ニュースレター No.246 2020年2月15日発行 (発行部数:1540部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 

                      一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原敬

目次
1 フロントページ:世界経済フォーラム(ダボス会議)の中の森林問題(2020/2/15)
2. REDDプラス始動元年ー支援活動への民間参画を推進するためには 何が必要か ?(2020/2/15)
3. 顔の見える木材での快適空間づくりー事業の進展状況(2020/2/15)
4. 勉強部屋ネットワークへの新たな期待?ー勉強部屋ニュース246編集ばなし(2020/2/15)

フロントページ:世界経済フォーラム(ダボス会議)の中の森林問題(2020/2/15)

1月21日世界経済フォーラム総会(ダボス会議)に出席したトランプ大統領がその演説で、森林保護のプロジェクトへの参加を表明する、としたと報じられました。トランプvsグレタ 温暖化対策めぐりダボス会議で主張対立

気になって情報収集をしてみました。

トランプ大統領は翌日公表されることとなっていた、世界経済フォーラムが提唱する植林プロジェクトに賛意を表明したということのようです。

トランプ演説の全文はこちら→(Remarks by President Trump at the World Economic Forum | Davos, Switzerlandホワイトハウスウェブサイト

At the same time, I’m proud to report the United States has among the cleanest air and drinking water on Earth — and we’re going to keep it that way.  And we just came out with a report that, at this moment, it’s the cleanest it’s been in the last 40 years.  We’re committed to conserving the majesty of God’s creation and the natural beauty of our world.
Today, I’m pleased to announce the United States will join One Trillion Trees Initiative being launched here at the World Economic Forum.  One Trillion Trees.  (Applause.)  And in doing so, we will continue to show strong leadership in restoring, growing, and better managing our trees and our forests.
This is not a time for pessimism; this is a time for optimism.  Fear and doubt is not a good thought process because this is a time for tremendous hope and joy and optimism and action. 
(自分が大統領になってからの経済的実績をしばらく話した後)

同時に、私は米国が地球上で最もクリーンな空気と飲料水の中にいることを誇りに思っています。そして、私たちは今後もクリーンに保ちます。そして、今のところ、過去40年間で最もクリーンであるというレポートを作成しました。私たちは、神の創造の威厳と私たちの世界の自然の美しさを維持することに尽力しています。
本日、米国は、ここ世界経済フォーラムで開始されようとしている「1兆本の木のイニシアチブ」に参加することをお知らせできて幸せです。一兆本の木。 (拍手)そして、そうすることで、私たちは木と森を回復し、成長させ、より良く管理する上で強力なリーダーシップを発揮し続けます。
現在は悲観論の時ではありません。現在は楽観的な時代です。恐怖と疑念は良い思考プロセスではありません。なぜなら、現在は途方もない希望と喜びと楽観主義と行動の時だからです。 

(といって「恐怖と疑惑のプロセス」である、愚かな予言者の占い(気候変動?)を拒否すべきとの批判に移る)

易しく解説したページ(英文)があったので紹介します

(トランプ大統領世界経済フォーラムで一兆本の植林計画を約束Trump's Trillion Trees Promise at the World Economic Forum

 ドナルドトランプ大統領は、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)でのスピーチで、「今日、米国が世界経済フォーラムで立ち上げられている1兆本の木のイニシアチブに参加することを発表できることを嬉しく思います。」と語った。なぜこのイニシアチブに参加するのか? 「私たちは、神の創造の威厳と私たちの世界の自然の美しさを守ることに尽力しています」とトランプは付け加えた。
大統領はまったく言及していないが、1兆本の木を植えることを目的とするイニシアチブの主な動機は、大気からギガトンの二酸化炭素を除去することによって人による気候変動を遅らせることである。 「2030年までに1兆本の樹木を復元、保護、植樹することで、気候、生物多様性、持続可能な開発目標に向けて、大規模かつ緊急に必要な進歩をもたらすことができます」と、イニシアチブに関するWEFのプレスリリースは述べています。

関心のある方は是非ご覧下さい。以下のような関連した公的な情報、学術的な成果なども引用された分かり易いページです・

計画の内容はこちらOne trillion trees - World Economic Forum launches plan to help nature and the climate

Planting 1.2 trillion trees could neutralize CO2 emissions, says ecologist(WEFのウェブサイト)(地球上には1兆本の植林ができる土地がある)

The global tree restoration potential(サイエンス誌)(1兆本の植樹をすると空気中の二酸化炭素の25%が減る)

U.S. ForestResource Facts and HistoricalTrends(米国森林局、もともと米国の森林は46パーセントあったが・・いまでは)

Amazon Deforestation in Brazil Rose Sharply on Bolsonaro’s Watch(ニューヨークタイムズ)

Global land change from 1982 to 2016(Nature誌)(樹木被覆率は増えている)

世界経済フォーラムで森林問題の問題意識が共有される背景には、世界中の土地利用についての動態が明らかになってきて、森林化の余地がけっこうあるのでないか、ということわ解ってきたということのようです。

トランプ政権がどのように出てくるのか?

直後2月4日に大統領が議会で行った、一般教書演説の中で、トランプ大統領が森林政策について語っているのいないのか?

And I sent the Congress a plan with a vision to further expand access to high-quality childcare and urge you to act imme

 To protect the environment, days ago, I announced that the United States will join the One Trillion Trees Initiative, an ambitious effort to bring together Government and the private sector to plant new trees in America and around the world.

We must also rebuild America’s infrastructure. I ask you to pass Senator Barrasso’s highway bill -- to invest in new roads, bridges, and tunnels across our land.
私は議会に質の高い保育へのアクセスをさらに拡大するための計画を送り、早急に行動するよう促しました

 数日前、環境保護のために米国が1兆本の木イニシアチブ(the One Trillion Trees Initiative)に参加することを発表しました。このイニシアチブは、米国と世界中で新しい木を植えるために政府と民間が協力するという野心的な取り組みです。

米国のインフラも再建しなければなりません。バラッソ上院議員の高速道路法案を通過させてください。私たちの国を横断する新しい道路、橋、トンネルに投資するためです。

ありました。600行の演説のなかの3行。

、世界経済フォーラムのどのような戦略を提起しているのかよく分からない点もありますが、世界経済フォーラムがUENEPやFAOと一緒につくった1兆本の木のプラットフォーム1i.orgというサイトが立ち上がったので、そこの情報ネットワークに登録しておきました。皆さんもいかがですか?

今後この情報をフォローします

chikyu2-8<davosforest>  

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REDDプラス始動元年ー支援活動への民間参画を推進するためには 何が必要(2020/2/15)

森林総研が主催した、REED・プラス始動元年2020というイベントに参加しました。

森づくりのためにビジネスのお金がどのように動員される可能性があるのか?

というのは私の問題意識ですが、気候変動枠組み条約がつくってきた仕掛けの中で、その話がどうなっているのか?

森林総研が国際的な専門家を呼んでのイベント。興味津々

森林総研の専用ページ令和元年度国際セミナー「REDDプラス・始動元年2020 - 持続可能な開発のための国際移転可能な成果に向けてが丁寧に報告者のプレゼン資料を公開しています。

それに基づいて紹介します。

   1開催趣旨説明(井上泰子)
セミナーの目的: 現在及び将来における、民間セクターを含む途上国への支援と実施におけるREDDプラスによる機会について、REDDプラスの技術的ツールとガイダンスや、REDDプラスの市場的アプローチや二国間・多国間協力の活用に焦点を当て展望する
1. REDDプラスの技術的発展は?→セッション1「REDDプラスの技術的ツールとガイダンス」
2. REDDプラスの支援や実施におけるクレジット利用は?→セッション2「REDDプラスの制度とクレジットの今後の展望」
3. 現在および将来の機会を検討することを通じて、今後のREDDプラスへの民間参画の一層の促進に向けた課題について議論を行う
キークエスチョン:REDDプラス支援活動への民間参画を推進するためには
何が必要か?
  基調講演1 REDDプラスの歴史と展望:UN-REDDプログラムのー10年間の取り組み(マルゴラザタ・ブシュコ-ブリッグスプログラム・オフィサー(国連食糧農業機関(FAO)/国連REDDプログラム(UNREDD)))
In 2007 REDD+ was set up to be transformational 2007年、REDD +は流れを変える期待をもって設定された
but… there REDD+ had to battle some headwinds against it:しかしREDD +は以下のような逆風に対抗しなければならなかった
• Political attention away from climate change and REDD+ (trade, refuges and migration)気候変動REDD+を無視する政治的な傾向(貿易、難民、移民)
• Push back from some industries (actors)一部の産業界からの反発
• Frustrations caused by slow progress in REDD+/REDD +の進行が遅いことによる不満
• Funds are not universally available, common rules not established, capacities were not there/資金は普遍的に利用可能ではなく、共通の規則は確立されておらず、運営能力が欠けていた
• REDD+ should be built from bottom up - but rarely taken at local scale/•REDD +はボトムアップで構築する必要があるが、ローカルスケールで取得する例はほとんどない
• Technology has proved to be transformational and game changer, but not applied universally/テクノロジーは変革と革新をもたらしてきたが、普遍的には適用されたものでない

Final remarks: Tailwinds for REDD+, lets continue the change!REDD+の追い風をもとめ変革をつづけよう
• Build innovative partnerships as commitment of non-state actors and private sector is increasing/非国家主体と民間部門のコミットメントが増加する状況の中で、革新的なパートナーシップを構築しよう
 3基調講演2 ミャンマーにおけるREDDプラスの結果に基づく支払いと持続可能な開発支援(ニィ・ニィ・キョウ(ミャンマー天然資源・環境保全省森林局長))
• Myanmar has made dramatic advances from the incomplete and uncoordinated policy environment of a decade ago.Policy development is now much more inclusive – for example the Land Use Policy went through multiple rounds of extensive public consultation and inputs.ミャンマーは、10年前の不完全で調整されていない政策環境から劇的な進歩を遂げました。現在、政策開発はより包括的です。たとえば、土地利用政策は複数回にわたる広範な協議とインプットを経ました。
• The current government banned all logging for one year and in parts of Bago-Yoma for 10 years; annual allowable cuts (AAC) reduced to sustainable levels; implementation of 10-year Myanmar Reforestation and Rehabilitation Program (MRRP), 10-year Re-introducing Natural Habitats (RNH), FLEG-T etc.•現在の政府は1年間すべての伐採を禁止し、バゴヨマの一部では10年間禁止した。年間許容削減量(AAC)を持続可能なレベルまで削減。 10年のミャンマー植林およびリハビリテーションプログラム(MRRP)、10年の自然生息地(RNH)、FLEG-Tなどの実施
• Despite starting on REDD + readiness later than many countries, Myanmar is rapidly catching up, and is looking towards RBP ’s by 2020. •多くの国より遅れてREDD +準備を開始したにもかかわらず、ミャンマーは急速に追いつき、2020年までにRBPに目を向けています。
 4セッション1ガイダンス『REDDプラスの技術的ツールとガイダンス』宮本和樹(森林総研)
・森林減少だけでなく森林劣化を考慮した長期の森林炭素モニタ リングを行うことの重要性
・国別の排出削減目標の達成にREDDプラスが貢献するための 報告段階での基本的な考え方
 5REDDプラスにおける森林炭素モニタリングの意味(佐藤保(森林総研))
森林劣化に よる排出量の方が森林減少起因の量よりも多いくにもたくさんある
   6削減目標の達成におけるREDDプラスの役割と国別報告書への反映(サンドロ・フェデリチ(IPCC))
   7REDDプラスへの道:PNGの挑戦と機会(ルース・トゥリア(PNG森林公社) )
セッション2REDDプラスの制度とクレジットの今後の展望(森田香菜子(森林総研))
市場メカニズム等(パリ協定6条を含む)の制度的機会と課題に ついて議論
 9REDDプラスプロジェクトによるパフォーマンスの国レベルでの評価(江原誠(森林総合研究所))
   10JICAによるREDDプラス国際協力の取り組み(森田隆博(国際協力機構))
   11REDDプラスの制度とクレジットの今後の展望(宇賀まい子(環境省))
2010年に開催された国際民間航空機関(ICAO)第37回総会におい「グローバル 削減目標」が決定:2020年以降、温室効果ガスの排出を増加させない (2020年以降のカーボンニュートラル成長)
そのために、(4) 経済的手法の導入
そのために、森林を含む使用可能な炭素クレジットを審査中
   12AIDERの取り組み:ペルー・ウカヤリ県の先住民コミュニティにおけるREDDプラス(プロジェクトシルビア・マイタ(AIDER,ペルー))
   13パネル討論:REDDプラス支援活動への民間参画を推進するためには何が必要か?導入報告(浦口あや(コンサーべーションインターナショナルジャパン))

ごめんなさい。一度に全部を紹介できませんでした。

ビジネスが森林に関わってくるプロセスはだんだん多くなってきています。その大きなチャンネルが排出量のオフセットでレッドプラス資金提供ということでしょうね。この課題に真正面から挑戦するイベント、中身をもう少し今後紹介しますね。

途上国が国別目標を掲げるようになったパリ条約が動き出す。その中で熱帯林の減少劣化をとめる緩和政策の重要性が高まりっているので、REDD+がいよいと本番になってきたという意気込みがよく分かりました。

その中で、国の目標と、地方でやっているプロジェクトの関係を結ぶ技術的な苦労とをされている様子がわかるのですが、なかみが少し解りづらいかな?

今後具体的なお金の流れが見えてきたときにどうなっているのか、ということから、解ってくると思います。

その意味で民間航空協定の航空会社が、その野心的目標達成にむけて、資金をだせるプロジェクト検討をしてるようなので(11REDDプラスの制度とクレジットの今後の展望)今後ともフォローしていきます。

スターンレビュー報告がいっていた、森林吸収源対策は一番安いというメッセージは、ビジネス関係者に対しては最も説得力のあはなしですが、そのためには周辺の技術的な膨大なサポートが必要。ここを担っているのが今回の報告会の関係者ということがよく分かりました。

kokusai2-71<redd+20start>

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顔の見える木材での快適空間づくりー事業の進展状況(2020/2/15)

2月10日新木場の木材会館で開催された、令和元年度当初顔の見える木材での快適空間づくり事業 報告会」に出席しました。

最近気になっていた、大きな林業と小さな林業(山づくりのために木造建築ができることー森林総研公開講座から

大規模な事業者が中核となって、効率的に品質の優れた製品を消費者に安く、でグローバルビジネスに対抗する大きな林業。それに対して、それで山づくりや地域文化が守られるのか?山林所有者と地域のビジネスが連携して立ち向かう小さな林業。

全木連が実施する林野庁の補助事業が、小さな林業に焦点を当てている?興味をもって久しぶりに木材会館に

全木連がここ数年対応されてきた、この仕事しっかりフォローできていませんでした。

会場にいって、久しぶりに会う人がたくさんいて楽しかったですが、それはそれとして、挨拶にたった、全木連の常務が「木材利用ポイントではじめて消費者向けに木材業界がアプローチしたのが出発点となっている」とされ、この事業がエンドユーザーと木材業界の間にたつもの、という説明に全体像が解ったつもりになりました。

また、「山にしっかり利益が還元してなければならない」と、いわれていたのが、大変印象的だったです

プルログラムは以下のとおりです。

                事業報告会次第

10:20 開会挨拶
10:30 講演
  PCM手法を用いたプロジェクトマネジメント方法について
  一般財団法人国際開発機構人材開発部
  次長代理/コンサルタント松本幸子氏
12:00 昼食
13:00 事業報告(発表25分質疑応答5分)
  1. 上川地域水平連携協議会
    トドマツ厚板による防耐火構造外壁の普及
  2. NPO法人木づかい子育てネットワーク/株式会社サカモト
    西川材を利用した木育空間のデザイン開発とその設計者養成プロジェクト
  3. 森林パ―トナーズ株式会社
    森林・林業の再生、維持とA材の持続可能な新流通システムの展開
14:30 休憩
14:45
  4. 一般社団法人ソマミチ
    信州の風景をつくる-ONE TEAMで挑戦する木をつかう社会の仕組みづくり一
  5. 協同組合福岡・大川家具工業会
    サスティナブルな循環型ビジネスの構築
  6. コイヤ協議会
    国産材組み立て式家具のブランド化
16: 15 総評
16:30 閉会

、いろいろあって、全部のプログラムを聞くことができなかったのですが、ちょうど先般いってきたばかりの、西川材を利用した木育空間のデザイン開発とその設計者養成プロジェクトや、前々から気になっていた森林・林業の再生、維持とA材の持続可能な新流通システムの展開など今後順に紹介していきますね。

 


junkan3-16<kaomie>

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 勉強部屋ネットワークへの新たな期待?ー勉強部屋ニュース246編集ばなし(2020/2/15)

令和元年度当初顔の見える木材での快適空間づくり事業 報告会で久しぶりに新木場の木材会館にいったら、思いがけなく色んな方々に。このサイトをサポートしてくれているユニインターネットラボ株式会社の社長がプロジェクト委員。木の建築賞の審査で伺った熊谷市の保育園で話がでていた埼玉大学のA教授も委員でお久しぶり。

また、登壇者に名刺交換をすると、勉強部屋ニュース読んでいます!!

勉強部屋のネットワークがこちらからの情報をお伝えだけでなくなにか、情報発信の母体になるのかな?

年度末のばたばたの中にいますが、今後みなさんと何からの意見交換をできないか、少し検討してみますね。

次号以降の予告、ニューヨーク森林宣言5年間たって、顔の見える木材での快適空間づくりー事業の進展状況(続き)、令和の山づくり、森林外交論続き、書評:諸外国の森林投資と林業経営-世界の育林経営が問うもの―、グリーンインフラ論と森林、勉強部屋の20年

konosaito<hensyukouki>

  

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最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp