ニュースレター No.232 2018年12月22日発行 (発行部数:1436部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 

                      一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原

目次
1 フロントページ:日本の森林外交史ーアジアのSDGsの発展のためになるか(2018/120/22)
2. 林業経済学会秋期大会コレクション(2018/12/22)
3 書評:東アジアにおける森林・木材資源の持続可能な利用―経済学からのアプローチ((2018/12/22)
4. IPCC1.5度特別報告書と森林(2018/12/22)
5. 英語の論文の作成過程の問題点ー勉強部屋ニュース232号編集ばなし(2018/12/22)

フロントページ:日本の森林外交史ーアジアのSDGsの発展のためになるか(2018/12/22)

12月5日からに都内で開催されたThe 18th Science Council of Asia Conference “Role of Science for Society: Strategies towards SDGs in Asia”第18回アジ学術会議大会:社会のための科学技術ーアジアのSDGsに向けての戦略という国際会議で日本の森林外交史について報告する機会がありました。

タイトルはJapan’s Forest Diplomacy and International Governance of Sustainable Development 日本の森林外交史と持続可能な開発の国際的な枠組み

今年1月のICUでの講義の内容日本の「森林外交」と国際ガバナンスーガバナンスのグローバル化の次の展開の中での森林の役割(2018/2/18) をもとに、環境外交史の研究グループ(日本の環境外交の包括的検証:駆動要因と効果性の分析)のスタッフメンバーの協力をいただき(学習院大学阪口功教授ICUの毛利勝彦教授に共著者になっていただきました)、大会のテーマである環境・経済・社会といったバランスのとれた社会を形成するうえで、日本の森林外交の実績がどのように貢献するのか?というチャレンジングな報告でした。

今後もう少し作業を進める途中経過の発表です。

ご興味のあるかたは、フルペーパー(日本語訳もつけています)、とプレゼン資料(日本語で解説付き)をおいておきますおで、こちらをどうぞう

この作業過程で勉強になったこと、印象深かったことを思いつくままに、内容の一部をご紹介

(分岐点となる5つの国際会議)

とりあえず、自分が関係していた仕事関係の情報を題材に、環境外交史の研究グループの共通認識となっている、戦後の国際環境合意を検討する場合の分岐点となる5つの国連の国際会議をあてはめて、整理をするという作業
the UN Conference on the Human Environment (UNCHE) in 1972
the UN Environmental Programme’s Nairobi Conference in 1982
the UN Conference on Environment and Development (UNCED) in 1992
the World Summit on Sustainable Development (WSSD) in 2002
the UN Conference on Sustainable Development (Rio+20) in 2012

日本の森林外交を貿易外交と森林環境外交の二つにわけて分析

(環境と貿易とITTO)

日本の戦後の森林外交の歴史でだれもが、興味をもつトピックスが、国際熱帯木材機関ITTOの本部誘致です

1970-80年代、途上国であり生産国である熱帯木材の輸出国との関係。

力を蓄えつつある途上国が連携をとり、援助より市場での新国際経済秩序NIOEを求める中で、そのシンボルとなった商品協定をベースとしたITTO。

日本は、世界でダントツにトップの熱帯木材原材料輸入国であり、また、日本が新たな先進国としてODA援助体制を固める過程での作業でした。

(利害の対立する産地国との対話と多国間合意)

貿易交渉で大切な輸出国と我が国の関係、何が力となるか?

日米、日加、日・インドネシアなど色んな対話があり、外交だからどちらも国益を主張するのですが、その際、長いこと係って組み立てられてきた多国間のフォーラムでの合意事項が議論のベース(この場合はGATT-WTO)、というのが大切な視点でした

内国民待遇ー内外無差別最恵国待遇ー誰かに与えた利益はその他の国にも

(国だけでなく関係者の参画)

また、環境に関する海外との議論の場合の基礎として、利害関係者stakeholdersとの関係性が大切な要素になってきました。業界はもちろんですが、市民、消費者や学術関係者の関係が重要です。

環境と経済のほかに社会という要素をバランス良くしていくための不可欠な仕組みですが難しい宿題です。

(日本の違法伐採問題への取組とSDGs)

その辺も含めて、2007年の違法伐採問題での林野庁ガイドラインは、内外無差別(欧米のEUTRやレーシ方法には欠けている)、業界団体の参画、消費者・市民の参画、という、いろんなそれまでの日本の経験を踏まえた大切な成果でした。・・・

ーーーー

70年間の日本の戦後の森林外交の歴史を12分間で話しをするというので、大変な作業でしたが、勉強になりました。今後もうもう少し整理をする作業をしていきます。

(アジアのSDGsにとっての森林)

今回のアジア学術会議第18回アジ学術会議大会:社会のための科学技術ーアジアのSDGsに向けての戦略という国際会議では、10の分科会に70近い口頭発表、40ほどのポスター発表がありましたProgram of Activities

そのうち、森林に関する報告は私のモノも含めて二つの分科会に以下の3つでした。

第1分科会エネルギー、自然資源、建設環境
Wood engineering aiming to integrate forest management and timber utilization Erina Kojima1 Doctoral student, Nagoya University
第2分科会 生物多様性と生物資源の持続可能な利用
Exploring decentralized bioenergy system supported by local bioresources in Japan Chun Sheng GOH University Institute for the Advanced Study of Sustainability (UNU-IAS),

Japan’s Forest Diplomacy and International Governance of Sustainable Development Takashi Fujiwara Japan Sustainable Forest Forum

それぞれ、面白い報告でした(注)すべて日本の森林政策についての論考で、二つは(私も含めた)日本人、一つはマレーシア人。アジアのSDGsにとって地域内森林でガバナンス問題、世界中の森林産物の大量消費という二つの面で森林という分野が大切な割に、今回のイベントに中で森林分野の学術研究者の陰がうすいですね。(と言う私もこのイベントは共著者に教えられるまでは全く視野の中に入っていませんでした)

(注)上記1は日本の人工林の供給力をしっかり循環的に使っていくために建築需要のどんな部分どんな部材を使っていったらよいのか、という木材工学分野のアイディアと山づくりの政策を連携させた面白い研究でした。

junkan8-1(18SCA)

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2018年林業経済学会秋期大会から(2018/12/23)

11月9-10日に、林業経済学会秋季大会が筑波大学筑波キャンパスで開催されました

恒例の大切なイベントですが、ばたばたしていて、3年ぶりの参加となりました。いよいよ日本の森林の皆伐が本格的に始まるガバナンス問題、森林環境税にからむ主として自治体の政策関与の問題、海外の最新情報を踏まえたグローバルな動向と国内の森林問題など大切なテーマに関する議論が報告されていました。

林業経済学会の関連ページプログラムと報告要旨が公開されています。

もちろんすべての報告を聞くことはできませんが、興味のある報告には本人にお願いして可能な限り情報をいただきましたので、紹介します。

発表者 標題 関連データ
要旨・資料
注目点
日本における森林管理能力
御田成顕
(九大決断セ)
日常活動理論にもとづいた盗伐発生要因の検討:宮崎県を事例として 要旨C3
資料
宮崎県の盗伐有罪判決の事案の分析
大地俊介
(宮崎大学
皆伐に対する市の行政的対応:宮崎県の中核的2市を事例として 要旨C4
資料
主伐期における管理ー市町村の伐採届の役割
福田淳
(広島県)
広島県における素材生産と原木流通の動向について-「平成29 年度広島県素材生産実態調査」の結果- 要旨C6 素材生産全数調査結果、国の「木材統計」のとかい離
栗山浩一
(京都大学)
森林認証制度の政策分析
-実験経済学アプローチ-
要旨T3-4 森林認証材普及のカギに迫る実験
志賀和人(林業経済研究所) 森林管理における林務組織と地域ガバナンス 要旨A1
資料
市町村の人材育成の展望
 早船真智
(森林総研
 PEFC グループ森林管理認証の展開とグループ主体-日本・北欧の比較研究-  要旨C16
資料
森林ガバナンスを支える地域組織
 三柴淳一
(GoEJapan
 日本の家具業界における違法伐採対策への対応 要旨 C17 家具事象者のクリーンウッド法登録のきっかけ
 太田伊久雄
(琉球大学
 森林認証木材製品のプレミアム価格形成に関する一考察 要旨 C24
資料
FSC製品は高級ブランドでより価格プレミアム
森林環境政策と自治体の役割
田中 慧吾
(東京大学)
森林総合産業の現状と課題
-北海道下川町を事例として-
要旨T3-1 森林総合産業に取組む二つの町の比較
梶間周一郎
(東北大学)
自治体の森林環境税の導入動態
―階層的クラスター分析を用いたアプローチー
要旨T3-8 先行した自治体の税の投入先、今後の参考に
 山本美穂
(宇都宮大
 「森林環境税」市町村交付金事業の現状と課題:栃木県「とちぎの元気な森づくり県民税」の事例より  要旨T3-9  栃木県森づくり県民税の市町村の遂行状況比較から課題
       
社会のグローバルガバナンスと森林
 藤崎泰治
(九大)
 UNFCCC-REDD+枠組み形成プロセスの分析 要旨 B12 パリ協定実施の進んだ枠組みの形成過程
 相楽 美穂
(跡見学園女子大)
 途上国の森林開発分野での紛争解決手続き  要旨B13  マレーシア・インドネシアの事例研究
 井上真
(早稲田大学
 ボルネオ島中央部生態系保全へのSDG 等国際枠組みの活用
―参加原則に関するインドネシアおよびマレーシアの比較検討―
要旨B15
資料
国境における森林管理事例・住民参加の意義は?
 鮫島弘光(IGES)  東南アジアにおける小農主体型新興木材生産地形成の比較:インドネシア、ベトナム、フィリピン、タイを中心に 要旨 B16  インドネシア・ベトナムの活性化
 瀋美晴
(筑大院)
 退耕還林政策による造林の実態に関する研究  ー四川省達州市の事例からー 要旨 B17 生態林と木材林関係とモチベーション
       
 林業経済学の役割など
 吉田美佳
(筑波大学)
 学問と産業の連携を目指す森林利用学分野の取り組み 要旨 T2-1  学問と産業界・社会の相互発展
 下川 哲
(早稲田大)
 農業経済学の国際的動向―今後の課題と展望― 要旨 T2-2 農経の研究対象の急速な国際化の教訓
 嶌田栄樹
(京大院農)
 林業「経済学」による森林・林業政策の評価 要旨 T2-3
資料
 森林政策の実証研究の遅れ
 峰尾 恵人
(京大院農)
 林業経済学の総括と「新しい林政学」の構想 要旨 T2-6
資料
 林業経済誌と林業経済研究誌の関係など
 佐藤宣子
(九大院農)
 豪雨による流木被害の常態化と森林政策の課題:平成29 年7 月九州北部豪雨を題材に  要旨A4
資料
(他分野のように)「住民知」を踏まえた研究が必要
       


過去の関連ページ
持続可能な森林管理を担保する制度としての、森林認証制度と我が国における森林法・合法性証明システム(2015/11/24)
違法伐採問題、木材のサプライチェーンの特徴と林野庁ガイドライン、林業経済学会での報告(2014/11/23)

gakkai<rinkei2018>

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 書評:東アジアにおける森林・木材資源の持続可能な利用―経済学からのアプローチ(2018/10/21)

 

林業経済誌11月号に筆者の標記書評が掲載されました。

経済のグローバル化に応じた森林管理のグローバル化をどのように達成できるのか。違法伐採問題など森林管理の施策を国を超えたグローバルな視点から検討することに問題意識をもっきました。

森林管理のグローバル化の一歩として、森林管理のガバナンスをとりあえず、東アジアという地域で共有していく可能性はないものか、というのは当然の問題意識ですが 、そのようなときに「東アジアにおける森林・木材資源の持続可能な利用―経済学からのアプローチ」と題する魅力的な書籍に出会あいました。

研究者の連携はどこまで進んでいるか?どんな可能性を秘めているのか?

了解を得て、全文を掲載します

chikyu5-6(EAfore)

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  IPCC1.5度特別報告書と森林(2018/12/22)

パリ条約のCOPで作成を要請されていた「1.5℃特別報告書(*)」が10月に仁川(韓国)で開催された、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第48回総会で公表されました。

正式名称は『1.5°Cの地球温暖化:気候変動の脅威への世界的な対応の強化、持続可能な開発及び貧困撲滅への努力の文脈における、工業化以前の水準から1.5°Cの地球温暖化による影響及び関連する地球全体での温室効果ガス(GHG)排出経路に関する IPCC 特別報告書』

本文と政策決定者むけ要約SPM(どちらも英文)がIPCCのウェブサイトに掲載されています
また、政策決定者向け要約の概要日本語版が、環境省のサイトに掲載されています。

政策決定者向け要約SPMの柱建ては以下の通りです。

セクションA: 1.5℃の地球温暖化の理解
セクションB:予測される気候変動、潜在的な影響及び関連するリスク
セクションC: 1.5℃の地球温暖化に整合する排出経路とシステムの移行
セクションD: 持続可能な開発及び貧困撲滅への努力の文脈における世界的な対応の強化

(1.5度C[no地球温暖化とは)

下の図がSPMのセクションAに掲載されています。図1のようにこのままいったら50年までに1.5度になる。2100年までに1.5度にするには図2のよう劇的な排出削減をはからなければならないようです

 
図1過去の気温上昇、今後の対策に「応じた気温上昇  図2定型化された世界全体の年CO2排出量

(森林は?)

また、セッションBでは2度上昇と1.5度上昇の比較などが記載され、1.5度では珊瑚礁が70-90%失われるが、2度では99パーセント以上失われる、といった記述されています。今回の報告書の重要な内容なのでしょうが、森林の役割がを見ていく場合、セションCが大切そうです。

SPMセッションCの森林に関係ありそうな部分を訳しておきました。

     
C2.5  Transitions in global and regional land use are found in all pathways limiting global warming to 1.5°C with no or limited overshoot, but their scale depends on the pursued mitigation portfolio.
Model pathways that limit global warming to 1.5°C with no or limited overshoot project the conversion of 0.5–8 million km2 of pasture and 0–5 million km2 of non-pasture agricultural land for food and feed crops into 1–7 million km2 for energy crops and a 1 million km2 reduction to 10 million km2 increase in forests by 2050 relative to 2010 (medium confidence). 16 Land use transitions of similar magnitude can be observed in modelled 2°C pathways (medium confidence). Such large transitions pose profound challenges for sustainable management of the various demands on land for human settlements, food, livestock feed, fibre, bioenergy, carbon storage, biodiversity and other ecosystem services (high confidence). Mitigation options limiting the demand for land include sustainable intensification of land use practices, ecosystem restoration and changes towards less resource-intensive diets (high confidence). The implementation of land-based mitigation options would require overcoming socio-economic, institutional, technological, financing and environmental barriers that differ across regions (high confidence). {2.4.4, Figure 2.24, 4.3.2, 4.5.2, Cross-Chapter Box 7 in Chapter 3} 
地球規模での土地利用の変化は、地球温暖化を1.5℃に制限するすべての経路に見られるが、その規模は、追求される緩和の方法に依存する。地球温暖化を1.5℃に制限し、オーバーシュートが少ないモデルの排出量経路は、牧草地50万〜800万km2と食べ物と飼料作物の0-500万km2の非牧草農地を転換して、1〜700万km2のエネルギー作物用の農地に造成し、 2010年と比較して2050年までに100万km2の森林減少あるいは1000万km2の森林造成が見込まれている(中程度の信頼感)。
同様の大きさの土地利用遷移は、モデル化された2℃の経路で観測される(中程度の信頼度)。
このような大きな移行は、人間の居留地、食糧、家畜飼料、繊維、バイオエネルギー、炭素貯蔵、生物多様性、その他の生態系サービスのための土地に対する様々な需要の持続可能な管理に深刻な課題を引き起こす(高い信頼性)。
緩和オプションの土地への圧力を少なくするにはには、土地利用の慣行の持続可能な強化、生態系の復旧、資源集約的ではないダイエットへの変化が含まれる(高い信頼度)。
地による緩和オプションの実施には、地域間で異なる社会経済的、制度的、技術的、資金調達的、環境的障壁を克服する必要がある(高い信頼性)。
{2.4.4、図2.24,4.3.2,4.5.2、第3章のクロスチャプター 
 C3.1  Existing and potential CDR measures include afforestation and reforestation, land restoration and soil carbon sequestration, BECCS, direct air carbon capture and storage (DACCS), enhanced weathering and ocean alkalinization. These differ widely in terms of maturity, potentials, costs, risks, co-benefits and trade-offs (high confidence). To date, only a few published pathways include CDR measures other than afforestation and BECCS. {2.3.4, 3.6.2, 4.3.2, 4.3.7}  既存および潜在的な措置には、植林および再植林、土地の再生および土壌の炭素隔離、BECCS、直接的な炭素捕獲および貯蔵(DACCS)、強化された風化および海洋のアルカリ化が含まれる。 これらは、成熟度、潜在的可能性、コスト、リスク、コベネフィットとトレードオフ(高い信頼性)の点で大きく異なる。現在のところ公表された報告書で、植林とBECCS以外のCDR対策が含まれているものは数少ない。 {2.3.4,3.6.2,4.3.2,4.3.7}
 C3.2   In pathways limiting global warming to 1.5°C with limited or no overshoot, BECCS deployment is projected to range from 0–1, 0–8, and 0–16 GtCO2 yr-1 in 2030, 2050, and 2100, respectively, while agriculture, forestry and land-use (AFOLU) related CDR measures are projected to remove 0–5, 1–11, and 1–5 GtCO2 yr-1 in these years (medium confidence). The upper end of these deployment ranges by mid-century exceeds the BECCS potential of up to 5 GtCO2 yr-1 and afforestation potential of up to 3.6 GtCO2 yr-1 assessed based on recent literature (medium confidence). Some pathways avoid BECCS deployment completely through demand-side measures and greater reliance on AFOLU-related CDR measures (medium confidence). The use of bioenergy can be as high or even higher when BECCS is excluded compared to when it is included due to its potential for replacing fossil fuels across sectors (high confidence). (Figure SPM.3b) {2.3.3, 2.3.4, 2.4.2, 3.6.2, 4.3.1, 4.2.3, 4.3.2, 4.3.7, 4.4.3, Table 2.4}  オーバーシュートが制限された状態での地球温暖化を1.5℃に制限する経路では、2030年、2050年、2100年にBECCSはそれぞれ0-10億tCO2/年,0-80億tCO2/年、0-160億tCO2/年の幅で導入されると予測され、農業、林業および土地利用(AFOLU)に関連するCDR手法により、これらの年に0-50億tCO2/年,10-110億tCO2/年、および10-50億tCO2/年を除去すると予想される(中程度の信頼度)。 今世紀紀半ばまでのこれらの展開範囲の上端は、最近の文献に基づいて評価された可能性の上限値をBECCSでは50億tCO2/年超過し、植林では36億tCO2/年超過している中程度の信頼度)。一部の経路は、需要側の措置とAFOLU関連のCDR措置へのより大きな依存によってBECCSの展開を完全に回避している(中程度の信頼)。バイオエネルギーの利用は、セクター間で化石燃料を置き換える可能性があるため、BECCSが含まれている場合と比較してBECCSが除外されている場合には、増加することとなる(高い信頼度)。 (図SPM.3b){2.3.3,2.3.4,2.4.2,3.6.2,4.3.1,4.2.3,4.3.2,4.3.7,4.4.3、表2.4}

1.5度におさえるために、排出サイドから規制をかけていくことの難しさが、土地利用などの吸収問題に難題を突きつけているという図柄でしょうか?

石内修:IPCC1.5度C特別報告書のポイント(森林技術誌12月号収録)、甲斐沼美紀子:脱炭素社会の実現に向けて(グローバルネット誌12月号特集脱炭素社会の実現に向けた社会づくりとはー1.5度特別報告書を受けて考える収録)を参考にさせていただきました。

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  英語の論文の作成過程の問題点ー勉強部屋ニュース232編集話(2018/10/21)

The 18th Science Council of Asia Conference “Role of Science for Society: Strategies towards SDGs in Asiで森林外交史の報告をしたことは、自分が林野庁でやったことの一部を国際的な文脈で総括してみるという結構重要な作業でしたし、それが国際学会の審査過程をへて口頭発表することになったということは大事件だったいってもよかったかもしれません。共著者との出会いなど幸運がいくつか重なった結果です。

ただし、今回報告したセッションは「生物多様性と持続可能な生物資源の利用」と題するもので、生物資源からの商品開発などのテーマが並んでいました。私の12分の発表に対して質問はなし。記事にも書きましたが、森林関係者がほとんどいない中での報告となりました。

一般論として審査を受けた論文で、英語で書かれたものと、日本語で書かれたものを比べると、前者が後者に比べて読者の広がりが格段に多いため、評価過程であらゆる角度からの批判に対する対応性などが求められるため高い評価を受けます。

ただ、日本の森林外交という日本政府の政策に関わる評価論述に関しては、日本語で記されたものが厳しい議論の対象となるので、作成過程で日本語の議論が必要です。

そのために、森林総研の関係者に途中経過を説明して意見を求めるという作業をしたのですが、若干時間不足。今後作業を続けていきますので、ご関心のあるかたは、フロントページに掲載の論文の対訳をご覧下さい。

次号以降の予告、気候変動枠組み条約COP24と森林、森林環境譲与税の施策事例集、文京区生物多様性地域戦略、全国知事会国産材部会、、韓国の違法伐採問題への取り組み、REDD+の最近事情

konosaito<hensyukouki>

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最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp