグリーンインフラ:熱環境のコントロール、クーラーなしで大丈夫、敷地でなく敷地のそとも、
「体感」がコミュニティーを生み出し、参画を進める、
 トピックス
『グリーンインフラを活用したあまみず社会の構築』
 島谷 幸宏
九州大学 工学研究院 教授
都市の水問題への対応:水循環の回復のため
「あまみず社会」という都市ビジョンを提示: 雨水を貯留浸透させ、分散型水管理、水と緑による有機的な社会
それを達成する技術、と広める方法の開発してきた。
 トピックス
コウノトリと共に生きる ~豊岡の挑戦~
 宮下 泰尚
兵庫県 豊岡市 コウノトリ共生部 コウノトリ共生課長
コウノトリが最後までいた豊岡町再生への道筋はーグリーンインフラの取組だ(今考えると)

命への共感ーコウノトリ住める豊かな環境の創造:コウノトリが住める環境は人間にとっても持続可能で健康なすばらしい環境
コウノトリ育む農法による水稲作付けが拡がり
 プラットフォームの活動内容紹介
『プラットフォームの役割』
 川埜 亮
国土交通省 総合政策局 環境政策課長
これまでの経緯(18年GI懇談会、19年GI戦略策定、20年GI官民連携プラットフォーム設立)
プラットフォームの会員状況と運営体制、三つの部会の概要
今後のスケジュール(来年3月シンポジウムなど)
関連予算(先導的GIモデル形成支援(2地域)、GI活用型都市構築支援事業)
 プラットフォームの活動内容紹介
『企画・広報部会の取組(部会長)』
 福岡 孝則
プラットフォーム企画・広報部会長
東京農業大学 地域環境科学部 造園科学科 准教授
 GIプロジェクト大賞(来年3月にむけ)四つの分野

①雨水貯留・浸透等による気候変動・防災・減災に関するプロジェクト、
②戦略的な緑・水の活用による豊かな生活空間の形成に関するプロジェクト、
③官民連携等による投資や人材を呼び込む都市空間の形成に関するプロジェクト、
④豊かな自然環境・景観・生態系の保全による地域振興に関するプロジェクト
 プラットフォームの活動内容紹介
『企画・広報部会の取組(部会長)』
 西田 貴明
プラットフォーム 企画・広報部会長
京都産業大学 生命科学部 産業生命科学科 准教授
 上記以外の企画広報活動を紹介
情報発信の充実(プラットフォームサイト上で情報発信の充実、メーリングリスト、パンプレット作成、オンラインセミナー開催)
アドバイザー制度の構築(GIを計画実施する癒えての課題に対応可能なアドバイサーを選定してリストアップ→養成応じた現地派遣など)
 プラットフォームの活動内容紹介
『技術部会の取組(部会長)』
 中村 圭吾
プラットフォーム 技術部会長
国立研究開発法人土木研究所 河川生態チーム 上席研究員
(兼 自然共生研究センター長)
ガイドラインを3年がかりで作成する
技術の内容は3つに整理
①要素技術(個別の技術の収集・整理・分類→要素技術集を作成)、
②評価技術(海外の事例を参考に、個別の評価と自治体などの地域の評価の方法)、
③計画技術(事例を基に、計画のポイントを整理)
その他に政策技術(政策提案))
ご参加を!
  プラットフォームの活動内容紹介
『金融部会の取組(部会長)』
 北栄 階一
プラットフォーム 金融部会長
株式会社日本政策投資銀行 地域企画部 課長
整備する際の資金をどのように調達するのか?を検討
投資家の事情も調査、ESG投資など(持続的な成長のためには長期的な視野が必要、個人でもふるさと納税など)ESGからみてもグリーンインフラは格好の材料

三つの取組:①金融制度(金融手法及び活用事例)紹介、②経済効果を把握・蓄積、③投資家、金融機関のESG投資の促進
写真は公開されているGI官民連携プラットホーム第一回シンポジウムパンフレットからいただきました。

たくさん情報ですが、大切な情報なので基調報告から復習を

(今、何故グリーンインフラなのか?)

涌井氏の回答は以下のとおり。

 気候変動による災害の激甚化、そして都市に求められる防災・減災や、潤いや憩いといった新たな都市像に対し、これまで緩和戦略の主体をなしたきた工学的営造物による社会的資本だけでは十分でない。さらにはその維持管理も大きな課題に!そこにGIによる適応戦略を導入し新たなコモンズをGIにより創出。あわせて機能の空隙を埋め補完的に対処する方策が重要。

災害リスクが多くなっている、今まで構築してきたグレーインフラの維持改修が大きな問題、という二つの課題を、自然のもつ多機能性を利用した新たな戦略でーということですね。

(グリーンインフラ+グリーンコミュニティ)

涌井氏のプレゼン資料にあった大切な言葉が「グリーンインフラとグリーンコニュニティ」(上記のコモンズをGIにより創出)。新しい戦略を理解する上での大切な言葉です。いままでのグレイインフラは公的な主体がリードしてきたが、グリーンインフラは都市市民当事者が体感しながら参画していく可能性がある。インフラができるだけでなくインフラを自ら喜んで維持管理してゆく市民のコミュニティができる。そしてそこでできたインフラは市民の共有物(コモンズ)!

(緩和戦略と適応戦略)

もう一つが、グリーンインフラは環境破壊を工学的手法で対応する「緩和戦略」だが、グリーンインフラは「適応戦略」、なのだそうです。この辺の含めて、グリーンインフラの社会実装をすすめるプラットホームの運動に、少し参加して、勉強していきます。

(保安林制度はグリーンインフラですよね)

メールで質問するというステップがあったので、質問してみました。

「自然環境の持つ多様な機能を賢く利用するグリーンインフラ!GI懇談会、GI推進戦略、GI官民プラットフォームと国土交通省がこのコンセプトを大切にそだて、実装化を進めようとされていることには、敬意を表します。
質問があります。水資源涵養や土砂の流出防備、土砂崩壊防備などに対応している保安林制度はこのプラットフォームの中で議論していく重要な内容だという理解でよろしいでしょうか?それともGI官民プラットフォームは国土交通省の所管分野のグリーンインフラを対象とした組織ですか?

何人か同じような質問をしたかどうかは解りませんが、シンポジウム最後にいつくか質問が紹介されたなかに、上記アンダーラインの主旨の質問が紹介されました。答は国交省の担当者から、「農地や森林も大切なグリーンインフラで・・・、国土交通省の所管のものだけが対象ではありません」との回答がありました。

(プラットフォームの会員)

会員になると、シンポジウムの期間中に提供されていた情報にアクセスできるようです(こちらから)。会費無料で色々な委員会にも参加もできるみたいなので、またタイミングをみてご紹介します。

ご関心のあるかたは、入会はこちらから

junkan6-10<GISympo1>

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FSCミックスの中に何がミックスされているか?FITとFSC続き(2020/7/15)

先月、FSC森林認証制度をバイオマスの固定価格買取制度(FIT)に活用する際のご注意」と、「固定価格買取制度(FIT)のバイオマス発電燃料調達におけるFSC 認証制度の利用に当たっての関係事業者様へのご注意」というFSCジャパンの情報発信をうけて「輸入される発電用木質バイオマスのサプライチェーン管理ー森林認証とFITのガイドラインの関係(2020/6/15)(6/16加筆訂正) 」というページに載せました。

その後、FSCの情報が若干修正されるなどしていて、左の図の「FSC認証材の確認の仕方」という図が掲載されています。

正規のFSCの認証製品でも、「FSCミックス」(FSCが認めている適格な原材料が複数使用されているもの)、「FSCリサイクル」(回収原材料をのみでできているもの)、FSC管理木材(FSCが容認しない違法伐採木材など5つのリスクが低いと確認されたもの)などとされた場合、FITで一般バイオマスとするために使う場合のリスクがあると、指摘されています。

この問題は、最近増えている輸入バイオマスを一般木質バイオマスとして販売する場合の課題です。

(急増するベトナムからの木質ペレット輸入)

右の図(バイオマス産業ネットワーク作成)のように、特にベトナムからのペレット輸入が急増しています(数値の出典は財務省輸入統計)。

ベトナムからの木質バイオマスを日本のFITの一般木質バイオマスとして販売する場合必要なサプライチェーンの管理をFSCのCOC認証に頼っている場合が多いようです。

そこで、正規にFSCの手続き規程を踏襲して販売された、正規のFSC認証製品が、一般木質バイオマスとして、国内で販売できないリスクは、どのような場合におこるのか、整理をしてみました。

(FITガイドラインとFSC認証製品との関係)

左の図は、FSCの正規の認証製品の中に、FITガイドラインの中の一般木質バイオマス以外のものが混入する過程を示す図です。

発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン (以下FITのガイドライン)によると、一般木質バイオマスとするには、製材の残材(FSCのリサイクル材)などであっても原料の由来の証明が求められます(ガイドライン3(2)①ア(ア))。

つまり、左の図の出発点となっている左側の建築廃材由来(→③)や森林の右以外由来(→④)の製品は一般木質バイオマスにならないように分別管理しなければならないのです

FSCの製品管理では左の図のように上記の製品は「FSCリサイクル」として販売されますが、場合によってはペレット製造過程→①、→②のようにFSC管理木材とされている製品や、FSCミックスとして正規に販売されているものに混入される可能性があるのです。(簡略化のため図はペレット製造によていますが、木材チップなどたの発電用燃料材でも同じです)

そのことを、今回のFSCの情報発信が注意を呼びかけています

(おわりに)

発電用木質バイオマス燃料の取引に関するすごく狭い分野の問題ととらえられるかもしれませんが、FITのガイドラインでは{・・・一般木質バイオマスについて適切な識別・証明が行われなければ、調達価格が適正に適用されない事態も懸念される・・・ことを踏まえ、FITに対する消費者の信頼を確保するとともに燃料が円滑に勝つ秩序を持って供給されるように、留意すべき事項等を取りまとめたものである。」(1趣旨)とあります。

この分野に関連される方は、原点に立ち返って、見る必要があるかと思います。

ベトナム由来の輸入ペレットの場合FSCのCOCを利用する場合が多いそうですが、他の地域ではPEFCの製品も輸入されるケースがあるようですので、別途そちらの方も整理します。

energy1-36<fitwithFSC2>

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持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する森林・林業・木材産業ー森林林業白書特集(2020/7/15)

6月に公開された今年度の森林・林業白書の特集は「持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する森林・林業・木材産業」です。

いまでこそ、みんなが知っているSDGsですが、このサイトでは2015年に国連サミットで「持続可能な成長のための2030年アジェンダ」としてSDGsが採択される前から、グローバルな目標の設定作業の中で、森林や木材の利用がどのように位置づけられるのか、関心を持ってフォローしてきました。

国連サミットで合意された「持続可能な成長のための2030年アジェンダ」の中の森林(2015/10/24)

それで、日本の森林林業行政の責任部局から御情報発信の中でのSDGs興味深く読みました。

4つの節にわかれて、pdfファイルが 令和元年度 森林・林業白書 全文というページからダウンロードできます。

特集 持続可能な開発目標(SDGs(エスディージーズ))に貢献する森林・林業・木材産業
第1節 持続的な開発目標(SDGs)と森林(PDF : 1,472KB)
(1) SDGsに高まる関心
(2) 森林・林業・木材産業とSDGsとの関係
第2節 多様化する森林との関わり(PDF : 1,826KB)
(1) 森林の整備に関わる取組
(2) 森林資源の利用に関わる取組
(3) 森林空間の利用に関わる取組
第3節 企業の森林に関わる意向と活動内容(PDF : 787KB)
第4節 今後の課題と関係者の役割(PDF : 1,326KB)
(1) SDGsからみた林業・木材産業の役割と課題
(2) 森林・林業・木材産業を支える関係者の役割

(SDGs指標と森林林業の貢献)

上の図は、特集の導入部分の第1節 持続的な開発目標(SDGs)と森林のまとめの形で、掲載されている「我が国の森林の循環利用とSDGsとの関係」と題する図です。

森林が造成され利用される全ての局面で、「森林の持続可能な経営」、「木材の生産・加工・流通」、「木材の利用」、「キノコジビエ等の利用」、「森林空間の利用」という5つのカテゴリーに分けてSDGsの17の指標のうちの14の指標に貢献するといううわけです。(図で抜けているのは1あらゆる形態での貧困の解消、10国内国際的な不平等の是正、16平和で包摂的な社会促進、ですが「これらも関連する」と欄外に注釈付き)

本文の本体である、第2節 多様化する森林との関わり、ではその内容が具体的な例示を添えて丁寧な解説がしてあります。

(木材利用の推進とSDGs)

SDGsの国際的な議論の中で、木材の利用の話がどのように位置づけられるのか、気にしていました。(残念ながら関連する目標である、7、11、12などにターゲットのレベルでも木材、木質バイオマスという言葉は入りませんでした(マーケットを通じた目標)など

違法伐採木材と森林の破壊との関係など難しい面があるのですが、公共建築物木材利用促進法などこの分野の議論は日本がリードしている面もあります。

今回の特集では、上記、第2節 多様化する森林との関わりに(2)森林資源の利用の関わる取組(ア)建築物における木材利用の拡大という分節を設けて4ページにわたって充実した記述がされています。

(SDGsから見た林業木材産業の課題)

白書の特集のタイトルは「持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する森林・林業・木材産業」ではありますが、当然森林・林業・木材産業に貢献するSDGsという側面は外せません。第4節 今後の課題と関係者の役割はその点に触れています。

(ア)持続可能な森林経営;森林に関連するSDGsの達成に向けて森林の機能を十全に発揮していくためには、適切な整備が行われ、健全な森林として維持されていくことが前提となる・・・が、近年主伐が増加傾向で推移する中、伐採後に再造林されていない箇所が発生している。」として、、再造林に取り組む具体的な事例を紹介しています。

また、このセッションには(イ)合法性や持続可能性に配慮した木材の調達(ウ)林業従事者の安全確保(エ)女性参画と、森林林業施策を国際的な視点から議論する重要な記述となっています。

もう一つ4節で重要なのは、(2) 森林・林業・木材産業を支える関係者の役割という部分です。多くの企業がSDGsの関心をち、それをきっかけに、いままで関係のなかった企業個人が森林林業に関心を広げてくる可能性という重要な側面に触れています。SDGsをきっかけとして森林空間サービス、エネルギー、森づくりなど、いままでとまったく違った拡がりのある関係ができてくる可能性があります。

kokunai5-3<hakusyoSDGs>


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 3年たった林業成長産業化創出モデル事業ー成長産業化地域の取り組み(2020/7/15)

林野庁のウェブサイトに、令和元年度林業成長産業化地域の取組の分析・評価等に係る調査委託事業報告書林業成長産業化地域事例集2019という二つの報告書が6月下旬に掲載されました。

林業経済研究所の事業として私も関わった事業なので、紹介します。

(林業成長産業化地域創出モデル事業)

林野庁の林業・木材産業成長産業化促進対策交付金というページに林業・木材産業成長産業化促進対策(林業成長産業化地域創出モデル事業)林業成長産業化地域という情報が掲載されており、以下の趣旨紹介されています。

戦後造成した人工林が本格的な利用期を迎える中、地域の川上から川下までの関係者が連携して森林資源の循環利用を進め、林業の成長産業化を図ることにより、地元に利益を還元し、地域の活性化に結びつける取組が必要。
このため、平成29年度から「林業成長産業化地域創出モデル事業」を創設し、こうした取組を行う地域を林業成長産業化地域として選定して(29年度:16地域、30年度:12地域)、優先的に支援することにより、優良事例を創出するとともに、全国への横展開を図り、林業の成長産業化を推進。 

上記の、報告書はこの28地域の事業の進捗状況について、「各地域が策定した林業成長産業化地域構想(5か年の構想。以下「地域構想」という。)に基づく取組成果等を横断的に取りまとめ、優良事例を抽出して全国への普及展開を図ることを目的」としたものです。

28地域が、地域構想で設定した取組件数はすべての地域を合わせると451 件あります。この進捗状況などを3回の書面調査、現地調査などでまとめたのですが、その一部を紹介します。

451の取組を、分野別に、(A)地域の森林資源の循環利用、(B)地元への利益の還元と活性化、(C)自立化のための組織整備の3 つに区分しそれごとの進捗状況を表したのが、以下の図です。

上の欄、川上の山から木を取り出して利用、出発点の部分は予定より進んでいるけれど、大切な再造林対策が問題。次の欄の、川下へのアプローチ地元への利益の還元は一生懸命やっているところですが少し難しい。自立化のための組織作りは、事業立ち上げの時に行政主導でできたので進んでいるけれど、そこ組織が事業終了後もうまく続いていくのかどうかは、中心になっていく人のリーダーシップ次第。今中心になっているのは行政の関係者だけれど地域に定着させるためには連携のための人づくりが必要。これれがもう少しガンバらなければ。

といったところでしょうか。

2月に開催された報告会の内容が令和元年度林業成長産業化地域の取組の分析・評価等に係る調査委託事業報告会から見ることができます。

5年計画のちょうど中程にいるところ。木材産業は成長産業になってきたけど、本当に林業が成長産業になる姿が見られるのかどうか?

皆さん今後も注目してください。

kokunai15-1<secyochiiki>
 Web上のシンポジウムー勉強部屋ニュース251編集ばなし(2020/7/15)

みんなが集まるイベントが次々と中止となり、Web上でのシンポジウムだのウェビナーなとネット上で様々な意見交換をする機会が増えています。

フロントページの「グリーンインフラ官民連携プラットフォーム 第1回シンポジウム」もそうですし、森林計画学会「森林・林業基本計画の見直し」に関するフリートークイベント7月11日、Webinar: Using AI to Tackle Global Environmental Challenges: Lessons learned from a Microsoft AI for Earth–WRI Collaboration6月16日などなど参加する機会も多かったです。

色んなやり方はあるんでしょうが、グリーンインフラシンポに参加してみて登壇者のプレゼンテーションに当たる部分は、当日直に見聞きするより、1週間の間ユーチューブに公開されていて、さてあの部分はどうだった?といった場合確認できて、ずっといいですね。あとは質疑意見交換といった部分をどのように工夫するのか?若干不安定な場合があるようですが、Zoomやv-cune等のツール側がどう対応してくるか・・・。

学会や国際シンポジウムなどは殆どこの形式が主流になってくるでしょう。あとは現地のプロジェクトを見学といった部分がどうなるかですね。

昔は、質問して意見交換して名刺交換、ということいことをやっていなーーー

次号以降の予告、日本の森林の炭素貯留能力は本当はムチャクチャすごかった!、地域の建築と小さな林業の全国ネットワークー新しいウッドマイルズの可能性、欧州で進むグリーンニューディールは日本にとって?Virtual Event: Global Forum on Forest Governance、FITと森林認証システムSGEC/PEFCの場合

konosaito<hensyukouki>

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最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp