ニュースレター No.2312018年11月25日発行 (発行部数:1436部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 

                      一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原

目次
1 フロントページ:北欧と日本のPEFCグループ認証・統合認証の広がりが示すもの(2018/11/25)
2.  全国木材産業振興大会広島大会ー木をつなぐー神々の時代から未来へ(2018/11/25)
3 豊かさの新しい価値評価ー包括的富の評価の中の森林(2018/11/25)
4. 森林に関わる幸福度の実証分析(2018/11/25)
5.  林業経済学と環境経済学の周辺ー勉強部屋ニュース231号編集ばなし(2018/11/25)

フロントページ:北欧と日本のPEFCグループ認証・統合認証の広がりが示すもの(2018/11/25)
 
フィンランド森林認証面積の推移
発足2年目で全森林の認証完了

11月16日17日と筑波大学で開催された林業林業経済学会秋期大会で、森林総研の早舩真智氏の「PEFCグループ森林管理認証の展開とグループ主体ー森林認証の広がりの日欧比較」という報告を聞きました。(なんと座長という立場で)

左の図は、この報告の中にあった、フィンランドの森林認証面積の推移のグラフです。もう一カ国スウェーデンも木材生産林はほぼ全面積がPEFCの森林認証を受けているが、日本は8パーセント。このちがいを最近日本でも増えてきたグループ認証という制度に着目して見てみようというのが、報告の趣旨です。

報告のプレゼン資料をいただきましたの了解をしていただいて、勉強部屋ドロップボックスにおきます。報告要旨が林業経済学会のウェブページに掲載されています(セションC報告要旨16ページ

(森林認証のグループ認証)

グループ認証とは、「単一の認証書の下に多数の森林所有者・管理者で構成される認証区域を含む森林管理認証とする」(SGEC文書2-2012 SGEC認証制度の管理運営に関する文書第5条森林管理認証の種類)というものです。

グループ主体は加盟者と、加盟者のコミットメントを含む合意文書を締結、加盟者への内部監査等を実施、加盟者は合意文書を提出し実施する(SGEC付属文章2-4 2012 グループ認証の要件)という(かなり厳しい)条件ですが、グループ主体一社の申請料金料と割引となる審査料金で(JIA担当者談)森林認証が受けられるという制度です。

上の表は早舩報告にあった、日本のSGECのグループ認証の事例です。新たに認証される森林の現在4分の1ほどがグループ認証だそうです(SGEC事務局)。行政機関や森林組合などが主体となって多数の希望者を集めて森林認証が進んでいるようです(東京オリンピックの波及効果?)

だぶん今後小規模事業者がどんどん、認証に取り組んでくるためにはグループ認証が安くて手っ取り早いので、ほとんどがそうなっていくのでしょう。

早舩報告はフィンランドでもスウェーデンでもグループ認証が主流であり、それぞれ、スタイルが少し違うが手法が国内で統一化されているのに、日本ではそれができていない、という点に問題意識があり、今後研究が進められるようです。

「学会では日本国内の違法伐採問題などが議論になっており、森林認証制度は欧州発だが、日本の森林ガバナンスの確立にとったも重要なテーマなので、今後の推移に期待ししたい」などとと座長としてのコメントをしました(本心そう思っています)。

(グループ認証と業界団体認定)

そもそも、FSCやPEFCのような森林認証制度が提唱する、独立した第三者である認定機関がが日本の(世界の)森林所有者の隅々まで審査して管理するこには色々無理があり、サプライチェーンの真ん中に巨大企業いる北欧のようなところではその企業がリードしてうまくいくが、そうでないでない日本のような(ほとんどの)国では難しい課題があります。

循環社会の主役としての木材を巡る課題と木材自給率の動向ー「農村と都市をむずぶ」誌寄稿(2017/9/30)(など)

その課題を基礎単位のグループ化というコンセプトで解決にせまろうという、今回のテーマは、、日本の合法木材のサプライチェーンを管理するガイドラインの団体認定の考えと全く同一線上にあります。

違法伐採問題に対する取組の意義と課題―日本を含むすべての森林の森林管理のガバナンスにも関連して―(2015/4/25)

