ニュースレター No.2202017年12月24日発行 (発行部数:1390部) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
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このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。 情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信してます。御意見をいただければ幸いです。一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原 |
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フロントページ:いよいよ登場ー森林環境税のパワーと可能性(2017/12/24)
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12月14日与党が発表した来年度の税制改正大綱の中に、「パリ協定の枠組みの下におけるわが国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止を図るための地方財源を安定的に確保する観点から、次期通常国会における森林関連法令の見直しを踏まえ、平成31年度税制改正において、森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)を創設する。」(税制改正の基本的考え方)としました。 個人向け負担増、企業は優遇=観光、森林で新財源-与党税制改正大綱(時事ドットコム) 平成30年度税制改正大綱 (本文ー自民党Webサイト) 現在東日本大震災に関連した防災施策に対応して個人住民税が一律1000円加算させて徴収されていますが、それが2022(平成34)年までとなっていることから、2023年以降1000円を森林環境税とするものです。(↓林野庁「森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)の創設」から) ずいぶん先の話なんだな、となりますが、実際の事業は再来年度から、「後年度における森林環境税の税収を先行して充てるという考え」(大綱)、森林環境贈与税(仮称)として国から、9割が区市町村に、1割が都道府県に配分されるのだそうです。 (新なた森林管理のシステム) 来年度の税法改正に関する大綱なのに、再来年度(2020(平成31)年度)の税制改正とされた理由に「次期通常国会における森林関連法令の見直しを踏まえ」という文言がみえます。林野庁が検討している「新たな森林管理システム」です。10月に開催された林政審議会で議論された中身が公表されています。(林野庁「新たな森林管理の仕組みづくり」について」 「林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の両立を図るため、 ① 森林所有者に適切な森林管理を促すため、森林管理の責務を明確化(伐採後の造林保育を義務付け)するとともに ② 森林所有者自らが森林管理を実行できない場合に、市町村が森林管理の委託を受け意欲と能力のある林業経営者に繋ぐスキームを設ける。 ③ 再委託できない森林及び再委託に至るまでの間の森林においては、市町村が管理を行う。 ④ 意欲と能力のある林業経営者の森林管理のための条件整備として路網整備の一層の推進や集中的な高性 能林業機械の導入、主伐・再造林の一貫作業システムの普及が必要。 」としています。 どれも重要な指摘ですが、上記の目的のために市町村に譲与された税金がどのような仕組みで使われるのか、今後森林譲与税法案作成過程などで議論されることになるのでしょう。 (都市における森林譲与税の役割) もう一つ関心があるのが、この譲与税が都市の区市にも配分されることです。 大綱の中で、ロ譲与基準として以下の記述があります(大綱33ページ) (イ)森林環境譲与税(仮称)の10分の9に相当する額は、市町村に対し、当該額の10分の5の額を私有林人工林面積で、10分の2の額を林業就業者数で、10分の3の額を人口で按分して譲与する。 (口)森林環境譲与税(仮称)の10分の1に相当する額は、都道府県に対し、市町村と同様の基準で按分して譲与する。 以上を図示したのが左の図です。配分額の3割が人口割りとなっていることがポイントで、都市の区市にも一定の配分がされることになり、例えば東京23区は人口の7.3パーセントが住んでいるので、毎年600億円の森林環境贈与税から人口割りとなる180億円のうち12億円が配分されることとなります。 配分された自治体は、「間伐や人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用に充てなければならないこととする。」(大綱33ページ)とされていますから、23区の自治体は間違えなくそのほとんどを「木材の利用促進」つかうこととなるはずです。どんな展開になるのか注目されます。 (世界で注目(されるはず)森林環境税) このニュースがどの程度英文で発信されているかどうかみてみました。 Government considering new tax for forest maintenance (Japan Times MAY 10, 2017) いすれにしても、「日本国民が森林管理のために毎年6億ドルの税金を支払うことに同意した」というすばらしいニュースは、どの国の人、特に森林管理に携わる関係者にとっても大きな出来事に違いありません。 気候変動枠組み条約COP23の報告会での話題にしてみましが、世界中でREDD+推進のための緑の基金がプロジェクトの総額が3億ドル!!といっているそうですので、その倍の金額が毎年というのですから、日本の世界に発信する大切な情報となると思います。勉強部屋でもその一端を担っていく予定です。 kokunai4-43(sinrinkankyozei) ■いいねボタン
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11月6日から17日まで「国連気候変動枠組条約第23回締約国会議(COP23)」、「京都議定書第13回締約国会合(CMP13)」、「パリ協定第1回締約国会合第二部CMA1-2)がドイツのボンで開催されました。 再来年の実施にむけてパリ協定の実施規定についての議論が進められました。 国連気候変動枠組条約第23回締約国会議(COP23)、京都議定書第13回締約国会合(CMP13)及びパリ協定第1回締約国会合第2部(CMA1-2)の結果について(環境省) 12月15日日フォレストカーボンセミナーCOP23等報告会(森林分野)(国際緑化推進センター)が開催されたので出席してきました。 石内 修氏(林野庁 森林整備部森林利用課 国際研究連絡調整官) (パリ協定実施詳細ルールまでの道筋) パリ協定に関する国連の交渉は締約国会合COPのほかに、補助機関会合SBSTA、パリ協定締約国会合CMA、パリ協定特別作業部会APAという3つの会合があります。(気候変動に関する国連交渉の構造(外務省) 森林に関する議論は、①各国の削減目標(NDCs)の(中の森林管理の位置づけなどに関する)あり方、情報提供、積算方法に関する3つのガイダンスに関するものをAPAでおこない、②(途上国の森林保全などへの先進国の民間支援資金などに関連した)市場メカニズムに関しては補助機関会合SBSTAで、2018年まで議論をしていくこととなっていますが、石内報告では前者の実施指針の議論について報告がありました(石内報告図1) 石内報告図1 実施指針に緩和策として森林の部分をどのように記載するのかガイドラインが作成されるようですが、京都議定書の今までのルールが適用できるのか、新しく入ってきた途上国の今まで京都議定書で管理されてきた先進国とが同じルールになるのか、違うのか(二分論)などが関心の的になっているという話でした。今回の議論の中身はすべて非公式ノートFCCC/APA/2017/L.4/Add.1に掲載されているのだそうです。 森林問題はLULUCF(「土地利用、土地利用変化及び林業部門(Land Use, Land Use Change and Forestry))というキーワードの中で議論されますが、来年5月に開催されるSBSTA48 APA1-6で伐採木材製品の取り扱いなどに関する議論も含めて最終的な決着になるようです。 (REDD+と市場メカニズムにおける主要課題) 気候変動枠組み条約におけある森林に関する議論の中で重要なのは、途上国の森林の管理に資金を提供する国際的な枠組みがREDD+ですが、昨年に引き続き大仲 幸作氏(林野庁 森林整備部計画課 海外林業協力室 課長補佐)の報告がありました。 昨年の大仲報告で、民間資金との連携など結構大きな課題があり、実施ルールの交渉の中で次第に明らかになってくるだろう、という以下の説明がありました。
いずれにしても、来年いっぱいできめられる各国の目標NDCづくりの方策の中で、REDD+の成果がどのようにカウントされていくのかなど、けっこう重要な課題だと思います。 (日本発の情報発信) COP23ではCOP23 ジャパンパビリオン の中で、10 月30 日に発表した「日本の気候変動対策支援イニシアティブ2017」、Innovation for Cool Earth Forum(アイセフ)による我が国のイノ その中で、森林に関するイベントは、①熱帯におけるマングローブ:気候変動緩和と適応に対する潜在能力の実現、(森林研究・整備機構及び国際熱帯木材機関(ITTO)の共催)、②民間セクターとの連携によるREDD+の推進(森林研究・整備機構主催)の二つだったようですでした。 報告会のなかで、前日の森林環境税の与党税制大綱の決定に関連して、「こんな動きを紹介したのか」と質問してみました(もちろんずっと前のイベントなのでそんなことがあるはずはないのですが)。「日本国民が森林吸収源対策のために毎年6億ドルの税金を支払うことに同意した」というのはどこの国にとってもビッグニュースなので、来年ポーランドで開催されるCOP24では、どうしたらこんなことになるのか、という大きなシンポジウムをやったらどうでしょうか? kokukusai2-59(unfccccop23) ■いいねボタン
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エコプロ2017の中の森林と木材(2017/12/24) -12月6-8日の3日間、東京ビックサイトでエコプロ2017環境とエネルギーの未来展が開催されましたので中日金曜日にいってきました。 (知っておきたい自然資本の世界潮流) 8日午前中、「知っておきたい自然資本の世界潮流」セミナーというのがあったので、顔を出してきました。 森林の公益的機能が生み出す便益を享受し、負荷を与えている企業・社会の管理を進めるため、サービスを生み出す主体としての自然を自然資本ととらえ、その評価をもとに意思決定をしていくという動きがすすんでおり、勉強部屋でも少し追いかけてきました(自然資本プロトコルと森林)が、11月下旬にスコットランドで開催された世界自然資本フォーラム World Forum of Natural Capital 出席報告です。 自然資本については別途報告します。 (エコプロ2017開催状況) 小サイトではグリーン購入パワーを示す指標としてエコプロダクツ展の来場者をフォローしてきました。
2010年の183千人をピークに減ってきた入場者数がさらに減少 (森林と木材) 出典者情報が充実しており、森林のキーワードで検索するとで40件(昨年は46)と木材のキーワードで検索すると20件(昨年は30)の事業者が検索されます。 クリーンウッド法の施行という追い風?が吹いているのに少し残念です。 一昨年から始まったウッドデザイン賞。 今年の最優秀賞「農林水産大臣賞」はノーザンステーションゲート秋田プロジェクト(秋田県 秋田県 /東日本旅客鉄道株式会社ほか )
kokunai3-55(ecopro2017) ■いいねボタン
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WOODRISE Bordeaux 2017-木材利用へ挑戦する建築関係者の国際会議(2017/12/24) 2017年9月にフランスのボルドーでWOODRISE Bordeaux 2017という、木造建築に挑む建築関係者の国際会議が開催されま日本からも多くの関係者が参加したようです。日本から出席した建築関係者の帰国l報告会を聞く機会がありましたが大切なイベントだったことを知りました。 日本建築家協会JIA �環境会議 木材利用推進シリーズセミナーWOODRISE Bordeaux 2017 帰国報告会 欧州の木材利用の関係には若干違和感を持っていたので(「新国立競技場」の木材利用。 ワインの産地で有名なフランスのボルドーは、森林に囲まれた商業都市でそこに所在する、フランスの研究所主催の20カ国からの関係者があつまる国際大会でした。
上記はプログラムよりこちらからダウンロ 英語版、フランス語版 プログラム概要
WOODRIZE PAPETRという技術資料が当該サイトに掲載されています(日本の真庭市の経験などがのっています) junkan3-6<woodrize> ■いいねボタン
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森林の補助金が抱える課題ー国民森林会議の公開講座から(2017/12/24)
12月9日「国民森林会議」公開講座に声をかけていただき、林野庁の補助金に提言をする作業をされているというので出席しました。 「森林の未来を憂いて」(国民森林会議設立趣意書)として、長年にわたって森林政策に関する提言をしてきた団体ですが、森林環境税など重要な局面にある林野庁の行政の転換点にあって、よい勉強をさせていただきました。
結果は来年発売される「国民と森林」誌に公表されるのだそうですが、気のついたことをとりあえずメモしておきます 速水さんのプレゼンの中で、印象に残ったのは、↑この図(オリジナルは日本政策投資銀行「日本の林業・木材産業の今後の可能性」2017年3月) (素材生産過程のコストが高いのは?) 棒グラフの一番上は各国の工場着の丸太価格かと思いますが、その中にしめる素材生産ひと運材費が日本の場合ダントツに高く、立木価格を圧迫しているという問題点がよくわかる比較表です。 たぶん、何故日本の素材生産運材費がこんなに高いのかという背景に、製造過程の改善努力をしなくてもなんとなくうまくやっていける、現場の努力が補助金獲得競争に勝つことに力がそそがれていて、林野庁補助金が配分過程があるのでないかと思います (丸太の価格下落からいえること) 今日は補助金が価格の下落の一因という議論がありました。議論が必要なところですが、中国木材のグラフをみると日本の丸太の価格は国際水準になっていて、この間の下落過程は、国際水準に着地する過程ともいえるのでないかと思います。 もちろん、立木の値段は国際水準でないのが問題ですが、そこで、価格問題を議論するとき是非次の視点をいれて検討していただきたいと申し上げました。、 ーー国際的な木材の値段がそもそもこんなに低いのが問題で、 そのほか、 ①森林組合の作業班を分離させるべき、②森林経営計画の作成時の厳密性と評価時の管理放棄されている(以上速水氏)、③やる気の山主からやる気のある事業者への転換が問題(上山氏)、など重要な指摘がされたと思います。 森林管理に関する公的資金は、林野庁の補助金の他に、検討中の国の森林環境税、地方森林環境税など広がっていますが、過去重要な役割を果たしてきた林野庁の補助金の議論は、今後のあらたな選択肢を検討するときにも大切なことだと思います。 「国民の森林」をお待ちください。 kounai6-46<pfc> ■いいねボタン
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森林環境税の英語の翻訳ー勉強部屋ニュース218号編集ばなし(2017/12/24)
森林環境税の話は12月に課税に話がとりあえず決着してましたが、その税が本当に国民にとってよかったなと言ってもえるかどうか、本当はこれから大変な作業が始まるのだと思います。 一つが都市住民にとっての視点、追いかけていきたいと思います。 もう一つ、海外からの反応。といっても英語の情報発信ができていないので、このサイトでも税制大綱の英訳を試みたいと思います。 来年のCOP24のジャパンパビリオンの目玉になるか? 次号以降の予告、年明けに旧年中に次号のSDGsはSDGs時代の森林×企業シンポジウム~持続可能な社会づくりに向けた、新時代の企業の森づくり・木づかい~、森林の管理・活用に関する総務省行政評価、関係する林業経済研究所が70周年記念イベント国土と森林、自分の書いた合法税証明と森林認証 konosaito<hensyukouki> ■いいねボタン
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