ニュースレター No.215 2017年7月23日発行 (発行部数:1390部) | |||||||||||||||||||||||||||||
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このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。 情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信してます。御意見をいただければ幸いです。一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原 |
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フロントページ:日EU経済連携協定の中の森林の行方(2017/7/23)
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7月6日日EU連携協定の大筋合意が発表されました。 日EU経済連携協定(EPA)に関するファクトシート(外務省) (林産物の関税) 林産物関係では、ファクトシートで「構造用集成材,SPF製材等の林産物10品目について,関税撤廃するものの,即時撤廃を回避し,一定の撤廃期間を確保(段階的削減を経て8年目に撤廃」とされ、即時でなく、8年かけて次第に関税を下げていくのだということが、強調さていています。
《経済》 日欧EPA 林業にも影響(中日新聞7/8) 農業林業関係者ではこの結果をうけた国内対策に関心が集まっています。 日欧EPA国内対策 政府秋にとりまとめ(日本農業新聞7/15) もっぱら関税率の話が話題になっていますが、経済連携協定が基本的な枠組みとして意味あるもになっていくかは、その枠組みが経済のグローバル化の枠組みをしっかり支える社会のグローバル化の担保をしているかにかかっていると思います。 環太平洋パートナーシップ協定TPPと森林の国際枠組み(2015/10/24、2016/1/8改訂) (関税以外の社会的枠組みに関する取り決め) この点で、経済連携協定の中の関税以外の取り決めや、同協定と同時に協議してきた日EU戦略的パートナーシップ協定が重要な役割があります。 チーズと自動車に隠された日欧EPAの本質ー米中睨んだ国際的ルールづくりが焦点(日経トレンディ) 日EU戦略的パートナーシップ協定(SPA)(ただし、「政治,グローバル課題,その他の分野別協力を包括的に対象とした協定交渉をしており、早期妥結を目指すことが5月に合意された、とされれるだけで、内容に関する情報は開示されていません) その中の森林の管理に関するEPAの環境条約に関する部分を見てみましょう。 日本政府のファクトシート(外務省)より、EUが公開している情報(An introduction to the EU-Japan Economic Partnership Agreement Sustainable development)の方が詳しいのでそれを見て行きます。
欧州ファクトシートですから日本からの木材輸出に関する規定について引用されているのでしょうが、EUから輸入される木材についてクリーンウッド法が何を要求するのかしっかりした記述がされているのか、注目です。 EU木材規則が、EU域内のリスクの高い地域の違法伐採問題にしっかり対処できていない、ということを、前提に、しっかりとした対応がされる必要があるでしょう 先進国同士の連携協定で自らの国内の森林管理のリスクを認めて協力し合うというシステムができるのか、しっかり見ていく必要があるかと思います。 上記に引用していた、先行条約である欧州カナダ貿易条約の条文は別ページとします。 欧州カナダ貿易条約の中の森林 boueki7-10<JEUEPA&forest> ■いいねボタン
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欧州カナダ貿易条約の中の森林(2017/7/23) 先進国同士の連携協定で自らの国内の森林管理のリスクを認めて協力し合うというシステムができるのか、という問題意識で、日本EU経済連携協定を見ていく中で、そこに引用していた、先行条約である欧州カナダ貿易条約に興味を持ちました。。 以下に掲載されています。 CHAPTER TWENTY-FOUR - TRADE AND ENVIRONMENT ARTICLE 24.10Trade in forest products
カナダから米国への林産物の輸出に対して米国が相殺関税をかけていることいる(それをカナダが容認している)こと、EUの域内の違法伐採のリスクなど、本来この手の条約でカバーすべき事案があるはずですが、まだまだ、途上にあるのでしょうね。 米、カナダ産材木に20%関税の仮決定 カナダ側は反発 、boueki7-11<CanadaEUCETA> ■いいねボタン
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国連森林戦略計画2017-2030ー国連での最初の森林に関する戦略計画ー 1月に開催された国連森林フォーラムUNFF特別会合において「国連森林戦略計画2017-2030」(United Nations Strategic Plan for Forests 2017-2030:UNSPF)及び「4ヶ年作業計画2017-2020」(Quadrennial Programme of Work:4POW)が採択され、国連経済社会理事会(ECOSOC)の提案で、4月27日の国連総会で採択されました。 決議された文書 林野庁関連ページに掲載されてる原文と一部和訳
地球サミットで森林条約を創ることができず、その後の合意をもとめて議論が進められましたが、現時点での到達点となる文書の一つです。 (国際森林条約への経緯) 1992年の地球サミットで国際森林条約が実を結ばなかったことから、「国際的な取決め及びメカニズムの検討」という議論は1995年から97年までの政府間パネルIPF、97年から2000年までの森林政府間パネルIFFとそれぞれタイムリミットを設けて受け継がれましたが、結論がでず、2000年の国連持続可能委員会(CSD)いおいて、さらに5年以内に結論を出すべく国連森林フォーラムUNFFが設立され2005年に開催されたUNFF7での決議に基づき、2007年の国連総会でNon-legally binding instrument on all types of forestsが議決され、法的拘束力のある取り決めはUNFF11が開催される2015年まで先送りされてきました。 今度こそ国際森林条約はできるのかー国連森林フォーラムUNFF10の結果(2013/4/29) 2015年に開催される第11回会合で一定の方向を決めようと作業をしましたが、UNFF11ではそのターゲットを2030年まで伸ばすことがきまり、この結果に基づき、2015年12月に国連の森林措置(United Nations forest instrument)という文書が決議されています。 国連森林フォーラム第11回会合(UNFF11)の結果と来年の森林林業基本計画(2015/7/26) また、UNFF11決議「2015年以降の森林に関する国際的な枠組」では、2017年から2030年までを計画期間とする戦略計画及びその実行を担保するための4ヶ年計画を策定することとされ、その結果が、この文書です。 前述の林野庁関連ページに掲載されてるものかが概要を見てみると (UNSPFの骨子)
以上がUNSPFの骨子ですが、上位計画となる国連森林措置を実施するためお枠組みなるものなのだそうです。 UNSPFの役割及び責任には、各国に対して「UNFFのメンバー のメンバー は、各国の は、各国の 事情、 政策、優先事項能力発展水準森林の状況等を考慮し、任意で世界森林目標及び ターゲットの達成に向けた自身貢献を定める」(パラ30)とされており、その報告が積み重ねられるという、息の長い仕事に取り組むことになるようです。 chikyu1-36<UNSPF2017-2030> ■いいねボタン
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<国際ワークショップ>木材・木材製品の合法性確認のためのデューディリジェンス(2017/7/23) 6月27日に標記ワークショップが開催されたので出席しました。 クリーンウッド法が施行され、日本の事業者のなかでも、合法伐採木材の利用を確保するためにとるべき正当な注意義務(デューディリジェンスDD)とはどういったことをどこまで実施するものなのか、の関心は高まっており、日本に先行した取り組みを行うEUの最新事例をご紹介しようという、(環境NGO団体による)企業向けのイベントでした。 中国などの具体的な市場で欧州の企業がDDを実施している例が紹介され、わかりやすいイベントでした。 また、私のEUの問題意識はEU域内のトレーサビリティはどうなっているのか、という点でしたが、これもについても率直な意見交換ができました。 概要を紹介します。
(テューディリジェンメシステムDDSの基本) テューディリジェンメシステム(以下DDSという)は以下の三つの段階からなり、2の段階でリスクが無視できないときは、3の段階まで実施することとなっている。(上記①④) 1 情報へのアクセス サプライチェーンの情報を入手する
日本のガイドライン方式との関係でいうと、リスクの対象が広い(伐採権だけでなくて納税、伐採施業の安全衛生などもリスクの対象として掲載されている④)ことが指摘されていました。 トレーサビリティという点では、林野庁のガイドラインがどこまでも伐採地点での合法性まで行き着くことを求めているのに対し、DDでは地域ごとのリスクの評価をもとめて、リスクの低い地域では伐採定点までのトレーサビリティを求めていない、効率的な取組をしているというのがリスク評価のポイント。 そので、重要なのが、いくつかのウェブサイトが國ごとのリスクを評価しているという紹介がありました。 NEPCon社、Timber Risk Assessments など 日本のクリーンウッドなりことの手の情報がしっかり掲載されることが必要でしょう。 いずれにしても、中国のナラの家具、手すり、中国の紙コップ、 など具体的な例示でOKとなった事例と、だめだった事例など具体的な紹介があって面白いです。 (EU域内のリスクとトレーサビリティ)気になったのは、EU域内のリスクとトレーサビリティです。 Brooks Bfos社の中国のナラ材の調達をする場合の事例が報告されました。欧州のナラ材を中国で加工する場合は、欧州市場で流通していることがわかればそれリスクがないのでそれ以上のDDは必要がないとされています(資料③) ここで問題になるのが、EU域内の木材の管理体制です。 今回の説明にもありましたが、EUに輸入する事業者はオペレーターとしてDDsを要求すされますが、それを引きつぐEU域内の事業者はトレーダーとしてDDSや要求すされず、誰から何を買って誰に売ったかといおう記録を保持しておくことだけが求められます(資料①)。 説明者もいっていましたが、「これではトレーサビリティが不足だといてで批判をされている」のだそうです。「次の検討に機会には改訂することになるだろう」といっていました。 EUの域内でも、東ヨーロッパのようにリスクが高いとされていることはあるのですが、EU域内で留数しているものはDDは要求されないのだそうです(資料②)。 これは、EUにとっても結構難しい課題で、「これに取り組むには日本のガイドラインの業界団体認定を是非勉強してほしい」といっておきました。 別途日本欧州の経済連携協定などの議論が進んでいますが、欧州から日本に輸入される木材のリスクは排除するようにしっかり議論すべきだと思います。 boueki4-66<EUDDWS1706>■いいねボタン
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森林管理のグローバル化ー勉強部屋ニュース215号編集ばなし(2017/7/23)
EU経済連携協定 、欧州カナダ貿易条約、EU木材規則とEUがらみのトピックスが並びました。各国の森林の管理を強めていくために国際間の協力が不可欠であり、その究極のターゲットが森林条約という思いがありますが、マスコミで取り上げられる経済のグローバル化のための、経済連携協定の裏側で、森林に関する国際間の約束が積み重ねられているけれど、森林関係者にほとんど意識がされていない、という問題意識で取り組みました。トピックスが偏ってすみません。 グローバル化とローカル化の二つの問題をどう考えていくか、という問題を考えるにも、欧州はどうなのか気になるところです。 編集作業をしている中で、ウッドマイルズフォーラム2017というイベントが7月18日にあり、哲学者内山節さんの基調講演がありました。「これからの地域は何を目指すべきか~森林・木材・建築を中心」がタイトルですが、主催をする立場で、内山さんと接していて、「失われつつある、もの作りをベースにした人間の関係性」という情報発信のうらに、研究のベースのフランスの農村との比較という視点が示され、これも欧州との関係が・・ どこまで迫れるかはわかりませんが、次号かその次に内山節(ぶし)の報告をします。 次号の予告がうまく処理できませんでした引き続き、次号以降の予告、企業の社会的責任京都スタイル:京都のモデルフォレストの共同した森林管理への取組、UNFF12と生物多様性条約最新情報、ウッドマイルズフォーラム2017これからの地域は何を目指すべきか~森林・木材・建築を中心に、森林パートナーズ。そして、クリーンウッド法の事業者登録の話は是非紹介したいです。 konosaito<hensyukouki> ■いいねボタン
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