今回の報告は森林認証に関してですが、COC認証にとっても、グループ認証の拡大が進んでいます。上記のガイドラインの団体認定の過程で業界団体が会員に要求している条件と、PEFCのグループ認証(COCの場合は統合認証というようですが(SGEC文書2-2012 SGEC認証制度の管理運営に関する文書第13条(CoC 管理事業体の認証対象業種とその認証))の条件がどんな関係になているのかしっかり見ていく必要があると思います。

(フィンランドの国内森林法とPEFC、日本の森林法とSGEC)

今回フィンランドの森林認証制度についてうかがって、あらためて感じましたが、PEFCの森林認証をリードしたフィンランドは、自国の国内法で要求する森林管理基準をグローバルに普及させるためにPEFCを創ったのではないかと思います。それで、発足二年で全森林が認証完了!

フィンランドという国が林産物輸出が国の経済の中で重要な役割を占めている数少ない先進国という特殊性のなせる技なのでしょうが、「日本の森林経営計画のハードルとSGECの森林認証のハードルを一緒にする」、というのが、木材の輸出拡大がの重要なツールだ、ということは、すくなくとも学会関係者の共通認識になってほしいと思います。

持続可能な森林管理を担保する制度としての、森林認証制度と我が国における森林法・合法性証明システム(2015/11/24)

この話に、グループ認証の話が二つになって面白い可能性があるかな、と思いました。

sinrin3-10(grninsyo)

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全国木材産業振興大会広島大会ー木をつなぐ神々の時代から未来へ

 

10月18日に広島で開催された全国木材産業振興大会に出席してきました。

今年のサブテーマは「木をつなぐー神々の時代から現在そして未来」。

将来の循環社会の主役であることが間違えない木材産業が現時点でどんな対外的な情報発信をしているのか、興味深い大会です。

また、広島は世界中の誰もが知っている日本の地名Hiroshima、そして、広島県は全国で一番原料加工量が多い製材工場群をもっている加工拠点、そこからの情報発信は?

(今年の大会決議-10年前と比較すると)

   第43回熊本大会2008年 第53回広島大会2018年10月18日
副題   "新たな木材利用への挑戦で木材産業の再興 ―「木づかい」でCO2の削減・豊かな生活―"  木をつなぐ~神々の時代から、現在(いま)、そして未来へ~’
 決議文 木材は、現在の国民の住生活を支え、未来の低炭素社会の実現に不可欠な資材である。このため、木材業界は「木づかいで二酸化炭素の削減・豊かな生活」を消費者・需要者とともに実現する使命をもっている。
 しかしながら、我が木材業界を巡る経営環境は、需要の低迷、原油の高騰、金融不安の中で、かつてない厳しさがある。この危機を乗り越えるためには、我々の不断の努力に加えて、木材産業の再興のための万全な政策的な支援が必要となっており、これを実現しなければならない。
この状況の下、我々は今こそ、下記の優先課題に対して、多様な連携の下に英知を結集して行動し、木材産業の未来を切り拓いていかなければならない。
 木材利用の拡大は、森林・林業の活性化のみならず地球温暖化の防止、地域経済の活性化などを通じ、豊かな暮らしや低炭素社会の実現に大きく貢献するものであり、森林資源が充実しつつある中、「伐って、使って、植えて、育てる」という資源の循環利用の確立が重要である。
全国各地で木造の公共施設等が数多く建設されるようになり、都市部の建築物の木造化・木質化が大きく進み始めようとしている。これは木材を優先して活用する‘ウッドファースト社会'の実現に向けて、政府、与党、経済界に訴えてきた我々の活動の成果と認識している。
今後とも、戦後続いてきた木材から非木材への流れを変え、木材の復権を確実なものにするため、安全• 安心な木材の安定供給体制の構築とともに、これまであまり木材の活用がなされて来なかった分野での木材利用拡大や山元に利益を還元するための仕組み作りに木材産業界自らが率先して取り組み、消費者・ユーザーの協力を得ていくことが重要である。
そのため、次の事項について、経済界など多様な関係者の連携の下に英知を結集して行動する。
 1  木材産業の危機突破のため、総合的な緊急対策を早期に実現しよう  都市部などでの木材利用の大幅な拡大のため、法律・制度の見直し等抜本的対策の実現に取り組む。
 2  住・生活空間への木材利用の拡大、木質バイオマスの活用・普及を推進しよう  森林資源の循環利用を実現するため、森林環境譲与税等も活用し、山元に利益を還元できる体制の構築に森林・林業団体と一体となって取り組む。
 3  違法伐採対策を前進させ、合法木材の普及・利用推進に取り組もう  木材産業振興のため、予算の確保、税制措置の継続に取り組む。
 4  安全・安心への期待に応え、JAS製品など、信頼性の高い木材の普及・定着に全力を挙げよう  新たな木材需要を創出するため、技術開発・普及等に取り組む
 5  炭素を固定する木材利用推進減税、住宅ローン減税、森林吸収源対策の税制を実現しよう  合法木材、JAS製品等、品質・性能の確かな木材供給や人材の育成確保に取り組む。

今回のスローガンを10年前の大会と比較してみたのが、上記の表です。青いセルが制度要求、黄色のセルが自分たちで取り組む決意表明。

10年前の最後の欄の税制が森林環境税という形でい実現し、自らの努力部分になってきたこと。都市部に向けた木材制度の改定が重要なターゲットになってきたようです。

(神々の世代から未来へ)

大会テーマとなった標記「神々の世代から」は、特別講演をされた千家 和比古氏(出雲大社権宮司)の「高大な木造の神殿ー出雲大社を巡るなるほ探訪」に関連しています。

お話は深く広く、日本は古来、数字の「二つ」を重んじてきた。そこは、欧州のように一つをトップとするピラミッド構造とはちがうのであって・・・伊勢神宮と出雲大社があって・・・、とつづくのですが、それは出雲大社: 日本の神祭りの源流 [書籍]などで。

神々と未来の関係は、出雲神殿の構造が木造高層建築の原型で、これが未来の都市ににつながる。そういうタイミングで広島で大会は大変良い機会です!!

(木材利用拡大条例)

今回のトピックスの一つは、最近できたばかりの広島県県産木材利用促進条例
類似の条例が色々できています
少し前ですけど、2016年年12月に林野庁のHPに林野庁が行った木材利用促進に関する条例等の施行・検討状況調査が、掲載されています

都道府県レベルでは、木材利用促進を主たる目的とした条例が4,森づくりを目的とする条例に木材利用が位置づけられているのが10道県、地球温暖化防止条例に木材利用が位置づけられている県が、4府県となっていいます。広島県は木材利用を主たる目的とする第一のカテゴリーでしょうか。2年前の調査で4だったのが、ネット上を調べていると、第一カテゴリーだけで、以下の9県が木材利用促進条例をもっているようです。

茨城県県産木材利用促進条例
秋田県木材利用促進条例
徳島県県産材利用促進条例
富山県県産材利用促進条例
岡山県県産材利用促進条例
栃木県県産木材利用促進条例
兵庫県県産木材の利用促進に関する条例
高知県県産木材の供給及び利用の促進に関する条例
広島県県産木材利用促進条例

題名から分かるように秋田県だけは、木材利用促進条例、県産材でも県産木材でなくてもどんなもカバーするグローバルな視点にたった条例です。

ほとんどの県が県産材ということで「本県のもつ豊富な森林資源の重要性」から県内で生産された木材、を利用促進していますが、広島県産木材はそれとは少し違います。

県産木材は県内で生産され又は加工された木材(第二条)
大量の丸太を輸入して加工している沿岸の最大手製材所群の製材も県産木材となるのですね。グローカル?

とりあえずは途中経過、循環社会の主流になれるかどうか、今後の発展が楽しみです。

kokunai11-11(zenmokutaikai2018)

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GDPに替わる豊かさの評価ー新国富指標の中の森林(2018/11/25)

2018/11/06 環境経済学ワークショップ:持続可能性の条件と指標というワークショップに参加して、Beyond GDP?: Environment, Society and Welfareという報告を聞きました(日本語で)。

新国富指標Incusive welth Indexについては、勉強部屋でも2回紹介してきました。

包括的「冨」報告書2014年版の中の森林問題(2015/4/25)
自然資本の持続可能な管理に向けて国民経済計算のあたらな手法(2015/3/22)

上記の記事はInclusive wealth report2012,2014に基づくモノですが、今回の報告はその続編Inclusive wealth report2018(IWR2018)に基づくモノで、この話が着々と進展して、その中心にいるのがIWR2018の主筆者であり今回報告をした馬奈木さんでした。

英文のフルレポートはInclusive wealth report2018(IWR2018)からダウンロードできます。
また、日本語での内容の解説は、豊かさの価値の評価(馬奈木俊介)に詳しく掲載しています。

(森林の評価手法の変更点)

新国富指標はDGPが対象としてきた人工資本のみならず、人的資本、自然資本を加味して真の豊かさに迫ろうというモノで、森林の価値を木材などの利用価値と非利用価値にわけ、木材生産に可能な森林の蓄積に木材の立木価格をかけて、将来の価値もふくめて計算して割引率をかけて現在価格を出す、非利用価値は、現在の森林蓄積の利用可能なモノ(全体の10%)に先進国、途上国ごとに推定た非利用価格単価をかけて算出しています(自然資本の持続可能な管理に向けて国民経済計算のあたらな手法(2015/3/22) 参照)

今回の2018までの過程で変更になったのは、自然資本のベースとなる森林面積からCultivated forest を外しているとうのが大きな変更点(人工林は自然資本でなく人工資本?)、その他、非利用森林便益に関しては、最近の便益評価方法の研究蓄積をとりいれている、といったことのようです。

(都道府県新国富の変化、森林資本の変化など)

豊かさの価値評価には、この指標をつかって都道府県別の評価、市町村別の評価などの結果が示されて新国富指標の使い勝手や今後の課題が分かるようになっています。

その中で森林の評価がどのように取り扱われているのか、人工資本に評価されているとしと自然資本から外された人工林の非利用価値はどのように評価する道があるのか?森林の非利用価値の単価の根拠は何なのかなどろ面白そうなテーマがありそうです。

関心のある方は是非豊かさの価値評価をどうぞ。

junkan6-7<IWR2018>

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 森林に関わる幸福度の実証分析(2018/11/25)

 
 先行研究:緑の都市atトロント市

9月に開催された環境経済・政策学会2018大会コレクションで紹介した、「農山村において森林に関わる幸福度に影響を及ぼす要因の実証的検討:滋賀県野洲川上流域対象として」について、報告者の滋賀県立大学高橋卓也さんから、関連情報をいただいたので、紹介します。

プレゼン資料「農山村において森林に関わる幸福度に影響を及ぼす要因の実証的検討:滋賀県野洲川上流域対象として」

森林政策の総合的評価をどうするか?という大きなテーマです(だと思います)。

(幸福度とは)

キーワードとなっている幸福度。国の政策を総合的に図る指標としてGDPがよく使われていますが、それに変わる指標の研究の一つに、主観的幸福度が注目を与えていて、OECDはガイドラインを出版しています

自分の生活に関する自己評価(生活評価)、さまざまな局面における気持ちの良さ・悪さ(感情)、自分の人生意義についての自己評価(エウダイモニア)などをはかって総合評価(点数付け)をするもの。

日本政府も幸福度に関する研究会で研究成果を公表しています。

(森林の幸福度とは)

今回の報告の基盤となった研究は、政策評価に関する上記の研究成果を、森林政策の評価に使おうというものです。(と理解しました)

森林関連主観的幸福度を、山と森林との関係における満足度、関わりに関する達成感、関わりに関する感情、などから、はかり、その点数が、その人に関連する、自然資本、森林関連活動、生活利便施設(人工資本)、人間関係(社会関係資本)などとの関係で見ていこうとしています。

みんなが合意ができる、森林関係主観的幸福度というものができるのでないか、それに影響を及ぼす、自然の恵み、森林に対する活動がはかれる可能性がある。まだまだ、途上の研究だと思いますが、注目すべき研究だと思います。

(森林関連幸福度研究の意義)

森林に関する幸福度の研究について、この研究のように、ローカルな森林政策を評価する客観的な基準をつくることに加えて、GDPに変わる幸福度が注目されるようになった場合、そのなかに森林に関する分野の指標がどのように組み込まれていくべきかという、という議論も当然あるはずで、今回の研究蓄積はそんな中にもいかされていくのでないかと思います。

junkan1-18(IHPforest)

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  林業経済学と環境経済学の周辺-勉強部屋ニュース231編集話(2018/11/25)

林業経済学会の秋季大会で、「『林業経済学』を問い直し,未来を構想する」というテーマのセッションに少しだけ顔を出してみました。

林業を対象とする経済学を研究しているプロの研究者が本流の経済学研究が生み出してきたコアなコンセプトとどどのようなつきあいをしていくのか?ということを話しているのかもしれない、と思って最後のところを聞いていました(そんな話しもされていたので)。

終わってから、林業経済学会会則をみてみると、林業経済学とは「人間と森の幅広いかわり関する社会科学および文理論的・実証研究向上を目的とする」学問だなんですね。すくなくと経済学の一分野ではない。それで「林政学会という名称にした方がよいのでないか?」などとう議論がされれいたのか、と納得しました。

セションを巡る全体像がわからないまま、気になったことがあったので、セッションで手をあげて発言をしようとしたのですが、時間切れでさされなかったので、あとで関係者にメールをしてみました。長文ですが以下紹介します。

ーーーー
「私は元行政官でアカデミアの世界に少し興味を持ち始めて、はじめて入った学会は環境経済政策学会SEEPSでした、そんな深い理由はありませんが、行政の時につきあっていない周辺の最前線のアカデミアの事情を知ってみたい、などだったかもしれません。(現在は林業経済学会、森林学会などに所属しています)

出席してみて気がついたのは、SEEPSの中に森林分野の研究の存在感がまったく希薄だということです。

わたしの知る限り、森林関係のセッションが開催されたことはありません(不勉強かもしれませんが(一回だけあったのだそうです))。今年のSEEPS大会のセッション構成です。
http://www.seeps.org/meeting/2018/seeps2018prg0830.pdf

それに比べて国際環境資源経済学世界大会World Congress of Environmental and Resource Economistsのプログラムをみると複数の森林関係のセッションがあり、それ以外のセッションにも森林関係の報告がたくさん見られます
今年のセション構成WCERE June 25-June 29, 2018
http://www.eaere-conferences.org/doc/upload/Detailed_congress_schedule_WCERE_201820180615171056.pdf

色んないきさつがあるのかもしれませんが(国際林業経済学会がないからというコメントをあとでいただきました)、一体この差は何なのだろう考えることがあります。

アカデミアの世界だけでなく、行政の人脈も同じようなところがありますが、森林関係者が外に攻めていない(自分の反省も含めて)
林業経済学のコアがあるないなどの話がありましたが、大きなフレーム枠で生まれてきた経済学のコアのコンセプトが本当に日本の森林の現実を反映する力をもっているのか?

最近Inclusive Wealth Index 新国富指標の開発動向について、勉強する機会がありました。
少なくとも2012年の報告書では森林の経済的評価は自然資本として非利用価値も評価されていたが、
http://jsfmf.net/jyunkan/Waves/Waves.html
2018年のレポートでは、人工林は人工資本、天然林は自然資本だと修正が加えられているようです。
日本のような人工林の非利用価値は評価されなくて良いのか?
だれがどんな議論をしてそうなったのでしょうか?SEEPSでも林業経済学会でもすくなくとも日本語で議論されたのを聞いたことはないです。

この指標がどの程度市民権を得ていて影響力があるものかは分かりませんので、もっと大切なことが他にいろいろあるのかもしれませんが・・・
何とかしなければいけないのでないと気になりました。

ーーーー以上長文になり、失礼しました
若干のレスポンスをいただきましたが、このテーマはまた後ほど

次号以降の予告、森林環境譲与税の施策事例集、新しい全国森林計画、IPCC1.5度特別報告書の中の森林、第18回アジア学術会議出席記録、林業経済学会秋期大会コレクション

konosaito<hensyukouki>

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最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp