持続可能な森林経営の実現のための政策手段に関する勉強部屋
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ニュースレター 023
2001年8月11日
このレターは、表記HPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。情報提供していただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちらで勝手に考えている方に配信しています。表記HPも併せてご覧下さい。御意見をいただければ幸いです。 藤原
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目次
フロントページ:COP6合意の森林条約としてのインパクト
会員制寄稿誌「日本の森林を考える」第九号
森林林業基本法関係資料
杉桧を守る会ホームページアップデート
住友林業のグリーン調達
新聞報道されているとおり、ボンで開かれていた気象変動枠組み条約第六回締約国会合再会会合が基本的合意に達して幕を閉じました。整備された森林などの吸収源を多くカウントしなるべく吸収源での負担を軽くしようという日本カナダなどと、国内の環境団体の圧力の中で吸収源対策を基本とすべきとするEUとの綱引きが行われていましたが、米国が京都議定書の枠組みを離れるという事態の中で、EU側が日本などに大幅な譲歩をし、急転直下合意をみたものです。今回の合意により、京都議定書の中での吸収源としての森林の役割の重要性がきわめて高まったといえそうです。
京都議定書(本文、概要)では西暦2012年の時点で我が国はCO2の排出量を1990年の時点の94%(6%削減)にすることを約束していますが、今回の合意では90年以降の植林された森林の面積などを実証することが出来れば、最大限3.8%は森林の吸収効果をカウントし発生源での抑制をその分緩和することが出来るということです。
各国はそれぞれ森林を管理する官庁が森林に関するモニタリングをしています。それは各国の森林の適切な管理という長期的には重要ではあっても、とりあえず各国の目先の利害とはなかなか直接結びつかない困難を伴う作業でした。それが、今回の合意によって、各国の森林のモニタリングの精度とその結果が、co2排出量抑制というコスト負担の程度を規定し、一国の経済の利害関係を直撃する、という事態になったのです。
また、国際的に、森林の定義、CO2吸収に効果のある森林の状態、モニタリングの方法、査察の方法などがしっかりと合意されることになります。森林条約のある部分が気候変動枠組み条約の一部として見切り発車されるということになったとも考えられます。
森林に関係する、行政機関、研究機関、企業、個人にっって、思いがけないインパクトが今回の合意には秘められているのではないでしょうか。
COP森林関係 関連資料
COP6再会会合の結果について(林野庁研究普及課が作成した概要に用語解説のリンク<地球温暖化防止活動推進センターなど>を貼り付けたもの)これで大体の概要がわかると思います
COP6森林関係正式の決定事項 pdfファイルダウンロード(Draft decision proposed by the co-chairmen of the Negosiationg group draft decision -cp.6 land use , land -use change and forestry FCCC/CP/2001/L.11 rev1)
IPCC吸収源特別報告書 政策決定者向け要約(pdfファイルダウンロード、地球環境研究センターのサイトより)(京都議定書お吸収源についての基本的知識を得たい人は必読)
会員制寄稿誌「日本の森林を考える」第九号が発刊されました。
目次は
1 二十一世紀、環境の時代における森林利用(大槻幸一郎) 6
2 森林に関わる二つのキーワード「循環型社会」と「多目的機能」−日本学術会議の活動から−(太田猛彦) 16
3 近くの山の木で家をつくる運動(小池一三) 22
4 地域材認証ラベリング制度の提案(藤原敬) 29
*「ホームページニュースレター021」より
持続可能な森林経営の実現のための政策手段に関する勉強部屋 34
5 最近の木材を巡る状況(福本雅嗣) 37
6 木材産業の再生に向けて「新業態への転換を目指して」(渡辺均) 46
少し詳しい目次
バックナンバーの目次を掲載(pdfファイル)
詳しくは本文をお読みください:連絡先
107-0052
東京都港区赤坂7−6−52ハイツ赤坂103
第一プランニングセンター内
「日本の森林を考える」編集室
電話 03−3588−0998
FAX 03−3588−0973
メール mailto:LEP07652@nifty.ne.jp?Subject=会員制寄稿誌
6月28日国会会期最後の日に森林林業基本法が各党の賛成によって成立しました。併せて、森林法と、林業経営基盤強化法の改正が行われました。旧林業基本法が1964年制定されて以来37年ぶりの基本法の改正となりました。
林野庁の関連サイトで法律あらまし、本文などが掲載されています。
改正された法律の全文や新旧対照表を掲載します。
改正後法律全文 新旧対照表 森林林業基本法 html pdf 森林法 html pdf 林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法 html pdf
G8の先進主要国の一角である我が国の森林林業政策の基本法律が改正になったという大ニュースが海外にどのように伝わっているか、ウェブサイトをチェックして見ましたが、残念ながら今回の事案を英語で掲載するサイトは皆無です。試しに海外のメーリングリストに簡単な紹介をしてみみると、解説を聞きたいと24時間の間に7カ国から10通のリクエストが集まりました。保安林制度や施業計画制度など日本の森林管理の仕組みは細やかで、今回の森林法改正でも伐採後の造林を確保するための伐採届け出制度の拡充などがなされています。大いに海外に向けた発信が必要だと思います。
このサイトでも海外向けの発信をすべく英語版を準備中です。(9月オープン予定)
大分で国産材復権に向けて活発な活動をされている、日本の杉桧を守る会(武内達夫会長)のホームページhttp://www.sugi-hinoki.ne.jp/sh_top_r.htmに最近の活動結果が報告されています。森林環境フォーラム・林野庁の政策担当者との山びこトークなどです。イベントがやりっ放しでなくきっちりとした報告となっていることが、この会の強みだと思います。
大手住宅メーカーの住友林業が、原木、製材品の調達などに際し、当該産地の当該産地の政府や森林局などの森林法規に基づき施業されている木材を取り扱ってゆくこととした、という報道がされています。
日刊木材新聞7月25日付報道pdfファイルダウンロード
世界で有数の木材消費市場である我が国の市場が、地球環境問題に対してに本格的に情報発信をしてゆく先駆けになることを期待します。
藤原敬
〒356-8687 独立行政法人 森林総合研究所
電話 0298-73-4751 FAX 0298-73-3795
email mailto:takashi.fujiwara@nifty.com?Subject=勉強部屋ニュースレター
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