違法伐採問題、木材のサプライチェーンの特徴と林野庁ガイドライン、林業経済学会での報告(2014/11/23)

11月8−9日に宮崎市内で開催された林業経済学会秋季大会で、久しぶりに報告をしました。

環境経済・政策学会の大会(seeps2014)に引き続いてついて、報告のタイトルは「持続可能な森林経営にとっての合法性証明木材の可能性ーグローバル環境レジームの中での日本の林野庁ガイドライン意味」です。(報告要旨

森林認証制度のCoC、違法伐採問題に関する日本の林野庁ガイドライン、欧州木材規則、米国のレーシー法などすべてサプライチェーンを通じて消費者・需要者が森林管理に関する関与のチャンネルを拡大し、森林管理お水準を引き上げるという取り組みであり、それぞれの特徴を生かして、使いこなしていくことが必要、との主張です。

(サプライチェーンを通じた原料採取地点の社会問題への対処事例)

同じような天然資源のサプライチェーンを通じた、原料採取地点の社会問題に対処する成功事例がいくつかあります。

紛争鉱物Conflict Minerals
米国金融規制改革法(ドッドフランク法)、上場企業に対して、コンゴ民主共和国及び隣接9か国産のスズ鉱石、タングステン鉱石等の公表義務付け
紛争ダイヤモンド
紛争地での反政府勢力に利用されるのを防ぐ紛争地ダイヤモンドの流通を防止するキンバリープロセスとよばれる輸入時点での証明書の要求(キンバリープロセス会合(2002)「ダイヤモンド原石の国際取引に関する基本的な国際証明制度を定めた「枠組文書」」http://www.kimberleyprocess.com/en/about)

(他の天然資源製品と木材のサプライチェーンの違い)

ダイヤモンド、金属、化石資源など、地中にある天然資源を採取し加工して消費市場に提供する様々な商品の流れは、高品質な原材料の産出拠点と、高度な加工が可能な加工拠点を結ぶ、太いサプライチェーンを持つものが多いものです。

これれらのサプライチェーンと木材のサプライチェーンの違いを示したのが、左の原材料(ダイヤモンド原石、鉄鉱石、工業用丸太)の生産国トップ10の生産比率と、原材料の生産量と輸出量の比較です。

太く短いグローバルなサプライチェーンを管理するには、@サプライチェーンを担うグローバル企業の社会的責任に頼って管理することが可能(紛争鉱物の上場企業への報告義務が効果を発揮している事例)であり、さらにA大半の商品が国境を越えて取引されるために、貿易管理ですべてを管理することが可能(紛争ダイヤモンド、原石取引に証明書の要求)です。

(環境に優しい木材をサプライチェーンで管理する方法)

これに比べて木材のように、細くこまかい、グローバルでありかつローカルなサプライチェーンを管理するには、国境を通過しない可能性のある商品を第三者がチェックせずに管理する困難さがあり、サプライチェーンのすべて(上から下まで)を第三者が組織した伝達網を一部に構築する方法(森林認証のCoC)などが提案され実施されてきました。

また、問題の発生が途上国であるとすると、先進国・消費国の国境で輸入貿易にかかる企業(比較的規模の大きな事業者が多い)に一定の注意義務を要求し、サプライチェーン管理の責任を取らせるという方法(EU木材規則、米国レーシー法)が、提案されています。

これらの取組みと、前述の他分野の天然資源由来の商品把握の方法と比べると、サプライチェーンの中心で全体の管理に責任をとることができるプレーヤーがいないためのコスト負担力、市場における包括性というの二つの課題が見えてきます。

この点で、林野庁がガイドラインが示した業界団体によって認定された事業者による広くて薄いネットワークづくりは、大企業の社会的責任に替わって業界団体の社会的責任に依拠するのが、木材のサプライチェーン管理の手法として、意義のあるものです。

いずれにしてもサプライチェーンを通じて、消費者の力を森林管理に生かしていくことは、持続可能な森林管理にとって大切なことであり、それぞれのツールに磨きがかけられ、使いこなされることが大切だと思います。

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