グリーンインフラと生態系に基づく減災対策に関する議論 (2019/10/15)

環境経済・政策学会2019年(SEEPS2019)で、Eco-DRR (生態系を活用した防災・減災)の経済学的課題ー不確実性と政策展開というセッションがあったので、参加してみました(途中から)

企画:Eco-DRRの経済学的課題ー不確実性と政策展開(大沼あゆみ)
座長:大沼あゆみ(慶應義塾大学) 討論者:山口臨太郎(国立環境研究所)
1 Eco-DRRにおけるハイブリッドインフラの経済学的特徴と機能の理論分析
○大沼あゆみ(慶應義塾大学)
要旨ファイル:http://www.seeps.org/meeting/2019/submit/abst/1081_LgAKabM2.doc
2 防災効果とその不確実性に対する市民の評価
○柘植隆宏(甲南大学)・庄子康(北海道大学)・栗山浩一(京都大学)
要旨ファイル:http://www.seeps.org/meeting/2019/submit/abst/1061_2N5EAyvf.pdf
3 新たな森林管理システムの下での持続可能な林業経営とグリーンインフラ:京都府綾部市の企業を事例として
○河田幸視(近畿大学)・畑中英樹(京都府中丹広域振興局)・幹田秀和(特定非営利活動法人間伐材研究所)
要旨ファイル:http://www.seeps.org/meeting/2019/submit/abst/1063_t8uFRmhN.doc
4 諸外国と日本におけるグリーンインフラの政策的位置づけ
○西田貴明(京都産業大学)
要旨ファイル:http://www.seeps.org/meeting/2019/submit/abst/1118_y2zG2E3K.doc

(Eco-DRR、GIとは)

Eco-DRR:Ecosystem-based Disaster Risk Reduction (生態系を活用した防災・減災)
参考環境省サイト生態系を活用した防災・減災(ハンドブック自然と人がよりそって災害に対応するという考え方」が掲載されています。)
グリーンインフラGI:社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能(生物の生息・生育の場の提供、良好な景観形成、気温上昇の抑制等)を活用し、持続可能で魅力ある国土づくりや地域づくりを進めること(第2次国土形成計画2015年8月

森林を含めた自然環境の山地災害、洪水防止などの減災機能などに着目した公共事業論が、国交省や環境省から提起され、グリーンインフラが議論されてきているので、このサイトでも関心をもってフォローしてきました。都市と緑のグリーンインフラ(2019/3/24)

この学会で昨年グリーンインフラの経済的評価論とセッションが開催され環境経済・政策学会2018年大会コレクション(2018/9/23)、今年で2年目。

すこし、まとまった議論も進んでいるようです(グリーンインフラ研究会

気候変動などの背景で気象災害のリスクが高まっているが、公共事業に配分する財源が厳しくなっている。その中で、コンクリートに依存したグレーインフラに頼るだけでなく自然の力を活用したグリーンインフラを活用した方が安上がり?かも。その二つのインフラの効果と費用・負担そして、二つ合わせたハイブリットインフラの関係を検討する、ということのようです。

森林の関係者が関心をもってきた、森林の形態と降水パターンと水の浸透具合、傾斜と土砂の安定性といったその機能に関する議論に基づいた森林の防災機能について、ある程度コンセンサスができてきたという前提で、その機能についての市民の関心度合い(機能の安定性や、そのインフラが提供する防災以外の機能など)と支払意思などについて経済政策学会という立場から検討が進み始めています。

セッションの議論の中身は、現在上記に掲載している要旨のファイルだけが公開されています。今後、この分野は学術論文として公表されるようになれば、関心をもってフォローしていきます。

junkan6-9<GIEcoDRR>

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